第33回 東京国際映画祭(TIFF) 受賞者記者会見レポート

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (観客賞/東京都知事賞 受賞者:大久明子監督、のん)

【画像】第33回東京国際映画祭 (33rd Tokyo Internatinal Film Festival)

第33回 東京国際映画祭 (TIFF)
観客賞/東京都知事賞 受賞者記者会見

主演・のん&大久明子監督が登壇!!
観客賞は『私をくいとめて』が受賞🏆

11月9日(月)、第33回東京国際映画祭(33rd Tokyo Inernational Film Festival / TIFF)が閉幕を迎え、TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われたクロージングセレモニーで、映画『私をくいとめて』が観客賞/東京都知事賞を受賞したことが発表された。クロージングセレモニー終了後、トロフィーを受け取った大久明子監督と主演女優ののんによる受賞者記者会見が行われた。

大久明子監督&のん受賞を受けての挨拶

大九監督: 今年コロナ禍で様々な困難がある中、栄えある観客賞を受賞しとても光栄です。映画館に来るという喜びをかみしめて、今回私自身もいろいろな作品を拝見させていただきました。まさか、私の映画が観客賞を頂戴できるとは思っていませんでしたが、大変嬉しいです。

のん: 黒田みつ子役を演じましたのんです。この度は観客賞という嬉しい賞を受賞し、喜びでいっぱいです。私ごとではあるのですが、何年ぶりかの主演映画で大九監督に呼んでいただいて、この映画に参加することができて心から嬉しいです。映画は観客の皆さんがいて初めて完成すると思っているので、たくさんの方に届いたのだという印の観客賞をいただいき感謝の気持ちでいっぱいです。本当にうれしいです。ありがとうございます。

—— 今年はコロナの影響でコンペを廃止し観客賞を据えたのですが、映画祭におけるコンペについてどう思われますか?また大九監督はご自身も、これまで審査員としても映画祭にご参加されていますが、今後TIFFが良くなるためにはどういうものが必要だと思われますか?

大九監督: コンペの賞と言うものは、これまでいただいたことが全くございません。観客賞はコンペに入っていただいたものではあります。コンペという形で審査員をした経験もあるが一言でいうと大変不確かな賞だと思います。どういう審査委員が何人いて…と些細な違い結果がすごく変わってきますし、審査員の声の大きさでも変わってきます。だからこそ映画的だともいえるかもしれません。

映画祭の課題については 3年前も同じことを言った気がしますが、若者が少ない、これに尽きると思います。もちろんエイジレス、ジェンダーレスな状態で楽しむのが映画祭だと思うのですが、P&I上映に足を運ぶと若者がほとんどいない。私たち製作者にとってP&Iのみなさんはお客さんへの架け橋ですので、若い方々も必要なんです。若い世代がこれまでの映画界を見直し、壊すところは壊すなり、守るところは守るなりして受け継いでいってほしいと思っています。もちろんいくつになっても映画を楽しんで、そこに学問を見出し、研究し、情熱をかける大先輩方の一生懸命ゆっくり歩きながら席につくお姿を見て、心が震えますし、そういう方を追いかけて映画を作りたいとも思っています。

—— のんさんへ、さきほどの挨拶の言葉からも映画に久しぶりに主演した喜びや強い思いを感じるができました。のんさんにとって映画とは?また女優業とは何ですか?

のん: 私は本当に女優のお仕事が大好きで、ここに一生いたいと思っています。10代の時に一度、もし女優をしていなかったら何をしていたんだろうと考えたことがありましたが何も思い浮かびませんでした。実家にいる妹に尋ねてみたら、「その辺でのたれ死んでいると思う」と言われて、やばいやばいって(笑)。これは自分の生きる術だと思って気持ちが固まりました。

主演映画というのは本当に特別です。まずたくさん出番があって、一番セリフがある。ずっと大好きな演技をしていられるということが至福です。また映画は、本当にたくさんの方々の技術と脳を集結させて一つのシーンを作り上げていく、たくさんの人が一点を見つめて同じ目標に向かっていくという感覚が本当にたまらないです。主演はもちろんくたびれることもあるけど、良いものが撮れた時の感覚は他では味わえないです。

—— コロナ禍における映画祭に参加する意義、参加してみていかがですか?映画製作の現場も大変な状況下と思いますが、この状況で製作する意義はなんでしょうか?

