- 2021-9-28
- イベントレポート, 映画関連ニュース, 第34回 東京国際映画祭, 記者会見
第34回 東京国際映画祭(TIFF) ラインナップ発表記者会見
「Nippon Cinema Now」部門新設!
“海外に紹介されるべき”作品を選出
開催まで残すところあと約1カ月!
9月28日(火)、第34回東京国際映画祭(TIFF)のラインナップ発表記者会見が東京ミッドタウン6階のBASE Q HALLにて開催され、各部門の全ラインナップ、各イベントの魅力、見どころなどが発表された。
今年、六本木地区から日比谷・有楽町・銀座エリアへの会場移転や17年ぶりとなるプログラミング・ディレクターの変更、部門の改編などもあり、東京国際映画祭が新たに生まれ変わる年になる。
本年度の映画祭におけるコロナ対策の検査体制の説明や会場移転、TIFF&TIFFCOMの連携などに関して紹介され、本年度のビジュアルを手掛けるコシノジュンコからのビデオコメントも到着。またフェスティバルソングにKing Gnuの常田大希率いるmillennium paradeの楽曲「Bon Dance」が選ばれたことが発表され、加えて映画祭のSDGsへの取り組みについてなどが語られた。
記者会見にはゲストとして、第34回東京国際映画祭のフェスティバル・アンバサダーを務める女優の橋本愛、本年度より新設された「Nippon Cinema Now」部門において特集が組まれる𠮷田恵輔監督、提携企画「東京フィルメックス」のプログラム・ディレクターの神谷直希、映像コンテンツマーケットTIFFCOMの松本浩が登壇。また昨年に続き、アジアを含む世界各国・地域を代表する映画人と第一線で活躍する日本の映画人によるトークシリーズ「アジア交流ラウンジ」の企画検討会議メンバーである是枝裕和監督からのビデオコメントが上映された。
オープニング作品のクリント・イーストウッド監督50周年記念作品『クライ・マッチョ』(原題:Cry Macho)と、クロージング作品である大ヒットミュージカルの映画化作品『ディア・エヴァン・ハンセン』(原題:Dear Evan Hansen)の予告編が上映された後、本年度よりプログラミング・ディレクターに就任した市山尚三より、部門改編の説明と「コンペティション部門」「ガラ部門」に選出された作品が紹介された。続いてシニア・プログラマーの石坂健治より「アジアの未来」部門、プログラミング・アドバイザーの藤津亮太より「ジャパニーズ・アニメーション」部門、司会より新人を対象にした短編コンテスト「Amazon Prime Video テイクワン賞」など、その他部門の紹介と質疑応答も行われた。
第34回東京国際映画祭は10月30日(土)~11月8日(月)の10日間の開催期間中、99本(※9月28日時点で上映が決定している作品数)の映画が上映される。
東京国際映画祭チェアマン 安藤裕康 コメント
今年こそ対面の交流を大々的に実現したかったものの、まだまだ予断を許さない状況です。私たちはコロナを乗り越え、ポストコロナの映画の新しい未来を模索するために、映画祭を実施することを決意しました。 17年ぶりに六本木から日比谷・有楽町・銀座地区という伝統ある“映画の街”に会場が移転し、より広いお客さんに親しんでもらいたいと思っております。 プログラム・ディレクターも17年ぶりに交代となり、部門の改編も含め、充実した様々な作品が集まりました。 “国際映画祭”という名にふさわしい、国際色豊かな映画祭にしたい。また、ジェンダーの平等ほかSDGsの問題など、映画祭を通じて現代の課題と向き合っていきたいと思っております。 |
第34回東京国際映画祭 フェスティバル・アンバサダー 橋本愛 コメント
これまでも、プライベートで観客として映画祭に行かせてもらって、作品に人生を救われたり、東京国際映画祭には深い思い入れがあります。 また出演させていただいた作品でレッドカーペットを歩かせていただいたり、舞台挨拶をさせていただいたりということがあって、東京国際映画祭にはご縁を感じていましたが、今回は新たなご縁がありアンバサダーを務めさせていただくことになって、非常に嬉しいです。 映画というものが日本という島国において、より地中深く根を張って、皆さんの生活にはびこって、根付いてほしいなと願っています。 |
「オープニング/クロージング作品」紹介
オープニング作品『クライ・マッチョ』
