映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 レポート
【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 (林遣都、小松菜奈、井浦新、石橋凌、柿本ケンサク監督)

映画『恋する寄生虫』㊗公開記念舞台挨拶

林遣都、共演者から明かされる“意外な?”姿にガックリ?!  
偉才の世界的ピアニストに感じた運命を語る♬

若者から絶大な支持を得る新進気鋭作家・三秋縋のベストセラー小説を、林遣都×小松菜奈のW主演で映画化した『恋する寄生虫』が、11月12日(金)に全国公開を迎えた。

【画像】映画『恋する寄生虫』メインカット

孤独な2人が「虫」によって「恋」の病に落ちていく、臆病者たちの切なくも美しい“恋×虫”ラブストーリー。心の痛みを抱える主人公2人を演じるのは、確かな演技力と根強い人気を誇る林遣都小松菜奈。また、2人の運命の出会いに深く関係する重要な役を井浦新石橋凌が務める。監督はCMやミュージックビデオなど多岐にわたり活躍し、現在放送中のNHK大河ドラマ「青天を衝け」のタイトルバック映像も制作する注目の鬼才・柿本ケンサク。脚本は数多くのラブストーリーを手掛けてきた山室有紀子

11月13日(土)には、公開記念舞台挨拶新宿バルト9で開催!初共演にしてW主演を務めた林遣都小松菜奈、共演者の井浦新石橋凌、そしてメガホンを取った柿本ケンサク監督がそろって上映後の舞台挨拶に登壇した。

現実と“心”の2軸で進むストーリー
柿本監督は「心の操り方」が得意なキャスト陣に感謝

朝一番で池袋での舞台挨拶を終えてきたという一行は、ここでも満場の観客に拍手で迎えられた。まずは林が「外は雲一つない青空で、清々しく幸せな気持ちです。こんな素敵な日にこの映画を選んできていただいた皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」と、移動中に感じた景色にふれながら挨拶。

【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 (林遣都)

続いて小松は「異色のラブストーリーで特殊な設定ではありますが、唯一無二の映画になったのではないかと思います。現場で起こる何かを試して、信じてみたいと演じました」とコメント。

【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 (小松菜奈)

井浦が「柿本監督とは以前から親交がありましたが、作品に声をかけてもらったのは初めてでした。どうしても参加したかったですし、強い想いもって参加させていただきました。無事に作品が届けられて本当に嬉しいです」と噛みしめるように話した。

【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 (井浦新)

ベテラン俳優の石橋は「まだまだ大変な日々が続いていますが、皆さんお元気でしょうか?私も柿本監督のインディーズで作られた作品を見て好きになりました。今回参加できて幸せです。公開の日まで長かったので、この日を迎えられ幸せに思っています」、柿本監督が「やっという感じで、約1年延びましたが、僕にとっては初めての劇場作品。非常に感慨深いです」と、公開にかけるそれぞれの想いを伝えてイベントがスタートした。

【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 (石橋凌)

まずは監督にキャスティングのこだわりについての質問が。柿本監督は、作品内の登場人物がエキストラを除くと登壇者4人のみという特殊な世界観を思い返しつつ、「物語の中に、頭で理解して進む時間軸と心で進んでいく時間軸と2つある。物理的な部分もあり、心で進んでいく時間もあり、難しい芝居になったと思います。ここにいる皆さんは心をどう操るかに長けていらっしゃるし、本当に助けていただいた」と2つの時間軸が交差する中での演技の難しさにふれ、キャストに感謝を伝えた。

【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 (柿本ケンサク監督)

林遣都の分厚い心の壁”に井浦新は「僕の敗け」
ベテラン石橋凌からも林に愛あるイジリ

続くキャスト陣への質問は、“異色のラブストーリー”にちなんだ「撮影を通じて発見した互いの意外な一面」。最初に林の意外な一面を問われた井浦は、少しためらう様子を見せながらも「僕は今回、合計6日間も撮影日数がなかった。そのうち遣都君と芝居をする時間は3日ほどしかなかったので、僕にとって遣都君とコミュニケーションを取れるチャンスは数えるほどしかなかった」と振り返った。

