ヒロイン・三浦紗枝役
山田杏奈 インタビュー
山田杏奈が“嘘のない芝居”で魅せる!!
理想の女優像は“唯一無二の存在”
浅原ナオトの小説「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫刊)を実写化した映画『彼女が好きなものは』が12月3日(金)より公開!草野翔吾監督がメガホンをとり、主演を神尾楓珠が務める。
そしてヒロインを務めたのは山田杏奈。前作の映画『ひらいて』では“好きな人の好きな人を奪う”自身とかけ離れたエキセントリックな役柄を熱演。対する今作の役どころは自身と価値観が近いという、実は“BL好き”の女子高校生。“ゲイ”であることを隠して生きる同級生に、その秘密に気づかず恋に落ちてしまう三浦紗枝を演じた。交わるはずのなかった二人が出会い、二人の“好きの形”を見つけていく瑞々しい青春映画となっている。
監督や共演者に“紗枝そのもの”とまで言われるその真相は?
“芯がある”、“譲れないものがある”といった、自他共に認める紗枝との共通点を持つ山田杏奈に、前作『ひらいて』でのインタビューに引き続き、女優として大切にしていることや目指す女優像について話を聞いた。
紗枝の第一印象は“人間としてしっかりした子”
―― 浅原ナオトさんの原作「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫刊)を初めて読んだ際の率直な感想を教えてください。
小説だとモノローグで語られる部分が多いので、純の精神的なところだったり、そういうのが本当にひしひしと伝わってくるなと読んでいて感じました。 あとは、紗枝を演じるっていう前提があったので「紗枝としてどういう役割でいたらいいんだろう」とすごく考えながら読んでいましたね。
―― 紗枝の第一印象はいかがでしたか?
明るくて、人のことを思いやりを持って考えられる、良い子だなと思いました。価値観だったり“芯”のところがちゃんとしているからこそ、すごく人間としてしっかりしている女の子で。そういうところがやっぱり純と関わっていく上でもすごく肝になっていくんだろうなと思いました。
“芯がある”紗枝とは「譲れないものがあるところが似ている」
―― 完成披露試写会 舞台挨拶で草野翔吾監督や神尾楓珠さんが「山田さんもしっかり“芯”があって紗枝と似ている」とおっしゃっていましたが、そのように感じることはありましたか?
私は価値観的に絶対に譲れないものがあって。具体的に“これ”ってある訳ではないですけど、“誰になんと言われようと変えられない”みたいな変に頑固なところがあるんです。多分紗枝もそういう子だと思うので、そこがちょっと似てるかなとは思います。
でもその点でいうと私のほうが厳しくて、紗枝のほうがやわらかいかなと思います。私はあんなにふわっとしていないので、逆にああやってやわらかくなりたいなって思ったりしましたね(笑)。
―― そんな紗枝を演じるにあたって、特に強く感情移入したシーンはどこでしょうか?
美術準備室で純と2人で話すシーンですかね。自分の好きな人(恋人)が“ゲイ”だと知って、「知っても今さら嫌いになれない私はどうしたらいいの」と言うところはすごく感情移入したというか…。
やっぱり実際そういう状況になったら頭ではわかっていても理解できないところはあるだろうし、混乱もすると思うし。「理解しなきゃ(したい)」って思ってるけど、「裏切られた」っていう思いもあるだろうし。演じていてすごくしんどかったシーンです。
―― そういった状況で「もし自分が紗枝だったらどうするか」とは考えましたか?
価値観が紗枝と似ているということもあって「私自身だったらどうだろう」とはすごく考えて演技に臨んでいましたね。 でもこういう状況になっても、結局自分ではどうしようもないじゃないですか。相手を変えることはできないし、傷つけられたことには間違いないので「そうなんだ、わかった」とすんなり許せるかといえば絶対許せないと思うので、悩むだろうなとは思います。
ただ、相手を“ゲイだから”という理由で傷つけることは絶対にしないし、当たり前のことですがそこは紗枝とも同じだなと。自分がもし紗枝の立場になったとしても、人間同士としてちゃんと話し合いをすると思います。
女優として大切にしていることは“嘘をつかない”こと
―― 先ほど山田さんは「譲れないものがある」とおっしゃっていましたが、女優として、お芝居をする上で譲れないことまたは大切にしていることは何でしょうか?
