- 2018-6-17
- イベントレポート, ショートショートフィルムフェスティバル&アジア, セレモニー, レッドカーペット
SSFF & ASIA 2018
レッドカーペット&アワードセレモニー
世界初「ジョージ・ルーカス アワード」は
シンガポールの実力派・イーウェイ・チャイ監督作品が受賞!
米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 2018(略称:SSFF & ASIA 2018)のアワードセレモニーが、6月17日(日)に東京・明治神宮会館で開催された。
《アワードセレモニーレポート》
MCの堀潤、望月理恵の2人が登壇し、開催の挨拶。盛大な SSFF & ASIA 2018 アワードセレモニーのオープニングを飾った。
東京ブランドプロジェクト発表!
シネマアンサンブル上映、小池都知事登壇・挨拶
東京の魅力を国内外に発信する“東京ブランドプロジェクト”の一環として、SSFF&ASIA 2018のオフィシャルコンペティションにノミネートされた、マリアンヌ・ファーリー監督(カナダ)、ペドロ・コヤンテス監督(スペイン)、ジネット・アウ監督(シンガポール)の3名が新鮮な感性で「東京」を映像化、新たな東京の魅力を引き出し、製作したコラージュ映像『Tokyo Cinema Ensemble』の上映があった。
東京の【Morning】【Day】【Night】をテーマに、銭湯、メイドカフェ、屋形船など、普段見慣れているはずの東京が、3名の監督によって、違った切り口で映し出されていた。
さらに、海外でも人気のある和楽器とロックバンドを融合させた、新感覚ロックエンターテインメントバンド【和楽器バンド】が描き下ろし楽曲を提供。太鼓や三味線の音が映像の躍動感と相まって、より東京の魅力を引き出していた。
和楽器バンドのギター担当、町屋は「和楽器バンドの音楽は、伝統の和楽器とデジタルミュージックをミックスしています。今回のショートフィルムも、新旧の東京が描かれていたので、僕が作った音楽の世界観とマッチしていました」とコメント。
本映画祭の共催でもある東京都から、小池百合子都知事が登壇し「2020年の東京オリンピック・パラリンピックはスポーツだけではなく、東京の伝統と革新を文化の面からも伝えられるきっかけになればいいと思っています。東京の魅力を国内外にもっと発信していくために、“SSFF & ASIA 2018”が大きな役割を果たしてくださることを期待しております」と力強い挨拶をした。
Cinematic Tokyo部門優秀賞(東京都知事賞)発表・授与
多彩な【東京】の魅力を発信するショートフィルムを全世界から募集し、世界68の国と地域から411本の応募の中から優秀賞が選ばれた。
優秀賞は、洞内広樹監督作品『東京彗星』(TOKYO COMET)。
洞内監督は「賞をもらって、勇気をもらえました。この映画は、1年後、東京に彗星が落ちてくるという設定ですが、いつ何が起こるかわからない現在、自分にとって大切な人を、今、ちゃんと大切にしているのか?というメッセージを込めて作った作品です」と受賞の喜びを語った。
オフィシャルコンペティション発表・授与・審査員総評
インターナショナル部門
アジアを除く世界各国から集まった5718作品の中から選ばれた優秀賞は、イタリア出身のアンドレーア・ブルーザ監督&マルコ・スコトゥッツィ監督作品『不思議なヤギ』(原題:MAGIC ALPS)。
登壇したプロデューサーのアンドレア・イタリアは「ありがとうございます。ここ10年でイタリアでは、移民問題が大きくなってきています。人間目線ではなく、動物の視点から描くことで違った切り口で描くことができたと思います」とコメント。
アジアインターナショナル部門(東京都知事賞)
日本を除いたアジア諸国から集まった1463作品の中から選ばれた優秀賞は、シンガポールで最も実力のある監督の1人である、イーウェイ・チャイ監督作品『カトンプールでの最後の日』(原題:Benjamin’s Last Day At Katong Swimming Complex)。
チャイ監督は「本当にありがとうございます。一生のうちに誰でも一度は訪れる性の目覚めの瞬間を、主人公の少年と共に分かち合ってほしいと思って作った作品です」と嬉しさのあまり震えるような声で語った。
