映画『恋する寄生虫』完成披露試写会 舞台挨拶
林遣都「幅広い世代が楽しめる異色のラブストーリー」と自信
小松菜奈は林に“クセになる”あだ名を命名!
若者から絶大な支持を得る新進気鋭作家・三秋縋のベストセラー小説を、林遣都×小松菜奈のW主演で映画化した『恋する寄生虫』が11月12日(金)に全国公開される。
孤独な2人が「虫」によって「恋」の病に落ちていく、臆病者たちの切なくも美しい“恋×虫”ラブストーリー。心の痛みを抱える主人公2人を演じるのは、確かな演技力と根強い人気を誇る林遣都と小松菜奈。また、2人の運命の出会いに深く関係する重要な役を井浦新と石橋凌が務める。監督はCMやミュージックビデオなど多岐にわたり活躍し、現在放送中のNHK大河ドラマ「青天を衝け」のタイトルバック映像も制作する注目の鬼才・柿本ケンサク。脚本は数多くのラブストーリーを手掛けてきた山室有紀子。
9月29日(水)、完成披露試写会が新宿バルト9で開催!初共演にしてW主演を務めた林遣都と小松菜奈、メガホンを取った柿本ケンサク監督が上映前の舞台挨拶に登壇した。
W主演の2人がそろって感動した映像美!
林とCGとの組み合わせは「目の保養」
満場の拍手に迎えられ、シックな黒のスーツに身を包んだ林と鮮やかなオレンジ色のドレス姿の小松、そして柿本監督が登場した。
林は最初の挨拶で、まず会場に足を運んだ観客への感謝を伝えると「とても素敵な映画ができたのではないかと思っています。“異色のラブストーリー”と言われていますが、間違いなく幅広い世代の方に楽しんでいただけるのではないのかな」と今作への自信をのぞかせた。
小松は約2年前に行われた撮影を振り返り、「やっとお客様に披露できる」と作品が無事公開されることへの喜びを伝えた。今作が初の長編映画となる柿本監督は、「撮影は2020年の2月末。そこから約1カ月くらい、世の中がどんどん変わっていくのを見て、撮影をしながら不安な日々を過ごしていた。撮影後すぐに緊急事態宣言となり、公開が延びて時間がかかってしまったけれど、この日を迎えられてうれしく思っています」と淡々とした口調ながらも喜びをにじませた。
まずは、完成作を観ての感想を問われた主演の2人。林は作品の中でキーとなる虫のイメージやCGがどのようになるのか、撮影中には分からなかったといい「完成作を観て柿本さんの腕とセンスに感動した」と率直な感想を伝えた。また「映像美や音楽などいろんな面で楽しめる作品になったと感じました」と“ラブストーリー以外”の楽しみ方を実感したと語った。
小松も「脚本から見えてこない部分」が完成時にどうなっているか楽しみだったといい、「(林演じる)高坂は潔癖症で私(佐薙)は視線恐怖症。“見えないもの”への苦しみを抱えている。柿本さんの手によって、それを体感できるというか、CGでその状況を感じられるのはとても新しいと思いました」と林同様、柿本監督の観せ方に感動したことを伝えた。また、小松は特に冒頭の林とCGの組み合わせが本当に美しかったと絶賛。「観入ってしまうような美しさがスクリーンの中に広がっている。目の保養」と褒めたたえた。
主演2人の“お墨付き”をもらった柿本監督は、感想を求められると「この規模の作品を手掛けるのは初めてだった。原作にある一番大切な部分をどういうカタチで観せられるか。この話は基本的に大事な部分はすべて“目に見えないもの”なので、それをどう視覚化して多くの人に届けるかを入念に考えて挑みました。僕が積んできた他の映像でのキャリアをどう注ぎ込んでいくかがこの映画にとっての個性になると思って、あえてチャレンジをしてみました」と、控えめながらも自身にとっての挑戦だったことを明かした。
“遣都デリカット”のあだ名で縮まった距離
小松の「喜んでもらえたみたい」に林は爆笑
続いて話題は、初共演となった今作での互いの印象に。「(小松は)クールなイメージだったけど、とても接しやすくて、周りの人に愛される人」と林。現場ではいつもスタッフと談笑していて、少し遠くから見るとどの人が小松か分からなくなるほどだったと微笑みながら伝え、「それくらい今のお姿とギャップがあって素敵だなと。お芝居に関しても色んな相談をしながら関係性を作っていけて、とても心強かったです」と信頼を寄せた。
対する小松は、林との距離を縮めるためにある試みをしたという。「あだ名を付けよう!と。“遣都デリカット”(というあだ名)にしよう!と思って、最初そう呼んだら『それもう別人じゃん』って言われて。でもそれでも負けない、と思って呼び続けていたら、だんだん『なんか、クセになってきたかも』って。パッと見そう見えないけど喜んでもらえたんだなって(笑)」と微笑ましいエピソードを披露し、林を爆笑させた。林は小学校の野球部で同じあだ名を付けられたと明かした上で、「台本を読んでる時に何のためらいもなく『遣都デリカットは~』とか言い出して、(あだ名は)冗談じゃなかったんだなと」と答え、ほのぼのとしたやり取りが繰り広げられた。