大九監督: 今回TIFFがリアルで開催する道を選んだのは勇気ある選択。命より大事なものは何もないですから、スタッフの皆さんから緊張感を感じました。その中でチケットを買って、電車に乗ってわざわざ足を運んでくれた方たちの想いに報いたいと思って、どうぞ面白かったと思っていただけますようにと祈るような気持ちでした。

この作品は3月中旬クランクイン、4月中旬クランクアップの予定でしたが、4月の頭に緊急事態宣言が発令され、撮影中断を余儀なくされました。約2カ月ほど中断し、その間に脚本を書き直したりもしました。緊急事態宣言が明けたあとの撮影現場では、毎日体温を測る、フェイスシードをつけるなど、自発的に皆で知恵を出し合って健康を守りながら撮影を敢行しました。映画館も閉まり、不要不急という言葉が飛び交いましたが、映画は不要でも不急でもないと信じたいし思いたいので、今後も各製作者が細心の注意を図りながら作り続けていくべきだと信じています。

—— 今年の東京国際映画祭の出品作品の女性監督の割合は 16~17%と、まだまだ少ないように感じますがいかがですか?

大九監督: 商業映画の世界に入って13年くらいになりますが、当初はもっと女性のスタッフは少なかった。私が監督である時点で、1人女という性が増えるせいか、この組は女性が多いなという声が飛び交ったりしました。その度、「地球のバランスでいったらまだまだです」と言い続けてきました。その後、映画を作りたいことだけが唯一の欲望なので、お声をかけていただければ嬉しくて、「やります」と返事をして走り続けて気ましたが、その多くの理由は、「女性の監督だからお願いしたい」というものでした。

もちろん性別や国や育ちが全て監督という人間に影響を与えていると思うので、間違いではないと考えていました。それどころか女であるということが個性の一つに言われるなんて有利だな、とも思っていました。でもそれも本当に数年で終わり、だんだん腹が立ってきました。私は女の人生しか送っていないから女の人としてしか作品を作れないかもしれませんけど、男の監督にもそれを言いますか、と少し生意気に思うようになりました。きっとこの世に生きる女性なら、そんな思いをしたことが一度でもあると思います。

様々な不公平を味わってきて、そういえば、と振り返ってみると私を導いてくれた大事な人はすべて女性でしたね。小学校の時に作文をほめてくれたのも女の先生、四つの時から通っていた書道教室で戦争体験を楽しく話してくれて笑って生きる大切さを教えてくれた書道の先生も女性、商業映画の一本目を取らせてくれたプロデューサーも女性。なので、私はこれからも女性の後輩にはうんと優しく、たまには厳しくして、彼女たちの個性や才能を照らしていける存在に、そんな大人になりたいなと思っています。

[記者: 蒼山 隆之 / スチール写真: © 2020 TIFF]

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33rd TIFF 受賞者記者会見動画🎥

33rd TIFF 受賞者記者会見概要📝

【写真】第33回 東京国際映画祭(TIFF) クロージングセレモニー (観客賞/東京都知事賞 受賞者)

■開催日: 2020年11月9日(月)
 
■会場: TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン2
 
■登壇者: のん、大九明子監督(観客賞/東京都知事賞受賞作品『私をくいとめて』より)
 
■司会者: 中井美穂
 
【観客賞/東京都知事賞】
『私をくいとめて』(大九明子監督/日本)
 
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第33回東京国際映画祭 動員数 <速報値・11月9日は見込み動員数>
公式上映動員数/公式上映作品数: 40,533人/138本 *10日間(第32回:64,492人/183本 *9日間)
公式上映作品における女性監督作品の比率(男女共同監督作品含む)16.7%(138本中23本)
その他リアルイベント動員数: 7,272人
オンラインイベント動員数: 847,873人
共催/提携企画動員数: 約33,000人
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この記事の著者

Cinema Art Online

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