第31回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『ギャングース』舞台挨拶レポート

【写真】第31回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『ギャングース』舞台挨拶 (入江 悠監督、加藤 諒、渡辺大知)

映画『ギャングース』

第31回東京国際映画祭(TIFF) 舞台挨拶

原作愛あふれる三人が、明るく撮影秘話を暴露!!

少年院で出会い、仲良くなったカズキ(加藤諒)、サイケ(高杉真宙)、タケオ(渡辺大知)の三人。親からの虐待など家庭環境に恵まれず、出所してからもその経歴からまともな仕事にありつけない。最底辺の生活でもがく彼らが選んだのは、被害届を出すことのできないヤクザやオレオレ詐欺などの犯罪者を対象とした「タタキ(強盗・窃盗)」だった。別の自分に生まれ変わるために偽造の戸籍を手に入れる費用2000万円を目標とするが、強盗した詐欺店舗の番頭・加藤(金子ノブアキ)たちに目をつけられ、逆襲を受ける。自分達が目的を達するためには犯罪者組織のトップを狙うしかない。カズキたちは加藤のさらに上、犯罪者組織“六龍天”の元締め・安達(MIYAVI)をタタく決意をする。

【画像】映画『ギャングース』メインカット

原作は肥谷圭介による同名漫画。原案はルポライター鈴木大介による裏社会・貧困問題についてのノンフィクション作品「家のない少年たち」、鈴木はストーリー共同制作としても携わっている。周囲の無理解や偏見が少年たちの更生を阻み、悪の道に戻してしまう悪循環の現実を描く社会派作品でありながら、最底辺の生活から抜け出そうと協力する三人の少年の友情を通すことで、重く苦しい物語に爽快感を吹き込んだ青春エンターティンメント作品だ。

【画像】映画『ギャングース』場面カット4

舞台挨拶レポート

11月1日(木)、第31回東京国際映画祭(TIFF)の特別招待作品として映画『ギャングース』がTOHOシネマズ 六本木ヒルズで上映され、上映前の舞台挨拶にメインキャストの加藤諒と渡辺大知、そして入江悠監督の三人が登壇した。

『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』『ビジランテ』(2017年)など、犯罪や社会の裏側をテーマとした作風に定評のある入江悠監督。本作は構想から撮影まで4年以上かかったという。

入江監督: 最初にお話をいただいたのが5年くらい前で、知り合いに「『ギャングース』という漫画が始まって、面白いから読んだ方がいい」と言われて。「モーニング」(週刊漫画誌)を読んでいたんですけど、まさか自分に映画化のお話をいただけると思っていませんでした。確か2巻か3巻の頃で、その時は生きるのに必死な子たちがこれからどうなるかわからない途中の状態で脚本を書くのにためらいがあったんですよね。それが映画にするために自分なりに取材をしているうちにあっという間に3年経ち、4年経ち、漫画の方が完結したんです。それでこういうところに向かっていく話だったんだというのが見えて、脚本が完成したという感じですね。

【写真】第31回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『ギャングース』舞台挨拶 (入江 悠監督)

 

加藤: 僕は原作の第1巻が出たときに、お友達に「すごい漫画があるから読んでみて」と言われて、映画のお話しをいただく前から読ませていただいていました。読んでいると、カズキってすごい男らしいんですよ!だけどオネエ疑惑がずっと付きまとっているような僕をよくキャスティングしてくださったなと思って(笑)。あくまでも疑惑です。ほんとに疑惑なんで!

渡辺: 本当に男らしい方なんですよ~

加藤: 観ていただいたらわかります!

主演の一人、加藤諒は、バラエティー番組「あっぱれさんま大先生」(フジテレビ)で子役としてデビュー、映画『デトロイトメタルシティ』(2008年)やドラマ「東京タラレバ娘」(日本テレビ)、舞台「パタリロ」など、個性派俳優として幅広く活躍している。本作では“タタキ”で使用する工具の調達担当であるカズキを演じており、撮影中の秘話を話してくれた。

加藤: 僕はポップなコメディ作品をやらせていただくことが多いんですが、ギャングースはシリアスな場面がたくさんあって、みんなで感情をぶつけ合うようなシーンの時に監督が僕のお芝居て結構顔に頼ってたりとかテンションで突き抜けちゃうところがあるというのを言ってくださったんです。それから僕いろんな舞台とか映画とかやらせていただくときも監督のそのときの言葉を思い出して取り組ませていただいています。

入江監督: 高杉真宙君と渡辺大知君がリアル方向に作っていく芝居だったので、一人だけトゥーマッチな感じで、ファンタジーみたいになってしまったんです(笑)。

渡辺: 撮影中はずっと3人でいたんですよ。兄弟みたいな感じでした。作中では各自役割があって、二人は作戦立てたり機材準備だったり、僕は車輌担当という立場です。プロのドライバーの方に吹き替えやカースタントをしてもらったかっこいいシーンはあるんですが・・・結構僕もやってます!結果、割と実際に運転したなあって。だから・・・さっき吹き替えとかいらんこと言ったなあ~・・・吹き替えじゃないです!ほぼボクです。僕が全部やりました!

