
映画『砕け散るところを見せてあげる』
㊗公開記念舞台挨拶
中川大志「見つけてもらえるのを待っていた」とウルウル
石井杏奈は過酷な役への覚悟と愛を告白!
アニメ「とらドラ!」「ゴールデンタイム」で知られ、言葉の軽快さで10代特有の空気感を表現し、広い世代から支持を集める竹宮ゆゆこの小説を初実写化した映画『砕け散るところを見せてあげる』が、4月9日(金)に全国公開された。
メガホンを取ったのはSABU監督、W主演には映画『坂道のアポロン』(2018年)、『覚悟はいいかそこの女子。』(2018年)で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞に輝き、本年は今作のほかに『FUNNY BUNNY』『犬部!』など4作の公開が控える中川大志と、2020年に解散したE-girlsのパフォーマーであり、『ガールズ・ステップ』(2015年)、『ソロモンの偽証』(2015年)で第58回ブルーリボン賞新人賞を受賞、女優としても高く評価される石井杏奈がタッグを組んだ。ほか、井之脇海、清原果耶、松井愛莉、北村匠海、矢田亜希子、木野花、原田知世、堤真一ら豪華キャストが脇を固めている。
4月10日(土)、新宿ピカデリーで公開記念舞台挨拶が実施され、主人公・濱田清澄を演じた中川大志とヒロイン・蔵本玻璃を演じた石井杏奈、清澄の母親役を務めた矢田亜希子、玻璃の父親役の堤真一に加え、SUBU監督が登壇!主演2人が体当たりで挑んだ過酷な撮影の裏側や、現場での様子を和気あいあいとした雰囲気の中で語った。
中川「映画を届けられることに感謝したい」
石井はオレンジのドレスで華やかに
マスクを着けながら詰めかけた観客の温かい拍手に迎えられて、キャストと監督が笑顔で登場した。まずは主人公の濱田清澄を演じた中川が、満場の観客を前にすでに感極まった様子で挨拶。「長い間待っててくださってありがとうございます」と噛みしめるように感謝を伝え、「こうして映画をお届けできること、みなさんとお会いできることに感謝したい」と約1年間の公開延期を経て初日を迎えた喜びを率直に語った。
衝撃的な秘密と傷を抱えた少女・玻璃を演じた石井は、華やかなオレンジ色のドレスで登場。「ようやく公開できたことを幸せに思います。完成披露報告の時はお客様がいなかったので、こうしてたくさんの方のお顔を見ることができてとてもうれしいです」と率直な思いを語った。
満点の夜空のようにラインストーンがちりばめられた黒ドレス姿の矢田は、「この場にみなさまと一緒にいられることが光栄」と笑顔。堤とSABU監督はそれぞれに感謝の言葉を述べて舞台挨拶はスタートした。



和やかなチームプレーに観客も笑顔!
“母”からの賞賛に中川は照れ笑い
満場の観客を前に「胸がいっぱい」と語る中川は、一年間の“熟成期間”を経て公開となった感想を聞かれると「堤さん(の役)に殴られ過ぎていろいろ忘れちゃいましたね」とユーモアを交えて回答。すかさずSABU監督が「僕は殴るなと言っていたんですけどね」と返し、堤が「脚本やないかい」とつっこむチームプレーを見せて観客の笑いを誘った。
石井が公開初日はイベントがなかったため、今日この場で実感を得たと話し、隣の中川が客席を見て自然とほほ笑みを浮かべる姿からは、出演者一同心から待ち望んだ日だった様子が強く伺えた。
続いて司会から、久しぶりに会う中川の印象について矢田への質問が。矢田は「撮影からかなり時間が経っての再会。面影はあるけれど、本当に立派な男性になって『(間に)なんかあったの?』と思うくらい」と答え、中川は照れ笑い。矢田は「“母”としてもすごくびっくり」と続けながらも、「もともとしっかりしていたけど、より大人っぽくなられて。カッコよくなって」と温かなコメントで“息子”の成長を讃えた。
中川は撮影から公開までの2年半の変化について聞かれると「20歳になったばかりの時に撮影して、ニキビが少しできている感じとかも『若いな』って。監督がきれいにしてくれましたけど」と再び照れた様子で撮影当時を回想。「そういうことも含めて、その瞬間にしかない表情や感じていることを残してもらえてよかった」と感慨深げに語った。
堤は“娘”石井との再会について聞かれると、「撮影の時は暗めの衣装で怪我もしていたりするから、雰囲気が全然違って…かわいいわぁ」とチャーミングに返し、観客の笑顔を誘った。穏やかな2人の様子に中川は「こういう微笑ましい会話を現場では見ていなかったのでホッとします」とにこやかにコメント。石井が特殊な親子関係を演じた現場では、堤が別人のようで「本当に怖かった」と告白すると、堤も「確かに撮影の時にはほとんど離さなかった」と同意。その後「普段は現場でも話す方なんだけど、(石井が)すごく集中していたから邪魔しちゃうけないと思ってオジサン2人で話していた」と堤なりの気遣いだったことを伝えた。
ハプニングとミラクル続出の過酷現場
濁流まみれでも爽やかな中川にSABU監督“○○で”
長回しで撮られる場面もあったという撮影現場。中川は当時の状況を「商店街や通学路のシーンでは、カットがかかって振り返ったらスタート地点が見えないくらい歩いていたこともあった」と思い返し「どんなハプニングあっても反応できるようしていた」と自分なりのアプローチ方法について語った。緊張感ある現場への恐怖はあったものの「映画で2人の会話だけで進むすごくいいシーンになっていて、僕は大好きです」と話し、お気に入りの場面になったという。
