映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』レビュー
【画像】映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』メインカット1

映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』

 

妻の突飛な行動の真意は?夫婦の在り方を見つめ直す

映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』が公開された。一見変なタイトルだが、2010年、「Yahoo!知恵袋」に投稿された質問の書き出しだ。毎日のように死んだふりをして夫の帰りを待つ妻。理解を超える妻の行動に戸惑う夫。インターネット上で話題になり、翌年にはコミックエッセイとなった。このコミックを読んだ李闘士男監督が榮倉奈々と安田顕をW主演に迎えて、実写映画化!結婚3年目の夫婦がお互いを見つめ直すラブストーリーに仕上げた。

【画像】映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』メインカット2

前半はバラエティーに富んだ妻の死んだふりが次々と登場する。まずはケチャップを血のりに見せたシンプルな死体。シンプルとは不謹慎な表現だが、この後、エスカレートしていく妻を見れば、わかっていただけるはず。夫の立場だったら途方に暮れるだろうが、第三者として観ている分には面白い! 次はどんな死体なのか。楽しみにさえなってくる。

【画像】映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』場面カット

しかし、この作品はそこを楽しむだけのコメディ作品ではない。底辺にあるのはさまざまな夫婦の形と愛の在り方。前妻と3年で別れたバツイチの夫は3年目の壁を感じている。だからこそ、妻の突飛な行動が不安になる。上司や後輩夫婦の話を聞き、自分たちと比べてしまう。一方、妻は近所のクリーニング店でパートを始めた。妻に先立たれた老店主の言葉や年月を重ねた客夫婦の姿に、自分たちの未来を想う。

【画像】映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』場面カット

結婚はゴールではなく新しいスタートだと言われる。他人だった2人が一緒に暮らしていく。お互いを理解しようという気持ちを持ち続けることが大事なのかもしれない。夫は不安だからこそ、妻の気持ちを理解しようとする。やがて妻が送るサインの意味に夫が気づく。2人の大きな愛が伝わってきた。幸せのお裾分けをいただいた気分だ。「結婚っていいよね~」。思わず、スクリーンの2人に声を掛けたくなってしまった。

【画像】映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』場面カット

[ライター: 堀木 三紀]

映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』ポスタービジュアル

《ストーリー》

予測不能「ぶっとび妻」×超フツー「冷静夫」
結婚3年目、凸凹夫婦のちょっと変わった日常を描く、新しい愛のカタチ

サラリーマンのじゅんが仕事を終えて帰宅すると、⽞関で妻のちえが口から⾎を流して倒れていた︕動転するじゅんだが、「ククク……」と笑うちえの傍らにはケチャップ。ちえは死んだふりをしていたのだ。それからというもの、家に帰るとちえは必ず死んだふりをするようになった。ある時はワニに喰われ、ある時は銃で撃たれ、またある時は頭を矢で射抜かれ…次第にエスカレートしてゆく“死んだふり”。

最初は呆れるだけのじゅんだったが、何を聞いても「月が綺麗ですね」と笑うだけのちえにだんだん不安を覚え始める。寂しいだけなのか、何かのSOSのサインなのか―。ちえの謎の⾏動には、“秘密”があった。

 
出演者: 榮倉奈々、安田顕、大谷亮平、野々すみ花
 
原作:「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」(作:K.Kajunsky、漫画:ichida/PHP研究所刊)
 
監督:李闘士男
脚本:坪田文
 
配給: KADOKAWA
 
© 2018「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」製作委員会
 
2018年6月8日(金) 謎の〈妻ふり〉ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @tsumafuri_movie #妻ふり
公式Instagram: tsumafuri_diary
 

この記事の著者

ほりき みきライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど。

この著者の最新の記事

関連記事

カテゴリー

アーカイブ

YouTube Channel

Twitter

【バナー画像】日本アカデミー賞
ページ上部へ戻る