オープニング作品はハリウッドの伝説、クリント・イーストウッド監督が主演も兼ねた最新作『クライ・マッチョ』(原題:Cry Macho)。クリント・イーストウッド監督の50周年記念作品でもある本作は、人生に失敗した男と親の愛を知らない少年がメキシコを横断していく中で、人生に必要な“本当の強さ”とは何なのかを見出していく感動作となっている。
クロージング作品『ディア・エヴァン・ハンセン』
第46回トロント国際映画祭(tiff)のオープニングを飾った『ディア・エヴァン・ハンセン』(原題:Dear Evan Hansen)がクロージング作品に選出。映画『ラ・ラ・ランド』(2017年/デイミアン・チャゼル監督)、『グレイテスト・ショーマン』(2018年/マイケル・グレイシー監督)の音楽チームで贈る大ヒットミュージカルの映画化作品で、1通の手紙と“思いやりの嘘”をきっかけに“本当の自分”に気づくまでの過程を描く、希望に満ちた物語となっている。
「コンペティション」部門作品紹介
コンペティション部門の国際審査委員長は、世界的に活躍する女優・イザベル・ユペール。2019年(第32回)のチャン・ツィイーに続き、女性の審査委員長を務める。
国際審査員は、国際映画批評家連盟刊行「Undercurrent」の編集長であり、Boston Phoenix紙の映画評論家を務める映画評論家・プログラマーのクリス・フジワラ。加えてFocus Films(香港)、Variety(アメリカ)、Irresistible Films(香港/日本)での経験を経て、BerlinaleやCinemAsia Film Festivalなどの映画祭でも活躍している映画プロデューサー・キュレーターのローナ・ティー。さらに日本の映画音楽作曲家の世武裕子と映画監督の青山真治を加えた計5名が務める。
113の国と地域、1,533本もの応募の中から15作品が「コンペティション」部門に選出。日本からは松居大悟監督の『ちょっと思い出しただけ』(2022年早春公開)と野原位監督の『三度目の、正直』の2作品が選出された。
作品タイトル | 監督 | 製作国 |
アリサカ | ミカイル・レッド | フィリピン |
カリフォルニー | アレッサンドロ・カッシゴリ ケイシー・カウフマン |
イタリア |
クレーン・ランタン | ヒラル・バイダロフ | アゼルバイジャン |
ザ・ドーター | マヌエル・マルティン・クエンカ | スペイン |
その日の夜明け | アソカ・ハンダガマ | スリランカ |
四つの壁 | バフマン・ゴバディ | トルコ |
オマージュ | シン・スウォン | 韓国 |
ちょっと思い出しただけ | 松井大悟 | 日本 |
市民 | テオドラ・アナ・ミハイ | ベルギー/ルーマニア/メキシコ |
一人と四人 | ジグメ・ティンレー | 中国 |
もうひとりのトム | ロドリゴ・プラ ラウラ・サントゥージョ |
メキシコ/アメリカ |
復讐 | ブリランテ・メンドーサ | フィリピン |
ある詩人 | ダルジャン・オミルバエフ | カザフスタン |
三度目の、正直 | 野原位 | 日本 |
ヴェラは海の夢を見る | カルトリナ・クラスニチ | コソボ/北マケドニア/アルバニア |
「ジャパニーズ・アニメーション」部門紹介
「温故知新」をキーワードに3つの特集で構成される「ジャパニーズ・アニメーション」部門。
1つ目は「2021年、主人公の背負うもの」と題して、“今のアニメーション映画のショーケース”を目指した4作品の特集上映。
2つ目の特集は「大塚康生の足跡」と題して、今年3月に逝去されたアニメ産業黎明期から活躍したアニメーター大塚康生のレトロスペクティブ。同氏のドキュメンタリー映画を含め、アニメの歴史を振り返る3作品が上映される。
3つ目の特集(特撮部門)は「『仮面ライダー』の未来へ」。生誕50周年を迎え今年新作も発表された仮面ライダーシリーズのオリジンとなる昭和・平成の3作品が上映される。
また、本年度は同部門各特集に合わせて「TIFF マスタークラス」も行われる。
「Nippon Cinema Now」部門作品紹介
本年度新設の「Nippon Cinema Now」部門。昨年まで「Japan Now」部門で“最近の日本映画を俯瞰する”形で紹介していたが、今年から名称を改め、“海外に紹介されるべき”という観点を重視し、様々な日本映画を上映する。
人間の心理をえぐる鬼才 「𠮷田恵輔監督」特集!
