映画『青の帰り道』『LAPSE ラプス』
シネマ ジャック&ベティ上映初日舞台挨拶
未来に抗え!映画の未来を切り開くクリエイター集団「BABEL LABEL」
5月11日(土)からスタートした東京再上映を皮切りに全国各地で上映が拡大している映画『青の帰り道』。
『青の帰り道』の藤井道人監督がプロデューサーを務め、自身が所属するクリエイター集団「BABEL LABEL」が始動したオリジナル映画製作プロジェクト<BABEL FILM>の第1作目となる、未来をテーマに描かれた3篇のオムニバス映画『LAPSE(ラプス)』。
7月6日(土)、この2作品が共に横浜のシネマ・ジャック&ベティでの上映初日を迎え、それぞれ初日舞台挨拶が行われた。
映画『青の帰り道』舞台挨拶
『青の帰り道』の舞台挨拶には、藤井道人監督と共同脚本のアベラヒデノブが登壇した。
『青の帰り道』は、群馬県で高校生活を共に過ごした7人の高校生たちの青春群像劇だ。夢を追って上京したもの、地元に残るもの、それぞれが過去の思いを胸に抱き、もがきながらも未来に向かっていく姿が描かれている。
アベラは上京した時に製作した短編映画『死んだ魚のような目をした魚のような生き方はしない』(2013年)が上映された劇場がシネマ・ジャック&ベティだったと劇場との縁を話し、「東京に出て調子に乗っていた頃。派手な服装でアイデンティティを保っていた。7年後、いろいろ心を折られて戻ってきました(笑)」と当時を振り返り挨拶した。
『青の帰り道』の撮影は3年前に行われた。撮影当時を振り返り、藤井監督は、当時この作品にリョウ役で出演した横浜流星と「CMをやりたい」という話をしていたという。「先週横浜が出ている(自身が手がけた資生堂『recipist(レシピスト)』の)CMを観て、感慨深かった」と話した。
アベラは、3年前は貯金を切り崩しながら誰が観るかもわからない自主映画を作っていたことを振り返り、TVドラマなど観客に届けられる仕事に携われるようになったことを挙げ、それには藤井の力添えがあったと感謝を伝えた。
最後に、観客からの質問時間が設けられ、藤井監督作品をずっと追っているという観客から「『悪魔』(2018年)以降作品のスケールが大きくなった印象を受けるがきっかけがあったのか」という質問が上がった。
藤井監督はこの『青の帰り道』であると回答。「撮影が中止になったことで、一本に対する意識が変わりました。妥協をせず、批判を浴びても責任をもって届けるという責任意識が生まれた」とこの作品が藤井監督にとっての転換となる作品であったことが明かされた。
映画『LAPSE ラプス』舞台挨拶
続いて行われた映画『LAPSE(ラプス)』の舞台挨拶では、『失敗人間ヒトシジュニア』から中村ゆりか、根岸拓哉、アベラヒデノブ監督、『リンデン・バウム・ ダンス』からHAVIT ART STUDIO 今野里絵監督、『SIN』の志真健太郎監督、そして山田久人プロデューサーと藤井道人プロデューサーが登壇した。
藤井プロデューサーは、この作品がBABEL LABELが始動したオリジナル映画製作プロジェクト<BABEL FILM>の第1作目の作品であり、オムニバスの形式で、3人の監督に、近未来を舞台に未来に抗う人々の希望や葛藤を描いてもらった作品と紹介。
1作目の『失敗人間ヒトシジュニア』は、クローンと人間が共生する2050年、20歳の誕生日にクローンの失敗作だと知らされたヒトシジュニアの物語だ。
監督・脚本・主演のアベラヒデノブは、自分の容姿や10年以上会っていない父親との葛藤といった個人的なコンプレックスを描いたという。言葉にすると重いテーマだが、「深刻にならず、笑い飛ばしてもらえば」と語った。また、「(劇中で中村ゆりかが着ている皮ジャンなどのハードな)衣装は映画『ターミネーター』(1984年)をイメージしています(笑)」とフェミニンなイメージの普段の中村ゆりかとのギャップを見どころにあげた。
絶望した主人公・ヒトシジュニアの前に現れるクローンの初美(ハッピー)を演じた中村ゆりかは、「監督の人生が反映されてるのが面白いと思いました。SFっぽい描写があって、クローンですがクローンっぽくない。監督と話し合って役作りをしました」と話す。
クローンたちのグループのリーダー・リュウ役の根岸拓哉は、「30分という短い尺の中で、楽しい時間と悲劇的な時間のギャップを激しく、わかりやすく演じたいと思って作り上げました」と語った。
2作目の『リンデン・バウム・ハウス』は、AIに医療が委ねられた2028年が舞台。 植物人間状態の祖母と向き合うことで、AIが人間の生命について判断を下す関係性に疑問を抱く女子大生を描く。
HAVIT ART STUDIO 今野里絵監督は、前回の舞台挨拶は妊娠中で、今は出産して母となったという。この作品を通して「自分も命の在り方を改めて考えさせられた」と語った。
山田久人プロデューサーは、各監督にはまず「未来について」というお題で考えてもらったという。ラッパーのSALUに映画を観てから書き下ろしてもらったという主題歌に触れ、映画の最後に曲を聴きながら「未来について考えてもらえれば」と語った。
