特別試写会トークイベント開催!
ふくだももこ監督が描くユートピア。
自分を大切にし、人に優しくなれる世界。
第40回すばる文学賞を25歳の時に受賞、映像産業振興機構(VIPO)による若手映画作家育成プロジェクト(ndjc)2015に選出され、文学・映像両方の才能を発揮する新鋭作家ふくだももこ監督の長編初監督作品『おいしい家族』の公開が決定した。
仕事や結婚生活など、都会での生活に疲れた主人公・橙花を演じるのは、『恋は雨上がりのように』(2018年)、『君は月夜に光り輝く』(2019年)出演の大注目若手女優・松本穂香。本作が長編映画初主演となった。また、亡き妻の服を着て暮らす父・青治には、多方面で活躍する板尾創路。青治のパートナーであり、お調子者の居候・和生には、浜野謙太が好演した。人も気候も穏やかな島を舞台に、新たな家族像がスクリーンに映し出される。
9月20日(金)の公開に先立ち、女性限定の特別試写会が7月31日(水)、東京・月島 ブロードメディア・スタジオ試写室にて開催され、上映前のトークイベントに主演の松本穂香とふくだももこ監督が登壇。他では聞けないエピソードや本作に込めた想いを存分に語った。
《イベントレポート》
女性限定イベントということで、たくさんの女性の拍手に迎えられ、主演の松本穂香とふくだももこ監督が登壇した。
映画『おいしい家族』は、2015年に公開されたふくだ監督の短編映画『父の結婚』が元になった作品だ。ふくだ監督は本作について「『父の結婚』で伝えきれなった想いを全て詰め込むことができた」と語った。
本作では、家族の話だけではなく登場人物が暮らす町や島の話にもフォーカスし、より広い価値観を描いているという。
家族にも似た、いとこ同士のような関係の松本穂香とふくだももこ監督。
ふくだ監督は、NHKで放送された朝の連続テレビ小説「ひよっこ」(2017年)で松本を知り、今の若い女優さんにはいないタイプだという印象を受け、興味を持ったそう。
「穂香ちゃんだったら、きっと私の想像を超えた橙花を演じてくれるだろうと確信しました。実際、とても肝が据わっていたので、穂香ちゃんが現場にいると何の不安もなく、すごく安心できました」と松本へ特別の信頼を寄せるふくだ監督。それを聞いた松本は、照れながらも嬉しそうな笑顔になり、反対にふくだ監督の印象を語った。
「最初は、強そうだなという印象が強かったです。でも、『おいしい家族』の小説を読んで、とても才能溢れる方だと思いました。取材を受ける時も、すぐ相手の懐に入っていって虜にしてしまう。良い意味で恐ろしい方だと思っています」と、ふくだ監督の映像と文章、両方の才能を褒めた。
ふくだ監督は「すみません。褒め合っちゃって」と会場を笑わせていたが、満面の笑みを浮かべ嬉しそうな表情を見せた。
映画撮影時の松本は役作りのため、敢えてふくだ監督や共演者の輪に加わらないこともあったが、今では何でも話す間柄だという2人。様々な映画祭を一緒に回る際、松本が出演している他作品の監督がいても話しかける隙がないほどおしゃべりに熱中していたため、その監督がすねてしまったなんてこともあったそうだ。
浜野謙太の差し入れを拒否!?洋菓子NGの訳とは?
本作は、伊豆諸島を構成する島の1つ、新島で撮影された。合宿のようで楽しい撮影だったが、松本は次の作品の役作りのために心に決めていたことがあったという。
「浜野謙太さんがアイスの差し入れをして下さったのですが、断りました。次の作品は戦時中に生きた人の役なので、洋菓子は食べないと決めていたからです。せっかくの先輩からの差し入れをお断りするのは心苦しかったのですが……」。
役と真摯に向き合う姿を間近で見て、ふくだ監督は松本への信頼をさらに深めていったに違いない。
主人公・橙花を演じる上で何を意識して演じたのか?というMCからの質問に対して松本は、「燈花は、家族には見せないけれど子どもみたいにはしゃぐ一面もあって、純粋で可愛らしい子です。家族のことが大好きだという気持ちを忘れずに演じることを意識しました」と橙花というキャラクターの魅力を語った。
もし父親が女装をしていたらどう思う?観客へアンケート!
