映画『蝶の眠り』プレミア試写会舞台挨拶レポート
【画像】映画『蝶の眠り』プレミア試写会舞台挨拶

映画『蝶の眠り』プレミア試写会舞台挨拶

蝶が舞い、中山美穂の笑顔が輝く!

中山美穂が5年ぶりに主演を務めた映画『蝶の眠り』が5月12日(土)より公開となる。本作の主人公・涼子は遺伝性アルツハイマー病を告知された女流作家。最後まで自分の尊厳を守りながら残る人たちに美しい記憶を残そうとする。

【画像】映画『蝶の眠り』場面カット

公開に先駆け、4月12日(木)に東京・角川シネマ新宿で舞台挨拶付きプレミア試写会が行われた。 中山美穂のほか、共演の石橋杏奈、永瀬正敏、勝村政信、今回初の映画音楽を務めた新垣隆、さらにメガホンをとったチョン・ジェウン監督が登壇した。

イベントレポート

満員の会場に本作の予告編が流れたあと、MCのアナウンスとともに後ろの入口から中山美穂ら登壇者が姿を現した。ピンクベージュのレースワンピースを着て、ピンヒールで颯爽と歩く中山美穂は作品冒頭、大学で授業をする教室に向かう涼子と重なる。

【写真】中山美穂

まずは中山が作品タイトルに関連付けて「蝶が舞うようにいらしてくださりありがとうございます」と挨拶。5年ぶりの映画主演を決めた理由を「マルグリット・デュラスの小説みたいなイメージと聞いて楽しそうだなと思いました」と話し、中山主演を熱望した監督がその気持ちを日本語で長い手紙に書いて送ってくれたことも明かした。すると監督は「日本語と言っても絵に近いもの」と謙遜しながらも、中山が映画『Love Letter』(1995年)以来、韓国で絶対的な人気を誇っていることを説明した上で、「主人公は中山美穂さんしか思い浮かばなかった」と語った。

【写真】チョン・ジェウン監督

永瀬は涼子の相手役となる韓国人青年チャネがバイトする居酒屋の店長を演じた。チャネを演じたキム・ジェウクが来日しなかったことを残念がりながら、彼がアドリブも理解し、ちゃんとした日本語で返してきたことを振り返り、「キム・ジェウクは好青年で頭がいい」と褒める。MCがキム・ジェウクの日本語が流暢だったことに触れると、「いくら勉強したのかと自分の身に置き換えると信じられないくらい上手ですね。彼を見てると僕ももっとがんばらなきゃなと思います」と外国の作品に出演することの難しさを知っている永瀬ならではの答えを返した。
そんな永瀬とは30年来の仲の中山。台本を見て親友と思っている永瀬が出ることを知って連絡したところ、「美穂がやるからやる」と言われてうれしかったといい、永瀬も「座長としてありがとうといわれた」と返した。

【写真】永瀬正敏

涼子の昔からの友人で、大学で教鞭を執る石井を演じたのが勝村。MCから中山の印象を聞かれて、映画の前に下北沢の本多劇場で舞台を一緒にやっていたことを踏まえて、「舞台のときとは全く違う役を見事に演じていた」とその変わり様に驚いたことを話す。さらに、「器用とは思わないけれど、役がそこにいる。いつの間にか引き込まれてしまう。一方向ではなく多角的に役を捉えている目をしている」と、中山美穂という大きな名前に負けない中山の女優としての素晴らしさを伝える。

【写真】勝村政信

勝村の言葉を踏まえて、実年齢より上だった涼子の役作りについて、MCが中山に尋ねると、「年齢は意識しなかった」、「チャネが大学生なので、一緒にいるだけで年齢差は出る」と話す。むしろ、アルツハイマー病を演じる難しさを心配したことを明かし、「監督の細かい計算によって、アルツハイマー病だけが強調されず、美しい仕上がりになっている」と監督の手腕を称えた。

チャネと仲がいい大学生を演じた石橋杏奈はキム・ジェウクと2人で練習して撮影に臨んだと話す。キム・ジェウクと接して感じた日本と韓国の違いを“ハングリー”という言葉で表現した。また、毎回コメントをくれる監督に対して、「迷っているときは指標となった」と感謝を伝える。

【写真】石橋杏奈

「映像に音楽をつけることは若い頃から憧れていた」という新垣は本作で初めて映画音楽を担当。「編集されたものを観て、静かに映画に引き込まれた」と振り返る。音楽作りで意識したことを尋ねられ、「作品の持つ時間の流れを感じることを大事にした」と答えた。
その新垣が中山と同じ歳であることをMCが暴露。「うそでしょう?」と大袈裟に驚いた勝村に「私の方が若いとみなさん、思っている?」と新垣がおどおどと切り返す。勝村が立ち位置を替わって、中山と新垣を並んで立たせると、新垣は緊張の度合いが急上昇。中山が「今度、バンドに参加させていただくことになった」と言い出すと、新垣はしどろもどろに。勝村が「(新垣さんは)ロックバンドをやっている」と代弁。新垣は緊張で中山と目を合わすことができないまま、「ユニットを組み、バンド名はしっとりとしたものにする」と答えた。

