第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニーレポート
【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー 観客賞受賞者(大久明子監督、のん、安藤裕康 第33回東京国際映画チェアマン、多羅尾光睦 東京都副知事、武井雅昭 港区区長)

【画像】第33回東京国際映画祭 (33rd Tokyo Internatinal Film Festival)

第33回 東京国際映画祭 (TIFF)
クロージングセレモニー

大久明子監督が3年ぶり2度目の観客賞受賞🏆

11月9日(月)、第33回東京国際映画祭(33rd Tokyo Inernational Film Festival / TIFF)が閉幕を迎え、クロージングセレモニーがTOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われた。

開催期間中にショーケース部門「TOKYOプレミア 2020」で上映された32作品の中から観客投票により決定する観客賞は、大久明子監督の『私をくいとめて』が受賞。大九明子監督と主演ののんが登壇し、受賞の喜びを語った。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー 観客賞受賞者(大久明子監督、のん)

観客賞/東京都知事賞が発表!
栄えある32作品より選ばれた作品は・・・

例年、東京国際映画祭は3部門からなるコンペティション形式を取っていたが、今年は新型コロナウイルスによる渡航制限により海外の審査員やゲストの来日が困難なため、開催期間中に上映された32作品に対し、観客による作品の4段階評価の投票が行われる観客賞のみの実施となった。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (観客賞/東京都知事賞 トロフィー)

クロージングセレモニーにて、観客賞/東京都知事賞を大九明子監督の『私をくいとめて』が受賞したことが安藤裕康チェアマンより発表された。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (安藤裕康 第33回東京国際映画チェアマン)

『私をくいとめて』は、綿矢りさの同名小説の映画化。『勝手にふるえてろ』(2017年)以来、大久監督×綿矢りさの再タッグとなる。主人公演じるのんは久しぶりの主演映画であるとともに、橋本愛と7年ぶりの共演も話題となっている。

第30回のコンペティション部門で観客賞を受賞した『勝手にふるえてろ』に続き、東京国際映画祭で2度目の観客賞受賞となる大久明子監督は、「前回受賞した3年前から、世界は変わり、映画祭も全く違う形になりました。色々な映画祭がリモート開催となる中、TIFFは実際にお客様を入れて一緒に体験することを実現した。本当に素晴らしいことだと思います。出歩くことが安心できない不安な中で、チケットを取って劇場に足を運んで作品を観て、点数を入れてくださった観客の方が私たちに賞をもたらしてくれた。感謝しています。早くお客様ひとりひとりと握手したりお話しできる日が来ることといいなと思っています。ありがとうございました」と感謝を述べた。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー 観客賞受賞者(大久明子監督)

のんは「今日は素敵な賞をいただきありがとうございます。観客の皆さんに応援していただいた賞ということで嬉しく思っています。私事ではありますが、私は何年振りかの主演映画で大久監督に呼んでいただいた作品。心から喜びよろこびでいっぱいです。この賞を大切に受けとめたいなと思っています。スタッフキャストを代表して、監督とともに感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。映画というのは観客の皆さんに観ていただいて初めて完成するものだと思います。12月18日(金)の全国公開まで、投票してくださった皆さんと一緒にこの映画を盛り上げて、沢山の方に観ていただけるよう頑張っていきたいと思います。一緒に頑張りましょう!ありがとうございました!」と話した。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー 観客賞受賞者(のん)

共演の林遣都、橋本愛からも受賞コメントが寄せられ代読された。

林 遣都 コメント

この度は観客賞受賞の連絡を聞きとても驚いております。本日は残念ながら登壇出来ませんが、劇場に足を運んで投票してくださった皆様、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。そして大九監督おめでとうございます!

この作品の細部に散りばめられた監督やスタッフの皆さんの強いこだわり、そして情熱が多くの人に届いたんだなと思うと嬉しい気持ちでいっぱいです。スクリーンから大九組のあのワクワクする空気感を皆さんにもっと味わって頂ける日を楽しみにしています。

橋本 愛 コメント

観てくださった皆様のお力添えに感謝します。この映画も、自分にとっても、映画界全体も、良き未来を作り上げていくために、大きな一歩になったと思っています。何より楽しんでいただけたことが、心から嬉しいです。また、大九監督とのんさんに、本当におめでとうって言いたいです。

クロージング作品『HOKUSAI』舞台挨拶 
柳楽優弥、田中泯、橋本一監督、河原れんが登壇!

続いて今年のクロージング作品『HOKUSAI』の舞台挨拶がクロージングスクリーニングに先立って行われ、橋本一監督、若かりし頃の葛飾北斎役を務めた主演・柳楽優弥、老いてなお絵の世界を追求し続けた後年の北斎役を務めたもう一人の主演・田中泯、企画・脚本を担当した河原れんの4人が登壇した。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (クロージング作品『HOKUSAI』橋本一監督、柳楽優弥、田中泯、河原れん)

誰もが知る”あの波”。「富嶽三十六景」誕生の瞬間を描いた映画『HOKUSAI』ゴッホ、モネらに影響を与え、米LIFE誌の「この1000年で最も偉大な功績を残した100人」にレオナルド・ダ・ヴィンチなどと並び、日本人でただ一人選ばれた世界的アーティストである葛飾北斎。名だたる絵師である反面、謎多き人物でもある北斎。生涯をかけて真の絵を追い求め、苦悩の末に70代で大ブレイクしたその壮絶な人生とは?

