第34回 東京国際映画祭(TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 レポート
【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 (花江夏樹、梶裕貴、村瀬歩、花澤香菜、いしづかあつこ監督)

第34回東京国際映画祭(TIFF) 
ジャパニーズ・アニメーション部門 
映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 

豪華声優陣が集結し濃密トークを展開!
花江夏樹は梶裕貴、村瀬歩との関係性に自信‼︎

日本国内に留まらず、世界中で高い評価を得たTVアニメ「宇宙そらよりも遠い場所」(2018年)を手掛けたいしづかあつこ監督の最新作、映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』が、10月30日(土)に開幕した第34回東京国際映画祭(TIFF)ジャパニーズ・アニメーション部門に出品され、11月5日(金)に角川シネマ有楽町ワールドプレミア上映が行われた。

上映前の舞台挨拶には、ロウマ役の花江夏樹、トト役の梶裕貴、ドロップ役の村瀬歩、チボリ役の花澤香菜ら声優陣、そしていしづかあつこ監督が登壇し、作品についての濃密なトークが繰り広げられた。

映画の初お披露目にレッドカーペットよりも緊張!?
花江もレッドカーペットを歩く準備を開始?

ワールドプレミア上映ということで、初めて観客に映画をお披露目することの感想を尋ねられたいしづか監督は「すごく嬉しくて。駆け出したいくらいの気持ちです。でも初お披露目ということで、昨日の夜から緊張して寝付けなくて。緊張で指先から足の先まで体温が下がってます」と語った。

【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 (いしづかあつこ監督)

10月30日(土)に東京国際映画祭のオープニングイベントで、いしづか監督とともにレッドカーペットを歩いた梶は、いしづか監督の感想について「レッドカーペットを歩いたときは、本当に素敵にウォーキングされていましたよね。緊張なんてしてなかったのに!」と驚いた様子。

【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) レッドカーペットイベント (いしづかあやこ監督、梶裕貴)

花江が「今日の方が緊張しているんですか?」と尋ねると、いしづか監督は「全然違います。だってレッドカーペットは皆さんは梶さんを見に来ているんですよ!」と予想外の返答し、梶は「そんなことない」と謙遜しつつ「でも今日はね、皆さんは間違いなく映画を観に来てますからね」と反応。

いしづか監督は同意し「そうなんです。映画を観に来ているんですよ。そっとしておいてほしい」と不安げな様子。

花江は「アフレコの段階から相当絵が完成されていて。めちゃくちゃ綺麗だなと思いながらアフレコをしていました。その後、音楽がついてセリフが入るとよりグッと作品が濃くなって。見応えがあるなと感じました」と映画の出来を絶賛し、監督を励ました。

【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 (花江夏樹)

いしづか監督も「ありがとうございます。できるだけ絵の良い状態で皆さんに命を吹き込んでいただこうと思って頑張りました」と前向きにコメントした。

自身の感想を尋ねられた花江は「今話した通りです。僕もいつかレッドカーペットを歩きたいなと思って」と冗談まじりに回答すると、梶が「一緒に歩こう!」と反応し、花江も「今から準備をしておきます(笑)」と応えた。

テンポを意識した会話劇に注目‼︎
豪華声優陣が“等身大の男の子”を熱演

高校生の男の子たちの一夏の青春が描かれる本作。キャストが演じる上で意識したことについて問われると、花江は「高校生くらいの年齢の頃って、反射で喋ったりするじゃないですか。“特に会話に意味はないけど、なんとなくだべる”みたいな。それを意識して、会話のニュアンスを出すというよりはテンポを重視して演じました」と回答。さらに「どうですか梶さん」と話を梶に振った。

【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 (梶裕貴)

それに答えて梶は「振っていただいてありがとうございます」と一言。続けて「僕も初めて台本を読んだ時やリハーサルの口パクの映像を見た時から、高校生らしい等身大の若さが反映された日常会話のテンポやテンション、リズムが、すごく綺麗に残されていると思いました。なので、なるべく子どもたちのそのナチュラルなテンションを反映させられるように意識しましたね」と花江に同意。さらに「全体で言うと、そのリズムが良いコミカルなシーンがあるからこそ、静かなシリアスなシーンがグッと心に刺さると思ったので、そこは演じる上で意識しました。どうですか、村瀬さん」と花江に倣い、村瀬に話を振った。

【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 (村瀬歩)

この話を振るラリーについて村瀬は「ありがとうございます。村瀬です」と答えつつも「MC交代制だった?」と笑いながら質問。これに流れを作った花江が「ドン・グリーズだから。我々は」と反応し、梶も「そう俺たちみんなでさ」、花江が「支え合って行こうよ」と続け、長い付き合いの中で生まれた仲の良さを見せた。

