映画『アリー/ スター誕生』(A Star Is Born) レビュー
【画像】映画『アリー/ スター誕生』(A Star Is Born) メインカット

映画『アリー/ スター誕生』(原題:A Star Is Born)

アカデミー賞最有力候補!
心揺さぶる名曲が彩るミュージカルエンターティンメントがここに誕生!

1937年にジャネット・ゲイナー、フレドリック・マーチを主演に迎えた『スタア誕生』(原題・英語:A Star Is Born)が公開されて以来、多くの支持を集め、その後も2度映画化(リメイク)されてきた『A Star Is Born』。4度目の映画化となる本作は映画初監督にして主演を務めるブラッドリー・クーパー、映画初主演のレディー・ガガという類まれなる才能を持つ2人によって実写化された。

レディー・ガガ自らが手掛けた劇中の楽曲には世界中から大きな反響が集まっており、「アリー/スター誕生 サウンドトラック」は2017年に社会現象を巻き起こした『ラ・ラ・ランド』や同年の大ヒット作『グレイテスト・ショーマン』を超えるモンスター・ヒットとなっている。

A Star Is Born Soundtrack (Without Dialogue)

A Star Is Born Soundtrack (Spotify)
 

メイン楽曲の「シャロウ~『アリー/スター誕生』愛のうた」(”Shallow”)は、第61回グラミー賞の主要2部門を含む4部門にノミネート。第76回ゴールデングローブ賞では作品賞、主演女優賞、主演男優賞、監督賞、主題歌賞の5部門にノミネートされており、第91回アカデミー賞の最有力候補との呼び名も高い。

 

《ストーリー》

父と2人で暮らすアリーの夢は歌手になること。昼はレストランでウエイトレスとして働き、夜は小さなバーで歌う日々を繰り返す彼女は才能がありながらも自分に自信が持てず、その夢を諦めようとしていた。そんなある日、人気ミュージシャンのジャクソンがアルコールを求めてふらりと立ち寄ったバーでショーに出演していた彼女のパフォーマンスを目にし、一瞬で虜になる。一緒の時間を過ごす中で激しく惹かれ合った2人。招待されたジャクソンのコンサートで急遽ステージに出演することになったアリーはその才能をいかんなく発揮し、一躍注目を集める。スターへの階段を駆け上がっていくアリーとは対照的に、ジャクソンはアルコールとドラッグに溺れ、次第に身を滅ぼしていく。順調と思われたアリーも愛と成功のはざまで自分を見失っていくことに―。そんな彼女が最後につかんだものとは?

《みどころ》

この作品のみどころはなんといってもブラッドリー・クーパーとレディー・ガガが奏でる魂のこもった楽曲の数々だろう。冒頭のジャクソンの歌声、バーでのアリーのパフォーマンス、そして2人が共演したステージ…臨場感のあるド迫力のパフォーマンスに映画の開始から30分も経たないうちにすでに鳥肌が立ち、ガッと心をつかまれたのは言うまでもない。

本作はこの2人のコンビでなければここまで心に響くものにならなかったであろう。それぞれがハマり役だと感じられたのは、無名時代にニューヨークのクラブでダンサーをしながら生計を立てていたというガガ自身のエピソードも相まってなのだろうか。ガガの映画初主演とは思えないほどの圧巻の演技と歌声には、ベテラン女優のオーラと貫禄さえ感じられた。

前半は小さなバーでパフォーマンスをする程度だったアリーが、ジャクソンとの出会いによってみるみる生まれ変わり、瞬く間にスターへの階段を駆け上がっていくという、その輝かしいシンデレラストーリーやスピード感に胸が高まり、ワクワクと高揚感が止まらなかった。しかしながら、物語が進んでいくとともに映し出される2人の気持ちのすれ違いには、どこか胸がチクッとするような小さな痛みが感じられ、最後のアリーの歌唱シーンの際には胸の中にジーンとしたもどかしい余韻が広がることであろう。

本作は、2018年10月25日(木)~11月3日(土)に開催された第31回東京国際映画祭(TIFF)のオープニング作品として日本公開に先駆け上映されたが、映画コメンテーターのLiLiCoも「皆さんが想像するスター誕生の物語とは一味違う。“これで本当に良かったの?”と考えさせられる、人生を描いたディープな作品になっている」とコメントし、クーパーの監督業やガガの女優業に対しても太鼓判を押していた。

【写真】第31回東京国際映画祭(TIFF) 映画『アリー/ スター誕生』(A Star Is Born) 舞台挨拶 (LiLiCo)

 

ミュージカルエンターティンメントでありながらも、ひしひしとした現実味を感じさせてくれる本作は、音楽の持つ魅力を再確認させてくれるだけでなく、真実の愛とはなにかを改めて考えさせられる繊細な物語となっている。

 
[ライター: 小森 萌菜]

映画『アリー/ スター誕生』予告篇

映画『アリー/ スター誕生』主題歌スペシャル映像

映画作品情報

【画像】映画『アリー/ スター誕生』(A Star Is Born) ポスタービジュアル

第75回 ベネチア国際映画祭 アウトオブコンペティション部門出品
第43回 トロント国際映画祭(tiff) ガラプレゼンテーション部門出品
第31回 東京国際映画祭(TIFF) オープニング作品
 
邦題: アリー/ スター誕生
原題: A Star Is Born
監督&製作: ブラッドリー・クーパー
出演: ブラッドリー・クーパー、レディー・ガガ
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
 
2018年12月21日(金) 全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @starisbornmovie #AStarIsBorn #スター誕生
公式Facebook: @StarIsBornMovie
公式Instagram:@starisbornmovie
 

この記事の著者

小森 萌菜シネマレポーター/ライター

幼いころから映画に親しみ、映画『プラダ着た悪魔』をきっかけに洋画の世界に惹きこまれていく。休日は洋画邦画共に幅広いジャンルの映画を鑑賞して過ごしている。

★好きな映画
『プラダを着た悪魔』 (The Devil Wears Prada) [監督: デヴィッド・フランケル 製作: 2006年/米]
『あと1センチの恋』 (Love,Rosie) [監督: クリスチャン・ディッター 製作: 2014年/英・独]
『バーレスク』 (Burlesque) [監督: スティーヴ・アンティン 製作: 2010年/米]

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