「アカデミー賞ショートフィルムプログラム2017」全3作品レビュー
ブリリア ショートショート シアター Brillia SHORT SHORTS THEATER

全てがアカデミー賞受賞作品。
美しいショートフィルムの世界へといざなう3作品。

何かと慌ただしいこの季節は、ショートフィルムでショートトリップしてみませんか?!

今年も2017年2月26日に第89回アカデミー賞受賞作品が発表されました。
横浜・みなとみらいのブリリアショートショートシアターでは、3月1日(水)~3月31日(金)まで『アカデミー賞ショートフィルムプログラム2017』を上映中です。
本年度の第89回米国アカデミー賞短編実写部門を受賞した『合唱(Sing)』を含む、上映3作品をまとめてご紹介します。

ベア・ストーリー

主人公は、一人息子をもつパパ。ゼンマイ式の人形劇を子供達に観せて楽しませている。このパパ、実はクマなのだ。彼の毛の1本1本や、光に浮かび上がるホコリまでリアルな、美しい世界観が余韻に残り、人形劇のゼンマイを巻く機械音と、映画を包むオルゴールのような少し切ないメロディだけが耳に心地よく響く。この映画は全編無声のアニメーション作品だから。言葉で伝えなくても、クマの世界も人間と同じように愛情も痛みもあるのだと、教えてくれているようだ。

第88回 米国アカデミー賞 2016 短編アニメーション部門受賞

原題:Bear Story / 2015年 / チリ / 10:22 / アニメーション

監督:Gabriel Osorio
チリ大学で美術を専攻し、3Dアニメーション制作を始める。コマーシャルや映画、テレビシリーズ等を手掛けた後、自身の制作会社Punkrobotを設立。子供向けテレビ番組やコマーシャル等を監督しながら、3Dの技術者としても作品製作に携わっている。”Bear Story(2015)”はショートフィルム初監督作品である。

僕はうまく話せない

フォントデザイナーの彼は、頭の中ではスムーズに言葉が出てくるのに、口からは思うように出てきてくれない。他人との会話で傷つきたくないから独学で手話を身につけて、耳が聞こえないふりをして生活している。そんな孤独な彼も、ネット恋愛なら直接会話をしなくても済むと、半年やりとりを続けている彼女がいるが、ついに直接会おうと言われてしまう。自分のことを「幼児並みの対人スキル」と分析している彼は、本当の自分をさらけ出だす怖さと向き合うことになる。

映画 「僕はうまく話せない」(Stutterer)

第88回 米国アカデミー賞 短編実写部門受賞

原題:Stutterer / 2015年 / イギリス / 13:06 / ロマンス

監督: Benjamin Cleary 
アイルランドの映画監督。ロンドン映画学校で脚本の修士を取得。ロサンゼルスのBlueCat短編脚本コンペティションで受賞。二つの脚本はRTE/Filmbase助成金を得た。本作品は監督デビュー作。

合唱

10歳のジョフィーは転校生で、周りの雰囲気に馴染めないでいた。でも、綺麗な歌声に惹かれて入った合唱団で、人気者のクラスメイト、リザと友達になる。コンクールに入団するほど実力のある合唱団では、美人のエリカ先生が指揮をとっていて、みんなを褒めてくれる優しい先生だと有名だ。ある日、元気がないジョフィーの秘密を聞いたリザは、原因であるエリカ先生に反発するが、いいように諭されてしまう。大人ってなんて汚いの!どうしても彼女が間違っていると伝えたい。子供だからこそ感じる理不尽さへの2人の戦いが始まる。

映画 「合唱」(Sing)

第89回 米国アカデミー賞 短編実写部門受賞

原題:Sing / 2015年 / ハンガリー / 25:00 / ドラマ

監督:Kristof Deak 
編集者として働いた後で、ウェストミンスター・フィルム・スクールで映画監督を学ぶ。ロンドンとブタペストを拠点に短編映画やテレビ番組を監督し、現在自身初となる長編作品の企画が進行中。

おわりに

アカデミー賞®というと、誰もが一度は耳にしたことがあるかもしれません。特に観る映画が決まっていないけど「何か観たい!」と思った時に、賞を取った作品が上映されていると、まずは観てみようかなという気持ちになりませんか?「賞」の冠は作品の価値を高めてくれます。

しかし、「短編部門受賞作品」を観る機会は少ないのではないでしょうか。今回ご紹介した「アカデミー賞ショートフィルムプログラム2017」は、アカデミー賞を受賞したショートフィルムを一気に3作品も観ることができます。60分のショートフィルムで日常からのショートトリップをぜひ、劇場で体感してみてください。

また、4月からは動物にまつわるユニークなショートフィルム「アニマルショートフィルムプログラム 2017」(全5作品)4月1日(土)~4月30日(日)と、今まで気付かなかった自分との出会いに心が動く「新しい私ショートフィルムプログラム」(全4作品)4月16日(日)~5月15日(月)が上映されます。今後も気になる作品が続きますので、ぜひ劇場へ足をお運びください。

ブリリア ショートショート シアター「アカデミー賞ショートフィルムプログラム2017」
上映期間: 2017年3月1日(水)~ 3月31日(金)

シアター情報

ブリリア ショートショート シアター Brillia SHORT SHORTS THEATER

館名: ブリリア ショートショート シアター
電話番号: 045-633-2151
住所: 〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい5-3-1 フィルミー2F
Webサイト: http://www.brillia-sst.jp/
アクセス: みなとみらい線「新高島駅」4番出口「みなとみらい駅」2番出口より徒歩5分
営業時間: 10:00~22:00
定休日: 火曜日
 

ブリリア ショートショート シアターとは

米国アカデミー賞公認の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」と連動した日本初のショートフィルム専門の映画館として、2008年、横浜・みなとみらいに誕生。世界中から集まった選りすぐりの作品を1プログラムは60分の中で4~6本上映。館内はレッドカーペットをモチーフに赤を基調とした内観で、カフェではドリンクやフードも充実し、オペラ座でも使われているフランスキネット社の椅子が、ゆったりと心地よいショートフィルムの世界へと誘う。国際映像文化事業としても注目を集めるショートフィルムの活性化、また、将来の映画界を担う若手クリエイターへの才能発掘という想いのもと、横浜・みなとみらいからショートフィルムの魅力を発信しています。

この記事の著者

大石 百合奈ライター

幼い頃、本気で映画 『ジュラシックパーク』 の世界に行ってみたい!と思っていた。社会人になって、ハワイのオアフ島にあるロケ地を訪れた時は感動!“ロケ地を巡る”、“おしゃれの参考にする”など、“映画を観る”ことから広がる世界は無限だ。

★好きな映画
『スイートリトルライズ』 [監督: 矢崎仁司 製作: 2010年/日本]
『はじまりのうた』 (Begin Again) [監督: John Carney 製作: 2013年/米]
『ザ・ビーチ』 (The Beach) [監督: Danny Boyle 製作: 2000年/米・英]

この著者の最新の記事

関連記事

カテゴリー

アーカイブ

YouTube Channel

Twitter

【バナー画像】日本アカデミー賞
ページ上部へ戻る