リュック・ベッソン監督来日記念トークショー
リュック・ベッソン監督「僕がSFが大好きなのは、想像力を極限まで鍛え上げることのできる子供時代を送ったからなんだ」
『レオン』(1994年)、『フィフス・エレメント』(1997年)など、数々の名作を世に送り出してきた世界的巨匠リュック・ベッソン監督の17作目となる最新作『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』が3月30日(金)に公開となる。
少年の頃、原作コミック「ヴァレリアン」シリーズと出逢い、その世界と主人公たちに夢中になったというリュック・ベッソン監督が、ついに自らの手によって映画化するという長年の夢を叶えたと言える本作は、銀河をパトロールするエージェント、ヴァレリアンとローレリーヌの美男美女コンビが全宇宙の存亡を揺るがす陰謀に立ち向かう。いまだかつて見たことがない奇想天外な惑星や宇宙生物たち、これでもかとアイデアが詰め込まれた巨大宇宙ステーション“アルファ”の超絶ビジュアル、ヴァレリアンとローレリーヌの胸がすくような大冒険。最強にギャラクシーで、最高なアドベンチャー!銀河中を魅了する一大スペクタクルが誕生した!
日本公開に先駆けて開催されたジャパンプレミアの翌日、3月14日(水)に東京・六本木(TSUTAYA TOKYO ROPPONGI 2階スペース)にて、6年ぶりの来日したリュック・ベッソン監督の来日記念トークショーイベントが開催された。
《イベントレポート》
―― 原作ファンからしても、本作『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』は素晴らしい映像の連続で、もちろん原作を知らない方でも楽しめる映画だなと思いました。多くの惑星、多くの宇宙人が出てくるわけですが、これまでの作品で出てきた宇宙人のプロトタイプのような宇宙人も数多く出ているように思いました。『フィフスエレメント』と『ヴァレリアン』の宇宙はもしかして繋がっているんですか?
ベッソン監督: それは監督が一緒の作品だからじゃないかな?(笑) 僕はその二つの物語が繋がっているとは思っていないんだ。何故なら時代的にギャップがあるからね。『フィフスエレメント』の時代よりも300年ほど後の世界が『ヴァレリアン』の世界なんだ。
―― 監督は『ヴァレリアン』の他にも非常に漫画へのリテラシーが高い方だとお見受けしていますが、今後映画化したい漫画は何かありますか?
ベッソン監督: 実は僕は地方に住んでいて、家にはテレビが無かったんだ。周りは牛しかいないという、非常に退屈な子供時代を過ごしていた。
当時読んでいた漫画がテレビの代わりだった。漫画がテレビより良いのは、時空を超えることが出来るということなんだ。映画を作り始めてからは、以前よりは読む頻度は減ったけどね。
当時「ヴァレリアン」が連載されていたのは「ピロット」という雑誌で、なんと毎月わずか2ページしかなかったんだ。だから、想像力を駆使してその次の話がどんなだったかを想い描いて過ごしたんだ。
僕は10歳の頃に映画監督になることを決めていた。わずか毎月2ページしか連載していなかった作品だったから、その先の物語をとにかく自分の中で膨らませる癖がついたんだ。色彩に至るまで何もかも想像し、膨らませた。脳のトレーニングをすることが、想像力を鍛えることにつながったんだと思うよ。
今、残念なのは今の子供達はワンクリックで何百万もの情報に瞬時にアクセス出来るよね。でも、そんな膨大な情報にアクセスできるにも関わらず、アクセスする先は単なるスケボーの動画だったりする。好奇心というものが育っていないのかなと時々心配になるんだよ。
―― 原作にも登場するヒロイン・ローレリーヌはとても美しい女性キャラクターですね。当初の予定としてはローレリーヌ役をジュリア・ロバーツで撮ろうと考えられていたというジャンポール・ゴルチエとのインタビューを目にしたことがあるのですが、本当ですか?