キャストへのアプローチについて聞かれたSABU監督は「任せられる2人だった」と信頼を口にした。現場でいい空気を作ることを大事に撮影を進める中、特に難しさを感じていた濁流の川が登場する場面でミラクルが起こったという。「(濁流の川を)どう作ろうかと思っていたら、撮影の3日前に台風が来てすごくイイ感じの濁流ができたので、これで撮ってやろうと」。
演じた中川はリアリティあふれる濁流に「普通は撮影のスケジュールが延期になるのに、“この流れでやるんですか”って。すごかった」と当時の衝撃を告白するも逆に火がついたようで、監督が当初撮影しないつもりだった場面にも自らチャレンジしたそう。しかし、最初仰向けの状態で川を流れる場面を撮影したところ「爽やかすぎる」との理由から“うつ伏せ”状態での撮影をすることになった、と過酷な現場を振り返った。
また、SABU監督は現場でもう一つのミラクルとして「UFOが現れた」と告白。映画の中の重要なモチーフにかけたユーモアあふれるエピソードに石井は素で驚き、中川が「そうだよ。知らなかった?」と乗っかると、再び堤が「もうええわ」と突っ込む和気あいあいとしたトークが繰り広げられた。
石井は愛にあふれた役と向き合い覚悟
「私が一番玻璃を愛して、苦しい場面頑張ろうと」
映画の中で清澄はひたすらまっすぐに玻璃を想い、守ろうとする。自身に似ているのではと問われた中川は、「清澄は言葉のチョイスにセンスがある。空気感や自然体なところも僕はすごく好き。自分自身の本当にピュアな部分で向き合わせないとこの役は成立しないと思っていたので、とにかく玻璃に集中することを意識しました」と真摯に返答。一方の石井は、自身の役作りについて「小説を読んだときにすごく好きだった役。不器用だけど、玻璃からは愛をたくさん感じたので、自分が演じていく上でもいろいろな人に愛を与えていかなきゃいけないと思いました。だから、とにかく自分が一番玻璃を愛して、どんなに苦しいシーンでも玻璃と一緒に頑張ろうという思いが根底にありました」とゆっくり噛みしめるように語った。
SABU監督は、自身にとっての印象的なシーンを問われると、やはりクライマックスの場面はリハーサルを念入りにしたと回答。「緊張しましたが、この映画の中でもとてもアート的な部分なのできっちり撮りたいと思って。すごくきれいで、でも残酷ないいシーンになったと思います」とストーリーを描く上での重要さのみならず、映像の描き方としても大切だったという場面へのこだわりに言及した。
一年越しの公開に出演者が熱い想いをメッセージ
最後にキャスト全員から映画を観るファンへのメッセージが。SABU監督は「あちこちで面白かったと言いふらして」とユーモラスにコメント。
堤は「自分でも観ても素敵な映画でした。若いお客さんが多いと思うけれど、僕ら子育て世代の人にも観てほしい。もしよかったら次はお父さん、お母さんと劇場に足を運んでください」、矢田は「みなさんの心の中に残る作品になったらいいなと思います」、石井は「きっとこれからの人生で私にとってのヒーローになる作品です。同じようにみなさんの中でもヒーローになることを願っています」とそれぞれの想いを語った。
そして中川は「撮影からここに来るまでに2年半かかりました。本当に僕たちの仕事は観てもらって完成するもので、どんな作品でもお客さんの顔を想像しながら作っています。一個の作品をこうして届けられるのが奇跡だと感じます。この映画も玻璃と同じように誰かに見つけてもらえるのを待っていたと思うので、今日みなさんに見つけてもらえて感謝しています。僕もまたこの作品とともに頑張っていきたいです」と熱い思いを打ち明け、会場からは惜しみない拍手が贈られた。
ラブストーリー、サスペンスといったジャンルの枠組みを超え、胸に痛いほどの純粋で衝撃的な“愛の物語”を描いた『砕け散るところを見せてあげる』は全国で好評上映中。
フォトギャラリー📸
イベント情報
映画『砕け散るところを見せてあげる』公開記念舞台挨拶■開催日: 2021年4月10日(土) |
映画『砕け散るところを見せてあげる』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》常識を覆す、衝撃の愛の物語 平凡な日々を送る濱田清澄はある日、学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な少女・蔵本玻璃に出会う。玻璃は救いの手を差し伸べてくれる清澄に徐々に心を開くようになるが、彼女には誰にも言えない秘密があった…。その秘密に気づき始めた清澄に<恐るべき危険>が迫り、友人の田丸や尾崎姉妹も心配する中、物語は予測できない衝撃の展開を見せていく。この物語は、ラブストーリーなのか、サスペンスなのか…。ラストは、世代を超えた壮大な愛に包まれる。 |
監督: SABU
新宿ピカデリー、イオンシネマ他にて全国公開!
公式Twitter: @kudake_movie
公式Instagram: @kudake_movie