映画『“隠れビッチ”やってました。』佐久間由衣×大後寿々花×三木康一郎監督インタビュー

【写真】映画『“隠れビッチ”やってました。』佐久間由衣×大後寿々花

映画『“隠れビッチ”やってました。』

佐久間由衣 × 大後寿々花 × 三木康一郎監督 インタビュー

モテ女の鎧を脱ぎすてろ!
自信が持てない女性たちに贈る体当たりの処方箋 

3年間で振った男の数600人。原作者の実体験を元にしたリアルラブストーリーであると同時に、不器用な“ダメ女子”たちの成長を描いた映画『“隠れビッチ”やってました。』が12月6日(金)から全国公開を迎える。

主人公は男にモテることが特技&趣味のひろみ。スキンシップや会話術で相手を翻弄し、告白されたら即フェードアウトを繰り返す彼女は、同じシェアハウスで暮らす彩とコジに「最低の“隠れビッチ”」と言われても開き直り、毎日違う男性とデートを重ねる。

一見ハチャメチャな“ビッチ”行為の裏に見え隠れするのは、幼少期のトラウマに由来する自信のなさと抑えきれない承認欲求。自分の中の埋まらない何かを求めて男たちを傷つけるひろみは、彩とコジの前では全く違う顔を見せる。

原作はイラストレーター/漫画家・あらいぴろよの同名コミックエッセイ。“ゆるかわ”な絵柄とは裏腹に、1人の女性がもがきながら自分自身と向き合う様子が生々しく描かれ、発売されるや話題に。映画では、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016年)、『旅猫リポート』(2018年)の三木康一郎が監督を担当。ひろみが自身と向き合う場面と、暴走したり、テンション高くはっちゃけるシーンがバランス良くミックスされ、時にくすりとしながらも人を愛することや女性の多面性について考えさせる内容となっている。

【画像】映画『“隠れビッチ”やってました。』メインカット

主演のひろみを演じたのは、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」で主人公の幼なじみ・時子役を演じて話題を集めた佐久間由衣。ひろみが自分に向き合い、成長するきっかけとなる恋人・三沢に森山未來。主人公を見守るシェアハウスの仲間で、バイセクシャルのコジに村上虹郎、素直に自分の気持ちを伝えられずダメな恋愛を繰り返す女友達・彩を大後寿々花が演じる。

【画像】映画『“隠れビッチ”やってました。』場面カット (大後寿々花)

第32回東京国際映画祭では特別招待作品としてプレミア上映され、主演の佐久間は映画の将来を担う輝きを放った若手俳優に贈られる東京ジェムストーン賞を受賞。劇場公開を前に三木監督、佐久間、大後の3人に今作に掛ける思いを聞いた。

原作を読んで感じた“予想外”の魅力
主人公のひろみは「とにかく全力疾走の女の子」 

三木監督が原作の漫画を読み、まず魅力を感じたのは “予想外”の連続だったという。

三木監督: オファーを受けた時、渡された(原作の)漫画を見たら短髪のかわいい女の子の絵の横に“隠れビッチやってました。”と書いてあって「かわいいのにビッチかよ」と。最初は彼女が男性を振り回すいろいろなシチュエーションが面白いコメディかと思って読んでいたけど、途中からえらくシリアス話になっていく。そのギャップに面白みを感じて、「これは描き甲斐があるな」と思った。

【画像】映画『“隠れビッチ”やってました。』場面カット (佐久間由衣)

多くの男性を振り回すひろみは、ともすれば女性たちから敬遠されかねないキャラクターだが、どこかにくめない部分も。体当たりでひろみ役に向き合った佐久間は彼女を「とにかく全力疾走の女の子」と話す。

佐久間: ひろみは生きていくうえで直面する傷つくことや、しんどい思いをたくさんしている子。言葉遣いも悪いし、行動も大胆だけど、その中にある一生懸命さを大切に演じたいと思いました。彼女の“不器用なりの必死さ”があればあるほど痛々しさも見えてきますし、それをいかにテンション高く保って表現できるかを考えました。前半は特に(観る人から)嫌われそうなキャラクター性が多く描かれていて、「この子絶対罰が当たるだろうな~」と思っていたら案の定そうなっていく。でも、その後に自分と向き合っていく姿をちゃんと表現できたらいいと思っていました。

同じ不器用でも、違う形で男性へ依存してしまっているのがシェアハウスの友人・彩。ひろみと対象的な彼女がいることで、コンプレックスや承認欲求の“出口”の多様さがより浮き彫りになっている。演じた大後は彩を「冷めたフリ」をしている女性だと分析する。

大後: 彩は、理想とする女性像や人生像があってそこに近づきたいと考えているけれど、理想通りになっていない女の子。一生懸命に生きるというよりは、“こなす”というか。本当は頑張っているのに、頑張っている自分を認めたくなくて「私いろんなことが分かっているわよ」って俯瞰で見るような立ち位置にいたい人なのだと思います。周りを見渡したら結構身近にいるタイプの女の子かもしれませんね。