“嘘をつかない”ということです。 例えば、芝居の中での言動については一つ一つその理由をしっかり考えるようにしています。カメラの都合で動き方がある程度決められてしまったりということもありますが、そういう時でも何も考えずそう動くのではなく、“こういう理由でこっちに行く”だとかちゃんと考えて芝居をしますね。“なんとなく”だけでやるのは自分の中で気持ち悪いので。
私自身が私自身として“なんとなく”やっていることはあると思いますが、誰かを演じるとなった時にそれを「わからないからなんとなくでいいや」って放り出すのはしたくなくて。もちろん、映画『ひらいて』の時がそうだったのですが、わからなくて体当たりで臨むこともあります。でも考えることをサボって「わからないでいいや」としてしまうとそれは“嘘”になってしまうので、全部考えるようにしています。
気づけば芸歴10年「毎年楽しくなっていきます」
―― 現在女優のお仕事を中心にご活躍されている山田さんですが、芸能界デビューからは今年で“10周年”になりますね。心境はいかがですか?
“10年”って、数字になるとすごいなとは思います。でも私自身がその期間で何か変わったかというとあまり変わっていないと思いますし…。本当に、1年1年やっていたら気がついたら10年も経っていたので、びっくりしました(笑)。
作品1つやるのに大体1カ月半、間を含めたら2カ月くらいあって、それが積み重なっていくと気がついたら1年が終わっていて。特にここ数年はすごく早いです。 10歳から20歳って人生の中で1番変わる10年間だと思いますし、その中で求められることもちょっとずつ変わって、仕事もちょっとずつ変わってという感じだったので、なんだかすごく面白いなって。どうなるかわからないものだなって思います。
学生ではなくなって一人暮らしも始めて、自分の軸が学校から仕事になったことで、“習い事”のように思っていたものがちゃんと“仕事”という感覚になっていって。そういう面ではすごく移り変わっていった、変化の大きい10年でしたね。
でも、毎年この仕事が楽しくなっていっています。
―― 具体的に女優のお仕事のどんなところを“楽しい”と感じるのでしょうか?
自分じゃない人間として話せたりするのって、他の仕事では絶対できないと思って。そしてそれが“作品になって人の目に届く”という歯車の一部になるのはすごく面白いなと改めて思いますね。
「この芝居はこの人にしかできない」と思われる存在に
―― 目指している女優像はありますか?
「この人芝居上手いよな」と思われる人でありたいというのは、私自身そういう人をすごく尊敬しているので、ずっとあります。あとはやっぱり映画が好きなので、個として“この芝居はこの人にしかできない”、“この人が出ている作品なら観たい”と思われる存在になれたらなと思います。
―― この先、演じてみたい役や演じたい役はありますか?
社会人の役をやりたいです。今は学生の役がメインで、やれるうちに高校生の役だったりもまだたくさんやると思いますが、もうすぐもう21歳になりますし、学校だけではない世界で生きている人もやってみたいです。
学生の役となると、この映画『彼女が好きなものは』のように、ただ“高校生の話”というだけでは終わらない、それ以外の要素もあるような作品をまたやりたいですね。
―― 最後に、映画『彼女が好きなものは』をご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。
紗枝としてやっていた期間ってやっぱりすごく自分の価値観と向き合う時間になって。“わかっているつもりでも本当はわかっていないこと”もあるし、“想像することしかできないこと”も“その環境に置かれてみないとわからないこと”もある。「それを“わかっている”と言うことはできないよな…」と、ぐるぐる考えていました。
それはその期間だけではなく今もそうで、今になって「あ、あのセリフってこういうことなのかな?」とふと思い返すこともあったりして。お説教って訳ではなく、観た人が自分の価値観を見つめ直して考えることができるような作品になっているのではないかなと思います。
でもやっぱり、何より“人の温かさがあるすごく優しい映画”だと思うので、たくさんの方々に広まっていってほしいですね。皆さんに観ていただけたら幸せです。
山田杏奈さんから読者の皆さんにメッセージ🎥
プロフィール
山田 杏奈 (Anna Yamada)2001年1月8日生まれ。埼玉県出身。 |
フォトギャラリー📸
CAO読者プレゼント🎁
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映画『彼女が好きなものは』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》⾼校⽣の安藤純(神尾楓珠)は⾃分がゲイであることを隠している。 ある日、書店でクラスメイトの三浦紗枝(山田杏奈)が、男性同⼠の恋愛をテーマとした、いわゆるBLマンガを購⼊しているところに遭遇。 BL好きを隠している紗枝から「誰にも⾔わないで」と口止めされ、そこから2人は急接近。しばらしくて、純は紗枝から告白される。「⾃分も“ふつう”に⼥性と付き合い、“ふつう”の人生を歩めるのではないか?」。 一縷の望みをかけ、純は紗枝の告⽩を受け⼊れ、付き合うことになったのだが・・・。 |
第34回東京国際映画祭(TIFF) Nippon Cinema Now部門 出品作品
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