㊗公開記念舞台挨拶
3世代の美男美女が勢揃い!
仲村トオル×杉野希妃×斎藤工×中村ゆり×藤原大祐が登壇!
愛するほどに、それは奪われていく――
妻を亡くしたことで、もう二度と誰も愛せないと思いつめ、生と死のあわいを彷徨うように生きる精神科医の前に現れたのは、彼を救済するかのような微笑みをたたえた女だった。堰を切ったかのように女に溺れていく男、愛を求め続けても誰からも返されることなく孤独の果てを彷徨ってきた女。二人はそれぞれの日常を捨て、激しく求めあう。しかし、女には別の顔が存在した…。男が信じた愛は、そこに確実に存在したのか。そしてそれは「愛」そのものであったのか――。
これまでも強烈な自我を持つ女性を軸に、狂気ともいえる愛を描いてきた鬼才・万田邦敏監督が、第54回カンヌ国際映画祭にてレイルドール賞とエキュメニック新人賞をW受賞した『UNloved』(2001年)、比類なき傑作『接吻』(2007年)に続き、共同脚本・万田珠実と三度目のタッグを組んだ。「愛」の本質を見つめ、人間の性とエゴをあぶりだした愛憎サスペンス、映画『愛のまなざしを』が11月12日(金)に劇場公開を迎えた。
11月13日(土)に東京・渋谷のユーロスペースで公開記念舞台挨拶が行われ、主人公の精神科医・貴志を演じた仲村トオル、貴志からの愛を渇望する綾子役の杉野希妃、死んだ姉に焦がれ、綾子の登場により翻弄されるも真実を掴もうとする内山茂役の斎藤工、6年前に亡くなった貴志の妻を演じた中村ゆり、貴志の息子・祐樹役の藤原大祐、そして万田邦敏監督が登壇。仲村が“万田監督の操り人形になりたい”と言った真意、斎藤が、初めてカメラの前に立ったのが、万田監督の作品だったという話、本作で俳優デビューとなったアミューズの藤原大祐に、父親役の仲村が「きっとビッグになる」とサインをもらった裏話などが存分に語られた。
冒頭、万田監督は、観終わった観客に、「ここに今映ったもの全てを撮りたいな、伝えたいなと思って作りました」と淡々とした言葉からも熱い想いを吐露。
『UNloved』、『接吻』に続き、キャスティングした仲村トオルについては、「仲村さんとは、『UNloved』の時にお会いして、かっこいい人だなと思って、その後『接吻』とゲスト出演の『ありがとう』という映画に出演していただきましたけれど、信頼関係というか、お互いのことをなんとなく『こんな人かな、本当は?』『案外こんなところがある』『いい人だな』だとか、思い合えたのかなと思いつつ、映画を作る機会があれば、絶対仲村さんに出ていただきたいと思っていました」と語った。
仲村も、万田組のオファーがきて、快諾したとのことで、「初めて『UNloved』という映画に出演した時、僕にとっては革命的な出来事だったんですけれど、”表に現れるものこそが表現である”というか、自分の意思とか正義とかを極力排除した結果、今まで見たこともない世界にいる自分というのがとても嬉しい経験だったので、『接吻』も大好きな作品ですし、今回も何の迷いもありませんでした」と相思相愛ぶりを披露した。
仲村がご自身のことを“操り人形”と言っている真意については、「僕が20代の頃は演出家やディレクターの方に対して、『俺は操り人形じゃねぇよ』というような意識を持っていたと思うんですけれど、自分の心と脳みそだけで体を動かそうとしていると、できる範囲のことが限られているなという行き詰まりみたいなものを感じ始めていたタイミングで万田監督と出会うことができました。人に操られる、もしくは人に言われた通りに肉体を操ってみるということがとても新鮮だったし、それまでの限界や壁の外側に出られたという感じがあった」と万田組の魅力を解説。
中村ゆりに、「あんなに熱烈に人に『愛して欲しい』と表現できる綾子が若干羨ましい」と言わしめた綾子を演じた杉野は、クランクアップ後も綾子が抜けなかったとのこと。杉野は、「愛をストレートに伝えて、言ってみれば子供っぽいキャラクターだった。なかなか綾子を愛せなくて、自分が演じた後も嫌だという感じが抜けなかったんですけれど、コロナ禍を経て、綾子の切実さというか、何がなんでも愛をもらいたい、認められたい、好きになって欲しいという感情って、彼女にとっては生きる術だった、あれをしないと生きていけなかったのかなと思って、撮影してから2年で少しずつ消化していった気がします」と綾子の強烈なキャラクターについて語った。
