- 2017-6-11
- イベントレポート, ショートショートフィルムフェスティバル&アジア, セレモニー, レッドカーペット
レッドカーペット&アワードセレモニー開催!
“アカデミー賞® 短編部門ノミネート選考へ”グランプリ作品発表!
6月11日(日)、米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 2017(略称:SSFF & ASIA 2017)のアワードセレモニーが東京・明治神宮会館にて開催された。
セレモニーでは、大林宣彦監督、小倉智昭、ベン・トンプソン、マリエ、三上博史らオフィシャルコンペティションの審査員や小池百合子東京都知事らが登壇し、各部門の受賞作品の発表・授与が盛大に行われたが、やはり注目は、オフィシャルコンペティションのグランプリ作品だ。
オフィシャルコンペティションは、次年度(2018年2月に開催される)第90回米国アカデミー賞短編部門ノミネート選考対象作品となることから全世界から注目が集まっている。
今年は、アジア インターナショナル部門から、ミャンマーのミミルイン監督作品『シュガー&スパイス』がグランプリに輝いた。ミャンマーの民主化と庶民の姿を記録したドキュメンタリー作品だ。
ミミルイン監督は「この映画は自分の親の毎日の生活の様子がテーマですが、ミャンマーのまだ知られていないことを、世界の方にもっと知ってもらいたいという思いで映画を撮りました」と笑顔で語った。
映画祭では、6月21日(水)15:40~17:30に横浜・みなとみらいにあるブリリアショートショートシアターでの上映を残すのみとなっている。
今年の新設部門であるCinematic Tokyo部門優秀賞の発表・授与では、小池百合子都知事が登壇し「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ショートフィルムを通して、東京のおもしろみ、歴史、新しさを紹介していただきたいと思います」と挨拶をした。
優秀賞は、番場秀一監督作品『東京音℃』(TOKYO ONDO-BEATS AND TEMPERATURES- )が受賞し、「変わっていく東京の今を切り取れたと思います」と語った。
オフィシャルコンペティション優秀賞はインターナショナル部門からゾーイ・マッキントッシュ監督作品『窓から見える世界』、アジアインターナショナル部門からミミルイン監督作品『シュガー&スパイス』、ジャパン部門からゴリ監督作品『born,bone,墓音。』がそれぞれ受賞した。
『窓から見える世界』登壇者はキャスティングディレクター ホリ・アヒピーン。「このショートフィルムを通して、小さな出来事が世界に広がっていくことが嬉しいです」とコメントした。
『シュガー&スパイス』のミミルイン監督からは「自分の親のことを撮った作品です。本当にありがとうございます」と笑顔で語った。
『born,bone,墓音。』のゴリ監督からは受賞コメント映像が上映され「今年3回目の挑戦で、賞をいただけて皆様に認めてもらえたと目に見えて実感でき、とても嬉しいです」と喜びを会場に届けた。
公式審査員5名からそれぞれコメントをもらった。
小倉智昭「それぞれの映画の中に監督のメッセージが込められていて改めて映画の力を感じた」
ベン・トンプソン「世界中から集まった映画で人と人とをつなぐことができると実感できました」
マリエ「洋服のデザインという観点から審査させていただきました。短い時間の中で、洋服やデザインがどれだけ重要に関わってくるか再確認できました」
三上博史「見えないもの、例えば心などが、いかに映像からたちのぼってくるかとう観点から1つ1つ丁寧に観させていただきました」
大林宣彦監督は黒澤明監督から受け取ったという遺言を世界に発信した。「私は、戦争を知る最後の世代。70年前まで本当にここにあった理不尽な戦争の記憶の断絶が一番怖い。黒澤監督は、人の心の誠を描くのが映画だと言っていた。映画は嘘の世界だけれど、描かれていることは真実。俺(黒澤監督)が後400年も生きたら俺の映画で世界を平和にできるけれど、それは大林くんが引き継いでくれと黒澤監督に託された。映画は記録装置ではなく、記憶装置。人と人とをつなぐもの。今年は、人と人はどうつながれるのか、あるいはつながれないのかを描いた作品が多かった。全てのニュースが人事になってしまうこの時代の若者たちへ、黒澤監督が私に託したように、俺の続きをやってよね」と映画を通して世界を平和にできるという、心からのメッセージを伝えた。
第2回ひかりTVアワード受賞は松居大悟監督作品『ゆーことぴあ』。ジャパン部門ノミネート監督の中で最も4Kの魅力を伝える事ができる監督へ贈られる賞。
「4Kだからこそ伝えたい微妙な感情がより伝わりやすいのではないか」とスペシャルプレゼンターのマギー。
CGアニメーション部門受賞はアロイス・ディ・レオ監督作品『巨人のならわし』。監督は「この作品を作るのに2年かかったので、受賞することができてとても嬉しいです」とコメントした。
審査員の松下由樹は「『巨人のならわし』もそうですが、ストーリー性、表現に体温が感じられる作品が賞を受賞していると思います」と語った。
審査員のデジタルハリウッド大学学長杉山知之は「以前は技術の素晴らしさが評価基準でしたが、今はどれだけ豊かに表現されているかが評価基準に変わってきました。2年という時間をかけたからこそ凝縮した内容の作品が作れたのだと思います」とコメントした。
それぞれの思いを抱えて、ショートショートフィルムフェスティバルに臨んだ監督、製作に携わった方たちの中から頂点に立った作品は、共通して「作り手の思い、伝えたいメッセージ性が立ち上ってくるか」という観点から選ばれていたようだ。
映画祭後半戦はアワード受賞作品も注目され、さらに盛り上がりをみせ6月25日(日)まで開催中!!短時間で、たくさんの新しい視点がもらえる。スキマ時間でステキな時間が過ごせる。今後ますますショートフィルムへの期待が高まりそうだ。
[撮影・編集: Cinema Art Online UK / 記者: 大石 百合奈]
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2017 概要■開催期間: 2017年6月1日(木)~ 6月25日(日) |