映画『ペナルティループ』外国特派員協会記者会見
「日本映画を壊しませんかとの招待状を貰った気持ち」
若葉竜也&伊勢谷友介、異色日本映画の可能性に意気込み
「仇討ち」という古典的なテーマを斬新なアイデアに落とし込んだ映画『ペナルティループ』が3月22日(金)より新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国公開される。
公開に先駆け、3月13日(水)に公益社団法人日本外国特派員協会(FCCJ)にて記者会見が開催され、主演の若葉竜也、共演の伊勢谷友介、そして荒木伸二監督が登壇。日本国内外の報道陣が集まり質疑応答が行われた。
“新しい世代”と呼んでほしい
荒木伸二監督「映画を作るのに年齢は関係ない」
映画監督として「遅咲き」と指摘された荒木監督。それに「僕は映画監督になることが目的ではなくて撮りたい映画を撮るのが目的でした。そのため良いアイデアが浮かぶのを待っていたら50歳になっていました」と明かすと笑いが起こり、「映画を作るのに年齢は関係ない。僕のことは“新しい世代”と呼んでほしいですね」と意気込んだ。
さらに本作の制作にあたり、荒木監督は『恋はデジャ・ブ』(1993年)、『ミッション:8ミニッツ』(2011年)、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014年)などのループ系作品を細かく分析したという。「沢山のループ映画を観てパターンを楽しみました。その行為は、それら過去作品にないものを作るための研究でもありました」と胸を張った。
「わけのわからなさが魅力」
斬新なストーリーに惚れ込んだ若葉竜也
一方、初共演の伊勢谷とのコラボについて聞かれた若葉は「伊勢谷さんとは初共演でしたが、肩ひじ張らずに接することが出来た。撮影中にコミュニケーションを深めることが出来て、結果的にそれが映画に映し出されたのだと思う」と手応えあり。
「脚本を読んだ時、疑問があったのでは?監督にぶつけたか?」と聞かれた若葉は「僕がオファーをいただいた時はコロナ真っただ中で、何か言えば批判され揚げ足を取られる状態…怒り、破壊衝動が蓄積していた時期」だったと振り返った。
「脚本に書かれているわけのわからなさが魅力的で、日本映画を壊しませんかとの招待状を貰った気持ちになった」と斬新なストーリーに惚れこんでいたという。
劇中で10回殺される伊勢谷友介
「10回殺されていくのが怖かった」
岩森(若葉)の敵・溝口役の伊勢谷は「映画を観てくれてありがとうございます」と流暢な英語で挨拶。自身が演じたキャラクターについては「社会の仕組みやルールにがんじがらめになったまま流されて生きてきた男。今の日本人は世の中に引っ張られて奴隷のように生きています。実際に自分たちで世の中を変えようというモチベーションを持っている人がいないのが今の状況。」と分析。「僕が演じた溝口は10回殺される仕組みに取り込まれていくわけですが、これはある種、今の日本人を体現しているキャラクターだと思います」と現代日本を反映した役柄だと熱弁。
さらには「媚びた芝居をしない中で10回殺されていくのが怖かった」といい、「死刑があるということがどれだけの恐怖なのか?今の日本で生きながら感じるよりも、この映画に出たことでより感じました。死刑がある国で、ルールを変えるのではなく、ルールに飲み込まれたまま生きるのを体現していることが怖かった」と役柄を通してシステムに飲み込まれる恐怖を実感したようだった。
また若葉は「こういう役をやりたいとかいう感覚は、持ち合わせていない。生きていく上で抑え込まれた凶暴性や残虐性が、ペナルティループという中に入ってしまったことで炙り出されればいいと思った」と公開初日に向けて期待を込めた。
イベント情報
映画『ペナルティループ』外国特派員協会記者会見■開催日: 2024年3月13日(水) |
映画『ペナルティループ』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》「おはようございます。6月6日、月曜日。晴れ。今日の花はアイリス。花言葉は” 希望”です」 —— 岩森淳が朝6時に目覚めると、時計からいつもの声が聞こえてくる。岩森は身支度をして家を出て、最愛の恋人・砂原唯を殺めた溝口登を殺害し、疲労困憊で眠りにつく。 翌朝目覚めると周囲の様子は昨日のままで、溝口もなぜか生きている。そしてまた今日も、岩森は復讐を繰り返していく。 |
配給: キノフィルムズ
製作: 木下グループ
映倫: PG12
上映時間: 99分