先行上映イベント 舞台挨拶
“楽しんではいけない遊園地”に“明るいお化け屋敷”!?
苦労したシーンや撮影秘話が盛だくさんに語られる!!
実は“BL好き”の腐女子高校生が好きになった相手は、実は“ゲイ”で妻子持ちの年上男性と交際している男子高校生だった―。交わるはずのなかった二人の出会いから始まる青春映画『彼女が好きなものは』が12月3日(金)に公開される。
全国公開がいよいよあと1週間まで迫る中、東京・大阪の一部映画館にて先行上映が開始され、それに合わせて11月26日(金)、11月27日(土)の2日間で計6回の舞台挨拶を開催!
11月26日(金)には、最初の先行上映イベントがTOHOシネマズ 日比谷で開催され、主人公・安藤純を演じる主演の神尾楓珠、ヒロイン・三浦紗枝役の山田杏奈、純の恋人・佐々木誠役の今井翼、そして<strong草野翔吾監督が上映後の舞台挨拶に登壇。撮影時を振り返り、楽しげにトークを繰り広げた。
“好きなものを隠して生きる”
それぞれの役、演技に込められた思いとは?
それぞれが演じた役について聞かれると、“ゲイ”を隠して生きる男子高校生・純を演じた神尾は「最初はやっぱり『(純が)どういう部分で一番葛藤してるんだろう』といったところは中々掴みづらく、難しかったです。でも、今回は“ゲイ”という題材ですが、他のことに変換してみた時に多数派・少数派というのはいくらでもあることですし、そういった中で僕が少数派だということもたくさんあるなと思って。そういうところから純の持つ悩みだったり葛藤といったものに向き合っていきました」と役作りについて回答。
続けて“BL好き”を隠して生きる女子高校生・紗枝を演じた山田は「紗枝は“人に言えない好きなものがある”という点では純とも共通していて。“本当に好きなものを人に言えない”というのはすごく苦しい部分もあるし、本当の自分をさらけ出して生きるのって誰にとっても難しいことだと思います。でもそんな中で周りの人と一緒に生きていくにはどうしたらいいのかと考えて…。紗枝はすごく真っすぐで、自分自身も純と似た悩みを抱えているからこそ、彼と対峙したときにしっかり向き合うことができていて。そういうところがすごく素敵な人だなと思いながら、その紗枝の姿が純の助けになればいいなと思い演じていました」と紗枝の魅力と演じた際の思いを語った。
そして妻子を持ちながらも純と交際する男性・誠を演じる今井は「僕自身このような役柄は初めてでした。どんなことでも、『閉鎖的に過ごさなければいけない』だったり固定観念みたいなものはもう時代錯誤だと思っていて。人を受け入れるだとか、自分自身を肯定するだとか…。今さまざまなことが社会の中で認識されてきていますが、同性を愛することは特別ではなく、かつその周りにいる人たちがそういう方を特別視しない。そういった大切なメッセージを込め、純を思う包容力というものを通して演じさせていただきました」と演技に込めた思いを力強く語った。
神尾楓珠と山田杏奈が特に力を入れた“思いをぶつける”シーン?
苦労したシーンについて聞かれると、神尾は「一番苦労したシーンでいうと、実は日常的なシーンの方が難しくて。クラスメイトとのシーンとか、“(“ゲイ”であることを)隠しながらも観ている人には引っかかりを作らなければいけない”という部分がすごく難しかったですね。一番印象に残っているのは、やはりあの病室でお母さんに感情をぶつけるシーンです。脚本を読んだ時から『そこに感情をぶつけたい』と思ってやってきていました。純の人生としては本当にずっと“抑えてきた”っていうのがあって、その分をそこでぶつけなきゃいけないと思ったんです。“一番近くにいたはずの家族に対しても自分はさらけ出せていなかったし、向こうにもわかってもらえていなかった”という虚しさを埋めるための怒りというか、そういうところが上手く出たら良いなと思って演じていました」と語った。
山田も続けて「終盤の紗枝が体育館でみんなの前に立ってワーッと言うシーンは苦労しました。何日も前から『(そのシーンの)撮影の日が来ちゃう…』ってすごくプレッシャーを感じていたりもして。私を通して、純の思いだったり、紗枝自身の思いだったりを全部出してあげたいという思いが強かったので、そこはすごく大事にやりたいなと臨みました。私自身とても印象に残っているシーンですね」と神尾に続き“感情を出す”シーンを挙げた。
それを聞いた草野監督は「『もうとにかくやってみよう』という感じで撮ったシーンですね。そこまでの山田さんのお芝居を見ていても、『むき出しの紗枝を切り取る(撮り逃さない)』といったことに懸けようと思えて。山田さんには『嘘がなければいいので、嘘なくやってください』とだけお伝えしていました。病室でのシーンについても、神尾くんに同じことを言いました」と「噓なくやる」ことに重きを置いていたことを振り返り、自分にとっても印象的なシーンになっていると話した。
ヨーヨーをぶつけて割る一発勝負の撮影?