続けて「10年前に同じ作品に参加したことはあっても、目を見て芝居をするのは初めてだったので、ちゃんと向き合ってぶつかりたかりたい思いがありました。(林と)車に乗っているシーンが結構あった。2人きりの空間ですし、僕はとにかく遣都君の素の笑顔を見たいと思いながらずっとお芝居をしていたんです。でも、意外ではないのかもしれませんが、お芝居の話以外は全く会話がなかったです」と明かし、林は顔をくしゃくしゃにして爆笑。

【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 林遣都爆笑シーン(井浦新、林遣都、小松菜奈)

さらに井浦は、“遣都くんはちょっとコミュ障?”と分析したうえで、自分も同じタイプだが、年上だから頑張ろうとしたことを振り返りつつも「全く崩せませんでした。僕の“敗け”。壁…分厚いな…って。でも今日は朝から自然に会話できて、“撮影中は何だったんだろう?”と。意外ではないのかもしれませんが、分厚いです、壁が」と繰り返し、観客の大きな笑いを誘った。林はそんな井浦に「新さんは自分が仕事を始めたときからずっと見ている方。前の現場でも、自分のシーン以外でも現場に来てくださるし、“ヤバイ役作りの役者さん”という印象で、緊張がありますね。でも、最近登山に興味があるからので教えてほしい」と尊敬ゆえだったことを伝え、井浦が「ぜひぜひ」と返すほのぼのとした結びとなった。

【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 (井浦新、林遣都)

小松はプロモーションを共にする中で見つけた林の“意外な一面”を暴露。「本を読みそうで読まないんです。取材で“好きな1冊の本”を聞かれると、私はあまり読まないので絞り出す方なのですが、遣都さんも同じタイプ。でもお気に入りの1冊がとても分厚い本で、読んだのすごいですねと話したが“途中で眠くなっちゃうんだよね”って…」と話し、隣の林がアクリル板越しに「マイナスイメージが強すぎない?」と詰め寄って会場が笑いに包まれる一幕も。

【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 (林遣都、小松菜奈)

小松演じるの佐薙の祖父役だった石橋への質問は、小松の意外な面。しかし、石橋は「その前に遣都君の(意外な面を)」と自ら言いだし、「数年前に遣都君と親子役で共演させていただきましたが、その時から壁は厚かったです」と過去を思い返して暴露。名優からの愛ある“イジリ”に林はがっくりとその場に崩れ落ちた。

【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 (林遣都、小松菜奈、石橋凌)

そんな林は小松の意外な一面について、「存在感が異色の女優さんですが、お話してみるととても普通の感覚を持った接しやすい方」と小松の人格にふれた後、「壁、厚くなかったよね…?」と確認。また、「異色という意味ではいつも驚かされるのが、今日もスターウォーズに出てきそうな、どこかの星の王女みたいな衣装」と金地にブルーの美しい刺繍があしらわれた小松衣装について言及。「取材時現場に入ると、スタイリストさんとまず『今日の菜奈ちゃんの衣装確認しましょう』って。そこに負けない、並んでも霞まない林でいこう、と。今日は、僕の楽屋では菜奈ちゃんは王女だと」と“意外な”苦労を告白した。

難しい撮影期間を支えたのは
メイクさんの気遣いとフジコ・ヘミング 

続いて話題は、運命かもしれないと思った人や物との出会いに。林は今作のメイク担当が10年ぶりに会う“母親みたいに接して支えてくださった方”とした上で「壁が厚いエピソードの言い訳ですが、本当に難しい作品で、心の変化していくさまもあるし、撮影順序もバラバラ。自分の頭を整理して進めないといけないため、メイク時間もずっと考えていた。そんな中でメイクさんがさりげなくクラシックミュージックをかけてくださった。その時とても集中できて“ゾーン”に入れた。メイクが終わったこともわからないくらい集中していました。後で聞いたらフジコ・ヘミングさんだったので、それ以降息の詰まったときやスイッチを入れるためにフジコ・ヘミングさんを聞いています。なかなかコンサートが取れない。でも実は今日コンサートを検索したら一席だけ残っていて。とってきた」と、偉才の世界的ピアニストとの“運命”を語った。