ベッソン監督: だから僕はネットが嫌いなんだよ。そうやって噂が広がっちゃうからね。ローマ法王と僕が兄弟という噂だったり、僕の足指が6本あるって噂もあるよね(笑)。
劇中歌「A Million on My Soul」を歌うアレクシアン・シラが登場!
トークショーが盛り上がってる中、もう一人のスペシャルゲストとして、本作の劇中歌(エンディング曲)「A Million on My Soul」を手がけた若手女性シンガーで、ベッソン監督の姪でもあるアレクシアン・シラが登場し、本作に彼女の楽曲が提供された経緯が監督の口より明らかになった。
ベッソン監督: 彼女はまだ13歳の時に楽曲を提供したいという申し出を受けたことがあって、、彼女のクリエイティヴィティを応援したいということもあって、子供向けのアニメ映画への楽曲提供を依頼した。でも子供向けのアニメ作品にも関わらず、その時の彼女の楽曲はとってもダークな雰囲気だったんだ(笑)。だからその時は採用を見送ったんだけど、今回の『ヴァレリアン』の為に作ってくれた楽曲はすばらしくて、僕もプロデューサーでもある僕の妻(ヴィルジニー・シラ)も気に入っていて、採用を決めたんだよ。
アレクシアン・シラ、劇中歌「A Million on My Soul」を熱唱!
その後、ベッソン監督とヴィルジニー・シラ、観客が見守る中、『ヴァレリアン』の劇中歌「A Million on My Soul」のライブパフォーマンスを日本で初披露した。
―― デビット・ボウイの楽曲が劇中で使用されていることに関して、理由をお聞かせください。
脚本を執筆中に、たまたまドライブ中にデビットの楽曲がかかった。今回の映画のオープニングシーンにぴったりだなと、イメージがハマったんだ。彼とは付き合いも長くて、ずいぶん前に出会ってる。けれど作品の完成を待たずして彼は逝ってしまったのがとても残念だよ。でもね、天国には3D上映の映画館があるって話だから、観てもらいたいなと思っているよ。
―― アレクシアンさんはベッソン監督とは普段どんなお話をしていますか?
ベッソン監督: その話をするなら僕はもう退出しようかな?(笑)
アレクシアン: (笑)。映画の話や音楽の話をいつもたくさんしています。『ヴァレリアン』の北京でのイベントの時は彼が大好きなフィオナ・アップルの話などもしていました。普段のリュックはとても忠誠心があって、一緒に仕事をする人と、本当に責任を持ってきっちりする人なんです。
ベッソン監督: それについて言えば、一緒に仕事をしている優れたプロデューサー無くては本作のような大作を作ることは出来なかったよ。製作している4年間、プロデューサーでもあり僕の妻でもある彼女はずっと僕のそばにいてくれたんだ。心から感謝しています。ありがとう。
リュック・ベッソン監督によるティーチインも開催!
その後、イベント一般参加者からのQ&Aの時間が設けられ、「続編はあるのか?」「次回作はどんな作品を撮る予定ですか?」など、約30年前に初来日を果たした際の監督作品『グラン・ブルー~グレート・ブルー完全版』(1988年)のLDを持参した熱狂的な監督作品ファンをはじめとする多くの熱狂的な監督のファンとの交流を楽しみつつ、今回のイベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
イベント情報
映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』
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3分で分かる映画『ヴァレリアン』
映画作品情報
《ストーリー》一つの恋よ、叶え。一つの銀河を、救え。 西暦2740年。宇宙を守る任務を帯びたエージェントのヴァレリアン(デイン・デハーン)とローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)は、星から星へと飛び回り、あらゆる種族が共存する“千の惑星都市・アルファ”へ派遣される。 しかし、その深部には謎の放射線反応が見られ、“アルファ”は滅亡の危機にあった。 「10時間以内にその原因を究明せよ」という極秘ミッションを託された2人の前に突如現れたのは、30年前に消えたはずの惑星の住人たち。彼らの思惑とは一体…? |