誠の優しさが表れるラムネのシーンは神尾楓珠が「泣きそうでした」
今井は苦労したシーンについて「紗枝に見つかって(誠と純が)付き合っていることがバレてしまったシーンで、ヨーヨーを顔に投げられて割れるシーンですかね。失敗すると衣装を乾かさなきゃいけなかったりというのもあって本当に一発勝負の撮影で。来るとわかっている上で感じてはいけないので、ビンタされる芝居と同じように、平然を装いながらやりました」とコメント。
それに草野監督は「水風船じゃなくてヨーヨーだからすごく割れにくくて。今井さんに針みたいなものを仕込んでそこにぶつけて割る仕掛けを作って、一発勝負で撮ったんです。助監督の力強い一投で見事ぶち当てて、素晴らしいカットが取れました」と裏話を語った。
ここですかさず神尾が「僕、もう一ついいですか?」と印象に残ったシーンを付け足し。「別れのシーンで、純が誠にラムネを開けてもらうというのがあって。ハプニングでラムネがこぼれてしまったときに、今井さんが演技でカバーしてくださったんです。ハンカチを渡してくださって、それを目の当たりにした時、誠さんの優しさをもろに感じて泣きそうになっちゃって…」と話すと、草野監督は「純と誠の関係性だったり今までの時間が見えるシーンになって、と旬の関係性が最後の最後にこうずっとこう今までも時間が見えた気がして…。あれはいいよね」と激しく同意した。
遊園地のシーンは「楽しそうにしない」⁉
山田杏奈は“明るいお化け屋敷”に驚き?
遊園地のシーンの話題になると、神尾は「よみうりランド(遊園地)の場面で、亮平(前田旺志郎)だったりは心から楽しめるシーンだったんですけど、僕は紗枝との観覧車のシーンや小野(三浦獠太)とのシーンもあったので、それができない役で…。楽しみたくても楽しめなくて辛かったですね。監督にも『楽しそうにしないで』と言われました(笑)」と当時の複雑な思いを笑顔で語った。
山田は続けて「そのシーンは確かに私も『遊びに行ってやるぞ』というくらいの気持ちで(笑)。観覧車のシーンもありましたが、でもやっぱり紗枝は純と一緒に過ごせているので全然幸せな場面だとは思うんですけど。私はそこではお化け屋敷の撮影が印象的で。撮影のためにお化け屋敷が明るくなっていて、そこを悲鳴あげながら通ってたんです(笑)。“明るいお化け屋敷”なんて初めて見たので、印象に残っています」と意外な裏話を披露した。
最後に主演の神尾楓珠と草野監督からメッセージ✉
最後に主演の神尾と草野監督が登壇者を代表して一言ずつメッセージ。まず神尾から「この作品を観てどう感じるかはもちろん皆さんの自由で、深く考えて観なければいけないという訳でもないので、『面白かった』だとか、そんな感想もSNS等で言ってくださったら嬉しいです。ぜひ広めてください!」。
草野監督も「先行上映という形でこのように皆さんに観ていただけてとても嬉しいです。そんなに大作という訳ではなく、小さく、みんなで手作りのように作った映画になっています。気に入っていただけたらぜひ隣の人に勧めていただいて…。本当に今すぐ一人一人に感想を聞きたいくらいですが、僕も何らかの形で皆さんの感想を見られたら嬉しいです」と神尾に続き期待を込めた様子で語り、舞台挨拶は締めくくられた。
フォトギャラリー📸
イベント情報
映画『彼女が好きなものは』先行上映イベント■開催日: 2021年11月26日(金) |
映画『彼女が好きなものは』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》⾼校⽣の安藤純(神尾楓珠)は⾃分がゲイであることを隠している。 ある日、書店でクラスメイトの三浦紗枝(山田杏奈)が、男性同⼠の恋愛をテーマとした、いわゆるBLマンガを購⼊しているところに遭遇。 BL好きを隠している紗枝から「誰にも⾔わないで」と口止めされ、そこから2人は急接近。しばらしくて、純は紗枝から告白される。「⾃分も“ふつう”に⼥性と付き合い、“ふつう”の人生を歩めるのではないか?」。 一縷の望みをかけ、純は紗枝の告⽩を受け⼊れ、付き合うことになったのだが・・・。 |
第34回東京国際映画祭(TIFF) Nippon Cinema Now部門 出品作品
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー!