- 2016-8-25
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第29回 東京国際映画祭『歌舞伎座スペシャルナイト』
尾上菊之助による女方舞踊&弁士・生演奏付き上映が決定!!
東京国際映画祭のクラシック部門の目玉企画として今年で3年目を迎える「歌舞伎座スペシャルナイト」。日本の伝統芸能である歌舞伎を上映し続けてきた歌舞伎座という場において、国内外から来場者を迎え映画の魅力を世界に発信していくことは、新しい映画体験と感動の創出につながる。
今年の「歌舞伎座スペシャルナイト」では、英国・ロンドンでの蜷川幸雄演出『NINAGAWA 十二夜』や「日中友好 京劇・歌舞伎 北京公演」 での『春興鏡獅子』など、海外公演にも積極的に挑戦されている尾上菊之助による女方の舞踊「鷺娘」を上演することが決定した。「鷺娘」は、歌舞伎の女方が演じる舞踊代表曲のひとつで、変化に富んだ構成、引抜きなど、歌舞伎ならではの技巧をふんだんに用いた人気曲。海外からのゲストにも分かりやすく「歌舞伎」をイメージさせる隈取の化粧、所作一つ一つが絵となる日本舞踊の美しさは、歌舞伎を初めてご覧になる方にも楽しんで頂けるプログラムとなっている。
また、今年初めての試みとして、昭和初期に製作した貴重な作品を弁士と生演奏付きで上映する。弁士付上映とは、サイレント映画に独自の語りと演奏を付けて上映する形式のことで、上映作品は『忠臣蔵』デジタル最長版、『血煙高田の馬場』が決定した。
東京国際映画祭では、古典文化に接する機会の少ない若い世代にも積極的に来場して頂けるよう取り組みをしている。
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尾上 菊之助(おのえ きくのすけ) <プロフィール> <コメント> |
舞踊「鷺娘」見どころ
歌舞伎の女方が演じる舞踊の代表曲のひとつ。幕があくと、雪が降りしきる池のほとりに白無垢姿の娘が傘を手にして佇んでいる。実はこの娘は鷺の精が人間に姿を変えたものである。鷺の精は、人間の男と道ならぬ恋をして思い悩む様子を踊りで見せていき、衣裳を引き抜いて艶やかな町娘の姿となると、その男と結ばれた頃のことを思い起こし、最初の見どころであるクドキとなる。続いて、流行唄に合わせての手踊りとなり、男心のつれなさを訴えたのち、再び衣裳を引き抜くと、傘を持っての傘尽くしの賑やかな踊り地となる。次第に道ならぬ恋をした責め苦が襲い始め、ついに鷺の精の本性を顕す。降りしきる雪の中、鷺の精が苦しそうに翼を羽ばたかせるように舞うこの件は最大の眼目であり、幕切れまで見せ場が続く。変化に富んだ構成、引抜きなど、歌舞伎ならではの技巧をふんだんに用いた人気曲である。(製作・松竹)
映画「忠臣蔵」デジタル最長版
生涯に1000本以上の作品に主演した日本で最初の国民的な大スター尾上松之助。最晩年の超大作が、この『忠臣蔵』である。山鹿流鶴翼の陣形や組織的な戦術などは、史実に基づいた考証を重ねて、以降の『忠臣蔵』映画の規範を示した作品といわれている。
監督: 池田富保
出演者: 尾上松之助、山本嘉一、桂武男、酒井米子
製作年: 1926年
作品提供: おもちゃ映画ミュージアム

© 画像・作品提供: おもちゃ映画ミュージアム
映画「血煙高田の馬場」
昭和3年に11巻で公開された本作は現在、約1巻分しか残されておらず、その限られた現存場面からでも、日本映画に新風を吹き込んだ伊藤大輔や大河内傳次郎の放つ若さや迫力を充分に感じられる、無声映画期の名作である。
監督: 伊藤大輔
出演者: 大河内傳次郎
製作年: 1928年
「現代版弁士」として古舘伊知郎のスペシャルゲスト出演決定!!
映画『血煙高田の馬場』の上映に「現代版弁士」として古舘伊知郎のゲスト出演が決定した。通常の弁士付上映は、サイレント映画に独自の語りと演奏を付けて上映する形であるが、今回の「現代版弁士」は“喋り屋”古舘伊知郎オリジナルの全く異なるスタイルの上映となる。今回の歌舞伎座スペシャルナイトでは、伝統的な弁士付上映、現代版弁士付上映、2つのスタイルが同時に楽める。
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古舘 伊知郎(ふるたち いちろう) <コメント> <プロフィール> |
第29回 東京国際映画祭 開催概要
開催期間: 2016年10月25日(火) ~ 11月3日(木・祝)
会場: 六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区)ほか、都内の各劇場および施設・ホールを使用
併設マーケット: TIFFCOM (Japan Content Showcase 2016) / 2016年10月25日(火) ~ 10月27日(木)
第29回 東京国際映画祭(TIFF)『歌舞伎座スペシャルナイト』レポート – Cinema Art Online
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1977年8月1日、七代目尾上菊五郎の長男として生まれる。1984年2月歌舞伎座「絵本牛若丸」の 牛若丸で六代目尾上丑之助を名のり初舞台。1996年5月歌舞伎座「白浪五人男」の弁天小僧、「春興鏡獅子」の小姓弥生、獅子の精で五代目尾上菊之助を襲名。近年では祖父・父の当り役である 「伽羅先代萩」の政岡や「摂州合邦辻」の玉手御前、「仮名手本忠臣蔵」の塩冶判官や「義経千本桜」 の狐忠信といった家ゆかりの狂言の大役に積極的に取り組み、女方、立役双方で活躍。海外公演にも 積極的に取り組み、2009年にはロンドンにて「NINAGAWA 十二夜」、2015年には北京にて「春興鏡獅子」 を披露。映像作品への出演も多く、市川崑監督『犬神家の一族』(’06)、中田秀夫監督『怪談』(’07) や、「ナルニア国物語」シリーズ(日本語吹替版)への声優での出演など、意欲的な活躍をみせている。
「無声映画の最盛期、日本には弁士が数千人いたという。弁士は役者以上の人気を誇り、人々の最大のお目当ては贔屓の弁士の語り(活弁)を聴くことだったそうだ。映画を観に行くというより活弁を聴きに行く、言葉が映像の従属物ではなく話芸として確立され愛された時代があったのだ。ちょっと前までは、TV ドラマと同時に、ラジオドラマという音だけのジャンルがあったように、人々が喋りを聴いてイメージを膨らませて楽しむ時代があったのだ。喋り手ならば活弁という魅惑の箱を今開けずにはいられない。過去のスター弁士の口調を一所懸命模写し再現する手のことは付け焼き刃で出来るものじゃないが、これまで講談、落語の道中付け、大道芸(香具師の啖呵売)あたりをちょびちょびかじってきた身としては、面白い活弁ができそうな気もする。私に与えられた題材は忠臣蔵のスピンオフ作品“血煙高田の馬場”。ほんの7~8分の短縮バージョンだが、十分面白い。さあ!喋りで何をプラスしていくか、このところ言葉探しの「脳内決闘劇」を時折くり広げている」











































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