- 2015-11-15
- イタリア映画, 映画レビュー, 映画作品紹介, 第28回 東京国際映画祭
映画『神様の思し召し』(原題: Se Dio Vuole)
人を救えるのは信仰か科学か・・・
精神性という普遍的なテーマをアイロニカルに届ける痛快コメディ
《ストーリー》
主人公トンマーゾは高名な心臓外科医でしたが、プライドが高く傲慢な性格でした。家族思いを自負していましたが、内実は上から目線的な傾向が強く妻カルラや娘夫婦との間にもすきま風が吹いているような状態であった。ある日、唯一期待をかけていた医大生の息子アンドレアから、信仰に目覚めたため進路を変更したいという衝撃の告白をされ、なんとかそれを思いとどまらせようと画策する。
《みどころ》
主人公トンマーゾが、息子が慕っている神父との出会いや交流を通じて何を感じ得ていくのか。社会的に成功し地位を築いてきた高名な医師が果たして変わることができるのか、孤高の人で終わるのか。バラバラになりつつある家族は絆を取り戻すことはできるのか。
コメディを愛するエドアルド・ファルコーネが、監督として臨んだ第一作である本作は、彼がかねてからとりあげたかった精神性という普遍的なテーマを中心に据えて、観たものの心にアプローチするような軽すぎないコメディに仕上がっている。随所に笑いの種がまかれている脚本がまさに秀逸で、テンポよく進むストーリーにのっけからスクリーンに惹きつけられ、瞬く間にラストを迎えるという作品です。それもそのはず、監督は脚本家としてのキャリアが長く本国イタリアでの評価も良好で、本作ではイタリア映画のアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナッテロ賞やナストロ・タンジェント賞など数々の映画賞を受賞されているとのこと。
人は、それぞれ自分のフィルターを通して物事や世の中をみている。そして、そのフィルターでみている自分があっていると思いがちである。自分のみている出来事、感じている世界を違うフィルターでみてみれば、全く違う世界が広がってくる。その違うフィルターを手に入れ自分をバージョンアップするには、オープンマインドで人々と接し理解を深めて自分とは異なる相手を受け容れていくこと。その信頼関係を根底にした交流のなかに、自分の世界を広げる「氣づき」という大きなギフトが隠されているのである。
[ライター: Takako Kambara]
映画『神様の思し召し』予告篇
映画作品情報
第28回東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門出品 観客賞受賞作品
英題: God Willing
原題: Se Dio Vuole
監督・脚本: エドアルド・ファルコーネ (Edoardo Falcone)
脚本: マルコ・マルターニ (Marco Martani)
プロデューサー: マリオ・ジャナーニ (Mario Gianani)
プロデューサー: ロレンツォ・ミエーリ (Lorenzo Mieli)
音楽: カルロ・ヴィルズィ (Carlo Virzì)
撮影監督: トンマーゾ・ボルグストロム (Tommaso Borgstrom)
編集: ルチャーナ・パンドルフェッリ (Luciana Pandolfelli)
出演: マルコ・ジャッリーニ (Marco Giallini)
アレッサンドロ・ガスマン (Alessandro Gassman)
ラウラ・モランテ (Laura Morante)
イラリア・スパーダ (Ilaria Spada)
エドアルド・ペーシェ (Edoardo Pesce)
エンリコ・オティケル (Enrico Oetiker)
配給: ギャガ株式会社
© 2015 WILDSIDE
2016年8月27日(土)より、
新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー!
★第28回 東京国際映画祭 オフィシャルレポート (TIFF)
10/26(月):Q&A「医者と神父を演じた2人は、彼らが普段演じているのとは逆の配役にしてみました」