完成披露試写会 舞台挨拶
吉永小百合は“月のような存在”
松坂桃李と広瀬すずは“太陽のような存在”でいてほしい。
「在宅医療」に携わる医師、患者、その家族を通して、“いのち”に正面から向き合い、生きる力を照らし出す、心を揺さぶる感動作『いのちの停車場』が5月21日(金)より公開となる。
映画出演122本目にして初の医師役に挑戦する吉永小百合をはじめ、松坂桃李、広瀬すず、⻄田敏行ら世代を超えた豪華キャストが熱演。原作は都内の終末期医療専門病院に勤務し、いのちの終わりを真摯に見つめる現役医師でありながら、作家としてNHKでテレビドラマ化もされ話題を呼んだ「ディア・ペイシェント」(2018年刊行)などを世に送り出した南杏子による「いのちの停車場」(幻冬舎文庫)。映画『八日目の蝉』(2012年)や『ソロモンの偽証 前篇・事件 / 後篇・裁判』(2015年)など数多くの名作を生み出してきた映画界を代表する監督の一人である成島出がメガホンをとった。
4月14日(火)、完成披露試写会が東京国際フォーラムで開催され、上映前の舞台挨拶に主演の吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、南野陽子、小池栄子、みなみらんぼう、泉谷しげる、中山忍、石田ゆり子、田中泯ら豪華キャスト陣、そして成島出監督が登壇した。
“お芝居しようとしないでください”
監督からの言葉にハッとさせられた。
まず、みなみらんぼう、小池栄子、中山忍、泉谷しげるが登場。
みなみは成島監督から本番前日に1曲作って欲しいと頼まれたことを明かし会場を驚かせた。
小池は肺がんを患う芸者を演じたことについて、「最期まで芸者として生きていくという覚悟を持って、病と共に私は私らしく生きていくという姿を観ていただきたいです」と話す。
中山は、吉永小百合演じる白石咲和子の記憶の中の母親役。中山自身も嬉しさから浮き立つものがあったそうで、成島監督からの“お芝居しようとしないでください”という一言にハッとさせられたという。「なにかやろうとしてしまう気持ちといいますか、お芝居したいという気持ちが出てしまっていたなと。その後は本当に咲和子のお母さんとしてそこに居ようと努めました」と振り返る。
泉谷はあまり成島監督と演技について話さなかったという。自由に演じさせてもらえたことに感謝を述べ、1番いい形で出来たと答えた。成島監督も面白い仕上がりになったと太鼓判を捺した。
役を生きる出演者たち
続いて田中泯、石田ゆり子、南野陽子が登場。
田中は5kg以上絞って挑んだことが成島監督により暴露された。命をけずった渾身の演技に感謝を述べると共に是非注目してほしいと話した。
石田は成島監督は厳しい人だと人伝に聞いていたため緊張していたそう。「実際にお会いしたら、優しいというか穏やかで、あまり多くは語らないでじっと見守ってくださる方でした」と話す。石田が演じる女流棋士には実在のモデルがおり、その人物の著書やビデオを拝見し役作りをしたと明かした。
南野は「映画を観終わった後の感想が、生きるってなんて素晴らしいんだと。生きることの素晴らしさ、どう生きるか、そういったものが描かれています」と改めて命について考えさせられる映画であると語った。
また南野は撮影中に松坂桃李演じる野呂聖二に自分の娘である萌が懐いていることにヤキモチを妬いたといい「この子はちゃんと生きてて成長しているから人のこと好きになったり、感情が動くんだなと思うと握る手に力が入りました」と撮影当時を振り返った。
成長していく姿をつかまえたい
最後に吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、西田敏行が登場した。
新型コロナウィルス感染症に配慮した状況下での撮影に吉永は「本当に大変な思いの中でクランクインしましたし、みんなで力を合わせて今日の日を迎えられたと思ってるんです。だから今はほっとしてます」と微笑みをたたえた。
