映画『三度目の殺人』
完成披露試写会レッドカーペット&舞台挨拶レポート
福山雅治、役所広司、広瀬すずほか超豪華キャスト勢揃い!!
『そして父になる』(2013年)から4年。是枝裕和監督と2度目のタッグとなる福山雅治をはじめ、名優・役所広司、『海街diary』(2015年)に続き是枝監督作品への出演が2作目となる広瀬すずという日本を代表する豪華キャストたちの競演が実現した。さらに、吉田鋼太郎、斉藤由貴、満島真之介ら実力派俳優陣が脇を固め、スクリーンの隅々にまで緊張感をもたらしている。是枝監督が近年描いてきたホームドラマから一変し、かねてより挑戦してみたいと考えていたという法廷を舞台としての心理サスペンス。日本映画史に残る超大作が誕生した。
7月31日(月)、映画の完成を記念して、超豪華キャスト・監督が登壇する完成披露試写会が開催され、上映前のイベントには初共演を果たした福山雅治、役所広司をはじめ、広瀬すず、満島真之介といった若手から吉田鋼太郎や斉藤由貴などのベテランまでが一同に集結!是枝裕和監督と共に華やかなレッドカーペットを歩くと、プレミア上映とゲストの登場を心待ちにする観客が待つスクリーンの舞台挨拶に登壇した。
《レッドカーペットイベント》
MCの呼びかけでキャスト・監督が姿を現すと観客の熱気は一気に急上昇!「ましゃー」という大歓声に包まれた福山は「ありがとうございます。あまりましゃーって言われると恥ずかしいんですけれども」と照れた様子を浮かべながらも「今日は皆さんに観てもらえることを楽しみにしてきました。よろしくお願いします」とコメントした。
役所は「監督の新たなジャンルの映画ができたと思います」、広瀬は「監督の作品は二作目なんですけど、今までに見たことのない監督の表情をたくさん見ることのできた作品だなと思っていて、どんな風に皆さんに届くのか楽しみだなと思っています」、吉田は「是枝監督、福山さんの代表作になるのではないかと思っています」とそれぞれコメントし、新たな是枝ワールドへの太鼓判を押した。
そんな中、斉藤は「広瀬すずちゃん演じる咲江のお母さん役をやらせていただいたんですけど、なかなか広瀬すずちゃんの首筋の匂いを嗅ぐことのできる機会はないと思うので、指示してくれた監督に感謝の気持ちでいっぱいです」と笑わせながらも、「とにかく是枝監督の作品に今回やっと念願叶って参加できたこと、本当に感謝しています。ありがとうございます」と是枝作品へ参加できた喜びを語った。
満島は「冬が一番似合わない男なんですけど、北海道で撮影をしてですね、雪の中で是枝監督が捻挫しておじいちゃんみたいに歩いている姿を見てがんばっていました。皆さん、本当にすごい映画になっていますので、楽しんでいってください」と持ち前の明るいキャラクターを活かしてコメントした。
最後に是枝監督は「今こうやって並んで自己紹介をしていただいているだけでも、本当に最高のキャストと一緒に映画を作ったなという、そういう実感に浸っております」と感慨深げに話し、「挑戦することの多い現場でしたけれども、やれることはすべてやりきったなという風に、出来上がった作品を観ても思っています。一人でも多くの人に、この映画を届けられればいいなと思っております」と締めくくった。
《サウンドバイツインタビュー》
★是枝監督へのインタビュー
―― 近年はホームドラマを撮り続けていらっしゃいましたが、今回法廷ものの制作を決めたきっかけはなんだったんですか?
並行して医療ミスを巡る話とか、考えていたものはいくつかあるんですけど、自分のなかで一番早く動いた形が、先に世界観が見えたのがこれだったのでというのはありますね。
―― 脱ホームドラマをこれからしていくなかで、こんなものを撮るのかという意外なものもでてきたりする可能性はありますか?
あんまりこう、いろんなものができますよーっていう世間ではないんですよね。ホームドラマって人間を描く基礎みたいなもの、デッサンみたいなものなんです。だからこう、デッサン力みたいなものをつけてみようと思って十年くらいやってきたんですけど、いったんそこから離れて歴史的な事件を扱ってみたりだとか、そういうところに広げていこうかなと、そういう感じには考えています。
―― 周りからもっとたくさんペース上げて作ってなどというプレッシャーはあったりするんですか?
