映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶レポート
映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶

一緒にリアリティを感じる新感覚エンターテイメント!
劇場が立ち上がらない福山雅治のライブ会場と化す!!

『そして父になる』(2013年) から4年、是枝裕和監督×福山雅治主演の最新作『三度目の殺人』が2017年9月9日(土)より全国公開された。第74回ヴェネチア国際映画祭コンぺティション部門にも正式出品されている。初日2日間の観客動員数は17万9,256人と初登場第2位、9月18日(月・祝)時点で62万人を突破。本作品は、裁判で勝つために真実は二の次と勝利にこだわる弁護士・重盛(福山雅治)が、得体の知れない不気味な容疑者・三隅(役所広司)と被害者の娘・咲江(広瀬すず)との接点が明らかになるにつれて、弁護士として初めて真実を知りたいと切望し、一線を超えてしまう日本映画史に残る心理サスペンスである。

映画『三度目の殺人』

この大ヒットを記念して、2017年9月19日(火)にTOHOシネマズ スカラ座での上映後、公開記念舞台挨拶が開催された。超満員の劇場は、ほとんど女性の観客で占められており、コンサート会場かと思うほどの黄色い歓声と大きな拍手の中、主演の福山雅治と是枝裕和監督が登壇した。

イベントレポート

―― ひと言ずつご挨拶をお願いします。

福山: どうもこんばんは、福山です。ありがとうございます。お越しいただきまして、ありがとうございます。(観客席からの大歓声に)観終わった後ですよね。この映画を観終わった後の感じが、こういう感じのリアクションに思っていなかったので。でも、嬉しいです。今日は短い時間ですが、お付き合いください。よろしくお願いいたします。

是枝監督: たくさんのお客さんに来ていただけているようでホッとしています。今日は、よろしくお願いいたします。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

―― 観終わった後に観た人同士で話をしたくなるような映画ということで、事前にWEB上で一般の方々より福山さんと是枝監督に質問を募集しました。

Q1. 4年前の『そして父になる』以来のお二人の再タッグですけれども、お互いにあのときから比べて変わったなと思うところはありましたか。そして、『三度目の殺人』に続く、是枝監督と福山雅治さんの三度目のタッグはあるのでしょうか。

福山: 変わったなというのは、多分、監督も僕も確実に歳をとったと(笑)。『そして父になる』をこの間テレビでやっていて観ましたけれど、僕も若かったですけど、リリー(フランキー)さんも若かったですよね(笑)。あれっと思って。ちょっとスピード早いかなリリーさんと思ったのですけれども。あんまり時間が経っていない気がしていたのですが、観ると自分は自分で歳をとったなと思いましたね。

(三度目のタッグは)いやいや、それは監督(笑)。僕は、だってこの映画ではない監督のインタビューを読んだときに、監督自身が80歳位まで撮るとしたら撮る本数も自然と限られてくるので、なるべく積極的に精力的に撮っていきたいと仰っていらしたので、じゃあ、その中の1本と言わず何本でもという風に僕はいつも思っています。

是枝監督: 僕も思っていますよ。(福山雅治に演じてもらいたい役は)すっごい悪い奴。

福山: 当て書きですか(笑)。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

是枝監督: 本当に犯罪者をね。どこかで描きたいなっていうのもありますし、結構企画のキャッチボールはやっていますものね。この『三度目の殺人』に着地する以前にも、いくつか企画のキャッチボールをこんなのどうでしょうというのはやっているのですよ。だから、それが実現してくれれば良いなあと思っていますけれど。まずは。

福山: そうですね。嬉しいですね。犯罪者ですか。すごく悪い人。犯罪者か殺人犯かは分かりませんけれども、そういうのが観たいという方。それと違う役もきいてみるので、犯罪者的なものが観たいという方は拍手をいただいてもよろしいでしょうか。(会場から大きな拍手)逆に神対応パニーニ的なのを観たいという方。(会場からさらに大きな拍手)監督からメール来たの。「あれちょー面白かったですね」って。

是枝監督: パニーニ良かったです。直ぐLINEしちゃいました。

福山: そう、LINE来ました。(痛快TV)スカッとジャパンのね。

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Q2. ヴェネチア国際映画祭おつかれさまでした。レッドカーペットを歩く姿がとても格好良かったです。現地での反応はいかがでしたか。お二人から感想をきいてみたいです。また、現地での思い出深いエピソードがあればぜひ教えてください。

