映画『ひらいて』主演・山田杏奈 インタビュー
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主演・山田杏奈 インタビュー

数々の難役を演じてきた山田杏奈が苦戦!?
わからないままで演じた“今までにない刺激的な役”

荒々しさと繊細さが共存する少女が美しくもポップに描かれる、新感覚・乱反射する少女の愛憎エンターテインメント作品、映画『ひらいて』が10月22日(金)より全国公開される。

主人公・木村愛を演じるのは、2011年開催の「ちゃおガール☆2011 オーディション」グランプリ受賞&芸能界デビューから今年8月で10周年を迎えた山田杏奈。 映画初主演となる『ミスミソウ』(2018年)、第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞した『小さな恋のうた』(2019年)など代表作をはじめ、『ジオラマボーイ・パノラマガール』(W主演/2020年)、『名も無き世界のエンドロール』(2021年)、『樹海村』(W主演/2021年)、『哀愁しんでれら』(2021年)など話題作に立て続けに出演。加えて今年12月3日(金)公開予定の映画『彼女が好きなものは』にも出演が決まっている、日本映画界注目の若手女優である。

【画像】映画『ひらいて』メインカット

原作は芥川賞受賞作家・綿矢りさの傑作恋愛小説「ひらいて」。新進気鋭の映画監督・首藤凜が監督と脚本を務め、共演には主人公・愛が思いを寄せるたとえ役の作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、たとえと密かに交際する美雪役の芋生悠が出演している。

エキセントリックでありながらも切実な純愛を描き、いかなる恋愛映画も及ばなかった境地に行き着く、青春映画の系譜を飛び越えた本作。優等生でビジュアルも良く人気者の女子高校生・愛の恐れを知らない熱い恋心は、彼の“恋人”にまで向けられ、物語は三角関係だけにとどまらない方向へと進んでいく―—。

「どこが自分と同じで、どこからが違うんだろう」
悩み、見出した“役との向き合い方”

―― 映画『ひらいて』で主演を務めることが決まった際はどのようなお気持ちでしたか?

『ひらいて』の原作は、自分が演じるとなってから初めて読みましたが、綿矢さんの原作で大九明子監督が映画化した作品『勝手にふるえてろ』(2017年)や『私をくいとめて』(2020年)はすごく好きだったので、そこに加わることができるのが楽しみでしたね。

―― 「この映画を撮るために監督になった」という首藤凜監督の手による映画化となりますが、監督のご印象はいかがでしょうか?

首藤監督は『21世紀の女の子』(2018年)という短編映画集で私が出演していた作品(『恋愛乾燥剤』/枝優花監督)とは違う作品(『I wanna be your cat』)の監督をされていて。その作品もそうですが、女性のもがく姿をまっすぐに痛々しく描く方という印象でした。監督の作品に懸ける思いを聞いて「やばい!」と思いました(笑)。

【画像】映画『ひらいて』メイキングカット (首藤凜監督×山田杏奈)

―― 愛について「私は彼女が嫌いですが、彼女を愛さずにはいられませんでした」とコメントされていましたが、具体的にどこが“嫌い”で、どこを“愛さずにはいられなかった”のでしょうか?

愛は、暴力的なところがあってなりふり構わず進んでいく感じがすごく面白い人だという第一印象でした。普通に小説を読んで(愛を)“物語の中の人”として捉えたらそこで終わると思いますが、自分が演じるとなるとそうはいかなくて。自分と近い世界(自分の周り)にいたら怖いなと思ったりしました。

演じていた当時は、愛という役を考えて考えて「わかんない!もう無理!嫌い!」という状態になってしまって。でもそれは実は自分と通ずる部分も結構あったからこそのことだったのかもしれません。 愛は、すごく弱い人だけど、周りを固めて無理矢理を作って進んで行くようなタイプで。撮影が終わってしばらく経って一歩引いて見たら、なんだか「人間らしい人だな」と思いました。「愛さずにはいられなかった」のはきっとそういうところですね。

