第30回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『エンドレス・ポエトリー』主演 アダン・ホドロフスキー Q&Aレポート

【写真】第30回 東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『エンドレス・ポエトリー』アダン・ホドロフスキー Q&A

第30回 東京国際映画祭(TIFF) 
特別招待作品『エンドレス・ポエトリー』
主演 アダン・ホドロフスキー Q&A

鬼才アレハンドロ・ホドロフスキー監督待望の3年ぶりの最新作。
主演&音楽の繊細な末っ子アダン・ホドロフスキーが一家を代表して初来日!

10月26日(木)、映画『エンドレス・ポエトリー』(原題:Poesia Sin Fin)が第30回東京国際映画祭(TIFF)の特別招待作品として、東京・EXシアター六本木にて上映され、Q&Aが実施された。

『エンドレス・ポエトリー』は、88歳の名匠アレハンドロ・ホドロフスキー監督の自伝をベースにした物語『リアリティのダンス』(2014年)の続編で、11月18日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷他にて全国順次公開予定である。

【画像】映画『エンドレス・ポエトリー』(Endless Poetry/Poesia Sin Fin)

上映後、会場からの大きな拍手が鳴りやまぬ中、主演と音楽をつとめた初来日のアダン・ホドロフスキー氏が登壇した。

Q&A レポート

―― 会場のみなさまへのご挨拶をお願いします。

東京のみなさんは、本当に素晴らしい人たちだと申し上げたい。この映画は、私にとって本当に大変な作品でした。なぜなら、父親が演出を行い、私がその父親役を演じて、兄のブロンティスが祖父役を演じて、父の妻のパスカルが衣装を担当するという親族一同に会して製作したからです。

父から色々と話を聴いていたので、色々な思い出や記憶というものがありました。そして、(チリの)現場に行ったときには、色々と過去や新しいイメージが思い出されて、より美しいものになりました。

私は、音楽も担当をしていて、パリのスタジオでこのサウンドトラックを作りました。そのときにミシェル・ルグランが実際に使っていたピアノがあり、私はそのピアノでこの映画の全曲を作曲したのです。

―― アレハンドロ・ホドロフスキー監督からのこんな曲にしてほしいというリクエストはありましたか?

私は、『リアリティのダンス』を彼と一緒に撮っていましたので、だいたい父が望む音楽は分かっていました。父は、バイオリンとピアノ、フルート、オーボエの4つの楽器を中心とした楽器が好きなのです。エリック・サティーやベートーベン、ストラビンスキーたちがとても好きだということが分かっていました。それ以外にも、『ホーリー・マウンテン』(1973年)や『エル・トポ』(1970年)で使った音楽を大変参考にしました。というのは、父の映画は全ての作品がひと続きの1本の映画だと捉えているからなのです。

実は、父はもうこの映画の続編も考えています。今度は父がパリに行って、色々と芸術家たちに会って、そこからメキシコに行くまでの話になります。その続編を撮るためには資金が必要なので億万長者を探しています。もし、今、誰か億万長者の方がこの会場にいらっしゃいましたら、ぜひうちの父に電話をしてください(笑)。ありがとうございます。

【写真】第30回 東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『エンドレス・ポエトリー』アダン・ホドロフスキー Q&A

―― 大変刺激的なイメージの連続で、とても感激いたしました。いつも通りのホドロフスキー監督なのですけれども、ホドロフスキー家に生まれたことは、いったいどんな感じなのでしょうか?普通に家族旅行などへ行ったりされたのでしょうか?小さな頃の思い出がありましたら教えてください。

全く普通ではなかったですよ(笑)。父は、本当に色々なことに興味を持っていまして、常に色々なことを勉強していました。芸術などは常に身近にありまして、限界を知らないというか、ここまでという境界線がない。そこが問題だったのかもしれないですね。

私は怒ると、庭に出て怒りに任せて椅子を壊して埋めていました。靴が欲しいとなると大変で、私のイメージにピッタリ合う靴を探すまで30件位の靴屋さんに行っていました。そういうことをしていたので、今のこういうクリエイティブなことに役立っていると思います。本当に自分がこうだと思うことにたどり着くまで、とことんやりました。

夕食のときには、テーブルにみんなで座るのですが、それぞれ息子たちは椅子に立って詩を朗読しなくてはなりませんでした。あるとき、父は兄に「裸になってスープの中にオシッコをしろ。」と言ったんですよ。そういう生活でした(笑)。

―― アダンさんは、子どもの頃に剣道と合気道をされていたと聞いています。

はい、5年間やっていました。その後、タンゴに転向しました。まあ、ダンスだから、同じですね(笑)。

―― すごく仏教的な要素が映画の中に見受けられました。お父さんは、仏教などのスピリチュアルな信仰をお持ちなのですか?

