映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶 レポート
【写真】映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶 (役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯、成島出監督)

映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶

役所広司、菅田将暉、森七菜ら宮沢家が勢揃い!

世界中から愛される宮沢賢治が「ダメ息子だった!」という大胆な視点を軸に、大量の宮沢賢治の資料の中から父・政次郎について書かれた資料をかき集め、究極の家族愛を描いた門井慶喜の小説を映画化した映画『銀河鉄道の父』が5月5日(金・祝)より全国公開される。

監督を務めたのは『八日目の蟬』(2011年)、『いのちの停車場』(2021年)の成島出。主演で宮沢賢治の父・政次郎を役所広司、長男・賢治を菅田将暉、賢治の妹・トシを森七菜、賢治の弟・清六を豊田裕大、母・イチを坂井真紀、祖父の喜助に田中泯と錚々たるキャストが集結。無名だった宮沢賢治がどんな人生を歩もうと支え続けた父と家族の愛と情熱が心を揺さぶる、この春、最大の感動作が完成した。

【画像】映画『銀河鉄道の父』

4月5日(水)に完成披露試写会がイイノホールで開催され、上映前の舞台挨拶に、主演の役所広司をはじめ、菅田将暉森七菜豊田裕大坂井真紀田中泯らキャスト陣、そして成島出監督が登壇した。

成島監督、“親バカ”で“イクメン”の走りみたいな政次郎に衝撃!! 
役所広司は“菅田将暉ファン”、菅田将暉は”役所広司教”だった!?

原作と出会い、絶対に映画化したいと思ったという成島監督は「宮沢賢治にはすごく興味があって映画にすることも考えたりしていたんですけど、なかなか難しい中で、本屋さんで『銀河鉄道の父』の背表紙を見て『あっ!』って思ったんです。すぐに買って一気に読みまくって、『うわっ本当か?』っていう感じでした。“お父さんは厳しい人”というのが定説だったんで、こんなに親バカでイクメンの走りみたいなのがこの時代にいたのか、でも門井先生の書いてるものだから、嘘なわけはなくて実話なんだと、ものすごくカッツーンと来て、読み終わった瞬間にこれはどうしても映画にしたいと思いました」と原作との出会いを振り返る。

【写真】映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶 (成島出監督)

成島監督から是非ともとオファーのあったという役所と菅田は今作での初共演に「最高です」と口をそろえる。

父・政次郎を演じた役所は「元々菅田ァンでしたし、いつか一緒に現場に立ちたいなと思っていました。また宮沢賢治という役が菅田君以外には思いつかないぐらい菅田君にぴったりな役でした」と菅田ファンであったことを明かす。息子・賢治を演じた菅田も「僕は役所広司教団なので、こんな幸せな時間はないという感じでした。宮沢賢治、成島組お楽しみでした」と返した。

『銀河鉄道の父』に出会い変わった宮沢賢治の印象とは?

宮沢賢治の印象について、この作品に出会う前と後で変わったかを聞かれると、役所は「僕は本当に宮沢賢治という作家のことや作品のことはあまり知らなかったので、門井先生の原作を読んで、政次郎という役を通じて知りました。宮沢賢治の作品(詩)には、宮沢賢治という男の人生が全部詰め込まれていて、その作品の深さを感じたような気がしました。“人に何かをしてあげるために生まれてきたんだ”という母親(イチ)の教えを子供たちがちゃんと活かして大人になっていますので、宮沢賢治の詩はものすごく美しいものだと感じました」と感慨深く回答。

【写真】映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶 (役所広司)

菅田は「全然詳しくなくて童話作家とか物語のイメージでしたけど、家族として描かれている宮沢賢治を見て身近に感じました。劇中に出てくる『春と修羅』も然りですが、家族の話とか身近に起きたことの心情を書いている作品も多く、それを読むと全然違う印象でした。人間味に触れられたのかなと思います」と語り、全く印象が変わったという。

【写真】映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶 (菅田将暉)

