- 2021-10-30
- イベントレポート, セレモニー, レッドカーペット, 第34回 東京国際映画祭
第34回 東京国際映画祭 (TIFF)
レッドカーペットイベント&オープニングセレモニー
今年は映画の聖地、有楽町へにて開幕!
国内外から、映画祭を祝うゲストたちがレッドカーペットに登場!!
2021年10月30日(土)、第34回東京国際映画祭(34th Tokyo Inernational Film Festival / TIFF)が開幕し、東京国際フォーラムにてレッドカーペットイベントとオープニングセレモニーが開催された。
昨年までは六本木を中心に開催されていたが、今年は心機一転、日比谷・有楽町・銀座地区に会場を移しての開催となる。
オープニングセレモニーの前には、上映作品の監督・俳優らゲストがレッドカーペットに登場し、東京国際映画祭への思いや、自身の参加した映画の見どころなどを語った。
女優たちの華やかな衣装にも注目!!
多彩なゲストが彩るレッドカーペット
今年のフェスティバルアンバサダーを務めるのは女優・橋本愛。大の映画好きの橋本は、「楽しそうな映画が沢山あるので、皆さんにも知ってもらいたい。映画祭が皆さんにとって楽しいものになるよう自分にできることを頑張りたい」と意欲をみせた。
ガラ・セレクション部門に出品の『GENSAN PANCH 義足のボクサー(仮)』からは、尚玄、南果歩、金子拓平が登場。南果歩は、2018年に第31回東京国際映画祭でコンペティション部門の国際審査委員を務めたときの審査委員長が本作の監督であるブリランテ・メンドーサ監督だったという。「審査期間も監督とはいろいろお話をして、その後、この映画で一緒にお仕事することになり、感慨深い。そういった繋がりができるのも映画祭ならでは。今回の映画祭でもそういった人間関係を紡いでほしい」と話した。
コンペティション部門に選出された『ちょっと思い出しただけ』からは、松井大悟監督、池松壮亮、伊藤沙莉が登場。池松は、コロナ禍で、自分の人生や過去に触れる機会が多くなったことに触れ、「過去にはいろいろあったけど今は大丈夫だ、と思える映画になった」と話した。
伊藤は、6年間という長い期間を描く物語であることから、コロナ禍であることを忘れる瞬間もあったという。「6年間でみんなの生活の仕方も変わったし、人間関係も変わっている。感慨深いなと思って演じた」と撮影を振り返った。
松井監督は、池松やスタッフと久しぶりに再会した作品ということもあり、原点回帰を意識したという。「今まで以上に観てくれる方のことを信じて、説明しすぎないように我慢して作った」と、苦労を語った。
ジャパニーズ・アニメーション部門の『フラ・フラダンス』からは、水島精二監督、美山加恋、富田望生が登場。震災後の福島を舞台にフラガールを描く。水島監督は「震災から10年、福島の方の前向きな姿を表現したかった」という。フラダンス経験者の美山は、「フラダンスは言葉がなくてもどの国の方にも伝わるダンス。この映画も、フラダンスのようにどの国の方にもと伝わる思う」と話した。福島県出身の富田は、幼いころよりフラガールに憧れていたという。「地元の一人として、ありがたい」と笑顔を見せた。
監督特集には𠮷田恵輔監督が選出。「人間の心理描く鬼才」というサブタイトルの通り、人間ドラマの名手である𠮷田監督。『ヒメアノ~ル』『BULE/ブルー』『空白』が上映される。「近所の人からも「すごいのに選ばれてるんだって」と声を掛けられたり、色いろな場所に届いてると実感した」と反響の大きさに驚いている話した。
今回新設されたAmazon Prime Video テイクワン賞は、新人作家の発掘を目的とした短編映画のコンペティション。このコンペで2本の作品が選出され、注目を集めているのが古川原壮志監督。古川原壮志監督の長編デビュー作である『なぎさ』はNippon Cinama Now部門で上映される。
審査委員長はフランスの大女優!
