初主演で経験した“忙しさ”が主人公の新人ADをリアルに体現していた
—— 3年経って主人公の村田美希と同い年になりましたが、撮影当時を振り返ってみていかがですか?
主演だったので、色々気を遣わなければいけないと感じていました。“ずっと作品に出ているから、作品が成立するよう頑張らないといけない”という責任感を持っていて、現場にどうやって立っていればいいんだろうってすごく考えていました。当時は無駄に責任を背負おうとしていました。
—— 主人公に共感する部分はありましたか?
撮影の時はいっぱいいっぱいで、(43分の映画を)4日間くらいで撮ったので、あまり寝る時間もなかったんです。私自身も詰める時間があまりなかったので、監督の横で前日までへばりついて話していました。
インタビューがあるって聞いて久々に台本を開いたんですけど、その時の気持ちとかメモ書きがたくさん書いてあって。今だったら肩の力も抜けているから、「もうちょっとこうすればいいんじゃないか」とか考えられたんですけど、撮影当時はその状況でいっぱいいっぱいでした。当時の自分と演じた美希は、やりたいもの、ビジョンがあるのにそこにいけない現実とただただ疲弊していく日々が似ているんじゃないかなと思いました。
—— 主人公と同じく、忙しい日々を送っていたのですね。
スケジュールが主人公の境遇と似ていたので、普段だったら「目が開いていないといけない」とか思うんですけど、それもいいのかなって。撮影スケジュールもタイトだったことで、逆にリアルに演じられているのではないかなと思います。
—— 撮影では葛飾区の色々な場所を回ったと思いますが、実際に葛飾の街に行ってみて印象に残っているエピソードはありますか?
街にいる方々やインタビューした子供達、お店の方は実際に葛飾の方だったので、アットホームじゃないですけど、迎え入れてくれているなと感じました。撮影がタイトだったので、色々な人に支えていただいて助かりました。
—— 永井監督の実話が元になっている作品ですが、撮影中に監督から何かアドバイスやメッセージなどはありましたか?
上下関係がある会社とか、そういう組織に属している経験があまりなかったので、そのあたりの話は監督に直接インタビューして聞いていました。
—— 最後に、シネマアートオンラインの読者の皆様にメッセージをお願いします。
冒頭主人公が疲れ果てているところから始まる映画ですけど、笑って観てほしいです。日常、見過ごしてしまうことだったり、気づけなかったことを改めて自分の中で気づける映画なので、反面教師とかにしてもらえたらなと思います。気軽に観ていただけたら嬉しいです。
プロフィール
上原 実矩 (Miku Uehara)1998年11月4日生まれ。東京都出身。 俳優・モデル。映画『君に届け』(2010年)で俳優デビュー。独特な個性から、『暗殺教室』(2015年/羽住英一郎監督)、『来る』(2018年/中島哲也監督)や『青葉家のテーブル』(2021年/松本壮史監督)など 多数の映画やドラマ、大手企業広告に出演。主演を務めた『ミューズは溺れない』(2021年/淺雄望監督)では、第22回TAMA NEW WAVE コンペティションでベスト女優賞を受賞。 |
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映画『この街と私』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》ADをしている23歳の村田美希(上原実矩)は、お笑いの番組が作りたくて制作会社に入った が、深夜に街の良さを紹介する関東のローカル番組「この街と私」の担当として休みなく働 いている。彼氏の翔也(佐野弘樹)と同棲している部屋には寝に帰っている状況で、彼氏の 話もろくに聞けていない。ある日、お笑いの特番に企画を出したものの、一蹴されてしまっ た美希だが、『この街と私』の街頭インタビューを初めて一人で任せられる。撮ってきた素 材を見たディレクターに、「使えない」と言われた美希は… |