「山に呼ばれた」井浦への自然からの“ギフト”とは?
石橋は松田優作との貴重なエピソードを披露 

井浦は、自然が起こす運命的な瞬間のエピソードを披露。自身の誕生日は毎年必ず休みを取って趣味の山登りをしているといい、今年は山梨県の金峰山(きんぷさん)に登ったという井浦。「一日しかチャンスがないから天候がどうあれ現地に行き、曇りで霧も多かったけれど登り始めた。ここの山頂に五丈岩というとんでもない巨石がありまして、そこを目指したけど全然見えなくて。山頂まで登っても景色は望めないなと登っていました。でも、頂上に着いてカメラなどの準備していたら突然霧がびっくりするくらい晴れた。五丈岩が登場!って状態」とその時の感動を興奮気味に伝えた。「山梨も長野もクリアに見えるような状態になって、五丈岩が誕生日プレゼントくれたような。山、自然は時に呼ばれてしまうし、ギフトをいただける。運命…偶然と言うよりは必然のような感じ」と独自の解釈を絡めて語り、話を締めくくった。

石橋が披露したのは、今は亡き名優との印象的なエピソード。「バンド活動をやめて田舎に帰ろうと思っていた時に、原田芳雄さんのお宅の忘年会で松田優作さんが見えていると聞いた。直感的に自分の問題を相談できるのは優作さんしかいない!と思ったんです。優作さんの飲んでいる席に行って『実は悩んでます。話を聞いてもらえませんか』と言ったら家に呼んでくださった。そこで話をしたら『お前はいつか映画で顔と名前を売れ』とおっしゃったんです。半年後、またお宅に呼ばれて行ったら、優作さん監督・主演の『ア・ホーマンス』(1986年)の台本がありまして、それで本格的な作品に初めて参加しました」と往年のスターとの貴重なエピソードをかみしめるように語った。

柿本監督の会社名「コネクション」をめぐる
世界の“ご縁”エピソード

“人生に偶然はないと信じたい派”だという柿本監督も、自身の会社名「コネクションズ」にまつわる世界をまたいでの不思議なエピソードを告白。22歳の時初海外としてブラジルのサルヴァドールへ行った時、ガイドに連れられて幻想的な青い洞窟に訪れたという監督。帰りにガイドと話していたら「僕と君が会ったのはコネクションだよ」と言われたと言います。

「僕はそれまであまりコネクションがいい言葉だと思っていなかった。でも“これは初めから決まっていた運命だから僕はこの特別な場所に君を連れてきた”と言われた。十数年後に、ロサンゼルスで現地の友人・(女優の)藤谷文子さんに電話をしたら、『ちょうどあなたのことを話していた』と言われた、場所を聞いたら偶然10メートル先にいた。その時隣にいたという韓国人カメラマンの方と『会社を作ろうと思っている。コネクションって名前がいいと思っている。日本では“ご縁”という言葉あって、もしかしたらそれがコネクションなのかもしれない』と話したら、彼が『さっきその話をしていた』と」語り、まさに縁をめぐる流れの中で会社名が決まったと明かした。

何が本当で、正しいかがわからない時代
困ったときは自分の心に耳を傾けて 

最後に主演の2人と柿本監督が一人ずつ挨拶。柿本監督は「クランクインする日あたりから、世の中がよく分からない方向になっていった。スタッフたちの前で話す機会があった時“今何が本当なのか、正しいのかわからない。でもこれは心をテーマにした映画だから、自分の心だけ信じて作りましょう”と言った。皆さんも困ったときは自分の心に耳を傾けていただきたいと思う」と今作に込められた本質的なテーマに言及。

