映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』レビュー

【画像】映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』メインカット

映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』(Terminator: Dark Fate)

なぜ「ニュー・フェイト」だけが『T2』の“正統な”続編となりえたのか 

かつて続編作品の金字塔とも言われた『ターミネーター2(以降T2)』。同作はアクション映画でありながらそのドラマ性も高く評価され、熱狂的なファンを生み出した。そして今年、“『T2』の正当な続編”と銘打ち、満を持して公開されたこの映画は、日本での公開3日で45万人を動員。上映4週目に入っても週間興行収入の上位に名を連ねている。

ヒット作の続編は諸刃の剣だ。製作が決まった時点である程度の観客数が見込めるが、その分内容へのハードルは大きく上がる。前作の信念を受け継ぐのは当然だが、その上で技術・ストーリー共に前作を凌ぐ新たな仕掛けを求められ、勝らなくては「失敗」の烙印を押されるからだ。『ターミネーター』シリーズも『T2』の後、3本の続編が作られたが、いずれも期待を超えるほどの結果は残せなかった。賛否は見た人の好みで分かれるが、世界的に『T2』の続編として受け入れられる作品にはなり得なかったのだ。

これまでの3本と本作は、続編として何が違っていたのだろうか。

あらすじ

人類と機械との戦争が勃発するはずだった1997年、「審判の日」は起こらなかった。未来を知った女戦士サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)と息子のジョン・コナー(エドワード・ファーロング)、そして未来から送り込まれた1体の殺人兵器・T-800型ターミネーター(アーノルド・シュワルツネッガー)によって阻止されたからだ。ところがその22年後、メキシコシティの自動車工場で働く21歳の女性・ダニー(ナタリア・レイエス)が新たなターミネーター・REV-9(ガブリエル・ルナ)に襲われる。彼女を守ったのは、未来から送り込まれた強化型女戦士のグレース(マッケンジー・デイヴィス)。車で逃げ出すも、ハイウェイで追い詰められた彼女たちの目の前に現れたのは、武装したサラ・コナーその人だった。

【画像】映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』キャスト

みどころ

今作の激しいアクションとREV-9には、シリーズの大きな魅力であったCG技術と独創性が受け継がれている。REV-9は金属の骨格と液体金属の身体が分離する新型マシンで、簡単にいうと『T1』のT-800と『T2』のT-1000を融合させたような敵だ。ドロリと溶けた「体」がムカデのように這い回り人型を形成するなど、異形感を増した動きで、追われる側の恐怖心と不気味さを増幅させている。
さらにガンアクション、カーチェイス、接近戦と多様でオリジナリティーあふれる戦闘シーンは、REV-9役のルナとグレース役のデイヴィスに託された。若き2人が繰り広げる、スピード感と迫力をあわせもった息つかせぬ戦いはこの映画の大きな見どころだ。もちろんシュワルツネッガーの年齢を感じさせないアクションも素晴らしい。新たなT-800として登場するシュワルツネッガーとの戦闘シーンを彼らは「夢のようだ」と喜んでいる。

そして登場1分でREV-9を圧倒するガンアクションを見せつけ、顔色一つ変えずにロケットランチャーをぶっ放すサラ・コナーの、しびれるような“不良老年”ぶりは新たな伝説と言えよう。鍛え上げた体に孤独の影をまとい、シリーズを代表するあの名せりふもさらりと言ってのける。カムバックしたハミルトンの骨太な精神には、レイエスも多くを学んだと語っている。“レジェンド”2人は「これが最後」と語る作品で新たな世代にアクション作品の真髄を惜しみなく伝えたに違いない。

【画像】映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』場面カット

注目したいのは、サラが「審判の日」が回避されたにもかかわらず、その後も22年以上孤独な戦いを続けている点だ。その胸に抱いているのは、人類と未来への絶望感。そんな中で出会った“人類の未来のために守られるべき女性”に過去の自分の姿を見て、彼女は自分の持つ知識や力を伝えていく。かつてジョンにそうしたように。しかしサラの教えを受け継ぐダニーは、物語の中盤でサラ自身では成しえなかったある使命を負っていることが明らかになる。今作で描かれているのは、映画として、そして物語としての「継承」(ケイショウ)なのだ。そしてこの場面にこそ、『ターミネーター』と『T2』両方の要素が凝縮されている。

【画像】映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』場面カット

『T2』以降の3作では、サラとジョンが回避した「審判の日」が結局は勃発することを前提に物語を構築し、一部ファンの反感を買った。しかし、今作ではあくまでスカイネットによる「審判の日」は起こらず、代わりに「リージョン」という別のAIが人類に反旗を翻し、新たなターミネーターが生み出されている。機械との戦争という意味では一見同じことのように見えるが、実はこのことで映画が伝える主題は180度違う方向に転換されている。何度阻止しても新たな「人類の敵」が生み出されることを通し、サラたちが戦うべき相手は、機械であると同時に「人間」でもあると示されたからだ。それはAI世界を生き始めた私達にもう一つの意味での「ケイショウ(警鐘)」を伝えていると言っても過言ではない。

その中で、『T2』のサラが繰り返し唱え、異なる未来から来たグレースも口にするメッセージが、未来を壊すのも守るのもやはり私達であると改めて感じさせてくれるだろう。

[ライター: 深海 ワタル

映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』ポスタービジュアル

原題: Terminator: Dark Fate
邦題: ターミネーター:ニュー・フェイト

製作: ジェームズ・キャメロン
監督: ティム・ミラー

出演: アーノルド・シュワルツネッガー、リンダ・ハミルトン、マッケンジー・デイヴィス、ナタリー・レヴェス、ガブリエル・ルナ、ディエゴ・ボネータ

配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン

© 2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @terminator_JP

この記事の著者

深海 ワタル

深海 ワタルエディター/ライター

女性向け情報誌で旅・エンタメジャンルを担当し、試写会紹介やタレントインタビューなどを執筆。インタビュー実績は堤真一、永瀬正敏、大森南朋、北村一輝、松田龍平、斎藤工、柳楽優弥、柴咲コウ、北川景子、吉田羊、中谷美紀ほか30人以上。学生時代から地元の名画座に通い、年間50本超の映画鑑賞を15年以上継続中。好きなジャンルはヒューマンドラマ、アクション、サスペンス、ファンタジー。人生を変えた1本は、子どもの頃劇場で鑑賞して映画好きのきっかけとなり、通算30回以上リピートしている『ターミネーター2』。

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