オダギリジョー×永山絢斗×阪本順治監督登壇!
公開記念舞台挨拶
キューバの英雄チェ・ゲバラの精神に共鳴し闘い抜いた、若き日系人の革命物語が満を持して公開!
本年2017年に没後50年を迎えるキューバ革命の英雄“エルネスト・チェ・ゲバラ”。革命家、反帝国主義のカリスマとして、また、革新を想起させるシンボルとして今もなお世界中でゲバラの存在は確かに息づいている。そんな彼の“意志”に共感し、ボリビアの軍事政権と戦い25歳の若さで散った日系人がいた。彼の名はフレディ前村ウルタード。その知られざる生涯を、日本・キューバ合作で描く映画『エルネスト』が10月6日(金)より公開された。
そして公開翌日の10月7日(土)に、TOHOシネマズ新宿で、主演のオダギリジョー、永山絢斗、阪本順治監督を迎えての公開記念舞台挨拶が実施された。
《イベントレポート》
映画本編の上映後、熱気がやまぬ満場からの拍手に迎えられ、オダギリジョー、永山絢斗、阪本順治監督が登場。鳴り響く万雷の拍手が、作品の完成度の高さを物語っているようだった。
冒頭、オダギリは「(劇場に)足を運んでいただきありがとうございます。実は、ある先輩俳優から『エルネスト』に関してお褒めの言葉をいただきました。こういう作品にいつも挑戦する姿勢が嬉しいし、こういう作品が作られるよう、お前が引っ張っていけ、と言われました。僕としてもこういう意義のある作品に参加することが出来て、役者冥利に尽きます」と挨拶。確かな手ごたえを感じている熱いメッセージだ。
続いて、永山がややハニカミながら「今日はありがとうございます。本日は色々な映画が公開されていますが、みなさんは(この映画を選択されて)正しかったです。僕もお客さんだとしたら、阪本さんがゲバラを題材に撮り、主演がオダギリさんのこれを先に観にくると思います」と挨拶すると、会場は笑いの渦につつまれる。
最後に阪本監督が「色々な感想があるかと思いますが、何か気に入った場面があれば胸に抱いてお帰りください。実は本作を撮るにあたって、高倉健さんに感謝しなければいけないのです。2013年に高倉さんから(ある作品の)脚本を書かないかと言われました。その時、日系移民を調べることがあってフレディ前村の存在を知りました。その企画は無くなったのですが、それがなければ僕はフレディ前村について知ることも無かったし、この映画も撮っていなかったと思います」と驚きのエピソードを交えながら挨拶を終えた。
続いて、司会者からキューバでの撮影について聞かれたオダギリは「キューバの人の優しさ、無邪気さがずっと印象に残っています。資本主義の中で生活しているとお金中心で物事が回っている気がしますが、それとは全く違う価値観で社会が動いているのを感じて、色々なことを考えさせられました。キューバ人俳優は映画に対する姿勢も素晴らしく、日本映画に参加するという姿勢でなく、自分達の映画として参加してくれた。スタッフ・キャストの方には感謝しかありません」と語ってくれた。日本・キューバの合作というこれまでにない経験の中で、オダギリ自身も色々と感じるところが多かったようだ。
また阪本監督の現場をずっと体験したいと言っていた永山は「すごく緊張しましたね。だけど現場にいるのが楽しかったです。監督や大勢のスタッフが活躍する撮影現場を見ていて心地よかったですし、やはり阪本監督はカッコいい男だったなと思いました」と語ってくれた。すかさずそこで阪本監督が「まぁ、だいぶメシ奢っていますからね(笑)」と照れ隠しのように合いの手をいれると、会場から爆笑の声が―現場の雰囲気とチームワークの良さが伝わってくるようなかけ合いだった。
また、25歳という若さで亡くなったフレディ前村にちなみ、オダギリ、永山、阪本監督の25歳頃の写真がスクリーンに映し出され、その頃の夢や想いをそれぞれ語ってくれた。
オダギリは映画『アカルイミライ』(2003年)の頃の写真を見ながら「初めての主演映画だったので緊張しまくりでしたし、本当に気合が入ってこの作品に失敗したらもう役者人生先がないぞと思って、毎日とにかく全力でやっていた」と懐かしそうに回顧。オダギリ自身にとっても25歳頃という年は大きなターニングポイントであったようだ。
永山はまだ2年前の頃の写真を持ち出し「初めて時代劇をやった年。すごく悔しい気持ちになった」と語ってくれた。ついでその頃の目標について尋ねられると「目標を失っていた。どうにでもなってしまえと思っていた。それが現在も続いています(苦笑)」とこたえ、フレッシュな若手俳優らしく悩ましい一面ものぞかせてくれた。阪本監督は紙焼き時代の写真が投影。「たぶん(安全地帯の)玉置浩二さん主演の映画『プルシアンブルーの肖像』(1986年)の時の写真ですね」と話すと会場からは「懐かしい!」と歓声が上がっていた。またその頃の目標について聞かれると「巨匠!」とひとこと。「とにかく映画監督しかなかった、と思っていた」と短くも力強く語ってくれた。三者三様のユニークなエピソードと答えは、それぞれの映画に対する熱い思いを感じさせてくれるものであった。
最後に本作の見どころについて、主演のオダギリが「今の日本映画では珍しい作品だと思います。リスクもありますし挑戦的ですし。十年後を考えた時にまだこのような作品を創る余裕があるのか、それはこの結果次第ではないかと。『エルネスト』のような作品は日本映画界にとって意味のある、創られなきゃいけない作品だと強く思います」と真摯に語ると、阪本監督も「改めて平穏とはなんだろうと。日本では経済成長の時代、遠い異国でこのような学生たちがいた、そうしたことを想起しながら観て頂ければと思っています。僕としても、こんな清らかな映画を撮るのは初めてです。こういうまっすぐな映画があってもいい。何か自分に引き付けて観て頂ける点があれば嬉しいです。フレディは亡くなりましたけど、みなさんの心の中で生き続けることを期待します」と一つ一つ言葉を噛みしめながら語ってくれた。まだ、それぞれの目標の途上にある三名だが、間違いなくこの映画はその糧となる力作であろう。そうした確信を感じさせてくれながら舞台挨拶は盛況のもと終了した。
イベント情報
映画『エルネスト』公開記念舞台挨拶■開催日: 2017年10月7日(土) |
映画作品情報
《ストーリー》50年前、チェ・ゲバラに“エルネスト”と名付けられ、行動をともにした、ひとりの日系人がいた―。 |
出演: オダギリジョー、永山絢斗、ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ、アレクシス・ディアス・デ・ビジェガス
配給: キノフィルムズ/木下グループ
2017年|日本・キューバ合作|スペイン語・日本語|DCP|ビスタサイズ|124分
2017年10月6日(金)
TOHOシネマズ 新宿他全国ロードショー!
公式Twitter: @ernesto_movie