コミカルに見せるよりも「普通の瞬間」を描きたい 

映画で描かれるひろみの突飛な行動や、シェアハウスの仲間との勢いあるやりとりには笑いを誘われる場面も多い。しかし三木監督は、作品作りの中でコミカルさを押し出すよりも普通さとリアルティーを求めたという。

三木監督: 僕自身はコミカルなことをやろうとは一切思っていなかった。役者に「面白く芝居して」とも言っていませんでした。3人の素が出るシェアハウスでの場面はむしろ「普通がいい」と思っていて、キャラクターには変な奴しかいないけど、家では普通の瞬間が出せるようにしたかった。(佐久間、大後、村上の)3人は撮影前にもともと会っていたみたいで、撮影が始まる頃には普通に仲良くなっていたから「こんな雰囲気でいいか」と。コジが母親で、ダメな娘2人って感じのイメージ。コジには「君は(2人の)お母さんですよ」と伝えていました。逆にひろみには「もっと雑にしろ」とよく言っていましたね。話し方とか動きとか、オヤジみたいに。

佐久間: 確かに言われましたね。

三木監督: 女性だって家では実際あんな感じでしょ。

佐久間: あそこまでいくとちょっとモンスターですけど(笑)。女性の場合、家ではモコモコの靴下とかを履いているイメージがあると思います。実際、初めはそういう服が用意されていましたけど、監督が衣装合わせの部屋着を見た時「本当ってそうじゃないでしょ?」とおっしゃって。中学のジャージとか着てるのがリアルじゃないの?って。それくらいしないとキャラクターに説得力が無くなってしまうし、オフの時までどこかでかわいこぶるのは今回はいらないと、服装や行動の細かな部分に反映されていきました。

実際の撮影現場も気心が知れ、リラックスできる雰囲気だったとか。

佐久間: みんな話したいときに話して、それぞれ好きに自由にやっていましたね。虹郎くんがいても「こっち見ないで」と言いながら着替えたり。基本的に彼はそこらへんで寝ているので(笑)。

大後: 彼は本当に自由なんだよね(笑)。

【画像】映画『“隠れビッチ”やってました。』場面カット

ひろみと彩のぶつかり合いは愛情と甘えの裏返し 

ひろみと彩は互いの男性への接し方に対して、気持ちがいいほど言いたいことをぶつけ合い、時にはキャットファイトも辞さない。この年代の女性の友情の形には珍しくも感じる彼女たちの関係・距離感は、演じた2人にはどう映ったのだろう。

佐久間: 私から見ると彩はお姉ちゃんみたいな存在なのかなって。ひろみはどこかで彩に甘えている部分があるし、コジがいてバランスが取れているところもある。私自身も昔はよく妹と手を出し合うような激しい喧嘩をしていたことを思い出しました。それくらい気心の知れたいい友達なのだと思います。でも、彼女たち自身はきっとそんなことに気づいていないと思います。

大後: 私は友達と激しい喧嘩をすることはないし、あの2人だから成り立つ関係なのだと思います。彩の側から見るとそれはきっと、ひろみに対する愛情の裏返し。彩は感情表現が下手な部分があると思うので。だからひろみがいろいろな経験を経てある決断をする場面では少し寂しい気持ちになる。端から見ていると「離れたらいいのに」と思ってしまうけど、どうしても気になってしまうのでしょうね。

【画像】映画『“隠れビッチ”やってました。』場面カット

原作と異なるラストシーンで人間心理の“リアル”を映し出す 

今作のラストシーンでは原作とは違う展開が描かれる。一筋縄ではいかない人間の心の複雑さを映し出し、見る側の解釈に委ねられるその場面に込めた意図を監督に聞いた。

三木監督: いろいろな意味を込めてはいますが、今回ひろみが自分から恋をした相手と別れるのにはあまり“理由” がないんです。「物語」を作るときってそこに理由を求められるものだけど、普通に生きている現実では、(恋人同士が別れるのに)理由ってそんなになかったりしますよね。男性の目から見ると女性は突然「生理的に無理」とか言い出すこともあるし(笑)。
それに別れても残るって部分もある。そういった感情も多面性といえばそうなのだけど、別れたからってその人のことを好きか嫌いかなんて実際には分からないものでしょ。誰かと真剣にお付き合いしていこうと思っても、他から好意を向けられたら少し揺れるし、この映画ではそういう部分もリアリティーとして描こうと思いました。

【写真】映画『“隠れビッチ”やってました。』佐久間由衣×大後寿々花×三木康一郎監督インタビュー

不器用で、素直になれなくて、必死になるほど本当に求めているものを見失いがちな女性たちの恋と葛藤を“リアル”を交えて温かく描き出す『“隠れビッチ”やってました。』は12月6日(金)からロードショー。

[取材・文: 深海 ワタル / スチール撮影: Cinema Art Online UK]

プロフィール

佐久間 由衣 (Yui Sakuma)