賢治の妹・トシを演じた森「私は一番この中で学生から卒業して間もないこともあったので、教科書の中の偉人や文豪というイメージが強くかったです。堅く考えていたんですけど、原作と台本を読んだときにこんなに面白かったんだと思いました。改めて作品を読んだりすると何倍も面白く見えてきて、これが高校生のときだったらもっと楽しく教科書を開けていたのになって。今高校生で教科書を開きづらいなって人にも是非気軽に(映画を)観に来てほしいなってすごく思っていました」と自身の経験から若い世代に向けて思いを語った。

また、菅田との2回目の共演についても、「1回目のときは今ほど近い距離ではなかったので最初は少し不安もあったんですけど、現場に入ってみると菅田さん本当のお兄ちゃんのように細かなとこで気遣いをしてくださりました。私たちより年下の弟たちにも楽しく話をしてるのを見ていたりすると、菅田さんって本当に何人いるんだろうというぐらい宮沢賢治としての姿をたくさん見せていただき、勉強になりました。一緒に兄妹役をできたことがすごく幸せでした」と振り返った。

【写真】映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶 (森七菜)

弟・清六を演じた豊田は「僕も森さんと同じで教科書の人というイメージがすごく強かったんですけど、台本を読んでマルチに活躍されている方だなって思いました。チェロを弾いたりとか、詩を書いたり、農業をやったりという多才なところが、菅田さんと通じるところがあるんじゃないかなって僕は勝手に思ってしまって」と事務所の先輩でもある菅田と賢治の才能を重ねていた。

【写真】映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶 (豊田裕大)

母・イチを演じた坂井は「『雨ニモマケズ』のイメージがとても強かったのでストイックなイメージを持っていましたが、賢治は人間味があって好奇心も旺盛で、心の中にロック魂があるような人だなと思いました。それを知ってから改めて作品を読むと、ロックな部分がいっぱいあることを感じました」と語った。

【写真】映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶 (坂井真紀)

祖父・喜助を演じた田中は「(これまで)よく作品には触れていました。たくさんの方に僕は憧れて生きてきましたけど、そのたくさんの憧れている中でかなり上位を占める人です。僕が百姓をやっているのもその影響かなと思います。本作にはおじいさんが出てきます。お父さんと息子の話ではありますが、そのお父さんにもお父さんがいる。ご覧になるときっとわかると思いますが、大役です」と宮沢賢治が自身の人生に影響を与えた存在であることを明かし、さらに自身が演じた喜助が大役であるとアピールした。

【写真】映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶 (田中泯)

それに対し、政次郎を演じた役所は「前の作品(『八日目の蟬』)でもお父さんでした」と2回目の親子役であることを補足した。

キャスト陣が役作りで取り組んだこととは?

実在の人物を演じたキャスト陣。役作りする上で準備したことを聞かれると、役所は「原作を読み込むこと、脚本を読み込むこと。あと今回は方言です。花巻弁をできるだけ花巻の人たちに笑われないぐらいまでのレベルにはしたいなと思いました。自分で読んだりするだけではダメで、現場に行って家族たちの顔を見たり、セリフを聞いたり、そういうことをしながら政次郎という役が段々と出来上がっていきました」と自身の取り組みを明かした。

【画像】映画『銀河鉄道の父』場面カット10

やることがたくさんあったという菅田は本作でチェロにも挑戦。どのくらい練習したかを聞かれると「4カ月くらいやらせていただきました。最初は指さえ動いていればいいくらいのオファーだったんすけど、段々、あっ音鳴るんだ、鳴るんなら音使いたいってなって。そしたら、(チェロの)音はもうできるから歌ってほしい。チェロの弾き語りですかって(笑)。同録で音録ることなんてまあないんですよ。お芝居しながらだと大変だし、上手くいくこともなかなかないんで、まさかのトライをさせていただきました。だからサントラとかに音ほしいですね。“チェロ:菅田将暉”って書いてほしいです」とまさかのエピソードを披露。