是枝監督: 受けとめてくれた感じがとても熱かったですし、あたたかかったです。一つだけビックリしたのは、上映中に公式上映で結構緊張してどんな反応をするのだろうかと観ているときに、福山さん(重盛)が鳥のお墓の十字架を棒で壊すじゃないですか。壊した瞬間に客席のイタリア人の方がね、何か声を出されたんですよね。「おおー」という。多分すごく敬虔なクリスチャンの方だったと思うのですけれども、そういう反応がやっぱりすごくビビットに感じられたので、そういうところが面白かったですね。

福山: 映画の内容のせいなのでしょうけれども、会場の空気もかなり硬質というか、空気がすごく硬い感じで。硬いっていうのは良くない硬さではなくて、観客の方が集中して入り込んでいるような緊張感をすごく感じました。僕は、この作品が終わったあと直ぐに拍手がくるような感じではないのかなと思っていたのですけれども、終わったか終わらないぐらいのときに、バッとスタンディングオベーションの拍手が始まったのは、ちょっと意外で良い意味での驚きでしたね。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治

(上映以外でのエピソードでは)僕は監督が上映が始まったときに、右手に座っておられたのですけれども、終わってバッとスタンディングオベーションのあたたかい拍手が始まった瞬間に、監督が僕の膝に手を置いたんですよ(笑)。監督はやっと安堵されたのだなとすごく嬉しかったのですよ。

是枝監督: ちょっと恥ずかしい。

福山: 僕はそのとき、一瞬、乗せられた手をつかもうと思ったのですが、いやちょっと待てよと思って(笑)。すみません。僕がそのとき、ギュッと握れば良かったのですけれども、それはちょっと照れちゃいました。すみません(笑)。

是枝監督: 握られたら、僕もちょっと照れていました(笑)

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

福山: でも、緊張感は僕らもありましたよね。

是枝監督: ありましたね。

福山: 本当に、この作品はどういう風に届くのだろうというのがありましたからね。

Q3. 映画を観終わった後、モヤモヤとした気持ちになりました。結果、誰がやったのか分からないからなのかと思いましたが、これは意図があってのことなのでしょうか。是枝監督の狙いなのか知りたいです。

是枝監督: 狙いです。狙いですね。

福山: (観客席に向かって)今日、初めて観た方はどれだけいらっしゃいますか。結構いらっしゃいますね。2回目ですという方は。

是枝監督: ありがとうございます。

福山: 3回目ですという方は。いやいや、もっと観ていますよという方は。わあー。では質問したいと思います。モヤモヤしているという方は、どれぐらいいらっしゃいますか。ありがとうございます。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

是枝監督: これはどうしたかったかと言うと、主人公の重盛がこういう事件を担当して、はっきり真実はつかめない。でも、判決はでる。街へ出たときに、多分すごくモヤモヤしていると思うんだよね。自分が果たして、何に加担をしてしまったのか。誰かを救えたのか。もしかすると、誰かを裁いてしまったかもしれない。そういうモンモンとしながらでも、彼も(司法の)システムの一部だから、次の裁判に向かわなければいけない。そういう主人公が置かれている気持ちを観た方も一緒に共有して、モヤモヤしながら劇場を出ていただくというのが狙いとしてはあったので、成功しているのかな。そういう楽しみ方も面白いですものね。どうですか(笑)。

福山: (演じる側のモヤモヤは)はい、していました。だから、インタビューとかでも、なんとか答えたのですけれども。これ監督、どうなっちゃうんですかとか、三隅は本当にやったのですかということは、監督にも聞きました。監督はこの映画を作るときに、最初からこれは参加型のエンターテイメントなんですという風に力説をしていらっしゃいました。

是枝監督: (力説)していました。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治

福山: 参加型なんですよと。もちろん、現実というのは、僕も監督もそうなんですけれども、みなさんどんな人でも生きていて、ものすごく気持ちよくスッキリ生きている人って多分大人になったら少ないと思うのですけれども。それが現実だと思うのですね。エンターテイメントに求められる要素の中に、スッキリするというのがあると思うのです。ディズニーランドもそうですし、コンサートもそうですし、映画もお笑いもそうですけれども、エンターテイメントに求める要素がスッキリするというのが一つある。でも、今回のこの映画は一緒にリアリティーを感じて、一緒にモヤモヤするというのが、新たなエンターテイメントだと監督が定義されたという。
是枝監督は: そうです。間違っていないです。