ないです。ペースが上がるというよりも、自分の中でもっと撮りたいというものがあるので、周りはたぶんそんなにがんばらなくてもと思っていると思います。なのでたぶんこれ以上はあがらないと思います。
★吉田鋼太郎、満島真之介へのインタビュー
―― 撮影中に印象深かったエピソードを教えてください。
吉田: 河川敷で現場検証するシーンが日が落ちてからの撮影で、夜中の7時、8時~明け方の2時くらいまでかかったんですけど、それが異常に寒かったです。
満島: 本当にそうですよね。その前が北海道での撮影だったんですけど、全然河川敷のほうが寒くて。小さい手袋で温まりながらやっていました。
吉田: 現場の撮影で寒いっていうのは当たり前なんですけど、本当に寒くて。テントを立ててもらって、ストーブを炊いてもらって、待ちの時間はそこで三人(福山、吉田、満島)で話が弾んだことを覚えております。
―― さすが是枝監督だなと実感した瞬間はありますか?
吉田: 一発OKはまあ出ないです。少なくて1~2回、多くて7~8回。そのたびにどこを修正してるんだろうっていうような本当に細かいことなんですよ。言ったらミクロの部分。でもそのミクロの部分を積み重ねることで全体が大きく変わっていくということを今回実感しました。ミクロの部分が変わるだけで本当にどんどん変わっていく。それはすごいマジックだなと、とても言いたいです。僕らは取り直すごとにどんどん良くなっていくのがわかったから、普通もう一回といわれたら「えー」と言うのですが、今回はあまりそういうことを思わずやっておりました。
満島: 僕らが意図してないところにこのシーンをもってくるかというような、元々あった台本から試行錯誤をして、編集のなかで大幅に変え、自分の世界観にもっていくという監督の編集の力と、忍耐力と、執念は本当にすごいなと思いました。実際「あれ、こんなつもりでやってましたっけ」っていうシーンもあって、そういうのは人間のことをしっかり見てくださっているからこそのことだなと思っていて、また新たな是枝ワールドが誕生したと思います。
★広瀬すず、斉藤由貴へのインタビュー
―― 撮影中に印象深かったエピソードや辛かったことはありますか?
広瀬: 役所さん演じる三隅さんへの感情が常に苦しかったなって思います。法廷のシーンとかがそうで、目の前にして聞く言葉とか、言動とかは(演じた)咲江からすると苦しいものがずっと続いている時間だなと思いました。
斉藤: ちょっと全然違うことなんですけど、法廷のセットというのがとんでもなく素晴らしいセットなんですね。今なかなかそんなに素晴らしいセットって作れないと思うんですけど、しかもそんなに日数あるわけではないのに素晴らしいセットを美術さんが作ってくださって。なんかその感じだけでも、これだけスタッフが一丸となって素晴らしい作品にしようと、一つの自分の役割としていい仕事しようっていう熱がすごく伝わってきました。法廷のシーンは一つ見どころだと思うんですけど、セットも是非観てほしいです。
―― 共演されてお互いにどのような印象をお持ちになりましたか?
