- 2022-9-21
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第35回 東京国際映画祭(TIFF) ラインナップ発表記者会見
橋本愛、2年連続のアンバサダー就任に!
「有難いことですし、とても光栄なことだなと思いますし、役目を果たさなければと背筋の伸びる思いです」
開催まで残すところあと約1カ月!
9月21日(水)、第35回東京国際映画祭(TIFF)のラインナップ発表記者会見が東京ミッドタウン8階の日比谷三井カンファレンス ルーム1&2にて開催され、各部門の全ラインナップ、各イベントの魅力、見どころなどが発表された。
今年は、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて会場が拡大、初の会場となる東京宝塚劇場でオープニングセレモニーを行い、さらに屋外でのレッドカーペットが3年ぶりに復活。TOHOシネマズ 日比谷、丸の内TOEI、丸の内ピカデリーと大型劇場が上映劇場に加わったことで主要9部門での上映本数も昨年の86本から大幅に増加した110本の上映が決定、東京国際映画祭がさらなる飛躍を遂げる年になる。
イベント冒頭、司会より、本年度の映画祭におけるコロナ対策の検査体制の説明や会場移転、TIFF&TIFFCOMの連携や今年も同時開催する東京フィルメックスでの共催特集に関する紹介があり、チェアマンの安藤裕康による開催の挨拶と、本年度の映画祭の特色に関する発表があった。
世界的に最も著名な日本映画監督である黒澤明監督に、日本と海外の映画交流のシンボルとなって映画界を盛り上げていただきたいという願いから、14年ぶりに黒澤明賞が復活。コロナ禍であまりできなかった海外ゲストの招待を今年はようやく招くことができるようになり最大で100名近くの方々が参加する見通しとなっている。
記者会見にはゲストとして、第35回東京国際映画祭のフェスティバル・アンバサダーを務める女優の橋本愛。2年連続のアンバサダー就任に「有難いことですし、とても光栄なことだなと思いますし、役目を果たさなければと背筋の伸びる思いです」と心情を語る。
プログラミング・ディレクターの市山尚三より、「コンペティション部門」15作品の紹介に続き、「コンペティション部門」に選ばれた日本映画3作品より、『窓辺にて』の今泉力哉監督、 『山女』の福永壮志監督、 『エゴイスト』の松永大司監督が登壇し、作品が選ばれた感想や映画祭でしたいことについて話した。
その後、シニア・プログラマーの石坂健治より「アジアの未来」部門の作品紹介。市山プログラミング・ディレクターによる「ガラ・セレクション」部門の作品紹介。さらに、「ジャパニーズ・アニメーション」部門プログラミング・アドバイザーの藤津亮太より部門の紹介と続き、司会より「交流ラウンジ」「Amazon Prime Video テイクワン賞」などのイベント、その他部門が紹介され、記者からの質疑応答も行われた。
第35回東京国際映画祭は10月24日(月)~11月2日(土)の10日間の開催期間中、110本(※9月21日時点で上映が決定している作品数)の映画が上映される。
東京国際映画祭チェアマン 安藤裕康 コメント
ーー 映画祭、作品選考においてのジェンダーバランスについて ジェンダーバランスについては非常に気を遣っており、東京国際映画祭のスタッフでは74名中42名が女性で、56.8%となっている。今年の上映作品にいては、上映が決まっている110本のうち、女性監督の作品は14本。審査委員は3人女性、2人男性となっている。 |
第35回東京国際映画祭 フェスティバル・アンバサダー 橋本愛 コメント
ーー 2年連続でアンバサダーとなりましたが、いかがでしたか? とても光栄なことだと思いますし、役目を果たさなければと背筋の伸びる想いです。 もう一つは、去年はアンバサダーとして、どういうことを発信していけばいいだろうということを模索していたが、今年は自分にできることがもうちょっとないかと考えて、今の日本の映画界の課題について、自分の気持ちをお話しできたらなと思っています。ハラスメントと呼ばれることだったり労働環境の問題だったりで、自分が感じるのは世代間の溝であり、上の世代の方々が積み重ねてきたものを大事にしようという姿勢はすばらしいものだが、下の世代や若い人の声をちゃんと聞こうという、お互いの声を聞くことが、これかのモノづくりにおいてはすごく大事なんじゃないかと思いました。 ーー 昨年やってみていかがでしたか? お祭りそのものが大好きなので、映画祭自体大好きですし、昨年は海外の監督や女優さんとお話しする機会があり、語学力や芸術や映画を通してコミュニケーション能力を身につけていかないといけないんだなと、考えさせてくれたきっかけになりました。 もう一つは映画や映画祭そのものの役割を考えるきっかけになって、LGBT +Qや環境問題への理解が世界と比べるとまだ浅く、そういったところに目を向けて、歴史や伝統を守っていく姿勢は美しいしすばらしいが、そこからこぼれ落ちてしまう人がたくさんいて、その人たちの苦しみや悲しみに寄り添って作っていくのが映画であり、芸術であるので、そういった存在で助け合いながら、世界をよりよくするお手伝いを映画を通してしていけたらいいのかなと思っていて、東京国際映画祭で改めて世界を見渡して、日本を見つめ直すきっかけになったらいいなと個人的に思っております。 