福山: ちょっと仕事でメキシコに行っていたのですけれども、メキシコで三回観た後、ボーと車で移動をしていたときに、あれ?三度目の殺人は二回目観たときの俺の解釈と違っているぞという風に急に気がついて、そのことを監督に直接伝えずに、スタッフに伝えて、「ちょっと監督にきいてみてくれ」って。監督は聞いたと思うのですけれども、「監督は僕の三度目の新たな解釈に何と言っていましたか」ときいたら、「うーん、まだその向こうがあるのです」と返されましたね(笑)。まだ、あるんだと思って。また、だから、ちょっと分からなくなっているのです(笑)。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治

Q4. 映画を拝見いたしました。19歳の僕には少々難しい映画でした。一度目は監督が作る世界観を感じながら観ましたが、次にもう一度観るとすると、どの角度から観ると、また違った面白さが得られますか。お二方のお答えをお待ちしております。

是枝監督: 20歳になって観ると、また違って観えるかもしれない。

福山: 今、それで思い出したのが、『地獄の黙示録』(1979年)という映画があって、その映画の印象的なシーンをよく覚えているのですよ。でも、どういう映画だったのかは、実は覚えていない。『ディアー・ハンター』(1978年)を観たときもそうだったし。そのときは、そのときなりの解釈があるのですけれども。これはこういうことを監督が言いたかったんだなって、そのときは何となく思ったんだけど、大人になって観返したりすると、また違っていたりするかもしれない。また、ちょっと覚えていなかったりもするので、また観返すとまた違うみえ方がする。よく考えると、70年代の頃に自分が観ていた洋画というのは、そういうのが多かったなと思って。19歳の彼が、また20歳になって、25歳になってこの映画を観たときに、多分絵は覚えているけれども、どんな内容だったか忘れているかもしれないけれど、新たな解釈は多分。

是枝監督: 生まれるでしょうね。重盛の側で観るのと、三隅の側で観るでも全然違うと思いますし、何度も観てくださいっていうのも、すごく申し訳ないのだけれど。大人になって、もうちょっと何年か経って観るとねっていうのも、本当は何度も来てくれた方がありがたいなって。難しいところですよね。これね。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

福山:(どういう角度からは)例えば、三隅目線で観てみるってそういうことかな。今は、重盛から入っていっていて、重盛から三隅に会って、だんだん重盛の目線でずっと追っていく構成になっている。

是枝監督: 基本は全部そうですね。

福山: 逆にじゃあ三隅側として、自分の中で三隅が何をしたかっていうのは、それは設定をしないと三隅目線は難しいかもしれないけれど、接見される側になって観てみるとか。広瀬すずさん演じる咲江目線で観てみるのも、全然違ってみえてくるのではないですかね。

是枝監督: 映画の最後の方ですずが演じた咲江が、「ここでは、誰も本当のことを話さない」って言うじゃないですか。今、聞いていて、これをもう一回見直したときに、誰も本当のことを言っていないと思いながら観ると、みえてくるものがきっとずいぶん変わるかなという風に思いました。

福山: みなさま、すごい「うーん」って、深いところで納得していただいた感はありましたね。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

是枝監督: (各役者からの自分なりの見解が届いたのか)あんまり、言ってこないですよね。

福山: 試写会のときに僕は行けなかったのですけれども、役所さんは、初号に行かれていて、一番最初に関係者全員が観ても良いですよという初号というのがあるのですけれども。そのときに役所さんが行かれていて、15時からの上映だったのですよね。僕はスタジオに入ってレコーディングの作業をしていて行けなくて。でも、役所さんからショートメールが入って。17時5分か10分位にショートメールが入って、役所さんだと思って開いてみたら、「素晴らしい映画でした」っていう風に短い文ですけれども、「安心してください」という風なのが入っていて。すごく熱い内容だったのですよ。ものすごく感動したという。僕はこの映画が好きだというようなのが伝わってくる内容だったのです。

(結末について役所広司と話したのか)僕はわりと今回の公開前後のプロモーションのときから、しつこく役所さんには何回かききましたよ。「ところで、三隅はやったんですか」って(笑)。イタリアの取材のときもききました。イタリアの取材人や外国人記者の方にもきかれていたのです。そうしたら、役所さんは、「アイム ノット ギルティ(私は罪を犯していない)」と言っていました(笑)。外国に来ても、「は、は、は」と笑っていましたね。世界的なジョークを飛ばしていましたね。世界の広司がジョークを飛ばしていました。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治

是枝監督: (映画を)作って渡した以上、半分以上は観た方のものだなと思っているので、全然そこはお任せしますけれど。この間、僕はベネチアからトロントへ回ったときに、トロントで来た取材の人が、それが答えだと言うつもりはないのですけれども、「『三度目の殺人』の三度目に殺されたのは何なのだ」ときかれて、「何だと思う」ときいたら、「トュルース(真実)なんじゃないか」とその記者が言ったのですよ。日本語だと殺人なので人なのですけれど、英語だと、「ザ・ザード・マーダー(The Third Marder)」となっていて、人じゃないものも含まれるらしく、これでそれが通るんだと思ったら、良い答えだなと思って。どこかで使おうと思っています。

