映画『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』レビュー
映画 「ターシャ・テューダー静かな水の物語」

映画『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』

迷う心にすっと染み込む澄み切った言葉たち。

《ストーリー 》

スローライフの母である彼女の名前はターシャ・テューダー。彼女はアメリカを代表する人気絵本作家であり、日本にもファンが大勢いるガーデナーでもある。自分の生活に関わるもののほとんどを自分の手で作り、自然を愛し、4人の子供を育て上げ、多くの動物と共に暮らしてきた。

ターシャはガーデニングが大好き。好きな花を思う存分植えることのできる庭を手に入れるために絵を描き、本を売った。絵本作家もターシャが心からやりたかったこと。最初の絵本を世に出すまでに、自らアメリカ中の出版社に売り込みに行く熱意が、優しいタッチの絵本の裏には隠されている。

ターシャの人生には、心が痛む出来事も起きてしまう。両親の離婚や夫との離婚。でも、『生まれ変わってもまた同じ人生がいい』というターシャ。人生を楽しむ生き方が、彼女の口から語られる。

映画 「ターシャ・テューダー静かな水の物語」

《みどころ》

「忙しすぎて、心が迷子になっていない?」彼女がぽつっとつぶやいた一言。「誰でも思い通りに生きることができるのよ」。言葉の通りターシャは、大好きなガーデニングを思う存分楽しんだ。求めるものは自分の心に語りかければ自ずと見えてくる。向き合う時間を作ることが大切なのだ。

映画 「ターシャ・テューダー静かな水の物語」

ターシャのことを「意思の強い人」だったと語る人がいる。彼女が自分の好きな世界を作ることができたのは、「小さな選択」に真剣に向き合い続けた結果だという。何をしたくて何をしたくないのか。誰と会いたくて誰と会いたくないのか。

ターシャが大切にしている生き方は、シンプルで迷いがない。心が迷子になっている時は、ターシャに聞いてみよう。『水の流れのように穏やかでいること、水鏡に映して自分を見つめること、周りのペースに巻き込まれないよう自分のペースで生きること』美しく透き通った水のような言葉たちが、忙しい現代社会に生きる私たちの、乾いた心に染み渡ってくるようだ。

映画 「ターシャ・テューダー静かな水の物語」

この映画は、ターシャ生誕100年記念の集大成ともいえる。NHKで10年間取材した映像をまとめたものと、新たに撮影した現在の庭やテューダー家の様子は、彼女が亡くなった今もまだ、そこに存在しているかのような感覚に陥る。

ナレーションがないのでまるで、ターシャ本人が観ている人、1人1人に直接語りかけているかのようだ。

[ライター: 大石 百合奈]

 © 2017 映画 「ターシャ・テューダー」 製作委員会

映画『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』予告篇

映画作品情報

映画 「ターシャ・テューダー静かな水の物語」

監督: 松谷光絵
出演: ターシャ・テューダー、セス・テューダー、ウィンズロー・テューダー、エイミー・テューダー
2017年 / 日本 / デジタル / カラー / 16:9
配給: KADOKAWA
劇場公開日: 2017年4月15日

© 2017 映画 「ターシャ・テューダー」 製作委員会

2017年4月15日(土)より、
角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国公開!
 

映画公式サイト

この記事の著者

大石 百合奈ライター

幼い頃、本気で映画 『ジュラシックパーク』 の世界に行ってみたい!と思っていた。社会人になって、ハワイのオアフ島にあるロケ地を訪れた時は感動!“ロケ地を巡る”、“おしゃれの参考にする”など、“映画を観る”ことから広がる世界は無限だ。

★好きな映画
『スイートリトルライズ』 [監督: 矢崎仁司 製作: 2010年/日本]
『はじまりのうた』 (Begin Again) [監督: John Carney 製作: 2013年/米]
『ザ・ビーチ』 (The Beach) [監督: Danny Boyle 製作: 2000年/米・英]

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