【画像】映画『ひらいて』場面カット

―― 愛との共通点、反対に「特に違う」と感じた点も教えてください。

自分では、愛とはあまり共通点がないと思っていたのですが、首藤監督いわくそんなことはないらしくて(笑)。意識していない、自分のコントロール外の部分で似ているところがあるみたいですね。

愛の(好きな人を)「奪いたい」「自分のものにしたい」といった根本の気持ちはもちろん私にもありますし、誰もが持っているものだと思います。でも私はそれを行動に移せないので、そこが愛とはかなり違う点でもあり、愛を演じる際に意識にしたところでもあります。愛は “根本にある衝動”がキーになるキャラクターだなと思いました。

―― “中身と表面がつながっていない”とも言われる愛を、どう演じられたのでしょうか?

愛は“周りからどう見られるか”をすごく気にしていて、人といるときは常に取り繕って生活しているような人なので、“芝居をしている状態を芝居している”みたいな感じでした。

あとは、“受け止めすぎてはいけない”というのも意識していました。愛として全てを受け止めてしまうと、それは“(中身と表面が)つながっていない”ということにはならなくなってしまうので。たとえや美雪のセリフも「こんなこと言われてキツいよな」とは思いつつも、意識的に少し流しながら聞いていました。

【画像】映画『ひらいて』場面カット

―― 愛を演じたことで、ご自身で役者として成長したと感じられる点は何かありますか?

今まで「自分が演じる役のことは全部わかってやらなきゃ」「役の1番の味方でいないと」と思って(お芝居を)やってきましたが、今回はそのやり方ではできなかったので本当に大変でした。

今回は首藤監督が一番愛を理解している人だったので、監督とたくさんお話しながらやらせていただきました。監督は「わからないままやって欲しい」と仰っていましたが、「わからないままでいいよ」とは一度も言われたことがなかったんです。「これはどう思う?」と何度も聞いてくださって、その度に私は悩んでしまって。ひたすら悩みながらお芝居をしていることが多かったです。

意外と今までそういうやり方はしたことがなくて、わからない中で「どこがわからないんだろう」「どこが自分と同じで、どこからが違うんだろう」という考え方でお芝居に臨んだのは新鮮でしたし、そういうやり方があると知ることができたのは学びだったなと思います。

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「現場は結構和やかでした(笑)」
美雪役の芋生悠は手紙で山田杏奈にメッセージ

―― 愛と美雪のベッドシーンがありますが、そういったシーンには抵抗はありませんでしたか?

良い作品に必要なものだったら全然(抵抗は)ありません。今回もただ「(ベッドシーンが)あるなー」というくらいでした(笑)。経験はないのでどういうものなのかなとは思っていましたが、いつもよりしっかり段取りして撮るという感じで。

ご飯を食べたりするのと一緒で“生”の一部という感じがするので、自分が観ている映画などに(ベッドシーンが)あったときも、何か特別意識するといったことはないですね。”自分もさらけ出して相手もさらけ出す”といった人と人の根本の部分、コミュニケーションを映す素敵なシーンにもなると思うので、逆に「できません」とその表現がなくなる方が寂しいなと思ったりします。

【画像】映画『ひらいて』場面カット

―― 首藤凜監督のインタビューにもあるように、監督のイチオシはまさにその“愛と美雪のベッドシーン”とのことですが、山田さんが推すシーンはどこでしょうか?

