映画『よだかの片想い』プレミア上映会舞台挨拶
松井玲奈、念願の夢叶う!!
大好きな小説が「誰かに寄り添える優しい映画」に!!
2018年に「ファーストラブ」で第159回直木三十五賞を受賞し、これまでにも「ナラタージュ」、「Red」などの著書が映画化されてきた作家、島本理生の傑作恋愛小説「よだかの片思い」(集英社文庫刊)が城定秀夫による脚本、そして安川有果監督により映画化され、9月16日(金)に公開される。
8月22日(月)、プレミア上映会舞台挨拶が新宿武蔵野館で行われ、上映前の会場に主演の松井玲奈 、中島歩、脚本を担当した城定秀夫、そして安川有果監督が登壇した。
待望の出演に「やっとひとつの夢が叶った」
顔の左側にアザのある大学院生、前田アイコを演じた松井。「やっとひとつの夢が叶った気持ちです。うれしさもありながら、大好きな作品とキャラクターを演じきれるかどうか、不安な気持ちの中にいたなと思います」原作者である島本の大ファンでもある松井は、何度も読んでいる作品だからこそ、物語に自分を合わせにいってしまいすぎないだろうかと葛藤していたと明かした。
中島が演じるのは映画監督・飛坂。「映画監督役だからといって特に意識はしてないですね。セリフやシーンをこなしていけば映画監督のように見えるので、いわゆる映画監督らしい“やらしい目つき”といったようなことは考えませんでした」とジョークを交え会場を笑わせる。「ただ撮り終わってから考えたんですが、人に対して少し壁があって神経質なアイコの心の中に入っていけるような人物であるということは意識していました」 と話す。それを聞いた松井は「飛坂さんはつかみどころがなくて、風船みたいにどこかへふわふわ飛んでいってしまいそうな空気がありました。彼に向き合っているときはいつも〝ひもをつかんでいたい、離したくない〟という気持ちで、お芝居を受け止めていました」と振り返った。
朝から夜中まで話し合い出来上がった城定の脚本に安川監督感謝
脚本ではバランスを意識したという城定。「原作で扱っているテーマは繊細ですが、読後感は非常にさわやかで、そこを残していけたらと思いました。社会派的すぎても軽すぎてもいけない。ものすごく長い時間打ち合わせを重ねていった思い出深い作品ですね。監督はけっこう粘り強いなと思いましたよ。朝から夜中まで話し合うこともけっこうありました」と語る。
安川監督も「顔にアザがある女性が主人公ではありますが、彼女を悲劇的に描いていないんです。ポップなテイストで読み進められるのが新鮮で、その感覚を大事にしたいなと思っていました。バランスがすごく難しくて、それでバチバチとやっていたこともあったり……。でも最初の構成がしっかりしていたおかげで遊びの部分を作れたので、撮りながら城定さんに感謝の気持ちを感じました」とお礼を述べていた。
『飛坂さんがいる!』と中島を松井が大絶賛!
お互いの演技について中島は「アイコはちょっと神経質になっていて、シリアスになっている印象でした。撮影の空いている時間にそこまで話していないので、松井さんがどういう方かいまいち知らないんですが(笑)。できあがったものを観て、松井さん自身がお持ちであろう繊細さがアイコに反映されていると感じました。それで生々しいアイコ像ができている」と松井が演じたからこそのアイコだったと話すと松井も「私は中島さんと初めましての瞬間から、『飛坂さんがいる!』と思ったんです。すごくナチュラルなトーンのまま映画の世界の中にいてくれて、今でもまだ飛坂さんと一緒にいるんじゃないかという気持ちのままです」と中島の方を見ると、中島は「原作を読んでいる人は、(飛坂役のキャストについて)いろんな人を思い浮かべたと思うんです。それで僕が演じることになって『この人誰だろう』って思われたら嫌だなと考えてました。それを聞けて本当に泣きそうです」と返していた。
松井玲奈の屈折した片想い
作品にちなんだ“初めての片想い”についてMCから聞かれた松井は「『FINAL FANTASY X』というゲームが好きで、その主人公のティーダという少年が大好きでした!二次元なので叶うこともなく、ずっと片想いをしていたんですけど、私の大好きなヒロイン・ユウナを守ってくれる“私の好きな人を守ってくれる好きな人”という屈折した歪んだ片想いでした」と話す。一方中島は「自分はずっと片想いしています。電車の中、ホームの向こうの人、道路にいる人、喫茶店のお姉さん。1日に2、3回してるんじゃないかな」とまさかの暴露!会場が笑いに包まれた。
最後に登壇者から城定は「青春映画になっていると思います。中島さんが演じた役を、嫌なやつだと思われると嫌だなと思っていましたが、くずなんですが、憎めない感じで中島さんが演じてくれてよかったと思いました。松井さんの念願の想いを無駄にしないように書きました」
中島は「主人公のアイコさんは顔にコンプレックスがあるんですけど、コンプレックスは誰しもが何かしらどこかに持っていると思います。そういうものを乗り越えるでもなく、解決するでもなく、この映画ならではの落とし所があるので、そういうところにも注目してもらいたい。自分を重ねられる『みんなの映画』だなと思いました」
松井は「ずっとずっと、好きだ好きだと言い続けていたらステキな1本の映画になりました。誰かに寄り添える優しい映画です。アイコという1人の女の子が恋をして、その恋の炎が周りから風を送ってもらったり、時には断ち切れそうになりながらも一生懸命燃やしている。そんな作品になっていると思います」
安川監督は「撮影で1番印象に残っているのが、松井さんの傍らにはいつも原作小説があって、そこに夥しい数の付箋がついていました。それを目の当たりにした時に、その熱量に負けないくらい私も頑張らないとな!と奮い立たせてくれるものがありました。松井さんがもっている凛とした部分や所作が嫌味なくアイコに落とし込まれていて。想い入れがある役を演じることは俳優さんにとってすごく素敵なことなんだな、そういう作品に携わらせてもらえて有り難い機会だったなと思っています。白黒つける映画ではないからこそ、観た後に話し合いたくなる映画を目指しました。残るものや、考えをめぐらせるきっかけになれば嬉しいです」と挨拶し舞台挨拶は終了した。
イベント情報
映画『よだかの片想い』プレミア上映会舞台挨拶
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映画作品情報
《ストーリー》物語の主人公は、理系女子大生の前田アイコ(松井玲奈)。彼女の顔の左側にはアザがある。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、友人の編集者・まりえ(織田梨沙)の紹介で、監督の飛坂逢太(中島歩)と会う。話をするうちに彼の人柄に惹かれ、作品にも感動するアイコ。飛坂への片想いを自覚してから、不器用に距離を縮めていくが、相手は仕事が第一で、女性にも不自由しないタイプ。アイコは飛坂への想いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる・・・。 |