映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 レポート
【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (山田杏奈、作間龍斗、芋生悠、首藤凜監督)

映画『ひらいて』㊗公開記念舞台挨拶

山田杏奈、作間龍斗、芋生悠、首藤凜監督が登壇!
舞台挨拶は全国62館の映画館に生中継🎥

芥川賞受賞作家・綿矢りさの傑作恋愛小説「ひらいて」が衝撃の映画化!荒々しさと繊細さが共存する少女が美しくもポップに描かれる、新感覚・乱反射する少女の愛憎エンターテインメント作品、映画『ひらいて』が10月22日(金)に全国公開を迎えた。

【画像】映画『ひらいて』メインカット

全国公開日の翌日となる10月23日(土)、新宿ピカデリーにて公開記念舞台挨拶が開催され、その様子が全国62館の映画館に生中継された。上映後の舞台挨拶に、主演の山田杏奈、共演の作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)芋生悠、そして首藤凜監督が登壇し、トークを繰り広げた。

まさに“乱反射”のエンターテインメント!
愛の思い切りの良さに、山田杏奈は「羨ましい」

ずっと「ひらいて」に救われてきたと語る、作品に強い思い入れを持つ首藤監督。舞台挨拶冒頭では「今26歳なのですが、初めて原作を読んだのが17歳のときで。“恋愛=好きな人に好かれること”と思っていた当時の価値観の中で、『ひらいて』のいびつな人間関係に出会って感銘を受けました。それぞれの不思議な関係に、人生で色々なことが起こる前に出会って、“いつか自分にもこういうことが起こるかもしれない”という予感のようなものが感じられました。本当に、『ひらいて』に出会えたことが今日まで生きて来られた理由の一つだと思っています」と思いを語った。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (首藤凜監督)

山田は自身が演じた木村愛について「なかなか理解できないという部分もありましたが、やっぱり愛の“パワーの強さ”はすごいと思っていて、『そこまで思い切って行動できたらな』と羨ましいと思う部分もあります。ゴミ箱を投げるシーンとかは自分では絶対やらないのでとても楽しかったです(笑)。そんな愛を羨ましいとも思いつつ、近くにいてほしくないなとも思いつつ。でもこの作品の中での愛はすごく人間臭くて、素敵なキャラクターだなと思いました」とコメント。

続けて「愛はずっとたとえのことを思っていて、美雪の存在を知ってから、たとえに関する感情が美雪のほうに向かっていく。宣伝で“乱反射”っていう言葉がよく使われていますが、まさにその通りだと思っていて。色んな方向に散らばっていくような、でもそれがまた愛に返ってきて愛が変わるというのがすごく面白いなと思います」とストーリー全体についても言及しつつ語った。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (山田杏奈)

西村たとえ役の作間は「これまで演技というものにあまり関わってこなかったので、“役作り”も初めてで。僕自身『(たとえのように)クールで寡黙な第一印象だけど、喋ってみるとぶっ飛んでるね』と言われることが多かったので、“中身の作間”は封印して、“たたずまいだけの作間”で挑みました」と初挑戦となる役作りについて話した。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (作間龍斗)

芋生は「オーディションのときに綿矢さんの原作を読ませていただいて、美雪という役を自分ができるのかっていう不安もあったので、監督が選んでくださったのに応えたいというのがまずあって。(役が決まって)嬉しさと同時に不安も感じました。美雪はミステリアスで透明感があって、原作の中でもすごく好きなキャラクターでしたが、演じていく中で人間味が増していってどんどん好きになりました」と自身が演じた新藤美雪というキャラクターへの愛を語った。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (芋生悠)

作間龍斗が“エグいセリフ”に苦しみ
山田杏奈も「食らいました」

作間は「愛はとにかく恐ろしくて、美雪はすごく優しく包み込んでくれるような存在で、2人は本当に正反対で。たとえくんはすごいポジションにいますよね。大変そうだけど少し羨ましくも思いますが(笑)。2人と接するとき、たとえはそれぞれの前で全然別の姿になるんだろうというのは意識して演じていました。普段はあまり話さない子なんですけど、本当に伝えなきゃダメなとき『貧しい笑顔だな』だったり結構エグいことを言うこともあって。僕自身結構苦しみながらやっていました」と愛に“エグいセリフ”を放った際の苦しみを吐露。

対する愛役の山田も「たとえには『嘘つかれてるみたい』と言われたりもして、愛が必死で芝居をしているところを全否定されるので、やっぱり演じていても食らいましたね」と当時の心境を話し、首藤監督からは「あそこだけ、作間くんから『こういう風に言い方を変えていいですか』と提案をしてくださったんです。もともと私の中ではもっと冷たく突き放すようなイメージでしたが、作間くんが演じてくれたたとえには少し優しい部分も見られたような気がします」といったエピソードも語られた。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (山田杏奈)