女優。1995年生まれ、神奈川県出身。
女性ファッション誌「ViVi」の専属モデルを経て、2014年に『人狼ゲーム ビーストサイド』で映画初出演。2017年にNHK連続テレビ小説「ひよっこ」で注目を集める。最近の主な出演作に映画『あの日のオルガン』(2019年)、『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(2019年)、ドラマ「連続ドラマW トップリーグ」(2019年/WOWOW)、「ニッポンノワール -刑事Yの反乱-」(2019年/日本テレビ)他。12月13日に映画『屍人荘の殺人』の公開が控えている。

【写真】 佐久間 由衣 (Yui Sakuma)

大後 寿々花 (Suzuka Ohgo)

女優。1993年生まれ、神奈川県出身。
2000年に舞台「国盗り物語」でデビュー。2005年映画『北の零年』で注目され、『SAYURI』でチャン・ツィイー演じるヒロインの子供時代を演じてハリウッドデビューを果たす。近年の主な出演作に映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)、『悼む人』(2015年)、『鎌倉にて。』(2016年)、『ハッピーアイランド』(2019年)、NHK連続テレビ小説「わろてんか」(2017年)、ドラマ「トーキョーエイリアンブラザーズ」(2018年/日本テレビ)、「ザ・リアリティ・ショー」(2019年/フジテレビ)他。

【写真】大後 寿々花 (Suzuka Ohgo)

三木 康一郎 (Koichiro Miki)

映画監督、演出家。1970年生まれ、富山県出身。
映画監督作として『トリハダ 劇場版』シリーズ(2012年/2014年)、『のぞきめ』(2016年)、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016年)、『覆面系ノイズ』(2017年)、『リベンジgirl』(2017年)、『旅猫リポート』(2018年)ほかを発表。一方でドラマ「東京センチメンタル」(2014年、2016年/テレビ東京)、「ふれなばおちん」(2016年/NHK)、「ラブラブエイリアン」(2016年/フジテレビ)やFODオリジナルドラマ「ポルノグラファー ~インディゴの気分~」(2018年/フジテレビ)を手掛けるなど幅広く活躍中。

【写真】三木 康一郎 (Koichiro Miki)

CAO読者プレゼント🎁

佐久間由衣さん&大後寿々花さん直筆サイン入りチェキを2名様にプレゼント!

映画『“隠れビッチ”やってました。』の公開を記念して、シネマアートオンラインの読者の皆様にプレゼントをいただきました❣

【写真】映画『“隠れビッチ”やってました。』佐久間由衣&大後寿々花直筆サイン入りチェキプレゼント

★応募方法など詳細は読者プレゼント応募ページで🎵

映画『“隠れビッチ”やってました。』予告篇

映画『“隠れビッチ”やってました。』本編映像

映画作品情報

【画像】映画『“隠れビッチ”やってました。』ポスタービジュアル

《ストーリー

荒井ひろみ、26歳独身。趣味&特技は“異性からモテること”。相手の気持ちを弄びながら、恋愛のおいしい所だけを楽しむというゲームのようなやり口に、同じシェアハウスで暮らすバイセクシャルのコジと恋愛に失敗してばかりの彩は呆れ顔だ。服の露出は少な目、鎖骨がちらりとのぞく透け感のあるワンピースが戦闘服。どこにでもいる女性に見えるのに、計算しつくした仕草と会話で男性を落とすハンターぶりに、彩から「あんたは“隠れビッチ”ね!」と名付けられる。そんなある日、同じ職場に気になる相手が現れ、ひろみは初めて自分の本音と向き合う。「男に頼ってばかりではだめ。人間になりなさい」。コジからの叱咤を受け、ひろみは“自分に必要なもの”を探しはじめる。

 
第32回 東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品
 
出演: 佐久間由衣、村上虹郎、大後寿々花、小関裕太、森山未來
 
監督・脚本: 三木康一郎
原作: あらいぴろよ「“隠れビッチ”やってました。」(光文社刊)
 
2019年 / 日本 / 日本語 / 112分 / カラー / ビスタ / 5.1ch
配給: キノフィルムズ/木下グループ
 
© 2019『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社
 

2019年12月6日(金) 全国ロードショー!

映画公式サイト
 
公式Twitter: @kakurebitch_jp
公式Facebook: @映画隠れビッチやってました
公式Instagram: @kakurebitch/

この記事の著者

深海 ワタル

深海 ワタルエディター/ライター

女性向け情報誌で旅・エンタメジャンルを担当し、試写会紹介やタレントインタビューなどを執筆。インタビュー実績は堤真一、永瀬正敏、大森南朋、北村一輝、松田龍平、斎藤工、柳楽優弥、柴咲コウ、北川景子、吉田羊、中谷美紀ほか30人以上。学生時代から地元の名画座に通い、年間50本超の映画鑑賞を15年以上継続中。好きなジャンルはヒューマンドラマ、アクション、サスペンス、ファンタジー。人生を変えた1本は、子どもの頃劇場で鑑賞して映画好きのきっかけとなり、通算30回以上リピートしている『ターミネーター2』。

この著者の最新の記事

関連記事

カテゴリー

アーカイブ

YouTube Channel

Twitter

Internet Defense League のメンバー

Internet Defense League のメンバー

ページ上部へ戻る