映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』レビュー
【画像】映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』メインビジュアル

映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』

アクション、人間ドラマ、すべてが進化した待望のシリーズ第2弾!!
そして、さらなる続編にも期待が膨らむ!

累計900万部を誇る南勝久原作の人気コミックスを実写映画化した『ザ・ファブル』(2019年)。そのシリーズ2作目となる『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』が6月18日(金)に全国公開され、初週から2週連続で観客動員数は週末および週間ともに第1位を記録(興行通信社調べ)。公開から4週目となった現在もSNSでは絶賛の声が続々と上がっており、公式Twitterアカウントの「何ファブ目?」という問いかけには、なんと5回以上観たというリピーターの反応も!本作をすでに観た方もそうでない方も、知ればより楽しめる見どころを紹介する。

超難関ミッション!伝説の殺し屋は誰も殺さず少女を救えるか!?

田准一が演じる通称ファブルは、裏社会では誰もが恐れる伝説の殺し屋。ところが、育ての親でもあるボスから1年間は殺し屋稼業を休業し、普通に生きることを学ぶよう命じられた。ファブルは「佐藤アキラ」という偽名のもと、プロとして普通の生活を送ることを志すことになる。

しかし、伝説の殺し屋にとって、一般人と同じ暮らしを送ることはそう簡単ではない。裏社会で多くの命を奪ってきたファブルを敵視する者は多く、彼の身の回りには常にトラブルが付きまとうのだ。本作では、ファブルがかつて救うことができなかった少女と、唯一殺すことができなかった男と再会し、「誰も殺さずに少女を救う」ための戦いに身を投じることになる。

前作に続いて、表向きはアキラの妹だが相棒としてファブルを支えるヨウコを木村文乃が演じる他、アキラのアルバイト先「オクトパス」の社員ミサキ役の山本美月、社長役の佐藤が続投。さらに、新たなキャストとして堤真一平手友梨奈安藤政信らが起用されている。

【画像】映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』場面カット (宇津帆、鈴木、井崎、ヒナコ)

邦画の域を超えた大迫力のアクション

俳優として活躍する一方で、数々の武術や格闘技に精通している岡田准一。前作は岡田の華麗なアクションが話題を呼んだが、今回はさらにアクションが進化していた。

冒頭、暴走する車に生身の人間が飛び乗ってしがみつくカーアクションがあり、邦画の域を超えた迫力とスリルに驚愕。しかし、それ以上に驚きなのは、スタントではなく岡田が命綱一本で挑んでいるということ。カーアクションに限らず、ほぼすべてのアクションで岡田本人が挑み、驚異的な身体能力の高さを披露しているのだ。大きな急ブレーキ音を響かせながら、ものすごい速さで走る車に「こえ~!」と心の声を漏らすスタッフが続出する中、岡田は余裕の表情で地面スレスレのアクションまで見せたという。岡田は目出し帽で顔を隠しているにも関わらず、一切妥協しない彼の熱意が大迫力のアクションを生み出していると感じた。

「団地パニック」アクションでは団地を丸ごと1棟貸し切り、巨大な足場を作るという大掛かりな撮影が行われている。崩壊する足場を岡田が駆け抜けるシーンはさながらハリウッド映画のよう。また、壁と壁の狭い隙間を急降下しながら戦闘する危険と隣合わせのシーンでは、撮影カメラマンもハーネスで吊るされながら撮影。前作以上に手に汗握るアクションの連続に興奮を隠しきれない。

ちなみに、団地パニックでは岡田の柔術の師匠でもあるブラジリアン柔術の橋本知之選手がファブルを追い詰める強敵として現れる。メイキング映像の中で崩れた足場の上で岡田にぶら下がっている白い服の人物だ。キレキレのアクションで繰り広げられる師弟対決にも注目して欲しい。

濃密に絡み合う人間ドラマ

原作ファンの間では「一番泣けるエピソード」と定評のある「宇津帆編」をベースとして、前作以上に濃密な人間ドラマが展開される。

物語の中心にいるのは佐羽ヒナコという少女。とある事件に巻き込まれて車椅子生活を余儀なくされ、何者かに両親を殺害されるという壮絶な過去を持つ。この難しい役柄を平手友梨奈が熱演。希望を失い、心を閉ざしてしまったヒナコの姿に胸がぎゅっと締めつけられる。

また、ヒナコはかつてファブルが救えなかった少女でもある。

責任や、普通ってのはそういうもんやろ

そう言ってアキラはヒナコのことを気にかけ、心を閉ざしていたヒナコも彼の純粋な心に触れることで少しずつ変化が生じる。アキラとヒナコの関係はリュック・ベッソン監督の映画『レオン』(1994年)に登場するレオン(ジャン・レノ)とマチルダ(ナタリー・ポートマン)のようだ。親子でも恋人でもない二人が心を通わせ、アキラは普通以上の感情を学び、ヒナコは希望を見出す 。そんな二人の不思議な関係性に心をゆさぶられた。

