映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 レポート
【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎、YOU、枝元萌、山田洋次監督)

映画『こんにちは、母さん』完成報告会見

吉永小百合、大泉洋、永野芽郁ら豪華俳優陣が登場!!
山田洋次監督90本目となる東京・下町の親子を描いた作品が完成 

2020年、100周年を迎えた松⽵映画。『男はつらいよ』シリーズをはじめ、その⻑きに渡る歴史の中で松⽵が描き続けてきたのは、⼈の温かさを描いた⼈情の物語であり、《家族》の物語。そして、2023年。変わりゆくこの令和の時代に、いつまでも変わらない《親⼦》を描く山田洋次監督の最新作、映画『こんにちは、⺟さん』が完成。2023年9月1日(金)に公開となる。

【画像】映画『こんにちは、母さん』メインカット

山田監督にとって90本目となる本作は、劇作家・永井愛の同名戯曲を映画化した東京の下町で令和を生きる家族を描いた物語。主演に吉永小百合を迎え親子役として大泉洋が初共演する。昨年秋に製作決定以降、長年家族をテーマに作品を製作してきた山田監督の集大成となる作品になるのではと期待を集める。

3月15日(水)、ホテル雅叙園東京で完成報告会見が開催され、主演の吉永小百合大泉洋永野芽郁はじめ、会見で追加発表された寺尾聰宮藤官九郎YOU枝元萌、そして山田洋次監督が登壇した。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎、YOU、枝元萌、山田洋次監督)

山田洋次監督「いつも初心者のような気持ち」

映画化するきっかけについて「初めてこの戯曲を観たのは20年以上前のこと。何とかこれを映画にしたいなと思って、原作の永井愛さんにも何度もお会いして相談をしてきました」監督は、映画化するにあたり、一番悩んだのは主役を誰にするかということだったそう。「吉永小百合さんにお願いしたいけど、僕たちの世代のミューズをおばあちゃんにしていいのかとても悩みました。そして『やってもらえますか?』とお願いしたら、こともなげに『いいですよ』とおっしゃって。『じゃあやろう!』と」企画が始まった経緯を話した。

2年前から構想を始め、製作がスタートしたと本作について「映画というのはいい脚本と、素晴らしいキャスティング、信頼するスタッフが揃えば、7~8割うまくいくもんなんですよ。なので監督がやることはあまりないんです。だから僕は安心して現場に臨みました」と、当時を振り返る監督。

完成して、「もともと『こんな映画を作りたい』という『こんな』が、かなり抽象的で色彩や音楽で例えるほうが近いもので、今回『こんな』と思ってた作品を作ったんだけど、出来上がってみると全然違う色合いで、思っていたより軽やかな音楽が流れているようなね、そんなふうな感想を抱いてます。本当に出来上がるまでわからないもんだなぁと、何回も映画を作ってきていつものことですけど、驚いています」と感想を述べた。

90本目ということについて思いを問われると、「数が多いことは決して自慢できることではない。90本も作っておいてまだこの程度の映画かといわれちゃうようなそういう気持ちもあり、なるべく考えないようにいつも初心者のような気持ちで作ろうとやってきた気がします」と話した。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (山田洋次監督)

吉永小百合「おばあちゃんになれて本当に幸せでした」

足袋を作る職人の夫に先立たれてしまい、息子も離れて、ボランティアをしながら一生懸命明るく生きていこうとする女性を演じた吉永は「永井さんの原作では息子と二人なんですが、今回監督に『おばあさんってどうですか?』と聞かれて、『もちろんです』と言ったものの、後になって、引き受けるのは早まったかな?と思うこともありましたが、私はたまたま子供がいなかったからそう思っていなかったかもしれないけど、もうその歳なんだよなと自分に言い聞かせてやりました」と正直な胸の内を明かし、「舞ちゃん(永井芽郁さん演じる)のおばあちゃんになれて本当に幸せでした」と嬉しそうに語った。

