第30回東京国際映画祭(TIFF)オープニングスペシャル『空海 ―KU-KAI―』舞台挨拶レポート
【写真】30th TIFFオープニングスペシャル『空海-KU-KAI-』舞台挨拶 フォトセッション

第30回 東京国際映画祭(TIFF)
オープニングスペシャル『空海 ―KU-KAI―』舞台挨拶

日中の豪華キャストが集結!10分間の特別映像を世界最速上映!

第30回東京国際映画祭(TIFF)のオープニングスペシャルとして、映画『空海 ―KU-KAI―』の世界最速フッテージ上映と出演者による舞台挨拶が10月25日(水)にTOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われた。『空海 ―KU-KAI―』は、2018年2月24日(土)から全国公開となる日中合作のビックプロジェクトで、「陰陽師」などの多くの著書が映像化されているベストセラー作家夢枕貘の「沙門空海唐の国にて鬼を宴す」(角川文庫/徳間文庫・2004年)をカンヌ国際映画祭のパルムドールをはじめ数々の映画祭で受賞経験のある世界的巨匠チェン・カイコー監督が映像化した。かつてない規模の巨大セットで再現された唐の長安の街で、2016年7月31日〜2017年1月4日の約5ヶ月間にわたり、オール中国ロケで撮影を行うなど、製作費150億円を投じて日中映画製作市場でまさに地上最大規模のスケールで製作されている。

【画像】映画『空海-KU-KAI-』メインビジュアル

物語の舞台は8世紀の中国唐の時代。日本から遣唐使として中国へ渡った若き僧侶空海や中国が生んだ稀代の詩人白楽天とともに、唐の都をゆるがす巨大な謎に迫る極上のエンターテイメント超大作。『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993年)など、カンヌ受賞経験もあるチェン・カイコー監督の最新作として、世界中から高い注目を集めている。

現在、映画の本編は完成に向けて絶賛編集中であり、この日のためだけに作られた約10分の特別フッテージ映像が世界でいち早く公開された。第30回東京国際映画祭のためだけに作られた特別映像だけに、この場に集まった観客だけが観ることができる貴重な機会となった。今回、本編の最終仕上げ中のために来日できなかったチェン・カイコー監督が「誇れる作品になる」と自信をみせる究極の映像美、壮大な物語、かつてないスケール感を劇場の大スクリーンで堪能することとなった。

舞台挨拶レポート

『空海 ―KU-KAI―』のフッテージ上映前には、出演者による舞台挨拶が行われて、染谷将太、ホワン・シュアン(黄軒)、シン・ポーチン(辛柏青)、松坂慶子、阿部寛という日中の豪華な出演者がそろって登壇した。

登壇者からの挨拶

海外の映画が初主演であり、若き空海を演じた染谷は、「本日は本当にありがとうございます。『空海 ―KU-KAI―』という作品で、この舞台に立てていることを光栄に思います。楽しんでください」と感慨深く挨拶した。

8世紀頃に中国に遣唐使として渡って、玄宗皇帝から一番信頼された阿倍仲麻呂を尊敬して演じたという阿部は、「僕は、中国で全編を撮影させていただきましたけれども、スタッフやキャストの人がみんなが友好的で、監督をはじめすごく良い雰囲気の中でやらせていただきました。いよいよ、これから公開になることがすごく嬉しいです。よろしくお願いします」と喜びを語った。

阿倍仲麻呂を慕う白玲役を演じた松坂は、「長年の憧れのチェン・カイコー監督の作品に出させていただいて、本当に身の引き締まるとても光栄な経験をさせていただきました。今日こうして、東京国際映画祭でいよいよ『空海 ―KU-KAI―』がみなさまにお披露目がはじまって、監督もさぞお喜びだと思います。どうぞよろしくお願いいたします」と編集作業で来日できまかった監督に思いをはせた。