90歳で燃え尽きるまで、命を削りながら絵を描くことに心酔していた彼を突き動かしていたものはなんだったのか。そんなジャポニズムの源泉とも言える北斎の知られざる人生を、生誕260周年のメモリアルイヤーに初めて映画化。2021年5月に公開となる。

クロージング作品として上映されることについて、青年期の北斎を演じた柳楽は「大変嬉しく思っています。世界的に有名な日本人アーティストを時代劇で演じることが初めてだったので、最高の時間を過ごすことができました」と笑顔を見せると、田中泯は「ダンサーとして紹介いただけたことを大変嬉しく思います。とにかくひたすら光栄な時間を過ごさせていただきました。台本をいただいて、時にはこのセリフは言いたくないなんてこともあったのですが、ほとんど納得する言葉ばかりを喋らせていただいて本当に幸せでした」としみじみと語った後に、「あとは北斎があの世でどう思っているか、それだけが気がかりです」と会場を笑わせた。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (クロージング作品『HOKUSAI』田中泯)

生誕260年となる今年、北斎をどのように描きたいと思ったか?との質問に対して、橋本監督は「北斎というのは世界中に名の知れたアーティストであると同時に優れたエンターティナーであると思います。現代のクリエイター達にも通じるものがあるのではないかと思いました」と語ると、企画・脚本を手がけた河原は「北斎はあまりにも有名なアーティストで、様々な逸話を残しているわけですが、その全てを入れ込んでしまったら面白くない脚本になってしまう。あくまでも絵を中心に、絵を点として、北斎が何に突き動かされたのか、その点を線で繋ぐように、北斎が出会った人や彼が受けた刺激を、きちんと描いていこうと思いました」と続けた。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (クロージング作品『HOKUSAI』河原れん)

あまりにも有名だが、謎多き人物でもある北斎。青年期の資料が少ない中、柳楽は「僕は俳優で演じるという事を勉強していますが、北斎は絵を描く。やることは違いますが、同世代の写楽、歌麿など当時のスターが出てくる中で、悔しい!とかうまくなりたい!と思う気持ちはあまり変わらないんじゃないかな。北斎が波に感動する理由を、撮影していく中で見つけたいなという自分なりのテーマがありました」と話し、「2020年は大きな転換期。こういう時期ですが、日本映画の大ファンとして、日本映画で皆さんに元気を与えられるような俳優になりたいです。頑張ります!」と挨拶。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (クロージング作品『HOKUSAI』柳楽優弥)

続いて田中は「今世界では映画が観ることが出来ない状態です。映画どころじゃない人が世界中にいるわけですが、夢中で作った映画です。是非正直に反応するようにして下さい。いいかげんな感動はいらないです(笑)」と笑顔で挨拶し、最後に橋本監督が「映画ですから、語るよりも観て頂いて心で感じていただけたら。ただ一つこの映画に込めたメッセージは、何回転んでも前に進むことができるのが人間だということ。皆さん、何遍転んでも立ち上がれる。その気持ちをどうか忘れないでください」と締めくくった。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (クロージング作品『HOKUSAI』橋本一監督)

映画『HOKUSAI』は2021年5月に劇場公開を予定している。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (クロージング作品『HOKUSAI』橋本一監督、柳楽優弥、田中泯、河原れん)

安藤裕康チェアマンによる閉幕宣言

最後に安藤裕康チェアマンが再び登壇し、「新型コロナウイルスの厳しい状況の中で、今年の東京国際映画祭、ゴールまでたどり着くことができるのだろうかと毎日心配していました。こうして皆様にお越しいただいてフィナーレを飾ることができたことに胸がいっぱいです。まさにシェイクスピアが言ったように『終わりよければすべてよし』ということであります。一番感謝申し上げたいのは観客の皆様でございます。大九監督も仰いましたが、厳しい状況にもかかわらず劇場に足を運んでいただいた、例年に負けず劣らずたくさんの方にお越しいただいたことに、とても嬉しく思っております。まさに今年の主役は観客の皆さんであります。同じように温かく映画祭を支援してくださった、官公庁や協賛企業の皆様、300人を超えるボランティアの皆さんに深く感謝を申し上げたいと思います。来年もまた東京国際映画祭で皆様をお待ちしております。どうぞまたお会いしましょう」と閉幕の挨拶。感謝と喜び、そして来年の開催に向けてのメッセージを送り、第33回東京国際映画祭を締めくくった。

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (安藤裕康 第33回東京国際映画チェアマン)

[スチール撮影: Cinema Art Online UK / 記者: 金尾 真里、蒼山 隆之]

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33rd TIFF クロージングセレモニー動画🎥

33rd TIFF クロージングセレモニー概要📝

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (Bloom! 信じよう、映画の力)

■開催日: 2020年11月9日(月)
 
■会場: TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン7
 
■登壇者: のん、大九明子監督(観客賞/東京都知事賞受賞作品『私をくいとめて』より)、柳楽優弥、田中泯、橋本一監督、河原れん(クロージング作品『HOKUSAI』より)、安藤裕康(第33回東京国際映画チェアマン)、多羅尾光睦(東京都 副知事)、武井雅昭(港区 区長)
 
■司会者: 中井美穂
 
【観客賞/東京都知事賞】
『私をくいとめて』(大九明子監督/日本)
 
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第33回東京国際映画祭 動員数 <速報値・11月9日は見込み動員数>
公式上映動員数/公式上映作品数: 40,533人/138本 *10日間(第32回:64,492人/183本 *9日間)
公式上映作品における女性監督作品の比率(男女共同監督作品含む)16.7%(138本中23本)
その他リアルイベント動員数: 7,272人
オンラインイベント動員数: 847,873人
共催/提携企画動員数: 約33,000人
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