そして村瀬は改めて、「2人が10代半ばくらいのお芝居されている中で、(村瀬が演じたドロップは)子どもっぽいところもあれば、大人っぽいところもあるという立ち回りだったので、そこを大事にしました。『ここはあざといくらいに無邪気にしよう』『ここはより大人な面を出そう』とか。すごく悩みながら演じました」と語り、花江らに倣って「どうですか、花澤さん」とラリーを続けた。

話を振られた花澤は「いいんですか!ドン・グリーズじゃないけど」と嬉しそうに反応しつつ「夢を見つけていない子が多い中で、(花澤が演じた)チボリちゃんはカメラという大事なものを持っていて。だから周りよりは大人っぽいということは意識しながら演じました」と語った。

【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 (花澤香菜)

キャストそれぞれがこだわって行われたアフレコだが、その際キャストとどのような会話をしながら収録したかについて問われたいしづか監督は「一番最初に『等身大の男の子たちです』とお話して。付け加えて、『決して、自立したしっかりとした少年であってはならない。幼く駄々をこねて欲しい』と伝えました。さらに、主役として作品の空気を作っていく上で、ロウマ役の花江さんには『できるだけナチュラルに』と。“心のうちを秘める間もなく、脊髄反射でぽろっと言っちゃう”くらいの、肩の力を抜いたナチュラルさをお願いしました」と明かした。

続けて「ナチュラルなお芝居は本当にお芝居が上手な方でないと難しいんです。幼さと大人っぽさのギャップなどの強弱の表現は特に難しいと思いますが、皆さん本当に上手に表現してくださって。キャラが生き生きとしているので、皆さん楽しんで見ていただけたらと思います」とキャストの芝居を絶賛した。

【画像】映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』場面カット

長い付き合いの中で“息を合わせる”のは完璧!?
3人はボケとツッコミのバランスが最高!

一緒にアフレコ収録を行ったという、ドン・グリーズを演じる花江、梶、村瀬の3人。

アフレコで印象に残っていることを聞かれると、花江は「会話が重なりまくっていて、呼吸を合わせるのが難しいシーンが多かったです。そこはお二方とリズムを合わせて一緒に作っていた感じですね」と回答し、村瀬も「(リズムは)作れたと思うよ」と自信を見せた。

さらに梶が「基本的に3人で進んでいく物語で、これだけ濃厚なお芝居の掛け合いをずっと3人一緒にさせてもらえるというのは本当に貴重な経験でした。会話劇がとても楽しかったですね」とまとめた。

【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 (梶裕貴)

ここで、MCを務めた、ジャパニーズ・アニメーション部門プログラミング・アドバイザーの藤津亮太氏が「プレスコアリングかと思うくらい自然に噛み合っていたが、息を合わせるまでは時間がかかったか」と質問。

花江は「長い付き合いですから。すぐですよね」と自信ありげな様子で答えるも、村瀬は「僕は自分のセリフを見失いがちでした。とてもテンポが良かったので、そのテンポに追いついていくのが大変でした。逆に花江くんや梶さんは、水を得た魚のようにサッと演じていて。羨ましかったです。2人に引っ張ってもらった感じでした」と苦労を語った。

これには花江が「そんな感じはしなかったけど。あゆ(村瀬)の自分の中のハードルがとても高いんだろうね。上手く演じるなと思ってたよ」とフォローしつつ、続けて「でも演じていて思ったのは、言動とか性格的がわがままで。僕としては、ロウマを含めこの3人には『おや?』と思うことがあるんですよ。若い頃は、何が正しいのか、何がやってはいけないことなのかをわかっていないことが多いので、その青臭い部分というリアルさを会話の中で出せて。『それは人に言ったら失礼だぞ』とか、『それはよく考えたらダメだよ』ということもしっかりと作品の中で描かれているので、とてもいいなと思いました」と作品のリアルさに言及した。

梶も続けて「ボケとツッコミみたいなものが終始あるんですよ。なかでも(梶が演じた)トトはツッコミポジションだったので、終盤には声を枯らしていましたね。それぐらいエネルギッシュな冒険譚だと思います」とアフレコでのエピソードを披露した。

村瀬は「主に僕の(演じるドロップの)せいですよね。僕は引っ掻き回す方なので」と梶に反応し、「序盤からトトが色々ツッコんでくれていて、ロウマはドロップと気が合う時や、たまにツッコむ時があったりして。こういう3人のバランスは早いうちから出来上がっていましたね」と3人の息の合った芝居の裏側を明かした。