この日ショートヘアで登場した吉永は「髪型は舞台で主役を演じた加藤治子さんの髪型を拝見してとても素敵だったので監督に提案しました」と明かし、撮影中のことについて「クランクインしてからは監督からこういう風にしなさいと言って頂いても、なかなか上手に出来なくて『ダメだ』なんて思いつつやってきましたが、最後は大泉さんにもサポートしていただいて励ましてもらいラストシーンは撮り終えることができました。だんだん歳を重ねると衰えることもありセリフを覚えにくくなるとか残念なこともあるのですが、やらせてもらえてよかったです」と当時を振り返った。

今回は恋愛までしているお母さんの役について聞かれると「今まで『母べえ』(2008年)、『母と暮らせば』(2015年)では男の方から想われるようなシーンだったんですが、今回は自分のほうから恋心をもって接することをやって難しいけど楽しかったですね」と新鮮だった思いを明かした。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (吉永小百合)

大泉洋「現場に入るともう母親としか思えない気にさせてくれた」

この役が決まったときのことを振り返り「吉永小百合さんからこんな息子は生まれないというお話をしましたが、現場に入ってみると『いや、生まれたかもしれない』という気がしました。現場にはもう母親としか思えない小百合さんがいらっしゃって、山田監督にも細かく演出していただき昭夫という役を演じることができました。振り返ると毎日がとにかく楽しくて、こんなに楽しい現場でいいのかなと。山田組の素晴らしいところは9時に始まって5時に終わるんですね。サラリーマンのように。そんな現場ってないわけでして、次の現場に入ったときにうちの娘が『山田組はよかったねぇ』と言ったくらい」と現場の様子を語った。

山田洋次映画作品初出演であり、初共演となる吉永について「小百合さんと過ごした時間も素敵でしたし、山田監督がたくさん話をしてくれて自分のシーンの話や昔の話なども聞けてそれがすべて宝物のようで、できれば全部録音しておきたかったです」とエピソードを明かした。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (大泉洋)

永野芽郁「山田組はすごいな」

『キネマの神様』(2021年)に続き2回目の山田組参加となる永野「2回目の参加なので、前回よりも監督に褒めていただけるように頑張ろうと思いました。山田組は現場の雰囲気がとても穏やかで、殺伐とする瞬間が全くなくて、どの部署の方も皆さん職人のようにいいシーンを撮ると向き合ってらっしゃる姿を見て『山田組はすごいな』と改めて思いました」と、撮影時を振り返った。共演した吉永について「吉永さんとの共演もこんな光栄なチャンスはなかなかないだろう、山田組だからこそ叶えて頂けると思いました。吉永さんの背中がすごく暖かくて、かわいらしくて、いつか私もこんな女優さんになりたいなと密かに思いながら過ごしました」と吉永への思いを語った。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (永野芽郁)

寺尾聰「安心して親元でやっているような感じでやれました」

寺尾が映画の世界に入ったころ、初めて主演に抜擢してくれたのが山田監督で、今回それ以来ぶりの出演となった。「役を聞いたときに全く縁のなかった牧師という職業で、出来るのか二の足を踏みましたが、山田監督が何度も近所まで『お茶を飲もう』と来てくださり、最終的にお引き受けすることにしました。デビューの時以来なので、安心して親元でやっているような感じでやれました」と、引き受けた時の様子を明かした。吉永との久しぶりの共演についても役柄についてとてもリラックスして臨めたとし「普段の自分とはかなりかけ離れた純粋な男だったのでかえってやりやすかったです」と、撮影時の様子を語った。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (寺尾聰)

宮藤官九郎「自分もこれでいいんだな」

映画監督でもある宮藤は「僕は4本しか撮ってないけど、映画の現場では楽しくてはしゃいじゃうんですけど。山田監督もセリフ足したり変えたり楽しんでいて、撮り方も工夫したり、撮り方で悩まれているのを見て「自分もこれでいいんだな」と思いました」と明かし、また、実際アドリブをたくさん振られてすべてそれが採用された現場の様子を語った。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (宮藤官九郎)