【写真】新垣隆 & 中山美穂

現場では監督の提案で「おはようございます」の代わりに「お久しぶりです」という言葉を使われていた。観客と中山でこの言葉をやりとりすることをMCが提案すると、客席は一丸となって「お久しぶりです」と投げかけ、中山はにっこり笑って、「お久しぶりです」と手を振った。

【画像】映画『蝶の眠り』プレミア試写会舞台挨拶 (中山美穂、石橋杏奈、永瀬正敏、勝村政信、新垣隆、チョン・ジェウン監督)

ここで、登壇者にスタッフから蝶の形に切った薄い紙が配られた。登壇者はMCの掛け声とともに両手いっぱいにすくい持った蝶を放る。「朝焼け中で…」とエンディングテーマが流れる中、たくさんの蝶がひらひらと会場に舞った。中山のはじけるように輝く笑顔が印象的だった。

【画像】映画『蝶の眠り』プレミア試写会舞台挨拶 「蝶を放るシーン」

最後に中山が代表して「とっても静かで小説のように流れていく物語です。終わった後に自分の人生を考えてしまうかもしれません。音楽も素晴らしいので、気に入っていただけると思います」と締めくくった。

【写真】中山美穂

[スチール撮影: Cinema Art Online UK / 記者: 堀木 三紀]

 

イベント情報

<映画『蝶の眠り』舞台挨拶付きプレミア試写会>

■日時: 2018年4月12日(水) 
■会場: 角川シネマ新宿 シネマ1
■登壇者: 中山美穂、石橋杏奈、勝村政信、永瀬正敏、新垣 隆、チョン・ジェウン監督
■MC: 奥浜レイラ

【画像】映画『蝶の眠り』プレミア試写会舞台挨拶 (中山美穂、石橋杏奈、永瀬正敏、勝村政信、新垣隆、チョン・ジェウン監督)

映画作品情報

【画像】映画『蝶の眠り』メインカット

《ストーリー》

あなたが大切な人に残したい“記憶”は何ですか?
死を宣告された女流作家の人生最終章の“愛の記憶”の物

50代でありながらも美しく、若い読者にも根強いファンを持つ、売れっ子の女性小説家・松村涼子(中山美穂)。作家として成功し、満 ち足りた生活を送る涼子だったが、遺伝性のアルツハイマーに侵されていることを知り、人生の終焉に向き合うことを余儀なくされる。“魂の死”を迎える 前に、小説を書く以外に何かをやり遂げようと、大学で講師を務め始めた涼子。ある日、大学近くの居酒屋で、韓国人の留学生チャネ(キム・ジェウク)と出会い、ひょんなことから涼子の執筆活動を手伝うことになる。作業を進めるうち、現実と小説の世界で交差していく二人は、次第に年齢の差を 超えて互いに惹かれていくが、涼子のアルツハイマーは容赦なく進行していく。

 
監督・脚本・原案: チョン・ジェウン
 
出演: 中山美穂、キム・ジェウク、石橋杏奈、勝村政信、菅田俊、眞島秀和、澁谷麻美、永瀬正敏
 
ストーリー・劇中小説: 藤井清美
音楽: 新垣 隆
エンディング・テーマ曲: 「朝焼けの中で」作詞・作曲・唄 根津まなみ
企画・製作: 山上徹二郎 坂本敏明 イ・ウンギョン
プロデューサー: 山上徹二郎 イ・ウンギョン 山口幸彦
アソシエイト・プロデューサー: 鈴木俊明 藤岡美和子
ライン・プロデューサー: イ・ユンソク
撮影: 岩永 洋
照明: 谷本幸治
録音: 小川 武
音響効果: 齋藤昌利
編集: イ・ヨンリム(swimmingpool editing studio)
美術:中山 慎
装飾: 西渕浩祐
スタイリスト: 日下部慶子
ヘア・メイク: 浅野加奈
助監督: 藤江儀全
監督補: 藤本信介
プロダクション・マネージャ: 佐々木正明
音楽プロデューサー: 西澤雅巳(カンパニーウエスト) 堀越信二(カンパニーイースト)
製作: シグロ キングレコード ZOA FILMS
制作プロダクション: シグロ
配給: KADOKAWA
2017年 / 日韓合作映画 / 日本語 / 111分 / 5.1ch / DCP
© 2017 SIGLO, KING RECORDS, ZOA FILMS
 
2018年5月12日(土)より、
角川シネマ新宿ほか全国ロードショー!
 

映画公式サイト

公式Twitter: @chouno_nemuri
公式Facebook: www.facebook.com/映画蝶の眠り-809911545882363/

この記事の著者

ほりき みきライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど。

この著者の最新の記事

関連記事

カテゴリー

アーカイブ

YouTube Channel

Twitter

【バナー画像】日本アカデミー賞
ページ上部へ戻る