3作目の『SIN』は、2082年を舞台に、幼少期 に見た未来の自分のシミュレーション映像が現実となっていく青年の苦悩を描いた作品。
志真健太郎監督は「未来について考えたときに、いつの時代も未来に向かって生きている存在である子どもを主人公にと考えた」と着想について話すと、これから観る観客に向けて「子供の目線 で世の中を観てどういう気持ちになるのか、と考えて楽しんでもらえれば嬉しい」と語った。
また、『LAPSE』のキャッチコピー“未来に抗え” について、「映画完成後に付けたものだが、どの監督もこの気持ちに引っ張られて作品を作り上げた」と明かした。
『青の帰り道』、『LAPSE(ラプス)』ともに、未来に向かって今をもがく若者たちの姿が描かれている。映画やドラマなど、これからもますますの飛躍が期待される“BABEL LABEL”のクリエイターたちが手がけた作品。ぜひこの上映機会で触れてみてほしい。
[スチール撮影: 坂本 貴光 / 記者: 金尾 真里]
イベント情報
映画『青の帰り道』初日舞台挨拶■開催日: 2019年7月6日(土) |
映画『LAPSE』初日舞台挨拶■開催日: 2019年7月6日(土) |
映画『LAPSE ラプス』中村ゆりか&根岸拓哉インタビュー
映画『青の帰り道』作品情報
《ストーリー》2008年、東京近郊の町でまもなく高校卒業を迎える7人の若者たち。歌手を夢見て地元を離れ、上京するカナ(真野恵里菜)。家族と上手くいかず実家を出て東京で暮らすことを決めたキリ(清水くるみ)。漠然とデカイことをやると粋がるリョウ(横浜流星)。カナとの音楽活動を夢見ながらも受験に失敗し地元で浪人暮らしのタツオ(森永悠希)。できちゃった婚で結婚を決めたコウタ(戸塚純貴)とマリコ(秋月三佳)。現役で大学に進学し、意気揚々と上京するユウキ(冨田佳輔)。7人がそれぞれに大人への階段を上り始めて3年後、夢に挫折する者、希望を見失う者、予期せぬことに苦しむ者――7人7様の人生模様が繰り広げられる。そして、再び“あの場所”に戻った者たちの胸に宿る思いとは――
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原案: おかもとまり
脚本: 藤井道人/アベラヒデノブ
製作プロダクション: and pictures
製作協力: BABEL LABEL/プラスディー
配給: NexTone
配給協力: ティ・ジョイ
再上映配給: BABEL LABEL/ボタパカ/and pictures
映画『LAPSE ラプス』作品情報
《INTRODUCTION》クリエイティブチーム BABEL LABELが描く、3つの未来の物語 映画『デイアンドナイト』『青の帰り道』など、話題作が続いているクリエイティブチーム BABEL LABEL(バベル レーベル)。今注目を浴びている彼らが、オリジナル映画製作プロジェクト<BABEL FILM>を始動させ、実力派俳優たちが集結した。BABEL FILM 第1作目となる『LAPSE(ラプス)』は、3篇から成る未来を描く物語。
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『SIN』(監督:志真 健太郎)AIに医療が委ねられた2038年を舞台に、AIと人間の関係に疑問を抱く女子大生を描く CAST: 栁 俊太郎、内田 慈 、比嘉梨乃、平岡亮、林田麻里、手塚とおる 他 |
『失敗人間ヒトシジュニア』(監督:アベラヒデノブ)クローンと人間が共存する2050年を舞台に、 CAST: アベラヒデノブ、中村ゆりか、清水くるみ、ねお、信江勇、根岸拓哉、深水元基 他 |
『リンデン・バウム・ダンス』
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撮影: 石塚将巳、佐藤匡、大橋尚広
照明: 水瀬貴寛 美術: 遠藤信弥
録音: 吉方淳二、西垣太郎
音楽: 岩本裕司、河合里美
助監督: 滑川 将人、大堀峻
編集: 磯部今日平 VFX: 関愼太朗、TweliG
装飾: 澤田望 美術助手: 湯本愉美 衣装: 安本侑史
ヘアメイク: 白銀一太、細 野裕之、中島彩花
撮影助手: 高橋潔、後藤あゆみ、赤松亨、鶴原優子、秋戸香澄、雨宮秀宜、田島学
照明助手: 福地賢治、横山淳、小田部将弥
ヘアメイク応援: 岡本紀子、鍵山あきこ、河本花葉
制作: 玉木南美、歌谷康祐、舞木ひと美、江毓軒、フミヤアリミツ、小座間陸
デザイン: 梶生彩奈 スチール: 市川唯、坂功樹、柳瀬渉
宣伝: 矢部紗耶香、平井万里子
アシスタントプロデューサー: 大橋和実
製作: BABEL LABEL
配給: アークエンタテインメント
© BABEL LABEL
公式Twitter: @lapse_movie
公式Instagram: @lapse_movie