愛が教室で(たとえを)待っていて「私のものになって」みたいなことを言うシーンです。

その場の空気感やたとえのセリフに触発されて、割と“まっさらな状態”で、一番夢中でお芝居をしたシーンになっています。“自分が伝えようとしていることを突っぱねられる”だったり、“こんなにも好きなのに受け止めてもらえない”といった辛さは想像するのに難くなかったので。

【画像】映画『ひらいて』場面カット

―― 作間龍斗さん(たとえ役)と芋生悠さん(美雪役)とのエピソードや、現場の雰囲気について教えてください。

作間くんも芋生さんもみんなまったりゆったりしていて自分のペースがある人なので、現場は結構和やかでした(笑)。役として微妙な関係だから実際でも話さないということはなくて、普通に世間話をしたりとか、1人でいるときはいたりとか、すごくお芝居がしやすい関係性でした。

以前ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(2020年/MBS・TBS)で、作間くんと同じグループ(HiHi Jets/ジャニーズJr.)の井上瑞稀くんと共演していたのですが、そのドラマのダンス(荒乙ダンス)を覚えていてくれて、作間くんとはそんな話をしていました。

芋生さんとは、ご一緒するのが今回で3回目くらいでしたが、いつも穏やかで優しい方で、芋生さんの存在感のあるお芝居が本当に大好きで。エピソードといえば、私より少し早く撮影があがったときに「残り頑張ってね 美雪」と書いたメモを置いていってくれました。美雪が手紙を書くからそうしてくれたんだと思いますが、素敵ですよね。

【画像】映画『ひらいて』場面カット

「文化祭では浴衣を着た記憶…」
愛とは似ていない?山田杏奈の高校時代

―― 愛が(美雪という彼女がいる)たとえに思いを寄せているように、彼女がいる人を好きになってしまったらどうしますか?

とりあえず待ってみるかな…。気持ちを伝えたりとかは多分できないので、自分が諦められるまでは待ってみるかもしれないです。

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―― 愛は文化祭実行委員を務めていますが、学校行事などで中心になって動くタイプでしたか?

仕事をあまりしていなかった小中学生のときは、合唱コンクールの委員をやったり、あとは学級委員だったり“〇〇委員”みたいなものはやりがちでした。

高校は、気持ち的にも仕事の方がメインになってしまっていたので、部活にも入っていなかったですし、そういったことはしていませんでしたね。でも文化祭は絶対1回は参加しています。あまり覚えていませんが浴衣を着た記憶はあって、ご飯系か何かの出し物をしていたような…気がします(笑)。

【画像】映画『ひらいて』場面カット

―― 愛たちが学校に忍び込むシーンがありましたが、学生時代そういった“ちょっと悪いこと”をしたことはありましたか?

全然ないので、少し憧れます(笑)。夜のプールに侵入するとか、映画みたいなことをやってみたかったです。

―― 愛と美雪は一緒に映画を観ていましたが、休みの日は映画など観られますか?“休日に観るのにおすすめの映画”があれば教えてください。

そうですね。休みの日は、基本家から出ないインドアな人なので、コーヒーを淹れたり、料理作ったり、ドラマや映画を観たりして1日が終わっています。

『グランド・イリュージョン』(2013年/ルイ・レテリエ監督)という映画が何も考えたくないときに観るのにおすすめです。すごいマジシャンたちが、強盗だったり色んなことをする派手な映画で、とても面白いです(笑)。

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“周りの人”と“お芝居を楽しいと思う気持ち”
「どちらか1つでも欠けたら続けて来れませんでした」

―― お芝居に活かすために日頃から努力されていることはありますか?

努力というか、例えばケンカしたときや嬉しいことがあったときなど、何か印象的なことが起こるとすぐメモをするようにしています。

実際に経験することは一番と言えるくらい糧になると思っていて。仕事のためだけというわけではなく、そういったことはちゃんと記憶に残したいと思いますし、逆に少し嫌なことがあったら仕事のためと思えば割とスッキリするので「良い仕事してるな」と思いますね(笑)。

―― 役者のお仕事をされてきて、今まで挫折はありましたか?

そこまで大きい挫折はありませんでしたが、自分が出た作品の中で「100%できた」と思ったことは一度もないですね。そう思ったらこの仕事を辞めてしまうと思うので。

あまり人と比べたりするより、「自分ができることをちゃんと頑張ろう」という気持ちでお仕事をしています。

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―― 幼い頃から10年間に渡って、芸能のお仕事を続けてこられたのはなぜでしょうか?