芋生悠演じる美雪は「お母さんみたい」
“受け止める”美雪と“甘える”愛

続いて山田は、たとえから辛辣な言葉を浴びせられた後の愛の行動について言及。「たとえに結構ズバズバと言われた後、そのまま美雪の家に自転車で向かうシーンがあって、『(愛は)そういう風な感情の向き方をしているんだ』とそこで少しわかりました。愛は感情のままに『美雪に受け止めてもらおう』と美雪のところに向かって…。子供みたいな幼い感情ですけど、こういうのが愛なんだなと思いました」と愛が“少しわかった”きっかけを話した。

それに対し芋生は「美雪として、愛を憐れむことはしたくないというか、そういう感情は一切なくて。『目が暗いまま』と言うシーンもありますけど、あれは憐れみというより『一番近くに愛がいたし、一番近くで触れ合っていた私が愛ちゃんのことを一番わかってるから』という愛情なんですよね。美雪は愛ちゃんに対して一番深い愛を持っているなと思います」と、愛と美雪の2人の関係性について美雪目線からコメントした。

美雪に関して、首藤監督が「美雪はお母さんみたいだっていう話をしていて。愛だけだとちょっとピリピリしてしまうところに、ふわふわした雰囲気を持ってきてくれていました」とコメントすると、作間は「(美雪は)優しい雰囲気を現場にばら撒きまくってました」と共感。 美雪を演じた芋生は「愛と美雪が揃っているときはまた違う空気感というか、ピリピリはしてるもののどこか愛ちゃんの素直さも出ているというか、言葉では言えない何かがありましたね」と指摘し、 山田も「確かに、美雪に“甘えている”ような愛がいたなと思いますね」と頷いた。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (山田杏奈)

登壇者からのコメントに山田杏奈が照れ笑い
首藤凜監督からの太鼓判に安堵

首藤監督は主演の山田について聞かれると「初めてお会いしたときから眼差しがとても印象的な方だと思っていて。現場に入って迷いが出てくるうちに、強い反面で揺れたりするところが魅力的だなと思いました。あとは、一つ一つのことに非常に集中されるので、自転車に乗るなら自転車に乗る、ゴミ箱を投げるならゴミ箱を投げる、という感じで、なんだか反射神経が独特で。小説だとわからない“立体になった愛ちゃんが動いている”っていう身体性をすごく感じました」とコメント。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (首藤凜監督)

また続けて「山田さんは『愛のことが分からない』と苦しまれていて。直接ぶつかることはなくても、ずっと静かに私と駆け引きしていたというか、戦っている感じだったと思います。でも途中から『わからない』ということを受け入れてくれたような気がして、そこからは特にモニターを見ていたりしても『こんな表情になるんだ!』と発見もできたりして。新しい表情が見られて嬉しかったですね」と喜びを語った。

山田は首藤監督のコメントに対し「ほっとしました(笑)。ここまでの作品に対する思い入れを持たれている首藤さんの中には、『愛はこうだ』っていう愛像があったと思うんですけど、『こうしてください』とただ指示をするのではなくて。現場でたくさんお話をさせていただいて、その中で生まれるものを撮ってくださっていたので、楽しさもありつつ、やっぱりプレッシャーも感じていました」と気持ちを打ち明け、首藤監督も「『どうして欲しいか言ってくれ!』って圧を感じつつ…。静かに戦っているという感じでしたね(笑)」と振り返った。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (首藤凜監督、山田杏奈)

続く芋生は「杏奈ちゃんは3回目の共演なので、すごく信頼関係があって。なので2人で向き合っている時間は本当に嘘が無くて、『苦しいのとか、そういうの全部ぶつけていいよ』という思いでしたが、本当に全力でぶつけてくれるからそれが嬉しかったし、幸せでした」と美雪らしいコメントを残した。

作間は愛が夜の校舎に侵入するシーンについて言及。「渡り廊下から室内に窓から侵入するシーンの撮影を見学させていただいたんですけど、なかなか危ないことをしていますよね。よくやるな、プロだなと思いました」と感心していた。

3人の登壇者のコメントを聞いて「こんなに私のこと話されると恥ずかしい(笑)」と照れ笑いを浮かべる山田に、首藤監督は「本当に“愛がずっと大変”という現場でしたね。よく演じ切っていただいて、嬉しいです」と感謝を述べた。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (首藤凜監督)

最後に登壇者からメッセージ✉

芋生は「私としては自分のことが好きになれなくて迷っている方にこの作品を観ていただいて、自分のことを肯定してもらいたい、『大丈夫だよ』って伝えられる作品になっていると思います。気に入ってくださった方は、是非作品を色んな人に勧めていただきたいです」とメッセージ。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (芋生悠)