また、小松は林の演技に対するアプローチにふれ「すごく真面目な方なので、自分が戸惑ったり迷った時に、せりふをどう言えばいいとか全部話せる。(相談すると)遣都さんが家に持ち帰ってくださって、『僕はこう思うんだけど』と考えてくれて、その優しさに本当に現場で救われた」と感謝を伝えた。
役者もアイデアを出しあった撮影現場
柿本監督「2人を先生みたいにして勉強」と明かす
今作では、柿本監督が主演の2人にアイデアを求める場面もあったという。「同じ映像でも普段やっている短いものと映画とでは、100メートル走とマラソンくらい違う。自分には圧倒的に現場のキャリアも経験も足りていない部分があると完全に分かった。2人を先生みたいにして、本当に現場でいろんなことを教えてもらえって勉強になった」と監督。
林は自身のアイデアで生かされたシーンを問われると「この物語は心の変化を繊細に描いている。撮影は順番どおりではなくていったりきたりしていて、お互いに共有しておかなくてはいけない意識が出て来て、そこを常に確認しあいながら進めた。せりふもラブストーリーらしく、小説的。少し現実離れしているものもある。でも描かれているのはコンプレックスを抱えた共感できる人だったので、そこのリアリティーや説得力をもってやりたいという話をみんなでさせていただいて、そこでせりふを変えたり、そぎ落としたりしました」と丁寧に説明。
小松は「服を脱ぐシーンがあるんですけど、ボタンを外す瞬間とか繊細だし、戸惑いみたいなものが見える部分だと思う。でも監督が演出で『ブチブチってシャツ破るのはどう?』と言われて、みんなで『いやいやそれは違う。もっとラブな方だから』と止めるとか(あった)」とユーモアを交えて話し、観客の笑いを誘った。
“メインキャストは4人だけ”に意味のある作品!?
「見失いがちなものに目を向ける大切さに気付けるかも」
最後に登壇者が一人ずつ挨拶。柿本監督は「心と体の所在がどこにあるのか?というような文脈もある。タイトルにもある虫の仕業で、フィジカルな事件とは別のところで心が動いていき、どっちが本心?と思うようなところがある。表面の時間と水面下で流れているものを意識していただけると、2人の変化が上手に現れてくるのではないかと思っています。そこらへんを注目していただきたい」。
小松は、「撮影は、コロナという得体の知れないものがくる気配を感じながら終えることになりました。作品の中でマスク越しのキスが登場して、脚本を読んだときは受け入れてもらえるのかな?と違和感を感じたけれど、今となってはありえないことでもない。こういう時代にそんな作品を残せてよかったと感じます。新しいものを観たな、という気持ちで観てもらえると思う。2人の惹かれ合っていく姿が切なくもあり、愛しくもあり、そんなふうに映画の中で生きているので、ぜひそこも観ていただければ嬉しいです」。
最後に林が「この映画は登場人物がほぼ2人で、後は井浦新さん、石橋凌さんとメインは4人だけ。でもその登場人物の少なさにすごく意味があると感じます。柿本さんの演出がとても秀逸で、2人が買い物をする場面の店員さんの描き方に“違和感”があることで、2人の見ている世界がすごく煌びやかで愛しく、美しく見えてくる。今は人と人との距離が、心の面でも遠くなってしまいがちな世の中ですが、それぞれの世界があって、誰にでも必ず身近に小さな幸せがちりばめられていて、大切なものがあって、そこに目を向けることや見失いがちなものに目を向けること大切なんじゃないかなって、そういう部分に気づきながら観ていただけたら」と繊細な表現で作品をアピールし、盛況のうちにイベントは終了した。
“虫”が恋をつなぐ、美しくも儚い異色ラブストーリー『恋する寄生虫』は11月12日(金)に全国で公開。
[スチール撮影: Cinema Art Online UK / 記者: 深海 ワタル]
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イベント情報
映画『恋する寄生虫』完成披露試写会 舞台挨拶
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映画『恋する寄生虫』特報映像🎞
映画作品情報
《ストーリー》孤独な2人が「虫」によって「恋」の病に落ちていく― 極度の潔癖症で人と関わることができずに生きてきた青年・高坂賢吾。ある日、嬉しい知らぬ男から視線恐怖症で不登校の高校生・佐薙ひじりと友だちになって面倒をみてほしい、という奇妙な依頼を受ける。露悪的な態度をとる佐薙に辟易していた高坂だったが、それが自分の弱さを隠すためだと気づき共感を抱くようになる。世界の終わりを願っていたはずの孤独な2人はやがて惹かれ合い、恋に落ちていくが———。 |