中国が生んだ稀代の詩人白楽天役のホアンが「みなさん、こんばんは」というと女性ファンからのため息と歓声が聴こえる中、「今日は、みなさんとこうやってお会いできて、本当に嬉しく思います。また、この映画に出させていただいて、僕は本当に光栄に思っています。この映画の撮影を通じて、日本の素晴らしい俳優さんたちと共演をさせていただき、非常に良い経験をさせていただきました。この作品は、本当に超大作で様々な人間の情感を細かく描いている最高の作品となりました。きっと、優れた作品として後世に残るものだと思います。みなさん、映画が公開されたときには、ぜひ映画館に観に来ていただければと思います。ありがとうございます」と丁寧に挨拶した。

中国を代表する詩人李白役のシンは、「みなさま、こんばんは。この映画の中で私が演じている李白は、本当に唐代の大詩人として中国では誰も知らない人はいないほど有名で、中国の子どもたちは、4〜5歳のときから李白の詩を暗記しています。そのような偉大な人物を演じさせていただいたことを大変光栄に思います。私自身も、素晴らしい映画に仕上がったと思っているので、大変期待をしています。ぜひ、みなさま、映画館に観に来ていただければと思います。ありがとうございます」と期待感を伝えた。

【写真】30th TIFFオープニングスペシャル『空海-KU-KAI-』舞台挨拶

チェン・カイコー監督の印象や現場のエピソード

染谷は、監督の印象を「とても大胆でかつ繊細な方でした」と答えた。「ずっと、”真の美とは何なのかということをこの映画を通して自分は見つけ出したい”とおっしゃっていて、自分は本当にその言葉が素敵だなと思い、一生懸命ついて行きました。本当に今までに経験したことがない世界を味わうことができました」と真の美を監督とともに追求したことを話した。

阿部は、「本当に現場は身の引き締まる思いがしました。やっぱり、監督は怖いんですよね」と切り出したあと直ぐに、「でも、すごく優しいんですよ」と、監督の作品に対するこだわりが強くて、妥協という言葉がないと思うほどにワンカット、ワンカットに対する情熱や時間のかけ方だったと語り、「エキストラが500人やそれ以上が毎日なのに、その人たちの端から端まで監督の思いが伝わっているような現場だったのです。もちろんスタッフも役者陣もみんな、その思いを感じるのです。それ位の引っ張っていくすごい力やカリスマ性というか、もう本当に自分の経験の中でも素晴らしい監督とお仕事をさせていただいたと思います」と現場の空気感も伝えた。

広大な大唐時代が再現された街を半日かけて観たという松坂は、「文化遺産の中に私は居るのかと思ってしまう素晴らしい完成度でビックリしました」というほどのセットで観終わらなかったという。また、「監督さんは、スケールが大きく、本当に立派な方なのですが、繊細でもあって、私が合流して撮影をしたときには暑かったのですけれども、”暑くて大変だったら、直ぐに言ってください”と監督がおっしゃってくださって、なんて優しくて、全体的にどの人にでも配慮をしてくださる方だと思いました」と人柄を明かした。

ホアンは、「この映画に参加させていただいて、チェン・カイコー監督という方は、映画のために生まれてきた、映画に全てを捧げている方なんだと強く感じました」と印象を述べて、「この監督の映画に対する情熱が僕に大きな影響を与えたと思います。今回、監督と接して、僕の映画に対する情熱が足りなかったという風に思いました。とにかく、ワンカット、ワンカットを非常に細かく練り上げていく監督なので、毎回、ワンカットを撮り終わる度に、みんなに見せては、”ここはどうだった?””良かった?良くなかった?”と聞いたりするのです。呼吸ひとつにしてもおろそかにはしない、本当に素晴らしい情熱でした」と語り、「チェン・カイコー監督から、たくさんのことを学んだと思います」と、今でも監督との撮影の日々をよく思い出すという。また、ホワンは、「今回は、染谷さんとは、5ヶ月間ずっと一緒に撮影の現場にいました。染谷さんのプロフェッショナルなところやプロ意識の強さを僕は本当に感じました。とくに、彼の台詞は全部中国語なのですよね。だから、毎晩、本当に必死に勉強されていたと思います。染谷さんには、本当に尊敬の念を抱きました」と染谷への労もねぎらっていた。