YOU「レジェンドたちと一緒に仕事ができることにびっくり」

出演が決まった時のことについて「まさかこのようなレジェンドたちと一緒に仕事ができることに、びっくりしています。私からすれば、教科書上の人とたちの中に、『なぜ私のような者が?』と疑問を持ちつつ呼んで頂いたので参りました」と、打ち明けた。「小百合さん演じる福江の家に出入りしているボランティアの仲間役なのですが、きっとやったことないチラシの折り込みを一生懸命してらっしゃる吉永さんの姿を見てかわいらしく、素敵だなとすごく見ていました」と撮影時の様子を振り返った。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (YOU)

枝元萌「初めての大きな役をいただき、まだ夢のような感じ」

大泉演じる昭夫の小学校からの同級生役に選ばれた枝元「初めての大きな役をいただき、まだ夢のような感じです。吉永小百合さんはじめスクリーンでしか見たことがない人たちなのに、何とか小百合さんと話たいと思ってたらとても気さくに話してくださって、一瞬で虜になりました」と喜びを語った。

撮影を振り返り「大泉さん『最終再就職先にしたって』という早口で言わなければならないセリフをテストでは一度も言えなかったのに、本番になった瞬間、間違えないところを見て本当にプロってすごいなと思いました」大泉の様子を明かした。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (枝元萌)

Cinema Art Onlineの記者からの質問への回答も
東京の下町という舞台への山田監督の思い

これまでの山田監督作品において見逃せないのは、その時代やそこに生活する人々をも映し出してきたロケーション。今回の作品の舞台となる東京の下町についてどのようなことにこだわったのかの問いかけに「東京の下町は1945年3月10日の大空襲で焼け野原になっちゃったところなので面影を見つけるのは難しい。もちろんこれは下町の物語で下町に生きる人たちが登場人物なんだけど、隅田川がポイントになるなと思いました。隅田川は東京を流れる川で、川を隔てて向こうとこっちというような。隅田川を隔てて山の手と下町なんだと。隅田川に行くとき、いくつもの橋があってそこを行き来して結ばれている。隅田川をどう印象的に撮るかを工夫したつもりです」と、ロケーションへの思いを明かした。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (山田洋次監督)

親子共演した吉永と大泉の役作りにあった「幼少期の写真」

今回初共演する大泉と吉永に、役作りのためにしたことについて問われると、大泉は「役作りにおいてはまっさらな気持ちで監督の演出に応えようと思っていました。印象的だったのは小百合さんから子供の頃の写真をお貸しいただけないでしょうかと言われて、子供の頃の写真をかき集めて見ていただいて、そういう思いで僕との役を作ろうと思って頂いてる小百合さんにより母親のように思うようになりました」と、エピソードを明かした。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (吉永小百合)

「事務所経由で写真を送らせてもらったので、正直どんな写真が送られたかわかってなかったのですが、びっくりしたことにそれが映画に使われてたんです」と、知らないところで幼少期の写真が使われていたことに驚いた大泉。

「試写を観て、『これ送ったやつ?』と、びっくりして、本当に子供の頃の写真が出たから僕の親もびっくりするでしょうね」と語る大泉に対し、吉永は「助監督さんを通じて頂いたんですが、大泉さんのお風呂上がりの写真がとってもかわいくて素敵でした」と語ると、司会から「全裸でしたか?」の問いに「全裸じゃないですが、でもほとんどなんだけど(笑)。かわいかったです」と、大泉も吹き出す場面となり、会場は笑いに包まれた。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (大泉洋、吉永小百合)