周りの人のおかげと、お芝居を楽しいと思っているからですかね。どちらか1つでも欠けたら続けてこられなかったと思います。その2つのおかげで、何度か直面した続けるか辞めるかの分岐点も、なんだかんだ“続ける”方向に進んでこれました。

山田杏奈さんから読者の皆さんにメッセージ

今年8月21日、オーディションがきっかけの芸能界デビューから10年という節目を迎えた山田杏奈。彼女が“今までに無いような刺激的な役”に挑んだ映画『ひらいて』は10月22日(金)に公開される。愛はスクリーンの中でどう生きているのか。是非劇場で確かめてほしい。

[取材・文: 美坂 英里]
[スチール撮影: 坂本 貴光 / ムービー収録・編集: Cinema Art Online UK]
[スタイリスト: 武久 真理江 / 衣装協力: beautiful people、KAORU] 

プロフィール

山田 杏奈 (Anna Yamada)

2001年1月8日生まれ。埼玉県出身。2011年に開催された「ちゃおガール☆2011 オーディション」でグランプリを受賞しデビュー。『ミスミソウ』(2018年/内藤瑛亮監督作)で映画初主演を果たし、その後『小さな恋のうた』(2019年/橋本光二郎監督作)で、第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。その他、ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(W主演/2020年/MBS・TBS)、「書けないッ!?〜脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活〜」(2021年/EX)、映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』(W主演/2020年/瀬田なつき監督作)、『樹海村』(W主演/2021年/清水崇監督作)、『名も無き世界のエンドロール』(2021年/佐藤祐市監督作)、『哀愁しんでれら』(2021年/渡部亮平監督作)、今後の待機作に『彼女が好きなものは』(2021年公開予定/草野翔吾監督作)など多数あり、話題作へ続々と出演する今注目の若手女優。

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映画『ひらいて』予告篇🎞

映画作品情報

【画像】映画『ひらいて』ポスタービジュアル

《ストーリー》

高校3年生の愛(山田杏奈)は、成績優秀、明るくて校内では人気者。
そんな彼女は、同じクラスの“たとえ”にずっと片思いをしている。

彼はクラスでも目立たず、教室でもひっそりと過ごす地味なタイプの男子。だが寡黙さの中にある聡明さと、どことなく謎めいた影を持つたとえに、愛はずっと惹かれていた。
自分だけが彼の魅力を知っていると思っていた。

しかし、彼が学校で誰かからの手紙を大事そうに読んでいる姿を偶然見てしまった事で事態は一変する。
「たとえに、恋人がいるのではないか―」その疑惑がぬぐいきれず、愛はある夜、悪友たちと学校に忍び込み、その手紙を盗んでしまう。

手紙の差出人は、糖尿病の持病を抱える地味な少女・美雪。その時、愛は、初めてふたりが密かに付き合っていることを知るのだった。それが病気がちで目立たない美雪(芋生悠)だとわかった時、いいようのない悔しさと心が張り裂けそうな想いが彼女を動かした―。「もう、爆発しそう―」

愛は美雪に近づいていく。誰も、想像しなかったカタチで・・・。

 
出演: 山田杏奈、作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズ Jr.)、 芋生悠、山本浩司、河井青葉、木下あかり、板谷由夏、田中美佐子、萩原聖人
 
監督・脚本・編集: 首藤凜
 
原作: 綿矢りさ「ひらいて」(新潮文庫刊)
 
音楽: 岩代太郎
主題歌: 大森靖子「ひらいて」(avex trax)
 
制作プロダクション: テレビマンユニオン
製作: 「ひらいて」製作委員会
配給: ショウゲート
 
© 綿矢りさ・新潮社 / 「ひらいて」製作委員会
 
2021年10月22日(金)全国ロードショー!
 
公式Twitter: @hiraite_movie
公式Instagram: @hiraite_movie
公式ハッシュタグ: #ひらいて
 

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