入江監督: 『ミッション:インポッシブル』のトム・クルーズばりにね。怪我もしましたもんね。

渡辺: ちょうど最近怪我が治ったところです。

カズキはモヒカン、タケオは眉がなく金髪、特徴的な外見を再現するうえで、2人とも地毛で挑んだといいます。

加藤: マンガでカズキが印象的なモヒカン刈りをしているので、せっかくやるなら僕も地毛がいいと思いまして、「絶対地毛でやりたい」とマネージャーを説得して刈りました。髪を刈っているその場には監督はいらっしゃらなかったんですが、刈りながら監督にも写メを送ってチェックしていただいて、長さとか細かく入念にチェックしていただいて完成しました。

【写真】第31回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『ギャングース』舞台挨拶 (加藤 諒)

 

入江監督: 僕は加藤諒君をあまり知らなくて、完全に見た目で選んだんですよね(笑)。なのでモヒカンにしないって選択はなかった。モヒカンありきですね(笑)。

加藤: 見た目で選んでいただいたのは本当にありがたいです。僕のこと知らなくてもキャスティングしてくださって・・・本当ありがとうございます~!

渡辺: 監督と初めて会った時お話ししたんですけど、僕ずっと金髪にしたかったんですよね。不良とかヤンキー役に憧れていたんで、ついに来たか!と思って、ここぞとばかりに、めっちゃ明るくしていいですかって。高校の頃からバンドをやっているんですけど、高校の頃はずっと眉毛を全剃りにしたりとか、前もってアナーキーな一面は出していたんですけど(笑)。

 “タタキ”の車両担当タケオ役の渡辺大知は、映画『色即ぜねれいしょん』(2008年)で俳優デビュー、そのきっかけとなったのが高校時代結成したロックバンド「黒猫チェルシー」ボーカルとしての音楽活動だった(現在バンドは活動休止中)。黒猫チェルシーはかつて入江監督の映画『日々ロック』で音楽を担当。本作でも渡辺が主題歌のプロデュース、作詞作曲ボーカルも担当している。

渡辺: 監督に直々にやってほしいと言っていただいて、とにかく嬉しくて!今回脚本と原作漫画を読んだときに、「すごい話だ」と、思いがあふれてきて、その時にすでに勝手に曲を書いていたんですよ。そのぐらいこの映画はイマジネーションを刺激されるものがあったんです。結局撮影が終わって、あらためて撮影を経たうえで書いてみた曲と併せて2曲を監督には聞いていただいて、撮影後に作った曲を採用していただきました。

入江監督: 戦いのような撮影だったので、撮影・編集が終わった後に渡辺大知君という人がどう感じるのか、という答えを観せてもらうのが楽しみだったんですね。

渡辺: この映画に寄せようとかタケオの気持ちでという考えもよぎったんですが、それはおいておいて、“渡辺大知”としてこの映画に参加させていただいて得たものを出した方が嘘がないなと思って書いてみたら、結果この映画のテーマにも沿うようなものができた気がしています。

【写真】第31回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『ギャングース』舞台挨拶 (渡辺大知)

 

入江監督: 観ていただいたらわかるんですけど、主人公だけではなく悪い人たちやいろんなキャラクターの声の代弁になっています。

渡辺: それは意識しました。この映画で素晴らしいなと思うのは、主人公たちだけでなく登場人物たち全員がたくましく生きていて、明日がどうなるかわからない状態で一日一日を生きている力強さというのが悪者も含めてすごくキラキラして見えて、主題歌もそういうキャラクターたちの代弁になったらなというのはありました。

最後に、これから『ギャングース』を観るみなさんに一言お願いします。

加藤: 僕は子役からやってますけど、いろんな人に観ていただきたいなと思える作品にやっと出会えたというか、自分がやりたかったなという役をやらせていただけました。本当に沢山の人に観ていただきたい作品です。

渡辺: 僕はこの映画は個人的にも大好きな映画です。感想が気になる。みんなどんなことを思うんだろう、もし嫌だとか苦手だって思ったらどういうとこって知りたいし、監督がおっしゃっていたように賛否両論があっていいと思っています。思ったことをSNS、身の回りの人家族や友達に、俺はこう思うという感想を話すことで人と人をつないでくれる映画になってくれたらなと思っています。