ーー 橋本さんが作品観る時、どういった基準で選んでいるか教えてください。 一番は好きな監督であったり、役者さんが出ている作品ですけれども、そうでないものに関してはポスタービジュアルがすごく好きで、映画のイメージであったり場面を一つの写真でバチッと表現されているポスターを見ると作り手の想いを感じるのでポスターを見るのは好きですね。 ーー 今年の映画祭でやってみたいことなどありますか? 青山真治監督はすごく好きな監督ですし、いつかご一緒したいなと思っていた監督だったので、特集上映に足を運べたらなと思っております。 |
「オープニング/クロージング作品」紹介
オープニング作品『ラーゲリより愛を込めて』
オープニング作品は瀬々敬久監督の最新作『ラーゲリより愛を込めて』。第二次世界大戦終了後、60万人を超える日本人が捕虜となったリベリアの強制収容所を舞台に、実在の人物の壮絶な半生を描いた作品が選ばれた。主人公の山本幡男を二宮和也が演じている。
クロージング作品『生きる LIVING』
1952年に公開された黒澤明監督の映画『生きる』をオリバー・ハーマナス監督がリメイクした『生きる LIVING』(原題:LIVING)がクロージング作品に選出。
東京国際映画祭プログラミング・ディレクター 市山尚三 コメント
ーー コンペ部門の選出国について、東アジアがなく中央アジアや合作が多いが意図はありますか?
バランスは考えているものの、最終的には面白い作品だからやろうとした結果にはなっていますが、東アジアが弱いというのはまさにおっしゃる通りで、韓国についてはコンペティションでやりたい作品がたまたまなかったが、中国に関しては検閲で止まっている映画が多く、もっとやるべき映画があったかもで、他の映画祭でも中国映画がないといった事態になっております。 合作については、実情一か国の作品であっても資金的に国が入ってくることはよくあり、芸術的な作品を作るには色々な国のサポートが必要であるという実態を表しているかと思います。
「コンペティション」部門作品紹介
コンペティション部門の国際審査委員長は、演劇・オペラ演出家・映画監督のジュリー・テイモア。2019年(第32回)のチャン・ツィイー、2021年(第34回)のイザベル・ユペールに続く3人目の女性審査委員長となる。
国際審査員は、俳優のシム・ウンギョン、映画監督のジョアン・ペドロ・ロドリゲス、撮影監督の柳島克己、元アンスティチュ・フランセ館長のマリークリスティーヌ・ドゥ・ナヴァセルを加えた計5名が務める。
107の国と地域、1,695本もの応募の中から15作品が「コンペティション」部門に選出。日本からは今泉力哉監督の『窓辺にて』、松永大司監督の『エゴイスト』、福永壮志監督の『山女』の3作品が選出された。
作品タイトル | 監督 | 製作国 |
1976 | マヌエラ・マルテッリ | チリ/アルゼンチン/カタール |
アシュカル | ユセフ・チェビ | チュニジア/フランス |
ザ・ビースト | ロドリゴ・ソロゴイェン | スペイン/フランス |
窓辺にて | 今泉力哉 | 日本 |
エゴイスト | 松永大司 | 日本 |
ファビュラスな人たち | ロベルタ・トーレ | イタリア |
輝かしき灰 | ブイ・タック・チュエン | ベトナム/フランス/シンガポール |
カイマック | ミルチョ・マンチェフスキ | 北マケドニア/デンマーク/オランダ/クロアチア |
ライフ | エミール・バイガジン | カザフスタン |
マンティコア | カルロス・ベルムト | スペイン |
山女 | 福永壮志 | 日本 |
孔雀の嘆き | サンジーワ・プシュパクマーラ | スリランカ/イタリア |
テルアビブ・ベイルート | ミハル・ボガニム | キプロス/フランス/ドイツ |
This Is What I Remember(英題) | アクタン・アリム・クバト | キルギスタン/日本/オランダ/フランス |
第三次世界大戦 | フーマン・セイェディ | イラン |
「ジャパニーズ・アニメーション」部門紹介
2022年のテーマは「ゼロから世界を創る」。「アニメーションで世界を創る」と題して、最新アニメ映画『雨を告げる漂流団地』、『夏へのトンネル、さよならの出口』、『ぼくらのよあけ』の3作品をピックアップ。
レトロスペクティブ「アニメと東京」ではアニメが「東京」という世界をいかに描いたかに注目し、『幻魔大戦』(1983年)、『メガゾーン23』(1985年)、『機動警察パトレイバー2 the Movie(サウンドリニューアル版)』(1993年)、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』(2016年)の4作品を上映する。
「Nippon Cinema Now」部門特集〈追悼 青山真治〉