【画像】映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』場面カット

登壇者が見所をアピール!
花澤は「ハンカチ持っていますか」と語りかける

映像美や登場人物の成長物語、さらには先日[Alexandros]が担当することが発表された主題歌など、見所がたくさんある本作。登壇者が、これから観る人たちに向けた見所を教えてくれた。

まず花江は「音楽と映像だけで進むシーンが多いんです。映像の綺麗さと(音楽の)力が本当にすごい」と回答。続けて梶は「背景美術にも圧倒されます。印象的なのが滝や花火ですね」と語った上で、「音楽は自分もこの作品を改めて見て感じるところがありました。作品の内容に関わるのでので今日は話すことができませんが、キャラクターたちが歌うシーンがあって。声優がキャラクターの心情を描写した楽曲を歌うという部分で、どうやったら彼らの気持ちを歌に乗せられるかについて考えて。それをお芝居に込められたのは作品として大きな意味があったし、印象に残っています」とこだわりを語った。

さらに村瀬は「絵が特にすごい。人の細かい描写がリハの段階で映像を見た時からすごくて。“後ろめたい”“、探したい”、“本心を隠したい”という顔、特に目が(感情を)雄弁に語っていると感じました。ぜひ目にこだわって観ていただきたいです」と違う視点からの見所を回答した。

花澤は「みんなハンカチは持っていますか」とまず観客に語りかけ、「終わったらもう一度観たくなると思います。新聞など、色々なものが細かく作り込まれているので、『あそこ見ればよかった』と思うポイントがあるはず。目をかっぴらいて観ていただければいいな」とアピール。

【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 (花澤香菜)

最後にいしづか監督は「立場的には全て目をかっぴらいて観てほしいですが、前知識や雑念が一切ない状態で、作品に没入していただくのが一番です。素直に世界に身を委ねていただけると、私が裏で小躍りして喜びます」とコメントして笑わせた。

【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 (いしづかあつこ監督)

舞台挨拶の最後には、花江からから公開日が2022年2月18日(金)であることが発表された。覚え方として“チボリ役の花澤の誕生日1週間前”であることも花江がアピールすると、花澤が「覚えられるか!」とツッコむなど、終始キャストの仲の良さがうかがえるイベントとなった。

[記者: 來住 果林 / スチール写真: © 2021 TIFF]

イベント情報

第34回 東京国際映画祭(TIFF) ジャパニーズ・アニメーション部門
映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶

■開催日: 2021年11月5日(金)
会場: 角川シネマ有楽町
■登壇者: 花江夏樹、梶裕貴、村瀬歩、花澤香菜、いしづかあつこ監督
■MC: 藤津亮太(ジャパニーズ・アニメーション部門 プログラミング・アドバイザー)

【写真】第34回 東京国際映画祭 (TIFF) 映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』舞台挨拶 (花江夏樹、梶裕貴、村瀬歩、花澤香菜、いしづかあつこ監督、藤津亮太プログラミング・アドバイザー)

映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』予告篇🎞

映画作品情報

【画像】映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』ポスタービジュアル

 
第34回 東京国際映画祭(TIFF) ジャパニーズ・アニメーション部門 出品作品

キャスト

ロウマ(鴨川朗真): 花江夏樹
トト(御手洗北斗): 梶 裕貴
ドロップ(佐久間雫): 村瀬 歩
チボリ(浦安千穂里): 花澤香菜

スタッフ

監督・脚本: いしづかあつこ
 
キャラクターデザイン: 吉松孝博
美術監督: 岡本綾乃
美術ボード制作協力: 山根左帆
美術設定: 綱頭瑛子、平澤晃弘
色彩設計: 大野春恵
撮影監督: 川下裕樹
3D監督: 廣住茂徳、今垣佳奈
編集: 木村佳史子
 
音楽: 藤澤慶昌
音楽監督: 明田川 仁
音響効果: 上野 励
 
アニメーション制作: MADHOUSE
 
主題歌: [Alexandros]「Rock The World」
 
配給: KADOKAWA
製作: グッバイ、ドン・グリーズ!製作委員会
 
© Goodbye, DonGlees Partners
 
2022年2月18日(金) 全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @gb_donglees
 

映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』公開前プレミア上映会 舞台挨拶 レポート

映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』公開記念舞台挨拶 レポート

この記事の著者

來住 果林ライター/レポーター

2002年生まれ、シネマティーンズ所属。
好きな映画のジャンルは、ヒューマンドラマ、ラブロマンス、コメディ、アニメなど。
特に、幼い頃に鑑賞した『魔法にかけられて』(2007年)、『パコと魔法の絵本』(2008年)は今でも思い出深い作品。
コアなファンが求めている情報をお届けすることをモットーに活動にしている。

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