- 2016-3-11
- アカデミー賞, カンヌ国際映画祭, ゴールデングローブ賞, 映画作品紹介
映画『キャロル』(原題: Carol)
美しき50年代、「本当のわたし」はキャロルの愛が教えてくれた
《ストーリー》
舞台は1957年、クリスマスを目前ににぎわうニューヨーク。テレーズ(ルーニー・マーラー)は、高級デパートの玩具売り場で働く平凡な女の子だ。テレーズは、娘のクリスマスプレゼントを買いにやって来たキャロル(ケイト・ブランシェット)を一目見て、その美しさに魅了される。キャロルもテレーズに惹かれ、二人の仲は急速に縮まっていく。同性を愛することが今より遥かに困難だった時代、二人の女性のラブストーリー。
《みどころ》
この映画は問いかける。「今、あなたは本当の自分を生きていますか?」
1950年代、女性の多くが自分を押し殺し、家庭に尽くすことを強いられた。恋人からの求婚に乗り気でないテレーズは、家と職場の往復、時には恋人や友達との飲み会・・・・・・毎日を繰り返し、ただ何となく生きていた。
そんな時に出会ったキャロルは確固たる自分を持つ美しい女性だった。そんな彼女も復縁を求める夫と溺愛する娘を前に、離婚に踏み切れずにいたのだ。キャロルとテレーズは二人、しがらみから逃れるように期間限定の自動車旅行に出掛ける。道中二人は更に惹かれあい、その関係は肉体的なものにまで及んでいく。
自分を卑下するテレーズに、キャロルが才能とは何かを諭すシーンがある。「才能とはあなたではなく、人が決めるもの。ただあなたは懸命に頑張ればいいのよ」その言葉をきっかけに、テレーズは漠然としていたフォトグラファーの夢に向け自ら一歩を踏み出す。
本当の自分を今、私は生きているのだろうか。その答えは「私らしさ」を愛する人との出会いで、初めてわかることなのかもしれない。
[ライター: 宮﨑 千尋]
映画『キャロル』予告篇
映画作品情報
原題: Carol
監督: トッド・ヘインズ (Todd Haynes)
脚本: フィリス・ナジー (Elizabeth Karlsen)
製作: エリザベス・カールセン (Elizabeth Karlsen)
製作: スティーブン・ウーリー (Stephen Woolley)
製作: クリスティーン・ベイコン (Christine Vachon)
原作: パトリシア・ハイスミス (Patricia Highsmith) 「The Price of Salt(よろこびの代償)」
配給: 株式会社ファントム・フィルム
劇場公開日: 2016年2月11日