広瀬: 空き時間にお子さんと電話をされていたりとか、「お母さんだ」と思うことがあって、(この作品でも)お母さんと娘の役なので、なんかそこに親近感じゃないんですけど、全然気を遣わなかったりとか、なんか距離の近さのようなものを、一気に感じられて、お母さんとしての存在が印象的でした。
斉藤: すずちゃんとはカメラアプリで遊んだことがあります。それが思い出に残っている出来事でした。顔交換して遊んだりとかして結構大笑いをしていました。楽しかったです。
《完成披露舞台挨拶》
客席の通路からキャスト陣が登場すると、観客からは大きな歓声があがった。福山が「関係者以外の方々に観ていただくのは皆さんが初めてなので楽しみです。ラジオ等々に感想を送っていただければ」と早速PRを始めると、役所は「ましゃとすずっていう歓声の間を歩いていく寂しさったらないですね。映画には好き嫌いがあると思いますが、僕はこの作品が大好きです」とコメントし、序盤から和やかな雰囲気に包まれた。
続く吉田は「福山雅治です。嘘です、福山雅治に憧れている吉田鋼太郎です。この作品では福山さんの同期の弁護士を演じさせていただいております。同期っていう時点で無理があるんですけど」と自虐。満島も「何度見てもすごいですよね。観客側から見たくなるんですよ。幸せなんですよね、僕。濃い大先輩方とできることを幸せに思っていました」と話し、福山をはじめとして豪華俳優陣勢揃いの作品に太鼓判を押した。
本作が第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門への出品が決定したことに対し是枝監督は、「自分を世に出してくれた特別な映画祭なので、新しい作品を持って訪れることができるのは嬉しい」と控えめながらも喜びを語った。
是枝監督2作品目となる広瀬は「前作でカンヌ、またこうして一緒に作品をやらせていただいてヴェネツィアということで、いろんなものが想像できなさすぎてわかんないんですけど、この作品が世界を超えていろんな人に広がっていくのは嬉しいです」と驚きつつも嬉しさをにじませた。
撮影を振り返って吉田は「僕は福山さんと共演させていただくのは初めてで、最初は本読みから入ったんですけど、なんだこいつ、嫌な奴だなと思いました。目を合わせてくれなかったし、一言も口をきいてくれなかった」と最初の印象はあまりよくなかったことを告白。それに対し福山は「基本人見知りなんですよね。鋼太郎さんも実は人見知りなんじゃないかということで人見知りシンクロが起こって、一言も口をきかないことに」と弁解した。中でも共演シーンが多かったという福山、吉田、満島の三人はお酒を飲みに行ったり、激辛のラーメンを食べたりと撮影が進むごとに距離を縮めていったという。シリアスな作品にも関わらず、裏で走り回っていたという満島に対し福山は「ムードメーカーとして本当に盛り上げてくれました。こんなに人から嫌われない人がいるのか」と満島を大絶賛した。
共演した感想を問われると、役所が演じた三隅の存在感が話題に。福山は「本当に怖いんだけど魅力的な人で、殺人犯なんですけど引き込まれていくんですよね。本読みの時に初めて役所さんとお会いした時に、その段階で役としても一福山としても引き込まれていた。三隅に重盛の輪郭を作られていったという感覚でした」と語った。
広瀬との共演に関して福山は「監督やスタッフがすずちゃんに会うとみんな甘酸っぱい気持ちになるよっておっしゃるんですよ。そんなことないでしょうって思っていたんですけど、まあ、甘酸っぱい気持ちになりますよね。なんなんでしょうね」とコメントすると役所は「僕は斉藤さんを見ても甘酸っぱい気持ちに」と切り返し観客から拍手が起こっていた。
最後に福山が「とても文学的であり、同時に自分だったらどうするだろう、どう思うだろうとお一人お一人が参加できるエンターテインメント性の高い作品になっていると思います。ぜひ楽しんでいってください」と締めくくり、大歓声の中イベントを終えた。
[スチール撮影&取材: Cinema Art Online UK、小森 萌菜]
イベント情報
映画『三度目の殺人』完成披露試写会 レッドカーペットイベント&舞台挨拶■開催日: 2017年7月31日(月) |
映画作品情報
《ストーリー》勝利にこだわる弁護士重盛(福山)が、やむをえず弁護を担当することになったのは、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所)。解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴されている。犯行も自供し、このままだと死刑はまぬがれない。はじめから「負け」が決まったような裁判だったが、三隅に会うたび重盛の中で確信が揺らいでいく。三隅の動機が希薄なのだ。彼はなぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?重盛の視点で絡んだ人間たちの糸を一つ一つ紐解いていくと、それまでみえていた事実が次々と変容していく―。心揺さぶる法廷心理ドラマ。 |
撮影: 瀧本幹也(『そして父になる』『海街diary』)
音楽: ルドヴィコ・エイナウディ(『最強のふたり』)
撮影: 瀧本幹也(『そして父になる』『海街diary』)
美術監督: 種田陽平(『キル・ビルVol.1』『空気人形』)
出演: 福山雅治、広瀬すず、吉田鋼太郎、斉藤由貴、満島真之介、市川実日子、橋爪功 / 役所広司
製作: フジテレビジョン アミューズ ギャガ
配給: 東宝 ギャガ
コピーライト: © 2017『三度目の殺人』製作委員会
2017年9月29日(土) 全国ロードショー!