映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』(Ralph Breaks the Internet) レビュー

映画『シュガー・ラッシュ オンライン』メインカット

映画『シュガー・ラッシュ オンライン』ロゴ

成長とともに友情も変化する しかし絆は変わらない!

ゲームの世界の裏側で繰り広げられる冒険と友情を描いた『シュガー・ラッシュ』(2013年)の最新作『シュガー・ラッシュ オンライン』(原題:Ralph Breaks the Internet)が12月21日(金)に公開された。本作では、レースゲームのプリンセスで天才レーサーのヴァネロペとアクションゲームの悪役ラルフのふたりがハンドルの壊れてしまったレースゲームを直すため、新しいハンドルを買いにインターネットの世界に飛び込んでいく。

監督は前作で長編映画監督デビューし、『ズートピア』(2016年)で第88回アカデミー賞で長編アニメーション部門監督賞、作品賞を受賞したリッチ・ムーア。両作で脚本を担当したフィル・ジョンストンが共同監督を務めた。

映画『シュガー・ラッシュ オンライン』場面カット

インターネットの世界をわかりやすく可視化!

インターネットの普及により、スマホさえあれば、買い物や情報検索、意思伝達など、ほとんどのことができてしまう。便利な世の中である。しかし、この仕組みを説明するとなると当たり前すぎて、かえって難しい。

本作はWi-Fiさえ知らなかったヴァネロペとラルフがネットオークションを利用して、新しいハンドルを手に入れるまでの体験談である。とはいえ、私たちのようにパソコンを操作するのではなく、インターネットの世界に実際に足を踏み入れたとした。そこには巨大都市が広がり、そびえ立つ高層ビルには架空のサイトと並びLINE、楽天、Instagram、Yahoo!、Google、YouTube、Facebookなどの表示が見える。壮大でカラフルなインターネットの世界は東京を意識して作られたという。何となく馴染みを感じたのはそのせいだろう。

さて、どこに行ったらいいのか。迷子状態の2人が検索バーのカウンターに行くと、担当者は先走って、質問を言い終わらないうちに憶測で次々に答え始める。あまりにも的確にパソコンの検索機能を表現しているので、思わず笑ってしまった。

映画『シュガー・ラッシュ オンライン』メインカット

ほどなく欲しいハンドルを扱うオークションサイトを発見。そのサイトが入っているビルに行き、何とかハンドルを競り落とすが、お金がない! インターネットの世界で稼ぐべく、オークション前に出会ったサンドウィッチマンのような男の話について行くことに。どう見ても怪しげなこの男。ポップアップ広告を体現しており、彼を通じてインターネットの危険性を余すところなく見せる。

本作はこれからインターネットについて学ぶ子どもたちだけでなく、「ネットってわからない」という高齢者にもおススメできそうである。

映画『シュガー・ラッシュ オンライン』場面カット

歴代のディズニープリンセス14人が勢ぞろい

ディズニープリンセスが14人全員登場するのも本作の見どころの1つ。それぞれの特技やアイテムを使って、ヴァネロペを助ける。息のあったコンビネーションは見事だ。また、いつものコスチュームからカジュアルな服装に着替えて寛ぎ、ガールズトークを炸裂。滅多に見られない、貴重なシーンである。しかも、字幕版では白雪姫、シンデレラ、オーロラ以外の11人がオリジナルの担当者が声をあてた。吹替版も松たか子(エルサ)や神田沙也加(アナ)、中川翔子(ラプンツェル)、大島優子(メリダ)といったオリジナルメンバーが終結。白雪姫は小鳩くるみが担当していて、往年のファンを喜ばせる。

映画『シュガー・ラッシュ オンライン』場面カット

成長とともに変化する友情

互いに孤独を抱えていたヴァネロペとラルフは前作で親友となった。今ではゲームセンターが閉店した夜の時間を一緒に過ごすことが何よりの楽しみ。しかし、幼いヴァネロペは成長する。インターネットの世界での経験をきっかけに新しい夢に気づいた。それを理解できないラルフの葛藤が物語を大きく動かす。

これは私たちにも当てはまること。学校や部活が一緒の友だちとは1日の大半を一緒に過ごす。共有する話題も多い。しかし、部活はやがて引退し、学校は卒業する。友だちと離れてしまうことを不安に思っている人もいるだろう。確かに、共有していた時間を急に1人で過ごすことになるのは寂しい。しかし、新しいステージに進もうとしている友だちを引き留めてもいいのか。互いに大事に思う気持ちがあれば、友情も成長し、離れていても絆は変わらない。本作は葛藤を乗り越えたラルフを通じて、このことを伝えてくれる。

[ライター: 堀木 三紀]

映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』 予告篇

映画作品情報

映画『シュガー・ラッシュ オンライン』ポスタービジュアル

《ストーリー》

好奇心旺盛な天才レーサーのヴァネロペと、彼女の大親友で心優しいゲームの悪役キャラクターのラルフは、レースゲーム<シュガー・ラッシュ>の危機を救うため、誰も見たことのないインターネットの世界へ飛び出す。

そこはディズニープリンセスたちに出会えるなど、何でもありで何でも叶う夢のような世界だが、思いもよらぬ危険も潜んでいて、二人の冒険と友情も最大の危機に!?

はたして<シュガー・ラッシュ>と彼らを待ち受ける驚くべき運命とは…。

 
監督: リッチ・ムーア  
監督&脚本: フィル・ジョンストン 
製作: クラーク・スペンサー  
 
キャスト
ラルフ: ジョン・C. ライリー 
ヴァネロペ: サラ・シルヴァーマン 
シャンク: ガル・ガドット 
イエス: タラジ:P・ヘンソン 
ノウズモア: アラン・テュディック 
 
日本版声優
ラルフ: 山寺 宏一
ヴァネロペ: 諸星 すみれ
シャンク: 菜々緒
白雪姫: 小鳩 くるみ
シンデレラ: 鈴木 より子
オーロラ/ムーラン: すずき まゆみ
アリエル: 小此木 まり
ベル: 平川 めぐみ
ジャスミン: 麻生 かほ里
ポカホンタス: 土居 裕子
ティアナ: 鈴木 ほのか
ラプンツェル: 中川 翔子
メリダ: 大島 優子
エルサ: 松 たか子
アナ: 神田 沙也加
モアナ: 屋比久 知奈
 
配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2018 Disney. All Rights Reserved.
 
2018年12月21日(金) 全国ロードショー!
 
映画公式サイト

この記事の著者

堀木 三紀

堀木 三紀ライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。(2015年は417本、2016年は429本、2017年は504本の映画作品を鑑賞)

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど30人を超える。

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