映画『余命10年』藤井道人監督 インタビュー

野田洋次郎の持っている繊細さが茉莉と和人の世界観に合う

【画像】映画『余命10年』場面カット

—— 主題歌「うるうびと」と劇伴はRADWIMPSが担当しています。どのようなイメージで依頼されたのでしょうか。

RADWIMPSの野田洋次郎さんとは5年くらいの付き合いになります。ドラマ「100万円の女たち」(2017年)に役者として出てもらい、映画『デイアンドナイト』(2019年)で主題歌を作ってもらったのです。

野田さんは人間にまつわる感情を歌ってきて、旋律も素晴らしい。彼の持っている繊細さが茉莉と和人の世界観に合うと思ったのです。無理を承知で「野田さん、実写の音楽をやらないですか? 劇伴も含めて全部やってほしいんです」とお願いしたところ、「やりたい」と言ってくれたので、甘えてしまいました。

—— 野田さんはどの段階で参加されたのでしょうか。

「野田さんには脚本の段階で主題歌「うるうびと」を作ってもらったんです。その音楽に導かれて僕たちは準備をし、ロケハンに行き、茉莉や和人を描いていきました。そして僕は編集しながらも野田さんの音楽を聴いていました。すごく総合的な感じで映画が作れたと思います。

出来上がった映像に対して、野田さんと劇伴を当てていくという作業が後半にあったのですが、野田さんが見事に仕上げてくださったので、この作業は楽しかったですね。

 

—— 編集で何度もご覧になったかと思いますが、改めて初号試写を観たときにどう思われましたか。

スタッフみんなが原作者の小坂さんに対する敬意を最後まで忘れずに、1年掛けて作品に向き合ってきました。プレッシャーもありましたが、こういう感情は今後、生まれないかもしれないというくらい幸せな気分になりました。いい作品になったと思います。 小坂家のみなさんがご覧になったときに「家宝です」と言っていただき、とても嬉しかったです。

—— これから作品をご覧になる方にひとことお願いいたします。

生きている時間は過ぎてしまったら絶対に戻ってきません。何気なく思える日常も実はかけがえのない時間であり、みなさんの周りには自分を思ってくれる人がいるということをこの映画を観て感じていただければと思います。そして1瞬1秒を生きた茉莉という人の10年の歴史を楽しみにしていてください。

[インタビュー: 堀木 三紀 / スチール撮影: Cinema Art Online UK]

プロフィール

藤井 道人 (Michihito Fujii)

1986年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、2010年に映像集団「BABELLABEL」を設立。『オー!ファーザー』(2014年)で商業作品デビュー。以降『青の帰り道』(2018年)、『デイアンドナイト』(2019年)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(2020年)、『ヤクザと家族 The Family』(2021年)など精力的に発表し、第43回日本アカデミー賞で映画『新聞記者』(2019年)が最優秀作品賞含む6部門受賞、他にも映画賞を多数受賞。現在、Netflixドラマ「新聞記者」(2022年)が配信中。

【写真】映画『余命10年』藤井道人監督 インタビュー

映画『余命10年』予告篇🎞

映画作品情報

《ストーリー》

20歳で難病となり、もう恋はしないと心に決めた余命10年の茉莉まつり(小松菜奈)と、生きることに迷い、自分の居場所を見失った和人かずと(坂口健太郎)。そんな2人が同窓会で再会したことがきっかけで運命が変わっていく。時間をかけて少しずつ近づいていく距離。そして気持ちが重なった時、そこにはどこにでもいる20代の男女らしく過ごす楽しい日々と、増えていく愛おしい想い出が溢れていた。しかし、2人には残された時間も迫っていた。茉莉と和人が歩む道の先にあるものとは・・・。

 
出演: 小松菜奈、坂口健太郎、山田裕貴、奈緒、井口理/黒木華、田中哲司、原日出子、リリー・フランキー/松重豊
 
監督: 藤井道人
脚本: 岡田惠和 渡邉真子
 
原作: 小坂流加「余命10年」(文芸社文庫NEO刊)
 
音楽・主題歌: RADWIMPS「うるうびと」(Muzinto Records / EMI)
 
配給: ワーナー・ブラザース映画 
 
© 2022映画「余命10年」製作委員会 
 
2022年3月4日(金)ROADSHOW
 
映画公式サイト
 
公式Twitter:@yomei10movie
公式Instagram:@yomei10movie
公式TikTok:@yomei10movie
 
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この記事の著者

ほりき みきライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど。

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