- 2017-4-18
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ショートショートフィルムフェステイバル&アジア2017 特別記者会見レポート!
今年も米国アカデミー賞公認の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」(略称:SSFF & ASIA)が6月1日(木)から6月25日(日)まで、東京5会場、横浜・みなとみらいにあるブリリアショートショートシアターの計6会場で開催される。
4月18日(火)、SSFF & ASIA事務局(株式会社パシフィックボイス内)にて特別記者会見が行われ、ゲストにSSFF & ASIA代表の別所哲也氏、フェスティバルアンバサダーのLiLiCo氏を迎えて今年の開催概要などが発表された。
今年のテーマは “cinemaTIC cinemaTEC!” 。SSFF & ASIAは1999年に「アメリカン・ショート・ショート フィルムフェスティバル」として東京・原宿で始まって、今年19回目の開催。映画もエジソンが発明してからの約120年の歴史を俯瞰するという意味も込めて映画的な“Cinematic!”、また、映画の技術的な進歩や観る人の環境もYouTubeやスマホの登場でとても変化してきていることを“CINEMAtec!”という言葉で表現した。
SSFF & ASIA 2017オフィシャルWEBサイトで公開中のコンセプトムービーは、世界最初の映画と呼ばれているリュミエール兄弟の『ラ・シオタ駅への列車の到着』のオマージュ作品。ラ・シオタの駅と同じ構図で列車が入って来て、彼女が見ているVRの世界と現実の世界がクロスしていく世界を表している。
今年の応募数は、140以上の国と地域から、9,000本を超える応募があり、その中から厳選した250作品を上映予定。応募数が飛躍的に伸びている要因として、今年のアカデミー賞短編実写部門でオスカーを獲った『Sing/合唱』が挙げられていた。この作品は、SSFF & ASIA 2016のグランプリ作品で、クリストフ・デアーク監督からも「オスカーへの旅は、SSFF & ASIA 2016でグランプリを受賞したところから始まった」とコメントを貰ったという。『Sing/合唱』は、映画祭の「アカデミー賞プログラム」でリバイバル上映される予定だ。
また、6月1日(木)に渋谷ヒカリエで開催予定のオープニングセレモニーで、オープニング作品として上映される「シネマファイターズ」という企画が映画祭でプレミア上映される。この企画は、EXILEのHIRO氏が会長を勤める株式会社LDH JAPANとタッグを組み、小泉今日子、中山美穂、藤井フミヤなど数々のメジャーアーティストに詞を提供している小竹正人氏の世界観を映像化したもの。上映される6作品は、2016年のカンヌ国際映画祭短編部門の審査委員長を勤めた河瀬直美監督を始め、SSFF & ASIAにゆかりのある5人の監督がそれぞれの楽曲の世界観を見事に創り出している。
Shibuya Diversity Awardについても紹介があった。LGBTに代表される先進的なイメージの渋谷区。映画祭では、LGBT、ダイバーシティ、移民といった作品を集めて上映し、その中から1作品を表彰する。このプログラムをきっかけに、多様性の共通点を考えるきっかけになってほしいという思いが込められている。
また、Cinematic Tokyo部門も2017年にの新設部門。東京都の支援で、東京の魅力を国内外に発信する。上映される10作品の中の1作品が特別製作ショートフィルムで、フランスの名女優イレーヌ・ジャコブ(『ふたりのベロニカ』『トリコロール/赤の愛』)やタイの国民的スター、ジェームス・ジラユが出演する。各国で起こるドラマが東京を中心に交錯していくというストーリー。
そして、昨年設立された「BRANDED SHORTS」について、企業がブランディングのために作っているWebムービーを映画として評価する部門と紹介があった。物語の中にストーリーテリングがあり、観た人の気持ちが動く。それは企業目線からすると、「購買する」といったアクションにつなげていくということだが、限りなくエンターテイメントに近い。基本的にワンテーマ、ワンメッセージが多いショートフィルムと、5分~10分の尺で作られるBRANDED MOVIEはショートフィルムの作り手から見たら非常に相性がいい。今までなかなか活躍できなかったクリエイターにとってもチャンスにつながるのではないか。これからどんどん製作も進めていきたいと、時代に沿って柔軟に変化していくSSFF&ASIA。2017年の映画祭もますます期待が高まる。
次々新しい部門の立ち上げもあり、ますますSSFF & ASIA 2017が楽しみだ。
[記者: 大石 百合奈 / 編集: Cinema Art Online UK]