昨年新設された、この1年の日本映画を対象に、特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映する「Nippon Cinema Now」部門では、『アイ アム ア コメディアン』、『あつい胸さわぎ』、『彼方の閃光』、『ケイコ 目を澄ませて』、『雑魚どもよ、大志を抱け!』、『はだかのゆめ』、『ひとりぼっちじゃない』、『百花』、『わたしのお母さん』の9作品の新作映画が上映される。
また、今年3月に急逝した青山真治監督を追悼し、代表作2作品『EUREKAユリイカ』(2000年)と『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(2006年)を英語字幕付きで特集上映する。
黒澤明賞が再びTIFFへ🏆
黒澤明が愛した世界の名作も上映
日本が世界に誇る故・黒澤明監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出していくために、世界の映画界に貢献した映画人、そして映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる賞として、黒澤明賞が第21回(2008年)以来14年ぶりに東京国際映画祭に戻ってくる。
過去にはスティーヴン・スピルバーグ、山田洋次、侯孝賢などが受賞していた同賞。山田洋次監督、仲代達矢、原田美枝子、川本三郎、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの市山尚三ら5名の選考委員により受賞者が選出され、後日発表。
また、同賞に合わせて、「黒澤明の愛した映画」と銘打ち、『ミツバチのささやき』(1973年)、『フィツカラルド』(1982年)など黒澤明が愛した世界の名作も上映が予定されている。
今泉力哉監督・福永壮志監督・松永大司監督 コメント
ーー 監督として、東京国際映画祭との関わり方や、コンペに選ばれた感想を聞かせてください。
今泉監督: 2013年にも『サッドティー』という作品で「日本映画スプラッシュ部門」で呼んでいただいて、4本5本くらい毎年のように参加させていただいていて、コンペでは『愛がなんだ』という映画で2018年に参加させていただいたぶりになるので、また呼んでいただいて、選ばれて嬉しいなと思っています。
福永監督: 大変嬉しく光栄なことだと思っております。東京国際映画祭の印象というと、自分は長い間海外にいたので参加した経験はあまりなくて、ただ日本を代表する映画祭の一つだと思いますし、映画界にとっても大きなイベントだと思っています。
松永監督: 『アジア三面鏡』の監督として参加させていただいたことがありますが、コンペでは初めてで、映画祭の花形として他の国の映画と並んで自分の映画がどのように見られるかが非常に興味深く、光栄だと思います。
ーー 作品に込めた想いや経緯などを聞かせてください。
今泉監督: 稲垣吾郎さんと何かやろうとなり、ずっと自分は恋愛映画を撮り続けているんですけれども、日常に近い恋愛ものをやろうとしていて、今回は主人公の奥さんが浮気していることかったってことは愛情があるんだろうか?ということに悩む人を描いています。まだ名前のついていない悩みを抱えた人がいっぱいいるのに、その人たちについての作品がまだあまりないな、ということを描くのをずっとやってきて、今回の作品もまさにそういうことをやろうとした作品です。
ーー 映画祭でやってみたいことについて聞かせてください。
福永監督: 映画祭は発表の場であり、映画文化への理解を深める場だと思うので、色々な人の作品を拝見するのも楽しみにしていますけど、シンポジウムとかイベントであった人と交流して次に繋げることができればなと思っています。
松永監督: 監督たちと交流するのも楽しみだなと思うのと、『エゴイスト』という作品が、初めて一般上映されるのでどういう反応になるのかがとても楽しみです。
[スチール撮影&取材: Cinema Art Online UK / 記者: 梅田 奈央]
第35回 東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見 ムービー🎞
第35回 東京国際映画祭(TIFF) 予告篇
イベント情報
第35回 東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見 概要■開催日: 2022年9月21日(水)14:00~16:00
■会場: 東京ミッドタウン日比谷 8階 日比谷三井カンファレンス ルーム1&2
■司会: 荘口彰久(フリーアナウンサー)
■登壇者: 安藤裕康(東京国際映画祭チェアマン)
市山尚三(プログラミング・ディレクター) 石坂健治(シニア・プログラマー) 藤津亮太(ジャパニーズ・アニメーション部門 プログラミング・アドバイザー) ■ゲスト: 橋本愛(フェスティバル・アンバサダー) 今泉力哉監督(コンペティション部門『窓辺にて』) 福永壮志監督(コンペティション部門『山女』) 松永大司監督(コンペティション部門『エゴイスト』) |
第35回 東京国際映画祭 開催概要
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