- 2017-12-28
- 日本映画, 映画レビュー, 映画作品紹介, 第30回 東京国際映画祭
映画『パンとバスと2度目のハツコイ』
「スキにならずに、スキでいる」
恋愛こじらせ女子が織りなす“モヤキュン”ラブストーリー
昨年乃木坂46を卒業した深川麻衣が映画初出演にして初主演を務め、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEのパフォーマーとして活動する山下健二郎と共演する映画『パンとバスと2度目のハツコイ』が2018年2月17日(土)より劇場公開となる。
第30回東京国際映画祭(TIFF)でのワールドプレミア上映のチケットは即完となり、共感とモヤモヤを巻き起こした。独自の結婚感を持った“恋愛こじらせ女子”の主人公・ふみと、偶然再開した初恋相手・たもつが織りなす、コミカルでちょっと切ない、新しい恋愛群像劇が誕生した。
《ストーリー》
「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」。パン屋で働く主人公・市井ふみは独特の恋愛観を持つ“恋愛こじらせ女子”。口を開けば「今まで付き合ってきた人と私と何が違うの?」「何でその人たちとは別れたのに、私とは別れないって言い切れるの?」「私は一人になりたくなっちゃう人なんだと思う、寂しくありたいんだと思う」など、恋愛への疑問ばかり。そんなふみがある日、中学時代の“初恋”の相手・湯浅たもつと偶然再会したところから物語は始まる―。
プロポーズされたものの、結婚に踏ん切りがつかず元彼と別れたふみと、離婚した元妻のことを今でも忘れられないたもつが織りなす、モヤモヤしながらキュンとする“モヤキュン”ラブストーリー。
《みどころ》
近年は少女漫画の実写化をはじめとして、キラキラした王道ラブストーリーが数多く公開されているが、本作は“モヤキュン”ラブストーリーと謳われているように、従来の恋愛映画とは一風変わった作風が特徴である。主人公の市井ふみは「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」という理由で結婚に踏み切れずにいる“恋愛こじらせ女子”。
一歩前に踏み出すことの出来ない主人公の姿は、観ていてもどかしさを感じながらも、非常に共感できる部分もあり、鑑賞しているうちについ応援したくなってしまう衝動に駆られることだろう。また、主人公のみならず、登場人物それぞれの葛藤や悩みが繊細に描かれており、その一つ一つがひしひしと伝わってくるのも本作の特徴の一つだ。正直で、まっすぐな気持ち、そして迷いながらもそれぞれの「好き」の形を見つけていく登場人物たちの姿は人間味に溢れるものであり、どこかほっこりするような温かさを持っている。
そんな個性豊かな登場人物を演じた、この映画を彩るキャストたちにも是非注目してほしい。主人公・ふみを演じるのは元乃木坂46のメンバーであり、本作が映画初主演となる深川麻衣。初主演とは思えないほどの堂々とした面持ちであり、彼女が醸し出す素朴で純粋な独特の世界観は必見である。また、初恋の相手・湯浅たもつ役を、今飛ぶ鳥を落とす勢いの三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEのメンバーである、山下健二郎が演じている。近頃はアーティストとしての活動にとどまらず、俳優としても活躍している山下だが、本作では不器用でまっすぐな姿を熱演しており、パフォーマーとしての顔とはガラリと異なる一面を見せている。
一筋縄ではいかない、クスッと笑えて、ちょっぴり切ないラブストーリー。登場人物それぞれの心情に寄り添いながら、是非自身の「好き」の形を探しながら鑑賞してほしい。
映画『パンとバスと2度目のハツコイ』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》にこやさとみなどふみを取り巻くキャラクターたちは、二人の恋にどう絡んでくるのか? たもつの「どうやったら、本当に好きな気持ちって伝わるんだろうな」といった言葉や、ふみの「お願いだから、好きにならないで」といった言葉の先に待ち受ける二人の恋は果たしてどうなる? |