作間は「映画の後で僕が出てくることによって消化が悪くなってしまっていたら申し訳ないです。こんな眩しい青の衣装で登場しまして…。初めての映画の舞台挨拶で、貴重な経験をさせていただき、今すごくしみじみと思っています。色んなものを貰える、人生が一つ豊かになるような映画だと思います。たくさんの方に楽しんでいただきたいです」と感慨深い様子で話した。

山田は「昨日公開になって、実はすごくエゴサして調べているんですけど、たくさんの感想を読んで『もうこんなに多くの人に届いてしまっているのか』少し怖いような気持ちもあったり(笑)。観てくださった方一人一人に『どうでしたか?』って聞いて回りたいような、私にとってもすごく思い入れのある作品になっていて。これからもっとたくさんの人に届いて、色んな人のところで皆さんそれぞれの感想が生まれていくのが楽しみです。この“戦った記録”、生み出したものを感じていただけたら幸せだなと思います。感想など寄せていただけると、映画を生み出す側としてすごく励みになります。どうぞよろしくお願いします」とエゴサーチをしていることを暴露しつつ、思いを語った。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (山田杏奈)

最後に首藤監督が「私が原作を読んだとき、愛と美雪とたとえの3人に出会えてとても嬉しかったのですが、今回また出会い直すことができて本当に良かったです。この作品を観て共感したり、もやもやしたり、退屈だと思った方も、色んな方がいらっしゃると思いますが、皆さんにもこういう形で出会っていただけて嬉しいです。色んな思いを持っていただけたらと思います。ありがとうございました」と喜びと共にメッセージを送り、舞台挨拶は締めくくられた。

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (首藤凜監督)

[スチール撮影: Cinema Art Online UK / 記者: 美坂 英里]

フォトギャラリー📸

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イベント情報

映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶

■開催日: 2021年10月23日(土)
■会場: 新宿ピカデリー シアター1
■登壇者:
山田杏奈、作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、芋生悠、首藤凜監督
■MC:
 伊藤さとり

【写真】映画『ひらいて』公開記念舞台挨拶 (山田杏奈、作間龍斗、芋生悠、首藤凜監督)

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映画『ひらいて』予告篇🎞

映画作品情報

【画像】映画『ひらいて』ポスタービジュアル

《ストーリー》

高校3年生の愛(山田杏奈)は、成績優秀、明るくて校内では人気者。
そんな彼女は、同じクラスの“たとえ”にずっと片思いをしている。

彼はクラスでも目立たず、教室でもひっそりと過ごす地味なタイプの男子。だが寡黙さの中にある聡明さと、どことなく謎めいた影を持つたとえに、愛はずっと惹かれていた。
自分だけが彼の魅力を知っていると思っていた。

しかし、彼が学校で誰かからの手紙を大事そうに読んでいる姿を偶然見てしまった事で事態は一変する。

「たとえに、恋人がいるのではないかー」その疑惑がぬぐいきれず、愛はある夜、悪友たちと学校に忍び込み、その手紙を盗んでしまう。

手紙の差出人は、糖尿病の持病を抱える地味な少女・美雪。その時、愛は、初めてふたりが密かに付き合っていることを知るのだった。それが病気がちで目立たない美雪(芋生悠)だとわかった時、いいようのない悔しさと心が張り裂けそうな想いが彼女を動かしたー。「もう、爆発しそうー」

愛は美雪に近づいていく。誰も、想像しなかったカタチで・・・。

 
出演: 山田杏奈、作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズ Jr.)、 芋生悠、山本浩司、河井青葉、木下あかり、板谷由夏、田中美佐子、萩原聖人
 
監督・脚本・編集: 首藤凜
 
原作: 綿矢りさ「ひらいて」(新潮文庫刊)
 
音楽: 岩代太郎
主題歌: 大森靖子「ひらいて」(avex trax)
 
制作プロダクション: テレビマンユニオン
製作: 「ひらいて」製作委員会
配給: ショウゲート
 
© 綿矢りさ・新潮社 / 「ひらいて」製作委員会
 
2021年10月22日(金) 全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @hiraite_movie
公式Instagram: @hiraite_movie
公式ハッシュタグ: #ひらいて
 

映画『ひらいて』主演・山田杏奈 インタビュー

映画『ひらいて』首藤凜監督 インタビュー

この記事の著者

美坂 英里ライター/レポーター

2002年生まれ、シネマティーンズ所属。
映画やドラマが好きで、普段から邦画を中心に鑑賞している。好きな映画ジャンルは、コメディ映画、青春映画、アニメーション映画など。

Cinema Art Onlineに出逢い、"好きなこと"の発信に自分も携わりたいと参画を決めた。「読んでよかった」と思ってもらえる記事を発信できるようになることを目標に、ライター/レポーターとして活動中。インタビューやスチール撮影もこなし、様々な側面から、自分なりのオリジナルのコンテンツが発信できるよう挑戦している。

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