- 2015-11-16
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第28回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門
映画『神様の思し召し』記者会見
イタリアによくあるハッピーエンドのコメディにはしたくなかった。
イタリア映画のアカデミー賞にあたるダヴィット・ディ・ドナテッロ賞など数々の映画賞を受賞したエドアルド・ファルコーネ監督が作品テーマについて考えを語る!
10月28日(水)、第28回東京国際映画祭(TIFF)のコンペティション部門出品作品『神様の思し召し』(原題:Se Dio Vuole/英題:God Willing)のエドアルド・ファルコーネ監督が来場し、記者会見が行われた。
主人公トンマーゾは、名医として名高い心臓外科医でしたが、自ら「神に感謝などせず自分(私)に感謝せよ」と言い放つような傲慢な性格。家族との関係は一見うまくいっていたが、妻や娘夫婦との間にはすきま風が吹いていた。ある日、唯一期待をかけていた医大生の息子アンドレアから、信仰に目覚めたため進路を変更したいと告白され、なんとかそれを思いとどまらせようと画策する…。本作は、秀逸な脚本が核となって展開される精神性をテーマにしたイタリアの痛快コメディである。
《記者会見レポート》
エドアルド・ファルコーネ監督は、冒頭の挨拶で「このまぶしさは神様のせいか?」(照明がまぶしかった)と発言し会場を笑わせ、その後のインタビューでも随所に笑いを誘うようなサービス精神を自然体で発揮していた。上映後の手応えについて、「日本の観客は結構みな静かに観ていて、もしかして面白くなかったのかと心配していたが、よかったという感想を聞いてほっとした」と語った。ラストシーンで、はっきりとした結論を提示しなかったことについては、「イタリアではハッピーエンドのコメディが主流なので独自性をだしたかったことと、何よりトンマーゾが変わっていくことが大事だった」と答えた。
精神性をテーマにしたことについては、映画ではあまり扱われていないがとても重要だと思っていること、特にインテリ層は科学を尊重し精神性を否定的にとらえる傾向があるのを危惧していること、また、民主的にみせながら実際にはそうでなく差別的意識をもっているという人物を揶揄するようなことも盛り込みたいと思っていたことなどを話した。
そして、カトリック擁護や反カトリックを描いたのではなく、人は心を開いて他者とかかわることで、自分と異なる考え方をする相手でも理解し受け容れて信頼関係を築くことができるという、生きていくうえでとても大切なことを伝えたかったと話した。
最後に、新作の脚本を書いていることを明かし、「その作品が上手くいかなければバカンスへ行きます」と言い残して客席を盛り上げて会場を去った。
[スチール撮影&記者: Takako Kambara]
イベント情報第28回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門
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映画作品情報
第28回東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門出品 観客賞受賞作品
英題: God Willing
原題: Se Dio Vuole
監督・脚本: エドアルド・ファルコーネ (Edoardo Falcone)
脚本: マルコ・マルターニ (Marco Martani)
プロデューサー: マリオ・ジャナーニ (Mario Gianani)
プロデューサー: ロレンツォ・ミエーリ (Lorenzo Mieli)
音楽: カルロ・ヴィルズィ (Carlo Virzì)
撮影監督: トンマーゾ・ボルグストロム (Tommaso Borgstrom)
編集: ルチャーナ・パンドルフェッリ (Luciana Pandolfelli)
出演: マルコ・ジャッリーニ (Marco Giallini)
アレッサンドロ・ガスマン (Alessandro Gassman)
ラウラ・モランテ (Laura Morante)
イラリア・スパーダ (Ilaria Spada)
エドアルド・ペーシェ (Edoardo Pesce)
エンリコ・オティケル (Enrico Oetiker)
配給: ギャガ株式会社
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