入江監督: 今日ここに向かう前に、僕の地元群馬県深谷市の映画館の支配人がみたらしくて感想のメールをくれました。「この映画によって僕の知っている世界がちっぽけだったということに目を開かせてもらった」と70歳の人が言ってくれたんです。それは僕がこのギャングースという漫画に出会った時に思った感想と一緒だったんですよ。僕らが普段生活しているときに可視化されていない、見えないところにこういう生活をしている人がいて、こういう苦しみを受けているひとがいるということを教えてもらった原作です。それが映画になりまして、もちろん娯楽映画なんですけど、自分のそばにこういうひとがいるかもしれないという想像力を働かせるきっかけになったら嬉しいなと思っています。

【写真】第31回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品『ギャングース』舞台挨拶 (入江 悠監督、加藤 諒、渡辺大知)

今回のイベントには原作者や出演者、作中に出てくるキャバクラの店舗を貸してくれた店長も観客として来場。この映画に携わった人たちからの本作への愛情がうかがえた。

最期には一般参加者にも撮影の時間が設けられ、加藤と渡辺は「振り込め詐欺にご注意ください」と書かれた映画公式のポケットティッシュ“世の中真っ黒ティッシュ”を取り出す場面も。退場の際には客席に向かってそのティッシュを投げるというサプライズで、会場は興奮冷めやらぬままイベントは閉会した。

[記者: 金尾 真里 / スチール写真: © 2018 TIFF]

 

イベント情報

第31回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品
映画『ギャングース』
舞台挨拶

■開催日: 2018年11月1日(木)
■会場: TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン9
■登壇者: 入江 悠監督、加藤 諒、渡辺大知

第31回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品
映画『ギャングース』レッドカーペット公式インタビュー

映画『ギャングース』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『ギャングース』ポスタービジュアル

《ストーリー》

幼い頃から親の虐待に遭い、ろくに学校にも行けず、挙句の果てには自ら罪を犯し、青春期を少年院で過ごすことになったサイケ(高杉真宙)、カズキ(加藤諒)、タケオ(渡辺大知)。少年院で出会った三人は、親にも社会にも棄てられた犯罪少年として出所後にまともな仕事に就くこともできず、社会の最底辺を生きることを余儀なくされていた。そんな三人が生き抜くために掴んだ仕事が、犯罪者だけをターゲットにした“タタキ=窃盗”稼業。サイケが作戦担当、カズキが工具担当、タケオが車両担当としてそれぞれの得意分野を担い、情報屋の高田(林遣都)から得た情報を頼りに、日々裏稼業や悪徳詐欺集団のアガリを狙う窃盗行為を繰り返していた。目標は、タタキ稼業で3000万円を稼ぐこと。ひとり1000万円の準備金を用意して、またいつか表社会で真っ当に暮らすことを目標に掲げ、三人は苦しいながらも前向きに明るくタタキ稼業に励み、絆を深めていっていた。

 
第31回東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品
 
出演: 高杉真宙、加藤諒、渡辺大知(黒猫チェルシー)、林遣都、伊東蒼、山本舞香、芦那すみれ、勝矢/般若、菅原健、斉藤祥太、斉藤慶太、金子ノブアキ、篠田麻里子、MIYAVI
 
監督: 入江悠
脚本: 入江悠、和田清人
原作: 肥谷圭介・鈴木大介「ギャングース」(講談社「モーニング」KC所載)
製作・配給: キノフィルムズ/木下グループ
制作プロダクション: アミューズ映像制作部+パイプライン
© 2018「ギャングース」FILM PARTNERS©肥谷圭介・鈴木大介/講談社
 
2018年11月23日(金) 
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @MovieGangoose
公式Instagram: @movie.gangoose
公式Facebook: @movie.gangoose

この記事の著者

金尾 真里

金尾 真里ライター

神奈川県横浜市生まれ。
「うつし世はゆめ、夜の夢こそまこと」(江戸川乱歩)を座右の銘とし、エンタテインメント全般を愛好。作品の規模、ジャンル問わず、自分が「面白い」と感じる映画の紹介をしたいと映画ライターの活動を行う。キャスティングと物語が好きな映画は『ベニスに死す』、好きな映画音楽は『ロシュフォールの恋人たち』、総合的して一番好きな映画は『GSワンダーランド』

この著者の最新の記事

関連記事

カテゴリー

アーカイブ

YouTube Channel

Twitter

Internet Defense League のメンバー

Internet Defense League のメンバー

ページ上部へ戻る