私たち家族としては、ユダヤ教です。でも、父は本当に全ての宗教を勉強して、その一番良い部分を吸収しています。ですから、仏教徒でも、キリスト教徒でも、ユダヤ教とでもなくて、本当に何かとつながりを強く感じています。もしかすると、それは神と言われているものかもしれません。そして、今、パスカルという女性と結婚をしています。彼女が東洋系の女性なので、東洋的な影響は彼女からきているかもしれないですね。

昔の『ホーリー・マウンテン』や『エル・トポ』などもすごく東洋的と言うか、ちょっと日本的な影響が見受けられると思います。これは、彼が非常に黒澤明監督が大好きで、禅やそういうものにも興味があったからだと思います。ですから、私は、父に忍者のような修行をさせられました。「歩くときには、絶対に音を立てるな。」と、とにかく静かに沈黙で暮らすということを学びました。

―― 創造を豊かにするために何か習慣にしていることはありますか?

まずは、私は創造できることを宇宙に感謝しています。私は、マジシャンでもありますが、昔は創り上げることが非常に難しかったです。昔は、歌を一曲作るために1ヶ月かかっていましたが、今は1日で一曲作れます。これは、本当に毎日毎日色々とやって、何年もかかって、ちょうど剣術士が剣を練習すればどんどん良くなるように、今は意外と簡単にできるようになりました。もちろん感謝もしていますよ。今は、創造することが自分の一部になっています。

―― 素晴らしい作品をありがとうございました。演じられていて一番難しかったシーンはどこでしょうか?その理由も教えてください。

全部が大変でした。、私は過去に映画は7本くらいやっているのですけれども、4年位は演技をしていませんでした。順撮りといって最初から順番に撮影をしていたのですけれども、初めての主演でもあり、とにかく撮影初日は演技をすることに慣れるまで非常に緊張しました。最初に撮ったシーンは、ドアを開けて「あなたの友だちが待っているわよ。」と言われて、「どの友だち?」という台詞でした。それを何度も何度も15回位は言わされて、父親がすごく怒りはじめたのです。父親は本当に分かっていて、こうしなくちゃいけないと人の意見は聞きません。例えば、私の腕を取って、ここに居て、ここからそこに行って、目はここを見て、ここを見てと、全てを演出するわけです。二、三度それが続いたあと、「もう勝手にやれ。」と好き勝手にやれって言うのですよ。

【写真】第30回 東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『エンドレス・ポエトリー』アダン・ホドロフスキー Q&A

―― 先ほどの質問の答えと若干似ているのですけれども。演技の指導のところで、アレハンドロ・ホドロフスキー監督が色々と決めてあとは自由にやれとなると、人形くさくなるような気がします。他の『エル・トポ』や『ホーリー・マウンテン』を観ると、社会的に特殊な人間を演じるわけじゃないですか。そういう人を演じるときに、映画の中ですごく自由にダンスをするようにみえました。どういう指導をされていたのか知りたいです。

実は、私から父に、踊りや道化のピエロになることを提案したのです。私は、ずっとダンスをやってきました。演劇やパントマイムも子どもの頃からやってきたので、チャーリー・チャップリンやバスター・キートンの大ファンなんですよ。父は、初めは「ああやって、こうだ。」という風に演出をするのですが、先ほど言ったように、2テイクをしたら、私は自由に色々とやりました。例えば、ビールにツバを吐いたり、私が色々な動きをして即興をやり、彼が気に入ってそれを残してくれたのです。

エンリケ・リンを演じていた人(レアンドロ・ターブ)なんですけれども。実は、現場に来たときに、私の妻の元彼だったことに気づいたのです。妻は彼を振って、僕のところに来たのです。彼は、私のことが大嫌いで、そして、すごく怒っていたのです。ですから、映画の中で彼のガールフレンドと寝るということは、本当の話なので、本当に彼は怒っていました。本当に大変なことでした。最終的には大丈夫でしたけれども、なんとかなりました。

―― あと、僕は昨日が給料日だったので、ホドロフスキー監督に(資金)提供をしたいと思うのですが、どのようにコンタクトを取ればよろしいですか?

