第31回東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門『アマンダ』記者会見レポート
【写真】第31回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『アマンダ(原題)』記者会見

第31回 東京国際映画祭(TIFF) 
コンペティション部門『アマンダ(原題)』記者会見

「この作品を撮る必要性に駆られた」と語る、ミカエル・アース監督。
描きたかったのは「パリの今」

第31回東京国際映画祭(TIFF)コンペティション部門に選出された映画『アマンダ』(原題:Amanda)の記者会見が10月27日(土)にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、来日した監督のミカエル・アースとプロデューサーのピエール・ガイヤールが登壇した。

一言挨拶を求められると、アース監督は「皆様本日はお越しくださり誠にありがとうございます。今回初来日なのですが、自分の映画をこうして日本でお披露目できて大変嬉しく思います」と感謝の気持ちを伝えた。続いてガイヤール氏も、「私も今回日本に来ることができて、また東京国際映画祭に参加できて大変光栄に思っています。由緒ある映画祭への選出と、日本での配給会社の方にもお目にかかることができ、ふたつの大きな出会いがありました。この作品にとっても非常に大事な瞬間を生きております」と挨拶した。

【写真】ミカエル・アース(監督/脚本)、ピエール・ガイヤール(プロデューサー)

この作品を撮ろうと思った経緯とは?

MCから、「とてもメッセージ性が強い作品でしたが、何故このような作品を撮ろうと思ったのか。そしてなぜ監督をしようと思ったのでしょうか」と問われると、アース監督は「普段は直感的にこういうものを撮りたいと思うことがあるのですが、今回の作品に関してはいろんな出来事や出会いを経て必要性を感じて作りました」と答えた。そして「パリの今。パリの美しさや脆さ、テロによる傷や、父の父性。そして子供を主人公にすることや、子供と思春期を過ぎた人が悲劇を経てお互いを支え合いながら寄り添っていく作品」など、描きたいものが沢山あったことを明かした。

【写真】第31回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『アマンダ(原題)』記者会見

この物語には監督の人格や、内面的な部分が影響していると話すガイヤール氏は、「これはグローバルでユニバーサルな現実的なものを描く題材になっていると思います。予期せぬところから父親になっていくという所を描きつつ、パリがテロによって傷を負う部分も描いているので非常に適した題材だと思いました」とコメントした。

【写真】ピエール・ガイヤール(プロデューサー)

【Elvis has left the building.】というフレーズが持つ意味は?

記者から、映画の中で度々使われていた「Elvis has left the building.」(エルヴィスはもうこの建物を出ました)というフレーズをどのように使いたいと思ったのか、その背景について質問されると、アース監督は「たまたまネットで見つけたんです」と意外な出会いであったことを明かした。「このフレーズにはいろんな意味を含めることもできるし、いろんな想像力を掻き立てるし、いろんな何かを引き起こすフレーズになるなと思いました。脚本の執筆にもいい影響が出てきてくれて、これはエンディングにも使えると早い時点でわかりました。伏線としても使えるとわかり、冒頭のシーンで他愛もない会話の中に少し出てくるフレーズだと思ったら、実はずっと流れに沿って最後には大きな意味を持つというように使いました」と、この不思議な言葉の魅力を語った。

【写真】ミカエル・アース(監督/脚本)

アマンダ役の小さな女優はワイルドキャスティング!?

最後にMCから「アマンダ役のイゾールさんの演技が素晴らしかったですが、どうやってあの小さな女優さんを見つけてきたのですか?」と質問があった。

アース監督はキャスティングについてまず、青年ダヴィッドを演じたヴァンサン・ラコストについて「彼は軽やかさも、奥深さも不器用な部分も美しい部分もあり、複雑みがあって両面を備えた役者さんだと思います。ダヴィッド役にしっくりきました」と話し、続けてアマンダ役を務めた小さな女優イゾール・ミュルトゥリエの起用理由について、「彼女の方はいわゆる“ワイルドキャスティング”といわれるキャスティング方法でした」と、独特なキャスティング方法だったことを明かした。

計算して演じているような子があまり好きではないと話すアース監督は、彼女がたまたま体育の習い事から出てくる時に見つけて、声をかけてビラを渡したという。「彼女の良い所は、幼いながらに思考が熟しているような感じがして、幼い部分と少し大人びた部分の両方が備わっている感じがする所です。彼女の場合、映画の中でシングルマザーに育てられているということで、そうではない子供よりも色々な事を考えて成長しているだろうな、という所に非常にマッチすると思いましたし、ヴァンサンと共演させてみるととても良い相乗効果があったので彼女を選びました」と彼女をアマンダに抜擢した理由を語った。

【写真】ミカエル・アース(監督/脚本)、ピエール・ガイヤール(プロデューサー)

[スチール撮影: Cinema Art Online UK / 記者: 清水 彩帆]
 
 

イベント情報

第31回東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門
<映画『アマンダ(原題)』記者会見>

■開催日: 2018年10月26日(金)
■会場: TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン8
■登壇者: ミカエル・アース(監督/脚本)、ピエール・ガイヤール(プロデューサー)

【写真】第31回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『アマンダ(原題)』記者会見

第31回東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門
映画『アマンダ(原題)』記者会見

映画『アマンダ(原題)』予告篇[英語字幕]

https://youtu.be/T3uMYokc60s

映画作品情報

【画像】映画『アマンダ (原題)』メインカット

第75回ヴェネチア国際映画祭 オリゾンティ部門正式出品
第31回東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門正式出品
 
原題: Amanda
 
監督・脚本: ミカエル・アース
共同脚本: モード・アメリーヌ
撮影監督: セバスチアン・ブーフマン
音楽: アントン・サンコー
 
出演: ヴァンサン・ラコスト、イゾール・ミュルトゥリエ、ステイシー・マーティン、オフェリア・コルブ、マリアンヌ・バスレー、ジョナタン・コーエン、グレタ・スカッキ
 
2018年 / フランス / フランス語 / カラー / 107分
配給: ビターズ・エンド
© Tramp Limited Srl – O’Groove Srl 2018
 
2019年初夏、シネスイッチ銀座ほか全国公開!
 
映画公式サイト

IMDb: www.imdb.com/title/tt7491144/

この記事の著者

さほシネマレポーター/ライター

シネマティーンズオンラインでインタビュアやライターとして活動している現役高校生です。
趣味は映画鑑賞や好きなアーティストのライブに行くことです☺
お気に入りの映画は山戸結希監督の『溺れるナイフ』(2016年)です。

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