映画『ちはやふる -下の句- 』レビュー

【画像】映画『ちはやふる -下の句- 』メインカット
 

映画 ちはやふる 上の句

映画『ちはやふる -下の句- 』

瑞沢高校・競技かるた部の熱い夏が今終わる…青春二部作ここに完結!

ストーリー

全国大会の常連・北央高校を何とか退け、都大会優勝を勝ちとった千早(広瀬すず)たち瑞沢高校競技かるた部は、いよいよかるたの聖地・近江神宮で行われる夢の全国大会に挑むこととなる。しかし、幼なじみの新(真剣佑)から「もうかるたはやらない」と衝撃の告白を受けた千早は、なかなか動揺がおさまらなかった。新の真意を聞き出し、何とか思いとどまらせようと、同じ幼なじみの太一(野村周平)と一緒に、はるばると新のいる福井まで駆けつけるが―

【画像】映画『ちはやふる -下の句- 』場面カット

仲間の想いを一心に集めて、決戦という名の結びの一首へ

競技かるたは、剣道や柔道と同じように団体戦があるものの、基本的には1対1で対戦する個人の戦いだ。劇中最強のライバルとして登場するクイーン(女性の競技かるた日本一の称号)の若宮詩暢(松岡茉優)はそう信じて闘ってきたし、千早も新をかるたの道へ戻したいという自身の思いを叶えるために闘う決意をする。しかし、この映画はそうした「個」をとろうとする二人の姿勢を拒み、団体競技としての魅力、個々の絆の大切さを物語ろうとしている。これが映画全編にわたって不変のテーマとして流れつづけ、だからこそブレがない。1対1の戦いをモチーフにしているのに、仲間同士の信頼、互いの思いやりなど「団体」の大切さを常に説き続けている―この相反するコントラストこそ、映画『ちはやふる』の一番の魅力ではないだろうか。

【画像】映画『ちはやふる -下の句- 』場面カット

部長である太一の時に苛烈なキビしさ。机くんの自己犠牲的な申し入れ。何度も挫折を味わい苦しみながらも、仲間から多くの支えを受け、やがて千早は自分が何のために競技かるたをやってきたのか、その原点を思い出す。部員一丸となった想いをのせて、全国大会の大舞台で最強クイーンへの挑戦が今始まろうとしていた。

【画像】映画『ちはやふる -下の句- 』場面カット

みどころ

ティーンズの青春物語の定番・野球やサッカーでなく、競技かるたを題材としたところが、この映画のチャームポイントであるわけだが…文科系部活動の宿命で、派手な対決シーンや練習の苦しさを表現するのは、なかなか容易ではない。にもかかわらず『ちはやふる』を観ていると、時間を追うごとに段々と心が高揚していき、最後の決戦の時には最高のボルテージまで上がってしまう。原作者・末次由紀さんの作家力の高さは言うまでもないが、名作「タイヨウのうた」などで、常に若い人の心を捉えてきた小泉徳宏監督の手腕が、ここでも光っていると言っていいだろう。競技場の空気間や、競技中の所作なども細かく忠実に描写されており、百人一首に縁の遠い人でも、古(いにしえ)の雅さをついつい感じてしまう心地よさがある。

【画像】映画『ちはやふる -下の句- 』場面カット

また、広瀬すずや野村周平など若さあふれるフレッシュな演じ手が、スクリーン狭しと駆け回る中で、かるたの指南役として登場するベテラン國村隼さんの存在が、実に絶妙なアクセントとなっている。行き詰まった若者それぞれに、救いの手を差し伸べるような落ち着いた語り口。長い間、古典文芸に触れながら生きてきた人ならではの温かみある言葉は、一つ一つが優しさと真理に満ちており、観ている私たちも思わず聞き入ってしまう。まさに静と動が兼ね備えられた良作だ。

 

つい先日、公開初日の舞台挨拶の場でさらなる続編の製作が発表され、キャスト一同が泣き崩れ、そして喜びに溢れかえっていたのは記憶に新しい。『ちはやふる』というさわがしくも清爽な熱風は、当分の間止みそうにない。

[ライター: 藤田 哲朗]

映画『ちはやふる -下の句- 』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『ちはやふる -下の句- 』ポスタービジュアル

邦題: ちはやふる -下の句- 
原作: 末次由紀 「ちはやふる」(講談社「BE・LOVE」連載)監督/脚本: 小泉徳宏
 
音楽: 横山 克
主題歌:「FLASH」Perfume(UNIVERSAL MUSIC)
 
出演: 広瀬すず、野村周平、真剣佑、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、清水尋也、松岡茉優、松田美由紀、國村隼
 
2016年 / 日本 / 日本語 / カラー / 103分 / 映倫区分: G
配給: 東宝株式会社

© 2016 映画 「ちはやふる」 製作委員会  © 末次由紀/講談社

2016年4月29日(金・祝)より、全国東宝系にてロードショー!
 

映画公式サイト

この記事の著者

藤田 哲朗

藤田 哲朗映画ライター・愛好家

大手出版取次会社で20代後半より一貫してDVDのバイヤー/セールスの仕事に従事する。
担当したクライアントは、各映画会社や映像メーカーの他、大手のレンタルビデオチェーン、eコマース、コンビニチェーンなど多岐にわたり、あらゆるDVDの販売チャネルにかかわって数多くの映画作品を視聴。
プライベートでも週末は必ず都内のどこかの映画館で過ごすなど、公私とも映画づけの日々を送っている。

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