彼が寄付をしてくれるって。では、僕にください(笑)。今夜はお酒を飲みに行こうかな(笑)。ここでは、アレハンドロのメールアドレスは、お教えできないのですよ。でも、配給さんが使ってしまう恐れもありますよね(笑)。僕の個人的なメールアドレスは、××@××.comです。僕のEメールアドレスなので、全員が送ってこないでくださいね。ああ、なんでアドレスを言ってしまったのだろう(笑)。

―― 会場のみなさまにメッセージをお願いします。

人に与えるものは、実は、自分に与えているものです。ですから、お金を渡しますよ(会場にポケットからコインを取り出して投げる)。どうぞお返しくださいね(笑)。

【写真】第30回 東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『エンドレス・ポエトリー』アダン・ホドロフスキー Q&A

88歳にしてキャリアのピークが続く名匠アレハンドロ・ホドロフスキー監督の待望の最新作『エンドレス・ポエトリー』は、「マジック・リアリズム」と呼ばれて、観た人が真の自分を発見する手がかりとなる作品である。ぜひ、この作品を観て「生きることの招待」を手にしていただきたい。 

[記者: おくの ゆか / スチール写真: © 2017 TIFF]
 
 

イベント概要

<第30回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『エンドレス・ポエトリー』上映後 Q&A>

■開催日: 2017年10月26日(木)
■会場: EX シアター六本木
■登壇者: アダン・ホドロフスキー
 

30th TIFF『エンドレス・ポエトリー』Q&A 動画

映画作品情報

【画像】映画『エンドレス・ポエトリー』(Endless Poetry/Poesia Sin Fin)

世界に潜むマジック・リアリズムを追い求め続ける。
88歳のホドロフスキー監督が観る者すべてに贈る、“真なる生”への招待状。

舞台は故郷トコピージャから首都サンティアゴへ。父親との軋轢や自身の葛藤を抱えたホドロフスキーは、初めての恋や友情、古い規則や制約に縛られない若きアーティストたちとの出会いと交流を経て、囚われていた檻から解放され詩人としての自己を確立する。

本作はフランス、チリ、日本の共同製作で、新作を望む世界中のファン約1万人からキックスターター、インディゴーゴーといったクラウド・ファンディングで資金の多くを集めて製作された、まさに待望の新作。

撮影監督は『恋する惑星』(1994年/ウォン・カーウァイ監督)など、手持ちカメラ使った独特の映像で知られるクリストファー・ドイル。自身の青年時代を虚実入り交じったマジック・リアリズムの手法で瑞々しく描き、「生きること」を全肯定する青春映画の傑作。

 
第69回 カンヌ国際映画祭 監督週間 正式出品
第30回 東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品
 
邦題: エンドレス・ポエトリー
原題: Poesia Sin Fin
監督・脚本: アレハンドロ・ホドロフスキー
撮影: クリストファー・ドイル
出演: アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコヴィッツ
配給: アップリンク
2016年 / フランス、チリ、日本 / 128分 / スペイン語 / 1:1.85 / 5.1ch / DCP
© Pascale Montandon-Jodorowsky
 
2017年11月18日(土)より、
新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開!
 
映画公式サイト

公式Twitter: @endlesspoetryjp
公式Facebook: www.facebook.com/EndlessPoetryJP/

この記事の著者

おくの ゆか

おくの ゆかライター

映画好きの父親の影響で10代のうちに日本映画の名作のほとんどを観る。
子どものときに観た『砂の器』の衝撃的な感動を超える映像美に出会うために、今も映画を観続けている。

★好きな映画
『砂の器』[監督: 野村芳太郎 製作: 1974年]
『転校生』[監督: 大林宣彦 製作: 1982年]
『風の谷のナウシカ』[監督: 宮崎駿 制作:1984年]
『硫黄島からの手紙』(Letters from Iwo Jima) [監督: クリント・イーストウッド 製作: 2006年]

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