福山: 使いましたね(笑)。

是枝監督: 今、使いました(笑)。

福山: 海外で上映をするときに、「ザ・サード・マーダー」というタイトルなんですね。

是枝監督: 良いでしょう。

福山: また、地鳴りのような拍手。腹の底で納得した感じですね。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

―― 会場からのご質問にも答えていただきます。

Q5.  是枝監督が雪のシーンにかなりこだわられたときいています。三人が寝転んでいるときに足跡が別の方向に流れていくのですが、あれは意図したものなのかを教えてください。

是枝監督: あれ、動物なんだよね。多分、あそこにいたウサギか何かの跡がちょうど良い具合に入っているのですよ。(重盛と三隅側に)別れているでしょう。意図にみえるでしょう(笑)。あれは地上にいると分からないんだよね。上にカメラが回ったときに初めて。動物の足跡があるのは分かっていたのだけど、あんな風にみえているっていうのは、すみません、後で気がつきました。後で気がついたら、これは何か意図にみえ

るなっていうので、消さずにそのまま残しました。

福山: という風に解釈として、そういう風に意図があるのではないかと取ってもらって良かったわけですよね。そういう風に思ってもらって。今のを聞いていたら、消そうと思ったら何だって消せちゃうので、消していないというのは、そういう風に何か一つプラスアルファに考えてもらうきっかけになるとして、あえて残したってことですよね。

是枝監督: 今の質問でまた良いことをききました。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

Q6. 今回、三回観せていただきました。私は建築をやっていて、是枝監督の作品にはいつも階段に注目をして観させていただいています。今回は、弁護士事務所の階段と裁判所の階段がすごく印象的だったのですが、いつも階段について考えられて撮られているのでしょうか。

是枝監督: 階段。

福山: 『そして父になる』のときも階段が結構。

是枝監督: ありましたね。

福山: 横浜にも。監督は、わざわざ階段を撮りに横浜まで行ってますよね。監督的に良い階段なんですよね。

是枝監督: あの法律事務所は、階段で選んでいますね。法廷の決め手は、正面玄関から真っ直ぐ上がっていくあの階段で決めているのですよね。階段、好きなんですよね。階段、大事なんですよね。

福山: 石の階段、好きですよね。

是枝監督: 石。あと、回っているやつとかね。

福山: 螺旋好きですよね。

是枝監督: ああやって人が降りてくるところを背中から撮って、切り返して下から撮って、色々な角度から撮れるのと光の入り方が変わるので。あまりアクションを撮るタイプではないのですけれども、階段で人を動かすとワクワクするのですよね。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 是枝裕和監督

福山: やっぱり、意図っていうのは届くのですね。伝わるのですね。

是枝監督: こだわったところがね。足跡はこだわったわけではないけれどもね。

福山: でも、そこにあった偶然を有機的に使ったのですよね。

是枝監督: そうですね。

Q7. 今回の映画で女の子にこだわられたのでしょうか。娘が全て出てきていますよね。三隅さんの娘、重盛さんの娘、被害者の娘、あと最後に小さい女の子と四回観たのですけれども。やっぱり、女の子なんだなと思っておききしました。

是枝監督: 重盛が三隅に対してどういう距離を詰めていくか、どうやって距離を詰めていくか、階段をどうやって登るのかを考えたときに、一つは雪景色という同じ原風景を共有しているというのがあって。もう一つは、同じように娘を持っていて、その娘との関係に失敗をしているという。最初に理解や共感は要らないと言っていた人間が少し距離を詰めるために登る階段を二つ用意したという感じなんですよね。そこで、ポスターに使わせていただいた三人は、父娘関係に失敗をしている三人という共通点を持たせようと思ってそういう設定にしました。それが入り口というか突破口になって、ガラスで隔てられている二人がすっと近づくというような気持ちでした。(最後の小さな女の子は)そこまで考えていませんでしたね。でも、言われるとそうですね。使わせていただきます。

福山: 今日も、またいただきましたね。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

―― ひと言ずつメッセージをお願いします。

是枝監督: 短かったですね。また、やりたいですね。チャンスがあれば、たくさん来ていただければ、またそんな機会もあるでしょうから。毎回、新作を撮るたびにこういう場を持たせていただいて、少しでも持って帰っていただけるお土産が増えると良いなあ。この映画を持ち帰っていただいて、あのときこう言われたけど、どうだったのだろうと思い返していただくきっかけになっていただければ、作った人間としてはとても嬉しいです。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