小松は「作品の中で閉園したとしまえんや(閉館予定の)ビーナスフォートが映っている。私たちにとっても思い出の地なので作品を通して残せてよかったと思います。私自身も25歳なので制服姿は正直きついです(笑)。この作品で見納め、最後かなと思っています。いろんな意味で最後のものをこの映画で楽しんでください」と、自身にとっても思い出深い作品になったことをアピール

最後に林が「まだまだ窮屈に感じることも少なくない日々。この映画の登場人物のように大切なものに目を向けて温もりや、身近にあるささやかな幸せをかみしめて、一緒に楽しんでいきましょう。今日は本当に天気がいいので双眼鏡を持っているたくさんの方、この後どこかに出かけられたらいいと思います。本当になかなかない青空。いい一日を」と、冒頭でもふれた“青空”の話題とさわやかな笑顔で締めくくり、盛況のうちにイベントは終了した。

“虫”が恋をつなぐ、美しくも儚い異色ラブストーリー。俳優陣の“心”を伝える演技とともに、VFXとアナログ組み合わせでアートワークへのこだわりも光る『恋する寄生虫』は全国で好評公開中。

[スチール撮影: Cinema Art Online UK / 記者: 深海 ワタル]

フォトギャラリー📸

スライドショーには JavaScript が必要です。

イベント情報

映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶

■開催日: 2021年11月13日(土)
■会場: 新宿バルト9 シアター6
■出演者: 林遣都、小松菜奈、i井浦新、石橋凌、柿本ケンサク監督
■MC: 伊藤さとり

【写真】映画『恋する寄生虫』公開記念舞台挨拶 (林遣都、小松菜奈、井浦新、石橋凌、柿本ケンサク監督)

映画『恋する寄生虫』予告篇🎞

映画作品情報

【画像】映画『恋する寄生虫』ティザービジュアル

《ストーリー》

孤独な2人が「虫」によって「恋」の病に落ちていく―

極度の潔癖症で人と関わることができずに生きてきた青年・高坂賢吾こうさかけんご。ある日、嬉しい知らぬ男から視線恐怖症で不登校の高校生・佐薙さなぎひじりと友だちになって面倒をみてほしい、という奇妙な依頼を受ける。露悪的な態度をとる佐薙に辟易していた高坂だったが、それが自分の弱さを隠すためだと気づき共感を抱くようになる。世界の終わりを願っていたはずの孤独な2人はやがて惹かれ合い、恋に落ちていくが———。

 
タイトル︓『恋する寄生虫』
 
原案: 三秋 縋「恋する寄生虫」(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)
出演︓ 林遣都、小松菜奈、井浦新、石橋凌
 
監督︓ 柿本ケンサク
脚本︓ 山室有紀子
製作︓「恋する寄生虫」製作委員会
配給︓ KADOKAWA
 
© 2021「恋する寄生虫」製作委員会
 
2021年11月12日(金) 全国ロードショー!
全国で大ヒット公開中!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter:@koi_kiseichu_jp
公式Instagram:@koi_kiseichu_jp
 

映画『恋する寄生虫』スペシャルトーク付き試写会トークイベントレポート

映画『恋する寄生虫』女性限定試写会トークイベント レポート

映画『恋する寄生虫』完成披露試写会 舞台挨拶 レポート

この記事の著者

深海 ワタルエディター/ライター

ビジネスメディア、情報誌、ITメディア他幅広い媒体で執筆・編集を担当するも、得意分野は一貫して「人」。単独・対談・鼎談含め数多くのインタビュー記事を手掛ける。
エンタメジャンルのインタビュー実績は堤真一、永瀬正敏、大森南朋、北村一輝、斎藤工、菅田将暉、山田涼介、中川大志、柴咲コウ、北川景子、吉田羊、中谷美紀、行定勲監督、大森立嗣監督、藤井道人監督ほか60人超。作品に内包されたテーマに切り込み、その捉え方・アプローチ等を通してインタビュイーの信念や感性、人柄を深堀りしていく記事で評価を得る。

この著者の最新の記事

関連記事

カテゴリー

アーカイブ

YouTube Channel

Twitter

【バナー画像】日本アカデミー賞
ページ上部へ戻る