ジャパン部門(東京都知事賞)
327の応募作品の中から選ばれた優秀賞は、手書きで書き上げる手法の小原正至監督作品『THE ANCESTOR』。
小原監督が「いろいろな所で批判を受けましたが、理解してくださった方がこんなにたくさんいて下さったことがとても嬉しいです。女性へのリスペクトを込めて作った作品です」と信念を貫いた思いを吐露すると、公式審査員であり、映画監督の三池崇史監督が「今後期待できる監督の作品に賞を贈りました。特に、小原監督の作品に感じられるように、自分が表現したいものを表現できる強さがショートフィルムにはあります」とショートフィルムへの期待を込めた総評を受賞者に贈った。
学生部門 supported by フェローズ 発表・授与
2018年新設部門。全国10拠点でクリエイターマネジメントサービスを展開する株式会社フェローズのサポートにより、国内の学生からショートフィルムを公募した。
公募対象作品は、国内の学生が製作した5分以内のショートフィルム。203作品の中から選ばれた優秀賞は、韓国出身の金賢奎(キム・ヒョンギュ)監督作品『COCKROACH』。
金監督は「このような大きな映画祭で受賞できたことを嬉しく思っています。ストーリーの展開が読めない作品を作りたくて作った作品です」とコメント。
受賞理由について、3名の審査員はそれぞれ、映画監督・樋口真嗣監督「群を抜いて面白かった!」。映画プロデューサー・伊藤伴雄氏「次回作を早く観たいと思った作品を選びました」。株式会社フェローズ 野儀健太郎社長「ワンシチュエーション、ワンカットの作品なのに、エネルギーが溢れていて、5分の作品がここまで面白いことに驚かされました」と優秀賞作品を大絶賛した。
ひかりTVアワード発表・授与・完成発表
昨年、第2回ひかりTVアワードを受賞した松居大悟監督が株式会社NTTぷららと共に製作した『スワブ』の予告編が上映され、松居監督、キャストの武田梨奈、細井鼓太が登壇。
本作について、松居監督は「感情が言葉になる前の状態、少年が何かに目覚める瞬間をとても美しく撮ろうと思いました」と青春の一歩手前の感情をテーマに製作した思いを語り、武田は「よだれを垂らすシーンも、アクションシーンも、下品にならずに美しく映るように演じました」と本作への意気込みを語り、子役の細井は「みんないい人で、面白くて、不思議で松井さんらしい作品でした。僕の役は、台詞ではなく表情で表現するので、難しい演技だと言われたけど簡単でした」と素直な気持ちを伝えた。
4KHDRで撮った本作は、光の明暗が鮮明に美しく見え、三次元のように立体的に見えるとのこと。ひかりTVで配信予定の秋が待ち遠しい。
第3回ひかりTVアワードは、倉田健次監督作品『ノヴェラ ピカレスカ』が受賞。
ジャパン部門ノミネート監督の中で、最も4Kの魅力を伝えることができる監督へ贈られた。倉田監督は「みんなにこの賞を持ち帰ることができて嬉しいです」と語った。
VR SHORTS発表・授与
国内の映画祭で初めて設立したVR部門。優秀賞は、フランスから、フィリップ・コラン&クレモン・レオタール監督作品『Kinoscope』。
レオタール監督は「フレームを気にしなくていいので、今までの映画とは全く違う撮り方ができました」と撮影方法についてコメントし、コラン監督は「2人とも日本は初上陸で、大きな文明に圧倒されました」と日本の印象について語った。
プレゼンターの森崎ウィンは、現在公開中の映画『レディ・プレイヤー1』に出演しており、「リアルの世界に『レディ・プレイヤー1』のようなヴァーチャルな世界が来るかと思うと、とてもワクワクしました。VRで撮影となると演じ手としては、360°気が抜けないですね」とコメントした。
LEXUS VR FILM AWARD発表・授与
ライフスタイルブランドLEXUSは、VRが持つ人の五感を刺激する力に共感し、新設されたVR部門にLEXUS VR FILM AWARDを設置。
VR SHORTSノミネート作品の中から、最も五感を刺激し“ワクワク”が感じられるVR作品、記念すべき新設アワードには、アメリカからアダム・ロフトン&エマニュエル・ヴォーン=リー監督作品『Sanctuaries of Silence』が輝いた。
登壇したサウンドデザイナーのD・クリス・スミスは「騒音に対する自然界へのインパクトを伝えた作品。新しい意味でのサイレンスは何かということを考えていただきたい」とコメント。