リトルブラックドレスで魅せる圧巻のオーラ
国内にとどまらず、海外からも豪華ゲストが訪れた。”映画祭の未来”を話し合うワールド・シネマ・カンファレンスには、「コロナ禍だからこそ、各映画祭が連帯感をもって支え合うことが重要である」と、トライベッカ映画祭、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭のディレクターが集った。
コンペティション部門の国際映画審査委員長を務めるのは、フランスの女優、イザベル・ユペール。「たくさんのバラエティ豊かな映画が集っている。良い驚きを期待している」と映画祭の開幕を祝った。
コロナ禍を乗り越え、映画の火を灯し続ける
映画愛にあふれたオープニングセレモニー
レッドカーペットイベントに引き続き、東京国際フォーラムにてオープニングセレモ二ーが執り行われた。
和奏女子楽団ウーマンオーケストラの生演奏によるオープニングアクトで幕が開けると、まずは主催者の安藤裕康チェアマンが挨拶。昨年から続くコロナ渦に思いを馳せ、「この映画祭が実施できるのか、最後までヤキモキいたしました。今日こうして沢山のお客さんをお迎えしてOPCを迎えることができ感無量です」と開催の喜びを伝えた。また、今年は開催地を2004年から17年間続けてきた六本木から日比谷に移転したことにふれ、「さらに層を広げたいと思って、伝統ある映画の街、銀座・日比谷・有楽町に移って参りました。有楽町駅前のチケットセンターのたいへんなにぎわい、また中通りにフラッグがはためいているのを見て、新天地に映ってきた思いを新たにしました」と感慨深げに語った。
最後に新約聖書の文言「新しき酒は新しき革袋に」を引用し、「新しい地区に新しいよい作品をたくさん盛りたいと考えております。映画を愛するすべての人にとって、国境を越えた学びと感動の場になるように願います」と期待を寄せて締めくくると、開幕を宣言した。
今年のアンバサダーは女優・橋本愛
「映画祭を通して日本で“ボーダーレス”の意識を広げていける」
続いて、フェスティバル・アンバサダーを務める橋本愛が登場。白地にボタニカル柄を散りばめたシースルーのドレスに身を包んだ橋本は、笑顔で挨拶。直前のレッドカーペットの感想を聞かれると、「コロナ以前は周りにお客さんがいらして、年に一度皆さんと交流できるイベントという感じでした。去年や今年は熱気を感じるような空気感ではありませんでしたが、こういった状況の中でもで映画祭が開かれたこと、たくさんの人が力で開催できたありがたみをじんわりと噛みしめるような時間でした」と開催に携わった人々への感謝を伝えた。
また、今回のテーマが「越境」であることと、ポストコロナ時代の映画とのかかわり方について聞かれると、「ボーダーには、性別や世界各国の物理的なボーダー、文化の違いだったりといろいろものがあります。その違いを認め合いながら歩み寄るにはどうしたらいいかを誠実に考えていくことが人とのつながりの中で大事なこと。そういった意識や感性を育てていくことが、映画の役目としてすごく大きいものだと思うので、映画祭を通し日本にも世界に対してもその意識を広げていけるのはありがたいことだなと思います」と、映画の持つ力や役割について語った。
さらに、日本の映画館の魅力について「海外の映画館との違いはあまり分からないのですが、東京の名画座やミニシアターは、カラーや空気感、座席の質感、上映作品のセレクトも違い、それぞれの映画館でしか味わえないものがあります。そこにしかない映画館の雰囲気、特別感が大好きです」と映画好きならでは率直な思いを語った。
部門紹介では、世界113の国と地域から送られた1,533作品のうち15本が上映、うち10本がワールドプレミアとなる「コンペティション部門」、長編作品3本目までのフレッシュな監督の作品がそろい、上映作のすべてがワールドプレミアの「アジアの未来」部門、国際映画祭の受賞作など厳選された10作品を上映する「ガラ・セレクション」など、今年の映画祭の見どころが紹介された。
また、「King Gnu」の常田大希が率いる気鋭の音楽プロジェクト「millennium parade」による今回のテーマソング「Bon Dance」も合わせて紹介。細田守監督作でも楽曲を担当する「millenium parade 」が夏の夜に不思議な世界、百鬼夜行に遭遇する少年少女の一夜を描いた作品であることが明かされた。
審査委員長のイザベル・ユペール
「私たちには映画が必要、そして映画は私たちを必要としている」
セレモニーの終盤には、コンペティション部門の国際映画審査委員が登場。映画監督/脚本家の青山真治は、「東京国際映画祭は、大学に入った時の第一回から付き合ってきました。いい意味でその頃から何も変わっていない。あるいは、大きく変わったといえます。僕自身もいろんな形で変遷し、映画もきっと変わっていった。そいういう意味で、今回“越境”していく作品を見せてもらい楽しませてもらえれば」とこれから審査する作品への期待を寄せた。
映画評論家/プログラマーのクリス・フジワラは、“イザベル・ユペールさんに敬意を表して”フランス語で「映画万歳!」とあいさつ。映画音楽作曲家の世武裕子は名だたる審査員陣を前に「キャリアもまだまだ」と控えめに語りながらも「今自分が感じられることの中で、一つ一つの作品にどのようにアクセスできるかを考えると、不安よりもワクワクのほうが強い。明日が楽しみで仕方ないです」と笑顔で語った。プロデューサー/キュレーターのローナ・ティーは、「私は映画大好きです。映画は独立していなければいけない、そして言いたいことを何でも言えるような自由が必要。そんな映画が世界に増えることを願っています」と映画の在り方について言及した。
そして、指先まで覆う黒くシックな衣装を身にまとい、衰えぬ美貌を見せつけた審査委員長のイザベル・ユペールは、「コロナ渦における映画作りは、非常に大きなチャレンジです。このような形で映画祭が開催されたのは勝利だと思います。私達は一緒に映画を観たい、見るべきだと思います。それが一番私がしたかったこと。今回のコンペティション作品は素晴らしいセレクションです。私たちには映画が必要で、映画は私たちを必要としています。皆さまありがとう」と力強く締めくくった。
最後にオープニング作品としてセレモニー後に上映されるクリント・イーストウッド監督の『クライ・マッチョ』が紹介。イーストウッドが監督・脚本・主演を務め、集大成にして新境地となった「本当の強さ」の価値観を変える作品であることが告げられた。
残念ながら来場のかなわなかったイーストウッドからの「この映画を通して私が信じる『本当の強さ』を感じて。コロナ渦で撮影。映画業界に勇気と強さをもたらす作品になれば」としたためられた手紙が代読され、セレモニーは締めくくられた。
オープニングセレモニー[記者: 深海 ワタル / スチール撮影: Cinema Art Online UK]
フォトギャラリー📸
イベント情報
第34回 東京国際映画祭(TIFF)
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第34回 東京国際映画祭(TIFF) 開催概要■主催: 公益財団法人ユニジャパン(第34回東京国際映画祭実行委員会) TIFFCOM2021 開催概要■主催: 公益財団法人ユニジャパン |