SSFF & ASIA 2017 特別記者会見 別所哲也 × LiLiCo ゲストトークゲストとして登壇したのは、フェステイバルアンバサダーのLiLiCo氏とSSFF&ASIA代表の別所哲也氏の2人。会場は見所を語る2人の熱い思いが届いたかのように盛り上がった。 ◆CINEMA FIGHTERSについて別所哲也氏(以下:別所): FIGHTERSというのは、まさにシネマを通じて戦おうとしている映像戦士たちのこと。光の魔術が輝いている河瀬直美監督を始め、ショートショートフィルムから世に出て行った落合賢監督や常磐司郎監督たちが作詞家の小竹正人氏の音楽の世界にインスパイアされてショートフィルムを作ったという6本の作品が公開されます。 LiLiCo氏(以下:LiLiCo): 雰囲気がすごくいい!河瀬監督っぽい感じがすごくする映画でした。 ―― 記者会見の前にショートフィルムを観て、号泣していたLiLiCo氏。どの作品を観ていたのですか?LiLiCo: CINEMA FIGHTERSでプレミア上映される齋藤俊道監督の「色のない洋服店」を観て、観た直後は、綺麗だな、やっぱりカラフルな方がいいよねという印象なんだけど、深く考えれば考えるほど人間の芯の部分にすごく刺さる作品でした。人の心にハッと入り込む作品て、長さじゃないんだな。可愛い作品だけど、後からついてきて、肩におんぶしている感じがします。 ◆『Sing/合唱』(SSFF&ASIA2016グランプリ作品 / 第89回米国アカデミー賞 短編実写部門受賞作品)について別所: ハンガリー出身のクリストフ・デアーク監督に光が当たって、この先ハリウッドでも長編を作ることができるチャンスも得られるでしょうし、アメリカのアカデミー映画祭にこの作品を推薦したこともあり、世界的に私たちの映画祭が注目を浴びているなと実感しています。この映画祭でもリバイバル上映されるので、ぜひ観ていただきたいです!LiLiCoさん『Sing/合唱』どう思いました? LiLiCo: 子ども達が可愛いから、ついつい応援してしまうけれど、合唱団の先生も厳しい環境の中で生きてきて、世界一の合唱団を目指したいんだなと先生も生徒もどっちも応援したくなるような、社会で生きていくということを非常に考えさせられる映画でした。 別所: 人間の心理が凝縮されているショートフィルムでしたね。今年皆さんが観ていただいた作品の中のグランプリ作品や、良かったなと思った作品が次のハリウッドや次のカンヌにつながっていくので、開催中にも「僕はこれが好きだな」「私はこれが好き」とどんどん広げていってほしいですね。 LiLiCo: また、「Sing/合唱」の監督もそうでしたが、言ったことのない国の方と話せるというのはすごく嬉しいですよね。ハンガリー行ったことないけど、知ってるよ!と言いたくなります。 別所: ショートフィルムを通じて、シネマな旅を各国していただけますし、アメリカや一部ヨーロッパの作品は観る機会があるけど、南米や北欧の作品が一同に介すのはこの映画祭だけではないでしょうか。 ―― カトリーヌ・ドヌーヴ主演の「4XD」はごらんになりましたか?LiLiCo: 日本初上陸ですよね!綺麗すぎて口を開けて観ちゃいました。女性らしい仕草や表情のヒントになればいいですね。映画がすごいのは、真空パックされているから、あの頃のカトリーヌ・ドヌーヴを観ることができて、余計に好きになる方も多いと思います。 ◆Shibuya Diversity Awardについて別所: 今年の新しい試みで、僕も渋谷区観光協会の名誉理事に就任いたしました。スクランブル交差点に象徴される渋谷区は、いろんな人がいろんな物語を背負って交差点を歩いていて、LGBTをはじめ、多用な人間のあり方、生き方を応援している場所でもある。多用な表現をShibuya Diversity Awardと共に感じて欲しいと思っています。 LiLiCo: 一番盛り上がっている渋谷のハロウィンでカメラを回しているだけで、1つのショートフィルムできちゃいそうですね。 ―― 渋谷に対する印象や、渋谷で開催する意義は何ですか?別所: スクランブル交差点に象徴されるように、外国人がまず訪れたい場所、渋谷を基点にいろいろな場所に行きやすいようにしてくれている場所ではないか。新しい生き様やカルチャーを生み出していくエネルギーが溢れていると思います。 LiLiCo: 日本に来て、いろんな場所に行きましたが渋谷を見て初めて日本を見たと思いましたね。あのスクランブル交差点は、最初映画で観た“戦”かと思いましたよ。駅前の高いビルの中にショートフィルム専用の劇場を作りたいですね! ◆BRANDED SHORTSについて別所: ぜひ企業がどういった取り組みをしているのかそこに映像作家や映画界がどう寄り添っているのか、一緒に何をやっているのかご注目いただきたい。来ていただいたお客様には、優しく楽しくショートフィルムを笑い飛ばしたり、心動かされたりしてほしいです。 ―― BRANDED SHORTSに対する今後の期待を教えてください。別所: 様々な企業がこれからお客様とサービスでどう繋がっていくのかを紐解く鍵を握る映画になっていくのではないか。映画祭にも、今インターネット上でたくさんの人の心を動かして共有されているような作品が一同に介しますから、広告業界の方たちにも観ていただきたいです。 ―― 別所さんは、ショートフィルムの監督の中からいずれ一億円プレーヤーが出てくるとおっしゃっていますが、兆しは見えていますか?別所: 見えていますね!インターネット上で短編映画だけの配信広告モデルも生まれてきているし、欧米では短編映画だけでキャリアをつなげていく映像作家も生まれている。日本でもCINEMA FIGHTERSという試みを中心に生まれていくと思いますし、映画祭を通じてたくさん応援したいと思っています。 この映画祭でお会いする人たちって、みんな映画が大好きで、表現することが大好きで、自分の力で一生懸命積み上げてきた人たちが集まっているのでそのファイトする気持ちでつながっているからすごく近く感じるんでしょうね。 [スチール撮影・取材: Cinema Art Online UK]
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ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2017 概要■開催期間: 2017年6月1日(木)~ 6月25日(日) |