9月1日(金)の映画公開へ向けて 
大泉洋、吉永小百合、山田洋次監督が思いを語る

大泉洋: こんな 素晴らしい日本映画に出演できたことを本当に誇りに思いましたし、光栄でしたし、観終わった後はもう感無量だなという感想でした。先ほども山田監督とお話しして「とってもスッキリと観れるというか、爽やかな映画だと思ったんです」って話をしたら、「映画というのはそういうもんじゃなきゃいけないと。とってもコミカルで 軽やかでなくちゃいけないんだよ」なんて話をされて、その通りの映画なんです。そんなに何か大きな出来事が起きるわけでもない映画ではあるのですが、でもすごくドラマチックで切ないところもあり、でもやはり面白くて、監督の「よーい」のあとにさらにそこから演出があって、「よーい」の後に「悲しくて悲しくてしょうがないんだ、スタート!」みたいな、直前に言う演出ですごくお芝居が変わるし、アイデアでどんどん面白くなってくる、監督の細かい演出で面白くなってたんだと改めて分かりました。すごく笑えるところもあるし、短い間にとっても大事なことが詰まった映画だと思います。こんなに満ち足りた気持ちになれる映画はないと 思いますので是非多くの方に観ていただきたいです。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (大泉洋)

吉永小百合: 撮影中はメディアの皆様に来ていただくということが一度もなかったんです。ですから今日初めて皆様の前でこの映画のことを みんなでしゃべることができたんですけれどもでも、公開が9月1日であと5カ月しかないので、私たちもこれから一生懸命宣伝活動をして、たくさんの方に観ていただかなければならないというふうに思っております。どうぞこの映画のことを皆さんが記事にしたりテレビで映したり、いろいろな形で宣伝していただけましたら嬉しゅうございます。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (吉永小百合)

山田洋次監督: 本当に2年ぐらい前から準備をして、十分時間かけて脚本を書いて撮影をして、そしてようやく完成したわけなんですけども、まあ今小百合さんはあと5カ月しかないとおっしゃったけども、でもまだ5カ月もあるのかというふうな思いを僕は持っています。あの9月の封切がずいぶん遠い先のような気がしています。この作品がその間に忘れられたら困るなと思います。どうか9月に向かってこの映画のことがだんだん知られていくようになることをどうぞ皆さんにお願い致します。今日はありがとう ございました。

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (山田洋次監督)

[スチール撮影:Cinema Art Online UK / 記者: 加藤 文惠]

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イベント情報

映画『こんにちは、母さん』完成報告会見

■開催日: 2023年3月15日(水)
■会場: ホテル雅叙園東京 2F 舞扇
■登壇者: 吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎、YOU、枝元萌、山田洋次監督
■司会: 笠井信輔

【写真】映画『こんにちは、母さん』完成報告会見 (吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎、YOU、枝元萌、山田洋次監督)

映画作品情報

【画像】映画『こんにちは、母さん』ティザービジュアル

《ストーリー》

⼤会社の⼈事部⻑として⽇々神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、⼤学⽣になった娘・舞(永野芽郁)との関係に頭を悩ませる神崎昭夫(⼤泉洋)は、久しぶりに⺟・福江(吉永⼩百合)が暮らす東京下町の実家を訪れる。

「こんにちは、⺟さん」

しかし、迎えてくれた⺟の様⼦が、どうもおかしい…。

割烹着を着ていたはずの⺟親が、艶やかなファッションに⾝を包み、イキイキと⽣活している。おまけに恋愛までしているようだ!

久々の実家にも⾃分の居場所がなく、⼾惑う昭夫だったが、お節介がすぎるほどに温かい下町の住⺠や、これまでとは違う“⺟”と新たに出会い、次第に⾒失っていたことに気付かされてゆく。

 
監督: ⼭⽥洋次
脚本: ⼭⽥洋次、朝原雄三
原作: 永井愛
出演: 吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎、田中泯、YOU、枝元萌
撮影: 2022年9月30日~11月17日
上映時間: 110分
配給: 松竹
 
© 2023「こんにちは、⺟さん」製作委員会
 
2023年9⽉1⽇(⾦) 全国公開!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @konnichihakasan
公式Instagram: @konnichihakasan
 

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