斎藤は、「小学2年の時、生まれて初めてカメラの前に立ったのが、実は万田さんの作品で、幼少期なんですけれど、色々な思いが詰まって、今ここに立たせていただいています。(その経験が)自分の血となり肉となり、現在に至るのかなと思っています。多くのエンターテイメントが消化にいいものを作りすぎていて、何も引っかからない離乳食のようなものが増えているような気がしていますが、僕は劇場でお客さんにひっかかる、消化できない、胃の中に腸の中に残る違和感みたいなものを持ち帰る帰り道が、一番の映画体験だと思います。この作品を観た時、歩いて帰りたくなり、豊かな経験できました」と自身の貴重な経験を語った。
仲村と斎藤とは念願の共演だそうで、斎藤は、「デビュー当時、仲村さんの幼少期を演じさせて頂いたことがあったんですが、その時『UNloved』が公開して数年後で、そのタイミングで万田さんにお会いする機会があったんです。その後にトオルさんにお会いできたので、僕とトオルさんとは、“開口一番万田さんのお名前を出した”という出会いでした」と二人と万田監督との特別な縁を披露。
中村ゆりは、仲村トオル演じる貴志の6年前に死んだ妻役で、「旦那さんが見ている幻覚のようでもありますし、何をヒントにやればいいのかと思ったんですが、監督がプランがあったので、私は言うことを聞いて動きました。旦那さんが思っている彼女と本当の生前の彼女はすごく違うんではないかと想像しました」と夜ごと精神安定剤を服用する貴志の前に現れる薫役の難しさを語った。
さらに中村は、本作には仲村の優しさが出ていると思ったそうで、「綾子の触れ方も、繊細に触れる方だと思いましたし、今回初めてお会いした時に、『僕は共演する方のことをWikipediaで調べる』と教えてくださって、私の出身地とかも把握してくださっていて、何て細やかな気遣いをされる方なんだろうと思いました。私もそれから真似して必ずWikipediaを見てから新しい方とお仕事をするようにしています」と裏話も明かした。
本作がデビュー作で、この日が初の舞台挨拶となった藤原は、「僕のことをWikipediaで調べても出てこなかったと思うんですけど」と、ウイットに富んだコメントで会場を笑わせる大物ぶりを披露。「本作は、2年前に撮った作品で、初めてのオーディションで掴み取った役で初めて芝居でした。だいぶ大きくなったんではないでしょうか?」と話した。
藤原のサインをもらったという父親役の仲村はその理由を聞かれ、「将来価値が出ると思って」と答え、会場も爆笑の渦に包まれた。
最後に仲村が、「本当にこんなに一人一人の方に『どうでしたか?』と聞きたくなる映画は滅多にないです。いつか文字にできたら、SNSをやっている方は、僕らへの手紙を書くような感じで書いていただけたら、検索して読ませていただこうと思います」と満席の観客にメッセージを送った。
フォトギャラリー📸
イベント情報
映画『愛のまなざしを』公開記念舞台挨拶
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映画『愛のまなざしを』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》貴志(仲村トオル)は、患者の話に耳を傾けてくれると評判の精神科医だが、6年前に亡くした妻・薫(中村ゆり)のことを想ってはむせび泣き、薬で精神を安定させる日々を過ごしていた。 患者としてやってきた女・綾子(杉野希妃)は、治療関係を超えて貴志と気持ちが通じ合い、やがて貴志に寄り添うようになる。しかし綾子は、貴志の亡き薫への断ち切れない思いや薫との子供・祐樹(藤原大祐)の存在を知るや猛烈な嫉妬心にさいなまれ、独占欲がふくらむ。そして、前妻の弟・茂(斎藤工)に近づき…。 |
© 2021「愛のまなざしを」製作委員会
渋谷ユーロスペース、池袋シネマ・ロサ、キネカ大森、イオンシネマ他にて公開中!