映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』(Valerian and the City of a Thousand Planets) レビュー
【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』メインカット

映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

(原題/英題: Valerian and the City of a Thousand Planets)

新感覚のギャラクシー・ファンタジー・ムービーが日本上陸!
鬼才リュック・ベッソンがSF映画の新たな幕を開ける!

大宇宙を舞台にした冒険活劇・映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』の原作はフランスのコミック(バンド・デシネ)である。その連載スタートは何と1967年まで遡る。途中連載されていた雑誌は廃刊となったが、単行本はそれ以降も出版され続け、2010年についに完結…40年以上に渡って愛され続けてきた大作物語だ。リュック・ベッソンは少年時代この「ヴァレリアン」に夢中となった。彼の創作活動にも少なからず影響を与えてきたに違いない。現に『フィフス・エレメント』(1997年)を撮る際、デザインを「ヴァレリアン」の原作者であるジャン=クロード・メジエールに依頼している。この時メジエールからは「君は、どうしてこの映画を創っているのだ?ヴァレリアンの方を映画化するべきだろう!」と言われたらしいが、当時の技術では、その壮大な世界観を映像化するのは不可能であった。

【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』場面カット5

ベッソンが映画化を決心したのは、ジェームズ・キャメロン監督に招かれて『アバター』(2009年)のセットを訪問した時のこと。撮影のテクノロジーを大幅に進化させた同作をみて、リュック・ベッソン監督は「いつかヴァレリアンを撮ろう!」と決心したという。まさに長年の夢を成就させたような作品が映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』なのだ。

《ストーリー》

西暦2740年― 銀河の平和を守るため、日々任務を行っている連邦捜査官のヴァレリアン(デイン・デハーン)とローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)。ヴァレリアンはローレリーヌに事あるごとに交際を申し込むが、ローレリーヌは「あなたのような軽薄な男と付き合うなんてありえない」とつれない。

【画像】ヴァレリアン(デイン・デハーン)& ローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)

そんなある日、任務遂行のため千の惑星の都市「アルファ」へと二人は向かう。アルファは宇宙間の異星人同士の交流発展とともに常に拡張を続け、あらゆる種族が共存する宇宙の中心地であった。隆盛を極めるアルファであったが、最近その最深部に原因不明の放射線反応がみられる異常事態に見舞われていた。「10時間以内にその原因を究明せよ」という極秘ミッションを託されたヴァレリアンとローレリーヌは、調査に乗り出すが・・・

【画像】ヴァレリアン(デイン・デハーン)

《みどころ》

監督して『レオン』(1994年)や『フィフス・エレメント』(1997年)、『 LUCY/ルーシー』(2014年)など数々のヒットを飛ばし、「トランスポーター」シリーズや「TAXi」シリーズなど人気シリーズも手掛けてきた巨匠リュック・ベッソン監督。ハリウッドの枠にはまらない華麗でスタイリッシュな作風は、長きにわたって日本の映画ファンを虜にしてきた。そのベッソン監督が幼い頃から夢中になってきた原作を、自らの手で映画化する。まさに半生にわたっての憧憬を実現させたのが映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』だ。

【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』場面カット12

彼の夢にCG技術の進歩がようやく追いついて映像化された同作品。満を持して生み出されただけに、その映像美と色彩の豊かさにとにかく圧倒される。異空間に浮かぶ惑星、宇宙空間、そして数々の異星人など…これまでに経験したことのないビジュアルに息をのむばかりだ。

【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』場面カット10

そして、その超絶的な舞台の上で“ところ狭し”と言わんばかりに暴れまくるのが前述のヴァレリアンとローレリーヌの名コンビ。軽妙でスピード感あるかけ合いとアクションは、最高にクールで、ベッソン・イズムが見事に伝承されている。

【画像】ヴァレリアン(デイン・デハーン)& ローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)

特にローレリーヌ役をつとめたカーラ・デルヴィーニュ嬢は、とてもアクティブでキュート。ベッソン監督がこれまでナタリー・ポートマン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、スカーレット・ヨハンソンといった名だたる女優を「最強の女傑」として起用してきたが、そんなビッグネームと比べても遜色のない強さと魅力を兼ね備えている。元々はモデルとして活躍してきた彼女だが、女優としても今後目を離せない存在であろう。

【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』場面カット2

劇中で登場する宇宙ステーション(―と呼ぶにはあまりにも広大だが)「アルファ」は、超多民族都市で、実に多くの宇宙人が暮らしている。バラエティ豊かでカラフルに富んだ数々の異星人は、見ているだけでテンションが騰がる。だが、同時にベッソン監督は「あらゆる種族の共生」を意識し、訴求したい思いもあったそうだ。

【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』場面カット11

派手なSF映画はいわゆるポップコーン・ムービーとなりがちだが、そうした本脈に流れるテーマにも思いをはせながら観ると、より楽しめよう。これでもかとアイデアが詰め込まれた卓越したビジュアルとヴァレリアン・ローレリーヌの胸がすくような大冒険活劇。銀河中を魅了する一大スペクタクルを是非スクリーンでご覧いただきたい。

[ライター: 藤田 哲朗]

映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』ポスタービジュアル

 
原題・英題: Valerian and the City of a Thousand Planets
 
監督・脚本: リュック・ベッソン  
原作: 「ヴァレリアン」ピエール・クリスタン(作)/ジャン=クロード・メジエール(画)
 
キャスト: デイン・デハーン、カーラ・デルヴィーニュ、クライヴ・オーウェン、イーサン・ホーク、リアーナ、クリス・ウー、ジョン・グッドマン、ハービー・ハンコック、ルトガー・ハウアー
 
日本語吹替え版声優: 日野聡(ヴァレリアン)、沢城みゆき(ローレリーヌ)、大塚明夫(フィリット司令官)、関俊彦(オクト=バー将軍)、咲野俊介(客引きジョリー)、石川界人(ネザ軍曹)、富田耕生(国防長官)、楠見尚己(アイゴン・サイラス)、ゆりやんレトリィバァ(バブル)、THE ALFEE(ドーガン=ダギーズ)他
 
2017年|フランス|英語|カラー|スコープサイズ|137分|
製作: ヨーロッパコープ
配給: キノフィルムズ/木下グループ

© 2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION 

2018年3月30日(金) 全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @Valerian_jp  #ヴァレリアン
公式Facebook: @valerian.jp 

公式Instagram: @valerian_jp

この記事の著者

藤田 哲朗映画ライター・愛好家

大手出版取次会社で20代後半より一貫してDVDのバイヤー/セールスの仕事に従事する。
担当したクライアントは、各映画会社や映像メーカーの他、大手のレンタルビデオチェーン、eコマース、コンビニチェーンなど多岐にわたり、あらゆるDVDの販売チャネルにかかわって数多くの映画作品を視聴。
プライベートでも週末は必ず都内のどこかの映画館で過ごすなど、公私とも映画づけの日々を送っている。

この著者の最新の記事

関連記事

カテゴリー

アーカイブ

YouTube Channel

Twitter

【バナー画像】日本アカデミー賞
ページ上部へ戻る