日比谷にある「LEXUS MEETS…」で6月17日(日)~6月24日(日)までの1週間、VR部門の作品を体験することができる。
CGアニメーション部門発表・授与
世界各国の新鋭CGクリエイターの最新作が、ここに集結!国内外のコンテンツ業界に多数のクリエイターを輩出しているデジタルハリウッド株式会社とコラボレーションで8年目を迎える。
856作品の中から選ばれた優秀賞は、ロシアからジャンナ・ベクマンベトヴァ監督作品『コトリのさえずり』(原題:Tweet-Tweet)。
登壇したプロデューサーのスヴェトラーナ・グスロワは、今後撮ってみたい作品について聞かれると「ロシアの昔話をテーマに撮っていきたい」と笑顔で答えた。
審査員3名、映画監督の新城毅彦監督は「言葉や音がない中で、観る人に何かを感じさせる作品は、常日頃から考えていないと表現できないので、今回とても感銘を受けました」。女優の中川翔子は「人生、命がテーマの作品は観る人の受け取り方によって変わる。審査中も何回も観たくなる作品でした」。デジタルハリウッド大学 杉山知之学長は「一番心を動かされた作品でした」とそれぞれコメント。
ノンフィクション部門 supported by ヤフー株式会社 発表・授与
本映画祭20周年を記念し、国内外のノンフィクションショートフィルムを専門に集めた新設部門。
優秀賞は、クルド系オランダ人のラベー・ドスキー監督作品『メリエム』(原題:Meryem)。
プロダクションアシスタントのメリエム・ディプテレが登壇し「この映画は現実に起きていることです。戦場に生きる女性達は、他に選択肢がなく、必要性に駆られてやっているということを観て、知って欲しい」と力強く語った。
審査員の、女優・菊川怜は「圧倒的に力強い現実を私たちに見せつけてくれた作品に決めました」。映画ライター・水上賢治は「これだけ世の中にはフェイクニュースが溢れているが、事実を積み重ねて作りあげてきた作品に決めました」とコメント。
ヤフー株式会社メデイア事業部から片岡裕が「我々の課題意識とノンフィクション部門の設立が重なりました。多くのニュースを多くの方々に観ていただいているが、実態はどういうことが起こっていて、当事者はどう考えているかがニュースを消費するだけではわからない」とノンフィクション部門に期待を寄せた。
グランプリ「ジョージ・ルーカス アワード」発表・授与
世界初となるジョージ・ルーカスの名を冠したグランプリ(オフィシャルコンペティション3部門の各優秀賞から選出)は、シンガポールのイーウェイ・チャイ監督作品『カトンプールでの最後の日』に贈られた。
この作品は、次年度、2019年 第91回米国アカデミー賞短編部門ノミネート選考対象作品となる。
公式審査員のリンダ・カンポス・オルシェウスキが「心温まる気持ちと少し切ない気持ちが両方こみ上げました。シンガポールからノミネートされて、受賞されたこと、本当に素晴らしいことだと思います」と祝いの言葉を伝えると、チャイ監督は「この映画の力を信じて下さった皆様、本当にありがとうございます」と嬉しさを表現した。
全てのアワード発表が終了し、本映画祭代表・別所哲也が「来年の取り組みにもご期待ください。映画の冒険を皆さんとこれからも続けていきたい。映画祭後半にも是非足を運んでいただき、受賞作品を観て欲しいです」とまだまだ続く映画祭について触れ、フェスティバルアンバサダーのLiLiCoは「本当にアットホームな映画祭です。ここで生まれた絆によって、更にたくさんの作品が生まれたらいいな」とショートフィルムの未来への可能性を語り、盛大なセレモニーは幕を閉じた。
[スチール撮影・編集: Cinema Art Online UK / 記者: 大石 百合奈]
レッドカーペット
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2018 概要■開催期間: 2018年6月4日(月)〜6月24日(日) 【SSFF & ASIA 2018 テーマ】「Cinema Smart」 〜想像⼒で⼈生を発⾒する〜 映画祭20周年の節目の年、私たちは「Cinema Smart」というコンセプトで、映画の価値を現代に問いかけ、映画祭に集まる人たちと一緒に考えていこうと思います。 |