「Nippon Cinema Now」部門にて特集される𠮷田恵輔監督の上映作品は、映画『空白』(2021年9月23日公開)、映画『BLUE/ブルー』(2021年)、映画『ヒメアノ~ル』(2016年)の3作品。
𠮷田恵輔監督の作品はどれも観る人の心を強く揺さぶる衝撃作となっており、ストーカー、兄弟姉妹、国際結婚、ボクシング、加害者被害者、それぞれの土壌で燻し出される人間関係の狂気ともいえる純粋さ、もしくは純粋なまでの狂気を映画的な視線で描き切る。
「Nippon Cinema Now」部門監督特集 𠮷田恵輔監督 コメント
ーー 今回の特集が決まった際に「嬉しくてお漏らししてます」とコメントを寄せていらっしゃいましたね。
自分はあまり選ばれるタイプの人間ではないので。ベスト10とかに入ってこない常連みたいな。「僕でいいんですか?」って思ってお漏らしをしました。東京国際映画祭というとスーツを着ているカタイ人たちが多いので、委縮して2度目のお漏らしをしています(笑)。
ーー 作品作りにおいて、大切にしていることなどはありますか?
基本的には、人間は皆持っているであろう感情の変化を大事にしています。人にあまり見られたくない、嫉妬や自己顕示欲だったり、恥部を描いてますね。自分自身の心をさらけ出して、こんな自分でも「ちょっと変われる可能性もあるぜ!」ということを、映画ではいつも描いてます。
ーー 𠮷田監督にとって映画とはどんな存在でしょうか?
幼稚園になる頃には、映画監督になりたいって言っていたんです。大好きなジャッキー・チェンに会いたいと親に言ったら、「映画監督になれば会えるよ」と言われて。(橋本さんと同じく)映画には僕も何度も救われましたが、色々あって、時々映画を嫌になることもあるんです。そんな時に「これだ!」っていう1本に出会うことがあって、そうするとまた映画好きに戻る。自分もそんな“映画好きに戻って来れるような1本”を作れる人になりたいです。
ーー ジャッキー・チェンには会えたのですか?
会えません!「ジャッキー・チェンズ・カフェ」(ジャッキー・チェンが経営するカフェ「成龍珈琲与茶」)に行ったまでが俺の最高の(一番近づいた)距離です(笑)。トイレに行くとモニターで(ジャッキー・チェンが)「一歩前に出よ!」って言ってくれました(笑)。
[スチール撮影&取材: Cinema Art Online UK / 編集: 美坂 英里]
第34回 東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見 ムービー?
第34回 東京国際映画祭(TIFF) 予告篇
イベント情報
第34回 東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見 概要■開催日: 2021年9月28日(火)15:30~17:30
■会場: 東京ミッドタウン日比谷 6階 BASE Q HALL
■司会: 荘口彰久(フリーアナウンサー)
■登壇者: 安藤裕康(東京国際映画祭チェアマン)
市山尚三(プログラミング・ディレクター) 石坂健治(シニア・プログラマー) 藤津亮太(「ジャパニーズ・アニメーション部門」 プログラミング・アドバイザー) ■ゲスト: 橋本愛(フェスティバル・アンバサダー) 𠮷田恵輔監督(「Nippon Cinema Now」部門特集監督) 神谷直希(「東京フィルメックス」プログラミング・ディレクター) |
第34回 東京国際映画祭 開催概要■開催期間: 2021年10月30日(土)~ 11月8日(月)[10日間] TIFFCOM2021 開催概要■主催: 公益財団法人ユニジャパン |