【画像】映画『銀河鉄道の父』場面カット7

現場を共にした役所は「本読みときにはチェロの練習していたので、もうヘトヘトな顔をしていましたね(笑)」と明かすも、本番は見事であったと菅田の演技を賞賛していた。

改めて宮沢賢治作品を読み直したという森は「私にあんまりトシの要素がなかったので不安でしたが、どうしてトシがお兄ちゃんを愛するようになったのかという要素をたくさん見つけました」と話す。本作で取り組んだ花巻弁についても「花巻弁がめちゃくちゃ難しかったです。全員苦戦していたイメージでしたが、現場に入って皆さんとお芝居してからできる出来上がるものが一番でした」と振り返った。

【画像】映画『銀河鉄道の父』場面カット5

豊田は「とにかく皆さんに馴染めるよう現場でたくさんお話をさせていただきました。そういうところから一歩一歩清六を演じていこうっていう気持ちでした。あと清六が書いた本を読んで、清六はこういう気持ちだったのかなって、少しでも理解できたらいいなって思いながら日々を過ごしておりました」とコメント。

役所が「(自身の)撮影が無いときも現場に来てずっといましたね。偉いなと。菅田君に言われたのかなって(笑)」と茶化すと、すかさず菅田が「そうなんです。嘘です(笑)」と冗談。

豊田は「本当に貴重な経験だと思っていたので、見逃さないように聞き逃さないように毎回現場にいました」と熱心に現場に通っていたようだ。

坂井は「発する言葉に嘘があってはいけないなと思ったので、一生懸命勉強しました。その時代の女性がどういうふうに家庭の中であったのかを調べたりとか。あとは撮影現場に入って皆さんとのやり取りの中で見つけられたものがとても大きかったです」と語った。

さらに、夫婦を演じた役所とは初共演だったという坂井は「私も役所広司教なんで、何とも光栄といいますか。本当に幸せでした。監督ありがとうございます」と菅田と同じく役所広司教であったことを明かした。

【画像】映画『銀河鉄道の父』場面カット9

田中は「親子であることと言いますか、役所さん(政次郎)がわし(喜助)のせがれなわけですね。どちらかといえば、(喜助は)自分が先に逝くんだという意識の中でいるわけですけど、生まれてきたときから世の中の環境はどんどん変化していく中で、個人もどんどん変質しているのに、それでも親子であるということをつないでいる見えない何かを感じました」と親子のつながりについて語り、「おじいさん(喜助)の素晴らしいシーンを監督に作っていただいて、それが実現したことが僕にはとても尊いもので、きっとなくならないと思います」と思いを述べた。

【画像】映画『銀河鉄道の父』場面カット11

撮影を振り返り、忘れられないシーンとは?

撮影を振り返って忘れられないシーンを一つあげるならばとの質問に、全部のシーンが可愛くてしょうがないと答えた成島監督は一番最後のシーンを撮ったときに映画の雰囲気が分かったという。「この映画は明治、大正、昭和と3つの時代をまたぐので、最初は蝋燭の電車から始まって、途中にランプの時代があって、最後は裸電球になる。その流れの中で最後は銀河鉄道の題名どおりのところに落ち着いていきます。そのシーンを撮ったときに映画の終わりというか、ようやくゴールが、トンネルの先に光が見えたなという感じがしたのを覚えています。すごく好きなシーンになりました」と回想した。

役所は「初めて子が賢治で、初めて父親なった政次郎だったので、賢治成長と共に政次郎も少しずつ成長していっなと思います自分威厳ある父親演じていますけど、子供たち妻も、だらけ思っていたと思いますだから賢治はしょっちゅう金をむしりに来るんですけど」と自身が演じた政次郎について言及し、「この『銀河鉄道の父』は、全体愛嬌あるユーモアのある作品になっていると思います」と付け加えた。

【画像】映画『銀河鉄道の父』場面カット1

菅田は「宮沢賢治が書いた筆跡の原稿も残ってるんですよ。それも(複製したグッズを)花巻市の宮沢賢治記念館で売ってたりするんですけど、それを買って練習しました。たくさん原稿見させてもらったんですけど、すごい可愛い文字というか、おしゃれというか、誰かに自分の原稿を見られるつもりでいたのかなというほどに全ページ美しかったです。とても雑に書いたとは思えない。それが不思議でした」と賢治の筆跡の美しさについて述べていた。

【画像】映画『銀河鉄道の父』場面カット4

“親バカ”と“バカ息子”にちなみ「自分バカだな」と思ったエピソードを披露!!