シンは、「実は、このように素晴らしい方々とご一緒させていただいているのですけれども。ストーリーの中では、私の役は同じ時代ではないのですよ。ですから、実際に撮影の現場では、ご一緒していないのです」と告白し、「チェン・カイコー監督と素晴らしい役者さんがこうやってそろって監督と一緒に作っていったので、本当に素晴らしい映画に仕上がっていると思います。もし、機会があれば、私もみなさんと同じ時代に演じて、共演したかったです。そういう機会がまたあれば良いなと思います」と笑顔で話した。

全世界の映画ファンに向けてのメッセージ

「全然話足りないです」という染谷が代表して、「今から観る映像を観ていただければ、伝わると思います。本当に美しく、本当に壮大です」と映像にとどまらず、ストーリーも壮大で感情が広がっており、そこに浸ってほしいと最後に伝えた。そして、「自分も早く完成が観たいので、完成した際には、みなさん劇場へ足をお運びください。お願いします」とメッセージを伝えた。

【写真】30th TIFFオープニングスペシャル『空海-KU-KAI-』舞台挨拶

8世紀の頃に、実際に日本と中国との間で文化的な交流がはかられていた唐の長安を舞台に、時を超えて、現代の日本と中国の映画人たちが共に協力してハリウッドを凌ぐスケールで共同制作した史上最高のビックプロジェクト『空海-KU-KAI-』。真の美の追求と歴史を揺るがす謎に迫るストーリーと人間模様が見逃せない待望の作品である。

[取材・記者: おくの ゆか / スチール写真:© 2017 TIFF]
 

イベント情報

<第30回 東京国際映画祭(TIFF) オープニングスペシャル>
<特別招待作品『空海 ―KU-KAI―』舞台挨拶>
 
■開催日: 2017年10月25日(水)
■会場: TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン9
■登壇者: 染谷将太、ホワン・シュアン(黄軒)、シン・ポーチン(辛柏青)、松坂慶子、阿部寛

映画『空海 ―KU-KAI―』特報映像

映画作品情報

【画像】映画『空海-KU-KAI-』ポスタービジュアル


第30回 東京国際映画祭(TIFF) オープニングスペシャル
 
 
出演: 染谷将太、ホアン・シュアン(黄軒)、阿部 寛、チャン・ロンロン(張榕容)、火野正平、松坂慶子
 
邦題: 空海 ―KU-KAI―
原題/英題: 妖猫传 / Legend of the Demon Cat
監督: チェン・カイコー
原作: 夢枕獏
脚本: ワン・フイリン
音楽: ミーシャ・シーガル
配給: 東宝、KADOKAWA
2017年 / 中国・日本合作
© 2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film
 
2018年2月24日(土) 全国東宝系にてロードショー! 
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @kukai_movie
公式Facebook: www.facebook.com/kukaimovie/
公式Instagram: www.instagram.com/kukai_movie/
 

この記事の著者

おくの ゆかライター

映画好きの父親の影響で10代のうちに日本映画の名作のほとんどを観る。
子どものときに観た『砂の器』の衝撃的な感動を超える映像美に出会うために、今も映画を観続けている。

★好きな映画
『砂の器』[監督: 野村芳太郎 製作: 1974年]
『転校生』[監督: 大林宣彦 製作: 1982年]
『風の谷のナウシカ』[監督: 宮崎駿 制作:1984年]
『硫黄島からの手紙』(Letters from Iwo Jima) [監督: クリント・イーストウッド 製作: 2006年]

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