福山: 最後にみなさんに実際に質問をさせていただいて、その質問の一つが足跡がどうだったのですかとか、階段はとか、娘さんがということ。ストーリーの本筋や大筋のメインであるところ、そこに向かうべくとか、補強するべくとか、色々微に細に入り、頭から最後まで全部こだわりというか。当然ですけれども、少しずつ積み重ねていったものが映画というものになっているわけなのですけれども、やっぱり、届くものはちゃんと届くのだなというのを感じました。イタリアではイタリア、ヴェネチアではヴェネチアの届き方というものがあったし、この日本でも、すごく細かいところまでちゃんと届いているということが良かったなって思う瞬間ですよね。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治

やっぱり、よく思うのですよ。監督も色々と思っていると思います。周りのスタッフが監督に、「そこまでは観ていませんよ。人はそこは観ていませんよ」って。「いやいや、俺的にはこうなんだ」って。ものを作っているってそういうことになりますから。「いや、ここはそうだなあ、自分だけにしか分からないのかなあ。自分だけしかこだわっていないのかなあ」と思っていたことでも、ご覧になっていただいた方に、「あっ、そこを気づいてくれたんだ」ということが、報われる救われる瞬間であったので、今日は三つも教えていただいて本当に嬉しかったです。また、こういう機会があれば、こういう機会がなかったとしても(笑)、ラジオや色々なところに感想を送っていただければと思います。今日は本当にありがとうございました。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

観る者が一緒にリアリティを感じることができる新感覚エンターテイメントの『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶には、一度目だけでなく、二度目も三度も目も観た観客が詰めかけて、是枝監督の意図を読んだり、細かいこだわりに気づいたり、監督や出演者も想定外の推理がなされたりと、まさに相互交流の場であった。

日本映画史に名を残す心理サスペンス『三度目の殺人』をぜひ様々な目線からお楽しみください。

[スチール撮影: 久保 昌美 / 記者: おくの ゆか]
 

イベント情報

映画『三度目の殺人』公開初日舞台挨拶

■開催日: 2017年9月19日(火)
■会場: TOHOシネマズ スカラ座
■登壇者: 福山雅治、是枝裕和監督

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 福山雅治 × 是枝裕和監督

映画『三度目の殺人』予告篇

映画作品情報

映画「三度目の殺人」

《ストーリー》

勝利にこだわる弁護士重盛(福山)が、やむをえず弁護を担当することになったのは、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所)。解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴されている。犯行も自供し、このままだと死刑はまぬがれない。はじめから「負け」が決まったような裁判だったが、三隅に会うたび重盛の中で確信が揺らいでいく。三隅の動機が希薄なのだ。彼はなぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?重盛の視点で絡んだ人間たちの糸を一つ一つ紐解いていくと、それまでみえていた事実が次々と変容していく―。心揺さぶる法廷心理ドラマ。

映画「三度目の殺人」

監督/脚本/編集: 是枝裕和(『そして父になる』『海街diary』) 
撮影: 瀧本幹也(『そして父になる』『海街diary』)
音楽: ルドヴィコ・エイナウディ(『最強のふたり』)
撮影: 瀧本幹也(『そして父になる』『海街diary』)
美術監督: 種田陽平(『キル・ビルVol.1』『空気人形』)
出演: 福山雅治、広瀬すず、吉田鋼太郎、斉藤由貴、満島真之介、市川実日子、橋爪功 / 役所広司
製作: フジテレビジョン アミューズ ギャガ
配給: 東宝 ギャガ
コピーライト: © 2017『三度目の殺人』製作委員会 
 

2017年9月29日(土) 全国ロードショー!

映画公式サイト

公式Twitter: @SandomeMovie
公式Facebook: @tkg.movie
 

この記事の著者

おくの ゆかライター

映画好きの父親の影響で10代のうちに日本映画の名作のほとんどを観る。
子どものときに観た『砂の器』の衝撃的な感動を超える映像美に出会うために、今も映画を観続けている。

★好きな映画
『砂の器』[監督: 野村芳太郎 製作: 1974年]
『転校生』[監督: 大林宣彦 製作: 1982年]
『風の谷のナウシカ』[監督: 宮崎駿 制作:1984年]
『硫黄島からの手紙』(Letters from Iwo Jima) [監督: クリント・イーストウッド 製作: 2006年]

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