ここで、親バカと馬鹿息子というテーマにちなんでキャスト陣が過去を振り返り「自分バカだな」と思ったエピソードを披露することに。役所は「小学校5年生のときに運動会に出たくないと思っていたら骨折したエピソード」、菅田は「中学1年生のときに理科の授業中にピンセットをコンセントにつっこみ学校中が停電になったエピソード」、森は「化粧水とシャンプーを間違えて肌が荒れてしまったエピソード」、豊田は「家の鍵を立て続けに2回紛失したエピソード」、坂井は「小学校5年生のときに社会の厳しさを思い知ったエピソード」とそれぞれ披露。最後に順番が回ってきた田中は「あまりにたくさんバカなことをやってきたので、ピックアップする能力が最早なくなってきて、ずっとドキドキしてました(笑)。ずっとバカでした。これからもきっとバカが続くと思います。僕は一番は苦手で2番目からだったら話せたかもしれません」と笑いをとりこのコーナーを締めくくった。

観客へ向けてメッセージ

最後に登壇者を代表して、役所、菅田、成島監督の3人から観客へ向けてメッセージが贈られ、舞台挨拶は幕を閉じた。

役所「成島監督のもとに集まったスタッフ・キャストで一生懸命作りました。本当にこの映画が皆さんの心に届くといいなと心から思っています。どうぞゆっくり、笑ったり、ハラハラドキドキしたりしてこの映画を楽しんでください。今日ありがとうございました」

菅田「本当に笑えるところもたくさんあります。悲しいところもありますけど、ちゃんと両方ある宮沢家の愉快な家族の話を素直に観て感動しましたし、知れて良かったと思った映画でした。どうか好いてもらえると嬉しいです。よろしくお願いします」

成島監督「この日を迎えられて感無量です。この素敵なメンバーと映画を作れたことを感謝しております。映画を最後まで楽しんでください」

【写真】映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶 (役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯、成島出監督)

[スチール撮影・取材: Cinema Art Online 編集部]

フォトギャラリー📸

スライドショーには JavaScript が必要です。

イベント情報

映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 

■開催日: 2023年4月5日(水)
■会場: イイノホール
■出演者: 役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯、成島出監督
■MC: 伊藤さとり

【写真】映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会 舞台挨拶

映画『銀河鉄道の父』予告篇🎞

映画作品情報

【画像】映画『銀河鉄道の父』ポスタービジュアル

《ストーリー》

宮沢賢治の父・宮沢政次郎。父の代から富裕な質屋であり、長男である賢治は、本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は適当な理由をつけてはそれを拒む。学校卒業後は、農業や人造宝石、宗教と我が道を行く賢治。政次郎は厳格な父親であろうと努めるも、賢治のためなら、とつい甘やかしてしまう。やがて、妹・トシの病気を機に、賢治は筆を執るも―。

 
出演: 役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯
 
監督: 成島出
原作: 門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社文庫)
脚本: 坂口理子
音楽: 海田庄吾
主題歌: いきものがかり「STAR」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作: 木下グループ
制作プロダクション: キノフィルムズ、ツインズジャパン
配給: キノフィルムズ
助成: 文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会
 
© 2022「銀河鉄道の父」製作委員会
 
2023年5月5日(金・祝) 全国公開!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @Ginga_Movie2023
 

映画『銀河鉄道の父』公開初日舞台挨拶 レポート

映画『銀河鉄道の父』田中泯 インタビュー

 

この記事の著者

この著者の最新の記事

関連記事

カテゴリー

アーカイブ

YouTube Channel

Twitter

【バナー画像】日本アカデミー賞
ページ上部へ戻る