松坂は「みなさまと対面して作品をお届けできるということが難しい中で、こういう機会があることに喜びを感じますし、そういうときだからこそ、しっかりとこの『いのちの停車場』という作品を届けたいと感じてます」と力強い眼差し。
広瀬は本作を宝物のような作品になったと表現し、実際にすごく希望のある映画だと話す。
西田は「コロナ禍の中で本当によく撮影し完成できたなと。それはスタッフ・キャストのみなさんの作品に対する熱い想いが投影されていると思います。真っ直ぐな気持ちで楽しく、時には考えながらご覧になってほしいです」と語った。
本作で初めて医師を演じた吉永が「初めてのドクターの役で分からないことだらけだったんですけれども、監督が前に『孤高のメス』(2010年)をやっていらしたので、指示をいただきましたし、映画のなかでドクターとして咲和子が成長していけばいいと言っていただけました」と振り返ると、成島監督は「前回『ふしぎな岬の物語』(2014年)でご一緒させていただいて、この吉永小百合がまだ成長しようとすると言いますか。ものすごい映画に対して努力されるんです。こちらがもういいじゃないかと思う程に。今回の役は年齢に関係なく成長していくので、これは原作と出会った時に是非吉永さんで撮りたい。ドクターと吉永さんの成長をつかまえたいなと」と熱く語る。
松坂と広瀬は成島監督から役を演じるにあたって、吉永さんは“月のような存在”だからこの作品において2人は“太陽のような存在”で居てほしいと言われたことを明かした。
松坂が「そうなれるように努めようと思って現場に向き合ってきましたね」と話すと、広瀬も「太陽だということは撮影前から言われていたので意識しました」と頷いた。
西田は「私の憧れの吉永小百合さんと30年以上ぶりの共演だったんですけど、全くそんな事を感じさせない、初々しい吉永さんがそこにいらっしゃってビックリしました。時と言うのは人によって公平不公平があるんだなと思いました」と吉永に対して感じた驚きを話した。
吉永は最後に、本作の製作総指揮を務めた岡田裕介 東映代表取締役グループ会長が昨年11月に逝去されたことについて触れ、「とってもあたたかい励ましとご援助をいただきました。心から感謝しております」と感謝を述べ、この映画をたくさんの方に観ていただきたいと締めくくった。
試写会場には、当日正午に解禁されたばかりの“まほろば診療所”メンバーの<キャラクターポスター>の大型パネルが展示されており、試写会に訪れた観客が一緒に記念写真を撮影する姿も見られた。
ポスターのビジュアルは、降り続く⾬は劇中に登場する患者やその家族たちに訪れる悩みをイメージしており、まほろば診療所が彼らにとって⾬空の中で現れた” 晴天”のような、希望に満ちたあたたかい場所であることを表現している。
また、白⽯咲和⼦(吉永⼩百合)は「降り続ける⾬にも、輝く瞬間がある。」、野呂聖⼆(松坂桃李)は「⾬のち、希望。」、星野⿇世(広瀬すず)は「⾬上がりに、勇気。」、仙川徹(⻄⽥敏⾏)は「⼀緒に、⾬宿りしませんか。」と、それぞれのキャラクターの個性を表したキャッチコピーも添えられている。
“いのち”そして“願い”に寄り添う、全ての⼈たちの背中を押し、そしてやさしく包みこむようなこの映画を観て、生きることについて考えたり、感じてもらいたい。
フォトギャラリー📸
イベント情報
映画『いのちの停車場』完成披露試写会 舞台挨拶
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映画『いのちの停車場』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》東京の救命救急センターで働いていた咲和子は、ある事件をきっかけに、故郷の金沢で「まほろば診療所」の在宅医師として再出発をする。様々な事情から在宅医療を選んだ患者と出会い、戸惑いながらも、まほろばのメンバーと共にいのちの一瞬の輝きに寄り添っていく。その時、最愛の父が倒れてしまい…。 |