【画像】映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』場面カット(佐羽ヒナコ/平手友梨奈)

堤真一が演じる宇津帆は、子供を守るためのNPO団体を隠れ蓑にして数々の悪事をはたらく闇の住人。あえて『レオン』の登場人物に例えるなら、麻薬取締局の刑事でありながら麻薬密売組織を操っていたスタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)だろうか。

宇津帆はかつてファブルが唯一殺し損ねたターゲットでもあり、ファブルとの因縁やヒナコとの歪な関係も描かれる。具体的な内容はここでは伏せるが、知れば知るほど宇津帆の闇が見えてくる。

江口カン監督は堤に対し、「何を考えているか誰にもわからない男」という役のイメージを伝えていたそうだ。実際、堤が演じる宇津帆は子供に優しく接する表の顔と、殺人もいとわない裏の顔がまったく同じ表情に見えて、彼の真意を読み取ることができない。監督のイメージをここまで完璧に体現できる堤は流石としか言いようがない。

【画像】映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』場面カット (宇津帆/堤真一)

原作は新シリーズへ突入!今後の展開も見逃せない

アクション、人間ドラマ、すべてにおいて前作からパワーアップしている『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』。主演の岡田をはじめとしたキャスト、監督やスタッフの熱意とこだわりが素人目でも伝わってくる素晴らしい作品である。

ちなみに、原作は2019年11月に第1部が完結しているが、続編にあたる「ザ・ファブル The second contact」が7月19日(月)から「週刊ヤングマガジン」にて連載開始となる。まだまだ広がりを見せる「ザ・ファブル」の世界を、ぜひまた劇場で観ることができることを期待したい。

[ライター: RYOMA]

映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』予告篇🎞

映画作品情報

【画像】映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』ポスタービジュアル

《ストーリー》

最強の殺し屋が挑む究極ミッション︕
誰も殺さず、最狂の偽善者から、訳ありの少⼥を救出せよ。

どんな相⼿も6秒以内に仕留める伝説の殺し屋“ファブル”(岡⽥准⼀)。ある⽇、ボス(佐藤浩市)から「⼀年間、誰も殺すな。⼀般⼈として“普通”に⽣きろ」と命じられ、佐藤アキラという偽名で、相棒・ヨウコ(⽊村⽂乃)と共に⼀般⼈のフリをして暮らし始める。猫⾆で変わり者のアキラは、今⽇もバイト先の社⻑(佐藤⼆朗)と同僚のミサキ(⼭本美⽉)と関わりながら<プロの普通>を極めるため奮闘中。⼀⽅この街では、表向きは⼦供を守るNPO代表だが、裏では緻密な計画で若者を殺す最狂の男・宇津帆(堤真⼀)が暗躍。凄腕の殺し屋・鈴⽊(安藤政信)と共に、かつて弟を殺した因縁の敵・ファブルへの復讐に燃えていた。同じ頃アキラは、4年前のある事件で⾃分が救えなかった⾞椅⼦の少⼥・ヒナコ(平⼿友梨奈)と偶然再会し、これが後に⼤騒動へと発展する――︕

 
出演︓ 岡⽥准⼀、⽊村⽂乃、平⼿友梨奈、安藤政信、⿊瀬 純、好井まさお、橋本マナミ、宮川⼤輔、⼭本美⽉、佐藤⼆朗、井之脇海、安⽥ 顕、佐藤浩市、堤 真⼀
 
原作︓南勝久『ザ・ファブル』(講談社「ヤンマガKC」刊)
 
監督︓江⼝カン
アクション監督︓ 横⼭誠
ファイトコレオグラファー︓ 岡⽥准⼀
 
企画・製作︓ 松⽵×⽇本テレビ
配給︓ 松⽵株式会社
制作プロダクション︓ ギークサイト
主題歌︓ レディー・ガガ&アリアナ・グランデ「レイン・オン・ミー」(ユニバーサル ミュージック)
 
© 2021「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」製作委員会
 
2021年6⽉18⽇(⾦) 全国公開︕
大ヒット上映中!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @the_fable_movie
公式Instagram︓ @fable_movie
 

映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』公開初日舞台挨拶レポート

映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』満員御礼舞台挨拶レポート

この記事の著者

RYOMAライター/エディター

どんなジャンルでも観る雑食の映画好き。
好きな映画は『ワンダー 君は太陽』(原題:Wonder)。

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