父親が亡き母親の服を着ているところからスタートする本作。〈もし自分の父親が母親の服を着て生活していたら受け入れられるか?〉というアンケートを事前に観客へ取ったところ、90%以上の方が「受け入れられない」と答えたそう。その結果を聞いた松本にアンケートと同じ質問をすると「最初は家族だからこそ受け入れられないが、家族だからこそ受け入れられるようになります。そして、理由を知るとそうせざるを得なくなります」と語り、ふくだ監督は「父親が母親を愛しているが故の行動なので、受け入れられるようになるし、父親がそうしたいならそうするしかないという気持ちになります」と本作の本質とも言える一言を伝えた。
トークイベントの最後は、これから試写を鑑賞する観客へ向けて2人からメッセージが送られた。
松本: 今、迷っていることがある方やもやもやした感情をお持ちの方など、考えることがたくさんあったとしても、この映画は何も考えずにとにかく楽しんで観て下さい。
登場人物のこの言葉が心に刺さったなとか、このシーンが良かったなとか、楽しんで観ていただけることが1番嬉しいです。
本日はたくさんの方にお越しいただき、本当にありがとうございました。
ふくだ監督: この映画は、私が思い描くユートピアを描いています。私が思い描くユートピアとは、自分のことを大切にすることです。そうすれば、人にも優しく出来ると私は信じています。
でも、自分のことを大切にすることは1番難しい。だから、大変な事件が起こり、人が傷つけ合ってしまう。
今、隣にいる人や帰りの電車で隣になった人が、知っている人だろうが知らない人だろうが、心に少しでも余裕があれば優しくできます。そして、その優しさがいろいろな人に伝わっていくのだということだけを信じて、私は映画を撮っています。
私がたくさんの人に優しくしてもらってきたからこそ、少しでもこの映画で“自分を好きになること”を感じてもらえたら嬉しいです。
映画をご覧になって、少しでも良いなと思って下さったらぜひ応援して下さい。よろしくお願いします。
トークイベントの後に試写を観る観客たちは、映画への期待を伝えるかのように大きな拍手をして2人を見送り、トークイベントは終了となった。
“自分を好きになる”ことで、周りの人にも優しくなれる。
その素敵な連鎖が生まれる9月20日(金)の公開が待ち遠しい。
[スチール撮影:Cinema Art Online UK / 記者:大石百合奈 ]
イベント情報
映画『おいしい家族』特別試写会トークイベント■開催日: 2019年7月31日(水) |
映画『おいしい家族』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》銀座で働く橙花(松本穂香)は、夫と別居中。仕事もうまくいかず都会での生活に疲れ気味。 ちょうど母の三回忌を迎え、船にゆられて故郷の離島へ帰ってきた。 すると、実家では父(板尾創路)が、亡き妻の服を着て おいしいごはんを作ってまっていた! 唖然とする橙花に追い打ちをかけるように、見知らぬ居候が登場。 それはお調子者の中年男・和生(浜野謙太)と生意気な女子高生・ダリア(モトーラ世理奈)。 「父さん、みんなで家族になろうと思う」 突然の父の報告に動揺する橙花とは裏腹に、 一切気にも留めない様子の弟・翠(笠松将)が加わり、みんなで食卓を囲む羽目に…。 みんなちがってそれでいい。 のびのびと過ごす島の人々と、橙花の暮らしがはじまった。 |
製作: 新井重人、松井智
エグゼクティブプロデューサー: 福家康孝、金井隆治
プロデューサー: 谷戸豊、清家優輝
アソシエイトプロデューサー: 山野邊雅祥
撮影: 高橋草太
照明: 山本浩資
録音: 原川慎平
美術: 大原清孝
編集: 宮島竜治
製作: 日活/ハピネット
制作プロダクション: ファインエンターテイメント
企画・配給: 日活
ヒューマントラストシネマ渋谷他全国ロードショー!
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